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製造業 社員減らし企業トップ10 (日刊ゲンダイ) 
http://www.asyura2.com/13/hasan81/msg/677.html
投稿者 赤かぶ 日時 2013 年 8 月 10 日 21:31:00: igsppGRN/E9PQ
 

http://asumaken.blog41.fc2.com/blog-entry-9549.html
2013/8/10 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ


上場53%が削減していた

サラリーマンにはつらいニュースだ。上場製造業の半数以上の企業が、この1年で従業員を減らしていることがわかった。その多くは、昨秋まで続いていた円高による業績悪化でリストラを加速させたことが原因だ。その後、為替は円安に転じている。そうした企業は今年は従業員を増やすのか?

2012年度決算の上場製造業1332社の総従業員数(単独決算ベース)について東京商工リサーチがまとめたところ、712社が前年度より従業員を減らし、その割合は全体の53・4%と過半数の企業にのぼっていた。全体の従業員数についても、前年度より3364人減少していた。

業種では、円高の影響をモロに受けた輸出企業の多い電気機器や自動車産業での減少が目立つという。表は従業員数が減った企業トップ10だ。シャープやルネサスなど早期・希望退職を大量募集した崖っぷち企業が上位にランクした。11位以下でも、日立製作所の従業員は前年比2・3%減、トヨタ自動車が前年比0・25%減になっている。

さらに、従業員を増やした残り46・6%の企業も単純ではない。というのも、増加の理由は企業合併や子会社の吸収合併によるものが多いからだ。採用人数を増やすなど純粋な増員ではなかった。

◆原因は昨年までの円高 今年は円安だけど雇用改善期待ゼロ

問題はこれからだ。昨年の円高によって従業員が減ったのならば、今年は円安だから、増えていいはず。輸出企業は円安の恩恵で業績が改善しているし、安倍政権もアベノミクスで雇用拡大をうたっている。期待できるのか。

「そんな簡単な話にはならないでしょうね。企業にしてみれば、せっかくリストラで贅(ぜい)肉(にく)を絞って体力強化したのですから。多少は増やしても必要最低限でしょう。円高局面で生産拠点を海外に移す動きが加速しましたが、これは円安になっても止まらない。為替相場に関係なく、売れる市場は海外にあるので、工場は海外に造る。業績改善で製造体制が拡大しても、現地採用の雇用が増えるだけで、日本人の雇用改善にはつながらないと思います」(東京商工リサーチ情報本部長・友田信男氏)

たとえ国内での採用を増やしたとしても期間工や派遣など非正規が圧倒的になりそうだという。一昨年時点で派遣労働者は137万人にのぼり、04年に製造現場への人材派遣が解禁されてから急激に増加した。

総務省の就業構造基本調査によると、転職で非正規から正社員になった人は24・2%にとどまるのに対し、正社員から非正規になったのは倍近い40・3%にのぼっている。

「今後は、日本人が海外に渡って日系企業に現地採用してもらう、という現象が起きても、おかしくありません」(友田氏)

大変な時代である。


◆上場製造業従業員数減少ランキング

 [企業名] [従業員数] [前年度比]
1 シャープ 18,016 ▲3,522(16.3%)
2 ルネサスエレクトロニクス 10,331 ▲2,777(21.1%)
3 三菱重工業 31,111 ▲1,383 (4.2%)
4 HOYA 3,129 ▲1,325(29.7%)
5 セイコーエプソン 11,902 ▲1,143 (8.7%)
6 日立電線 2,304 ▲1,102(32.3%)
7 ソニー 15,531 ▲1,045 (6.3%)
8 東芝 35,786 ▲ 968 (2.6%)
9 本田技研工業 23,983 ▲ 905 (3.6%)
10 八千代工業 1,526 ▲ 768(33.4%)


 

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コメント
 
01. 2013年8月12日 19:16:39 : jcQjwPLXXg
いくら下っ端減らして贅肉落としても、膿がいつまでも会社に残っている限り
お先真っ暗。

02. 2013年8月13日 15:34:11 : 88JBmMxGiU
あなたの褒め言葉、95%はスルーされている

若い部下に効果的な褒め方とは?

2013年8月13日(火)  石田 淳

 社会人になって15年が経ったある課長は先頃、少し早い夏期休暇を取得し、故郷の静岡県に帰って高校時代のクラス会に出席しました。地元静岡はもちろんのこと、東京や名古屋、大阪といった大都市圏で働いているクラスメートも多く、しばらくは楽しい近況報告が続きました。

 しかし、二次会に流れる頃には酒の酔いも手伝ってのことか、仕事に対する愚痴や将来への不安など、ネガティブな話題も増えてきました。

 皆の口から出た内容で共通していたのが、「部下育成が大変だ」というものでした。とはいえ、部下の能力そのものに対して悩んでいるわけではありません。

 「ちょっと注意するだけでふて腐れてしまうんだよね」

 「小さなミスを指摘しただけで落ち込んじゃってさ」

 このように「最近の若い部下たちは打たれ弱い」という意見で一致したようです。仕事上当たり前のことを教えようとするだけで、ひどく気をつかわなければならないことに、みんな困っている様子でした。

 中には「遅刻を繰り返す部下をしかったら、翌日に辞表を出された」と嘆く人もいました。しかも、その部下は辞表を出した理由を人事部門から問われた時に、「上司が感情的に怒ってばかりで自分を認めてくれない」と報告したそうです。

 もちろん、上司としては部下のことを考えたからこそ厳しくしかったのです。感情的になったつもりはないし、ましてや「しかってばかり」などということはありません。

 その話を聞いていたクラスメートたちは、あきらめたように言いました。

 「こっちの気持ちがそのまま伝わると思ったらダメだって」

 「ホント、怖くて何も言えないよな」

 課長は暗澹たる気分になりました。というのも、昨年入ってきた新人が、まさにそのようなタイプだったからです。能力は低くないので育て甲斐があるのですが、ミスを指摘するととたんに心を閉ざしてしまい、コミュニケーションがうまく取れなくなってしまうのです。

1日2回褒めても部下の認識は「月に2回」

 こうした悩みは、何もこの課長の周囲に限られた話ではありません。ここ数年、あちこちで頻繁に耳にする話です。そのたびに、私は今現場で働いている課長は大変だと思います。

 しかし、部下たちを育成して、彼らと共に業績を上げていくことが命題である以上、嘆いていても状況が変わるわけではありません。部署の権限を持つ課長のほうから歩み寄っていく必要がありそうです。

 「歩み寄る」といっても「部下の顔色をうかがう」ということではありません。何らかの原因によってずれてしまっているお互いの認識を、すり合わせる努力をしようということです。

 私は行動科学マネジメントの普及活動を通じて、多くの企業における上司と部下の関係性を見てきました。上司と部下の関係においては、様々な認識のずれが存在しています。それがお互いに対する誤解を生み、上司が「善かれ」と思ってやっていることがムダになっているのです。

 中でも、ずれが大きいのが「褒める」という行為についてです。

 世代の違いや時代の変化と関係なく、上司に褒められるというのは部下にとってうれしいものです。褒められれば、自分を認めてくれた上司に対する信頼感も高まるし、もっと頑張ろうという気持ちにもなります。

 そのため、部下を褒めることの重要性は、どんな年代の上司も、つまり若い上司であろうが、年配の上司であろうがよく理解しています。「しかるよりも、なるべく褒める機会を増やそう」と多くの課長たちは考えていて、そのようにしているつもりでいます。

 ところが実際には、それが部下たちにはほとんど伝わっていないのです。

 私がたびたび紹介する、あるアンケート結果があります。「あなたはどのくらいの頻度で部下を褒めていますか?」と上司に質問したところ、その答えは平均して「1日2回」。一方、その部下に「あなたはどのくらいの頻度で上司に褒められていますか?」と聞くと、「月に2回」という答えが返ってきたのです。

  ひどく認識がずれています。これが現実なのです。

 課長であるあなたはまず、このギャップを強く認識しなければなりません。アンケート結果から考えると、あなたが20回褒めたとしても、部下が褒められたと認識しているのは、そのうち1回だけ。あなたの褒め言葉のうち、実に95%がスルーされているわけです。

「褒められ体験」の違いが原因

 なぜ、こんなことになっているのでしょうか。その理由としては、課長の世代と、部下の世代で、そもそも「褒められ方」が違っていることが挙げられます。

 まず、今の課長世代は、上司に直接褒められるということはあまりありませんでした。冒頭に紹介した課長も同じで、いわゆる体育会系の先輩や上司から厳しい言葉をかけられながら育ったそうです。

 「そんなこと、いちいちおれに聞くなよ」

 「責任持ってやれ。できるまで帰るなよ」

 このような言葉を、自分を信頼してくれている証とこの課長は受け止めたそうです。

 「そうか、自分の判断でやっていいんだ」

 「僕ならできると思ってくれているからこそ、言っているんだ」

 こう解釈して頑張ってきました。

 この解釈は間違っていませんでした。後から知ったことですが、実際に先輩や上司は「彼はよくやっている」と会社に報告してくれていたのです。直接褒めてもらわなくても、この課長は上司や先輩の愛情を十分に理解できました。

 しかし、今の部下世代に同じやり方は通じません。現在の若者は、親からも教師からも積極的に褒められて育ってきたために、控えめな褒め言葉では褒められたと思えないのです。それどころか、課長からの発破かけや激励を「しかられている」と受け止めてしまうこともあります。

 ですから現場を率いる課長は、「部下たちの感覚」に合わせた褒め方をしていく必要があります。褒めるのはあなたですが、受け取るのは部下たちです。部下たちが「褒められた」と受け取ってくれなくては意味がありません。一般的に他者を変えるよりも自分を変えるほうが簡単かつ確実ですので、上司であるあなたから歩み寄ったほうが得策と言えるでしょう。

 ところが、多くの課長が直接的に褒めることを苦手としています。

 「自分がそのように褒められたことがないので、どうしていいか分からない」

 「照れくさくて、直接褒めるなんてできない」

 というわけです。

望ましい行動を見つけてすかさず褒める

 しかし、難しく考えることはありません。なぜならば、あなたが褒めるのは部下の「行動」であって、「性格」や「態度」ではないからです。

 言ってみれば、情緒は排除していいのです。部下の個人的領域に踏み込むのではなく、部下に望ましい行動、いい行動を増やしてもらうために「科学的に褒める」ということを忘れないでください。行動科学マネジメントは、その人の望ましい行動を増やす手段として、褒めることが重要だとしています。

 「いまの電話対応よかったね」

 「報告が早くて助かるよ」

 「気持ちのいい挨拶をするね」

 「時間に正確で偉いぞ」

 このように、どんなに小さなことでもかまいません。繰り返してもらいたい、望ましい行動を部下が取った際には、どんどん褒めてみましょう。

 ポイントは具体的な行動を褒めること、そして、すかさず褒めることです。それによって部下は「なるほど、この行動が望ましいのか」と明確に理解することができ、かつ自信をもってその行動を繰り返すようになるからです。

 もちろん、ときにはしかることも必要です。部下が間違った行動を取ったら、それをしかるのは課長の責務です。

 しかし、褒めることをせずにしかるだけでは部下の行動は正しいものには変わりません。部下が素直に耳を傾ける相手は、普段から自分を認めてくれている上司です。自分を認めていない上司の言うことには耳を貸しません。

 行動科学マネジメントには「4対1の法則」というものがあります。これは部下を褒めたりしかったりする際のコツを指したもので、4つ褒めて1つしかるくらいの割合がちょうどいいとしています。もし部下に対してしかりたいことが1つあったら、「この4倍褒めているだろうか?」と自問してみましょう。「ノー」なら、しかる前に褒めることを4つ探してみましょう。

 ここで、先ほど挙げた「認識のずれ」を思い出してください。褒めることを探し出す際には、「あなたが褒めているつもりの4つ」ではなく、「褒めているということが部下に伝わる4つ」であることが重要です。

 しかるときも、性格や態度ではなく行動をしかるようにします。「人」をしかるのではなく、「悪い行動」をしかるのです。もちろん、間違っても人格を否定するようなことを言ってはいけません。

 また、褒めるときはみんなの前で褒めて構いませんが、しかるときには人前でしかるのは避け、個別にしかるようにしましょう。「一人をしかることで、それを見ている周囲も学んでくれるだろう」という考えは、今の部下世代に通用しません。若い世代は自分が傷つくことを極度に恐れています。人前での叱責は本人をへこませるだけでなく、それを見ている周囲をも萎縮させてしまう結果になります。

 部下を「褒めること・しかること」は、多くの課長にとって気の重い課題でしょう。しかし、適切に褒め、適切にしかることによって、部下が出す結果はがらりと変わってきます。

 行動科学マネジメントでは「すべての結果は行動の集積である」と考えます。つまり、どんな結果も、それ以前にあった行動の積み重ねが招いています。望ましい行動を繰り返せば望ましい結果が出ます。悪い結果が出たのであれば、その原因となった悪い行動が繰り返されていたということを意味します。

 望ましい結果を導く望ましい行動を褒め、悪い結果につながる悪い行動をしかりましょう。そうすることで、部下が成長するだけでなく、あなたの業績、またあなたの部署の業績も確実にアップしていくことでしょう。

このコラムについて
輝く課長の行動科学マネジメント

日本の現場を支えているのはミドルマネジャー、すなわち課長です。課長が輝いてこそ、現場が元気になり、企業は発展します。課長の目の前に課題は山積しています。目標達成、新事業の立案、部下の育成から子供の教育、生活習慣の改善まで。様々な課題に対し、対策は提示されていますが、その実行と継続は容易ではありません。自分の行動を自分で改善し続けられる「行動科学マネジメント」で、輝く課長を目指しましょう。


03. 2013年8月13日 15:35:38 : 88JBmMxGiU
住民が勝手に助けてくれる会社

巨大財閥から教えてもらったこと

2013年8月12日(月)  金田 信一郎

前回に続く動画企画の第2弾。なぜ、千葉県の山間部を走るローカル線、小湊鐵道が黒字になるのか。実は、周辺の住民が「勝手連」として、駅や周辺を清掃している。また、イルミネーションや花の種蒔きなど、「集客戦略」まで勝手に進めていく。「奇跡の鉄道」を描く映像の2回目は、そんな「勝手連」を支える男たちにスポットを当てた。その経営を築いた中興の祖、石川信太元会長について、孫にあたる石川晋平社長の言葉も併せて綴っていく。(下記の動画と、「日経ビジネス」8月12・19日号の関連記事をご覧ください)
ローカル線の経営が厳しい時代に黒字を続けています。その支えになっているのが、地元住民の「勝手連」としての清掃や集客戦略ですね。

石川:そう。もう勝手にね、駅や周辺をきれいにしてくれる。私はさ、いい意味でやっぱり「公私混同」というか、「分けない」という発想がいいと思っている。仕事とプライベート(の境界線)なんて、元からそんなものはない、という考え方ですよ。(下記の動画をご覧ください)

A俺の小湊鐵道 ●動画@はこちら
 だから、主役は小湊鐵道ではなくて、「地域」だと思っている。それで、山間部の各駅には、それぞれ地元のオヤジが勝手に集まった(ボランティア)団体が10以上あるわけ。それをとりまとめている連合会もあって、松本靖彦さんという人が連合会長をやっている。

 彼らは3カ月に1回ぐらいのペースで集まるんだけど、途中から酒がまわって、最後は言い争いになって終わるんだって。なんで言い争いになると思う?

「お前のところは、ちゃんとできていない」とか怒るんですかね。

石川:いや、逆でね、「お前の所もすごいけど、俺の所の方がもっとすごいぞ」って自慢し合っている。「すげえことやってるぞ」って。

小学生みたいですね。

石川:それで、連合会の「活動の趣旨」を書いてある紙をもらったんですよ。そこに、「小湊鐵道には要求しない」とうたっている。「我々は勝手連なんだ」と。それを見て、「いやあ、ありがたいな」と思いました。

松本さんは仕事は何をしているんですか。

石川:もともと、地元の中学校の校長先生です。それで、今は飯給駅の掃除や草刈りをやってくれる。

 もう一人の「松本さん」もいてね。里見駅に松本正雄さんという(ボランティア団体の)会長がいる。彼は里見駅の駅舎を使って、喫茶店を始めたんですよね。今年の春まで、里見駅は無人駅だったので、駅舎を使っていなかった。そこで、喫茶店をやって弁当やケーキを売ったわけ。また、地元の農家のおばちゃんとかが集まって、自分で作った野菜なんかも売ってますよ。

月崎駅では「客が乗らないと、鉄道が困る」といって、イルミネーションを始めたんですね。これが話題を呼んでいる。

石川:もうさ、隣の駅、隣の駅がどんどん競うようにイルミネーションを始めてね。すごいですよ、今では。

 あと、風景や芸術を見る客を呼び込もうと、地域の芸術関係の人がすごく協力してくれるわけですよ。95歳の農民作家の遠山あき先生なんかは、小湊鐵道や養老川など地元を舞台にした小説や書籍を出している。地元にもファンが多いんですね。

 また、イギリス人の陶芸家、クリス・クラークさんは、わざわざ他の地から移ってきて、ここに窯を作っている。奥さんと子供さんは、「山奥は嫌だ」と言って、市川市に住んでいると聞きましたけど(笑)。

 あと、地元の校長先生だった鶴舞の山内一郎さんは、自宅の庭が岡の上にあって、中房総が一望できる絶景なんです。「千葉眺望百景」に選ばれているんですけど、勝手に人々が公園のように使っている。

吸いたいヤツは吸い、飲みたいヤツは飲む

本当に、公私の境界線がない地域ですね、小湊鐵道も含めて。

石川:私はその方が、結果的にいいと思っているんですよ。特にこの地域では。

 うちの鉄道は、まだ駅でタバコが吸えるんです。それは、特に意識してやっているというよりも、「別にいいよ」っていうことで、灰皿も置いている。そうすると、誰かが県庁にそのことで苦情を入れて、県庁から連絡がありました。「今どき、駅に灰皿を置くなんて、どうなんだ」と。

 「そんなのは放っておけ」と。だって、田舎の無人駅なんだから、ちょっと出れば自然だらけだ、と。

公道と駅との境界線も曖昧ですからね。どこまでが公道なのか分からない。

石川:田舎でそんなつまんないことを言うな、と。吸いたいヤツは吸って、飲みたいヤツは飲めばいい。

 昔は、列車の中で吸えましたよね、JRも灰皿があって。うちも最後まで吸える列車だったんです。まあ、今は止めていますけど。でも当時、タバコを吸わないじいさん(祖父・石川信太元会長)が、「タバコを吸う人にも権利がある」と言って、「うちは(吸って)いい」って。「吸わない人の権利ばかりを尊重するのは間違っている」と。

吸わない人が言うところに、重みがありますね。

石川:そう。彼はまったく吸わない。私も吸いません。

小湊鐵道の経営は、祖父の信太さんの影響が大きいと思われます。1980年から亡くなる2008年まで、28年間にわたって経営トップを勤めていました。90歳を過ぎても、会社の陣頭指揮を執っていたと聞きます。

石川:まあ、96歳まで元気でね。亡くなる半年ぐらい前まで会社に来ていました。とにかく仕事漬けで、家でも横になっている所なんか見たことがない。本を読んでいるか、絵を描いているか、メシ食っているか。こっちは、だらしなく家でゴロンとしているんで、「何やっているんだ、お前」って。

自宅でもゆっくりしていられない。

石川:何か怖いんですよ。彼がいると緊張感がある。

利益を追うと困窮に落ちる

創業者ではありませんが、1つ筋が通った経営をされていた。それは、大正時代に創業した時からの経営を引き継いだ形なのでしょうか。

石川:そうですね、じいさんは1930年に安田保善社から小湊鐵道に出向してきたんです。創業時、安田財閥が資金を出して鉄道を敷設し、列車を買っていた。人も何人か送り込んでいて、3代社長は安田財閥の安田善助さんでした。でも、じいさんは第二次大戦でシベリア抑留となり、37歳で会社に戻ったときは、京成電鉄系になっていて、社長も京成出身者になっていた。

 結局、京成の経営がちょっと厳しくなった時、京成グループから抜けて独立するような形になって、1980年にじいさんが10代目社長になるわけです。

それで、安田財閥の社是や経営理念を引き継いだというわけですね。

石川:「今日一日のこと」という安田善次郎さんが74歳の時に、一族や安田グループの人間に残そうとした言葉があります。筆で書いたというものが残っているんです。で、4年ほど前に、それを抜粋して、勝手にアレンジして「カード」にしました。でも、中身は安田善次郎さんの言葉と同じなんです。

 それで、安田不動産という会社があって、今でも安田系の不動産会社なんですけど、その深澤(正宏)会長に、これを見ていただいたんです。そうしたら「今でも使ってるんだ」と驚かれて。私は、一応、使っていることの許可を得るというか、使っていることをお知らせしておかないと、と思ったんでね。

言葉は、どこから抜粋したんですか。

石川:『安田善次郎翁の人物・業績および思想』(由井常彦講演録)という本ですが、多分、販売されていないものだと思います。

 とにかく、内容が示唆に富んでいる。「従業員の心得」の1番目は、「毎朝6時に起き出て、夜は9時に至り寝につくべし」と。「朝寝夜更しは体を損ない、勤務を害するに至る」と言っている。これ、いいですよね。

 あと、「晩年の一族への教訓」というものがあります。安田善次郎さんが古希を過ぎて、大正時代になって「心の平安」ということを、深く考えるようになった、と。「勤倹力行」というのが信条なんですね。

 それで、74歳の時、一族一家の人たちに「今日一日のこと」という教訓を作った。

これが、さきほどのカードに記された言葉ですね。

石川:そうです。まあ、今日一日を一生懸命に生きなさい、ということなんですが、これを5カ条として記している。「今日一日、三つ(君、父、師)の御恩を忘れず不足言うまじきこと」「今日一日、決して腹立つまじきこと」といった感じです。

 で、これとセットになっているのが、「禍福の循環の教え」です。で、私は自分で、ここにある「身家盛衰循環図系」というのを、図にしてみたんです。

 安田善次郎さんは、「事業をする人間には、循環がある」という。最初は必ず「困窮」から始まると言っている。これがスタートだ、と。で、ここで発憤するか、挫折するかに分かれます。挫折したら、もう「終わり」です。だから、絶対に発憤しなければならない。発憤して、勤勉と倹約を重ねていく。そうすると、必ず一定の富が入ってくるという。

 ここでまた道が分かれます。カネができたと言って、「豪奢」、つまりおごり高ぶっちゃって、利に聡くなると、貪欲に眼がくらむというのです。そして、もっとカネがほしいと「煩悶」して、元に戻ってしまう。つまり「困窮」に落ちる。

 でも、ここでまた発憤すれば、循環に戻れるんですけどね。面白いでしょう、この循環図は。

なるほど、要するに挫折してはダメだ、「ジ・エンド」だと。

石川:そう。挫折すると、その先はねえぞ、と教えている。「今日一日のこと」とセットで後世に残したわけです。

 これを、4年前に読んだんです。じいさんの書棚にあって、「ああ、そうか、これだったのか」と思った。そこで、毎朝、いつも点呼の時に、「今日一日のこと」を社員が読み上げています。結局、自分でしゃべって、それを自分の耳で聞くというのが、本人をその方向にもっていく一番の方法なんです。そうすると、「ああ、そうだな」と思ってくる。

 こういう、じわっーと浸みてくるようなものが、会社にとっても、社員個人にとっても、一番いいと。だって、悪いことは1つも書いてないんだから。

歴史を語り、伝えていく

カードの裏には、社訓がありますね。

石川:これさ、「明るく 正しく 強く」って、小学校の校舎に掛かっていそうな単純な言葉ですよね。これも、昔から小湊鐵道にあったらしく、先輩の社員から、「いや、昔、この言葉は部屋にべたべた張ってあったぞ」と言われたんですよ。「へえ」と言って、探したら、鉄道部の車両課に1枚だけ、黄色になって波打っちゃっている半紙が1枚、出てきたんです。

あ、私も見ましたけど、結構、立派な額に入っていました。

石川:あれは、印刷屋に渡して、刷り直したんですよ。もう1回刷らせて、今、それをほかの部屋にも掛けたんですけどね。

 もう考えた人間がいないから、私の意訳を話しています。「明るく」というのは、「やっぱり、前向きにやろうぜ」ということですよね。あとは精通しよう、と。「この分野に明るい」というやつです。だから、交通のことには精通しようぜ、と。

 「正しく」は、「この線で止まれ」という意味なんですね。「正」の字は、まず上に線を引っ張って、その下に「止まれ」と書きます。線をはみだすな、と。その線というのは何かというと、社会のルールもあるし、法律もあるんだけれども、とにかく線を越えない。

なるほど、意訳すると深みが出てきますね。

石川:それで、この「強く」という言葉が、私はずっと分からなかった。去年までは、社員に説明する時、「明るく 正しく」と言うのは簡単だけど、実行は難しい、だから、自分自身が強くなければいけない、というような話をしていたんです。でも、どうもちょっとピンとこない。それで、壁に掛かっている字を見て考えていたんですけど、実は「強」の右上は「ム」ですが、古い字だから「口」なんですよ。

はい、ありますね、その字。

石川:この字ですが、元を辿ると田んぼなんですよ。定かかどうか分かりませんが、勝手に解釈しているんですけど、田んぼ仕事を勤める、ということだと思うんです。ですから、瞬間的な力が「強い」というよりも、どっちかというと、毎日田んぼ仕事に出ていく「継続」することを指しているのではないか、と。昔は会社がないから、田んぼ仕事をやるというのが「お勤め」ですよね、生きていくために。だから、仕事も同じようにとらえて、一定の公私を分けることは必要だけど、そんなにうまくいくわけないんですから、自分の田んぼ仕事のように毎日継続してやろうぜ、と。意訳ですけどね。そういうふうに今年は話をしています。

その解釈は、鉄道会社にぴったりですね。

石川:何となく、しっくりくるでしょう。

 で、壁を見ると、古い字で社訓が掛かっている。会社の先輩たちが、どこかで見ている、という感じがしますね。「どうだお前、明るくなったか」と。「毎日、ちゃんと勤めているか」とか、見るたびにそこに立ち帰る。そういうことが、やっぱり必要じゃないかと思うんですよね。これが、小湊鐵道に入った「特権」だと。みんなが、こういうことを知ることができる。

先輩とは、昔勤めていて、この鉄道を守って、今はもう亡くなった先輩たち…。

石川:その通りです。別に、社長だとか創業者じゃなくて。それよりも、レールを守り、つないできた人ですよね。

 うちも数字は見ますよ。でも、長くいる人たちが歴史を語って理念を語れば、それは数値に出ないけど、思いを伝えることになる。

安田財閥の源流にある経営を守ってきた祖父・信太さんは、千葉県出身ではない。

石川:はい。もともとは、横浜生まれですが、関東大震災では福島県に疎開したことがあるんです。そこでの原体験が、ずっとその後も残っているといいます。小川のほとりで少年期を過ごしている。

芸術家が経営する会社

 戦争から戻ってきて、小湊鐵道に37歳で復帰し、96歳で亡くなるまで、ずっと昔の風景、地域の風景を残すことを考えていたんでしょうね。だから、自分で沿線や日本の山間地の風景を歩いて、日曜画家としても描き続けたんです。

2000枚も描き残していますね。

黒川雄次(鉄道部長):私は2回ぐらい、一緒に行ったことがありますね。養老渓谷の方に行くから、というので。非常に集中していて、「なんでこんなに一生懸命になれるのかな」と不思議でした。だって、朝から晩まで、休まないんですから。弁当を食べる時間も惜しんで描いていました。

石川:ざーっと下書きをして、写真をとって、後で自分のアトリエでも続きを描いている。

黒川:秋に行ったんですけど、寒いんで、昼に味噌汁を飲ましてあげようと思って、鍋をもって行ったんです。温かいものが食べたいでしょうから。

喜んでいましたか。

黒川:そう思いたいんだけど。絵に集中しているから、分からない(笑)。

 それで日が落ちてきて、もういいかげんに終わりにしてもらわないと帰れない、と。真夜中、山ですから、足下の道が見えなくなる。もう、ぎりぎりの所でやっと帰ってきた覚えがありますね。

それで、地元の千葉の経営者は、「芸術家が経営していた会社」と表現していました。信太さん自身も、絵を描くことと経営は、相通じるものがある、と言っていますね。見渡した風景を1つのキャンバスに収めることは、様々な事象と要素を判断して、1つにまとめる会社経営と同じだと言っている。

石川:だから、美しい風景を残すことが重要だという確信があったんですね。駅舎に関わっている社員にしてみれば、古いものがいいとは思わないでしょうから。やっぱりサッシにしたり、近代的な設備にした方が管理しやすい。だけど、そういう提案は、一切受け付けなかった。「だめだ」と。「このまま残す」って。だから、あえて古いものを残してやってきましたね。

勝手連として駅を清掃する住民も、同じような感覚を持っている。

石川:そうでしょうね。この沿線でも山が相当荒れているんです。今、地域で活動している人は、60代の人が多いんですけど、子供の時に、祖父と一緒に山に入って手伝った経験がある。下草を刈ったり、手入れをして守ってきた。まあ、生活していくうえで必要だったわけでしょう。

必要な食物も作っていますからね。

石川:そうですよね。で、会社勤めで地元から離れて、戻ってみたら山が荒れている。今、自分たちがやらないと、知っている人がいなくなるわけです。引き継いできた自然を、自分たちが潰してしまっていいのか、という動機がありますね。

駅の磁力を取り戻す

信太さんも、駅や列車が「地域の美しさ」を壊さないように考えたわけですね。

石川:じいさんも、創業したわけでもないし、後から入社したわけです。そういう意味では、自分が世話になった所を、きちんと残したいという思いだったんでしょうね。

日本の美しさを残したい、と。

石川:だから今、駅の本来の役割を、うちでも取り違えちゃっている。無人駅になって、乗降者も減ってしまった。みんなクルマで移動するから、人々がクロスしなくなったわけですね。沿線に行っても、人が歩いていないでしょう、田舎って。みんなクルマで移動する。

里見駅の構内を、今年3月に列車交換ができるように複線化して、無人駅から駅長がいる有人駅に変えました。小学校の統廃合で、近くに学校が開校したからですが、それにしても、この時代に増便するのは難しい判断だったと思います。でも、あれで駅を中心に人が交錯するようになりました。

石川:現代社会では、目的地まで一気に行っちゃって、間がなくなって誰もクロスしない。だから、もう1回、駅本来の機能を取り戻したいんです。昔は、よく、田舎の駅では、「どう? おばあちゃん、元気?」とか、そういうやりとりがあったじゃないですか。

 で、うちの社歴の長い社員とか、同じ思いなんですね。小湊鐵道で40〜50年という人たちですから。彼らはじいさんとも仕事をしているけど、年齢は子供ぐらいですよ。私は40歳だから、彼らの子供のような世代です。

 だから、長年一緒に小湊鐵道でやってきた人と話していると、たまに、何ていうか、じいさんと話しているような感覚になる時があります。僕も、じいさんにいろいろと教わって育ててもらった人間だから、何となくお互いが考えていることが分かる、通じているんです。「そうだね」と。それで「実行しよう」ということが決まる。

 我々は、逃げるわけにはいかないんですね。レールをはがして、東京に持って行くわけにはいかない。だから、特に決めごとをしなくても、この地域と一体となって、やっていけるんだと思います。

(次回の動画は8月13日、「私の小湊鐵道」です)

このコラムについて
動画で見る「企業研究・小湊鐵道」

日経ビジネス8月12・19日号「企業研究・小湊鐵道」の連動企画。ローカル線を支える人々のインタビューとドキュメンタリー動画。東京からわずか1時間の山間地にある魅惑のローカル鉄道は、黒字経営を続けている。大正時代の駅舎に、半世紀前の車両、そして昔ながらの「鉄道の男」たちの仕事ぶり。「崖っぷちのローカル線」という苦境を乗り越えた人々の矜恃とは。


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