04. 2013年8月08日 15:57:29
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日本株全面安、米緩和縮小観測でリスクオフ−6月来の下落率 8月7日(ブルームバーグ):東京株式相場は大幅反落。輸出や不動産、金融、情報・通信など東証1部33業種は全て下げ、値下がり銘柄数が1600を超すほぼ全面安となった。米国の量的緩和政策の縮小観測から、市場参加者がリスクオフの売り姿勢を強め、ドル・円相場が約1カ月半ぶりの円高水準を付けたことも嫌気された。 TOPIX の終値は前日比38.40ポイント(3.2%)安の1155.26、日経平均株価 は576円12銭(4%)安の1万3824円94銭で、両指数ともきょうの安値引け。日経平均の下落率は、6月13日(6.4%)以来の大きさとなった。 東京海上アセットマネジメント投信エンゲージメント運用部の久保健一シニアファンドマネジャーは、高水準で推移していた円のネットショートポジション を「アンワインドする動きが出ている」と指摘。2年国債の日米金利差に基づくドル・円の適正水準と比較すると、「円安に振れ過ぎており、一段の円高・日本株安の余地はある」とした。 シカゴ連銀のエバンス総裁は6日、「労働市場で好ましい改善が見られ、それについて疑いの余地はない」と発言。9月に連邦公開市場委員会(FOMC)が債券購入プログラム縮小を開始する決定を明確には「排除しない」と語った。また、アトランタ連銀のロックハート総裁もインタビューで、量的緩和第3弾(QE3)の縮小は早ければ9月に始まる、との見方を示した。 米金融政策の不透明感などを背景に、為替市場では週初からの円高基調が続き、きょうの日本株は朝方から幅広い業種、銘柄に売りが先行。アジア株も総じて安くなる中、午後に入ると先物主導で下げが加速し、日経平均は終値で5営業日ぶりに節目の1万4000円を割り込んだ。東京時間7日のドル・円相場は、一時1ドル=96円98銭と6月25日以来の円高水準を付けた。 ハト派の意外発言、SQにらみも 三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘投資情報部長は、「ハト派と目されてきたエバンス総裁が9月の緩和縮小を排除しないと発言した影響は大きい」と言う。9月の米量的緩和縮小の観測が強まっており、「リスクオフの円買い・株売りが出ている」と見ていた。 また、9日に株価指数オプション8月限のSQ算出を控え、あすが同限月の最終売買日となる。ブルームバーグ・データによると、日経平均のコール、プットともに行使価格1万4000円の建玉 が積み上がっており、SMBC日興証券の西広市氏は「1万4000円を意識した先物の仕掛け的な売買が出やすい」と指摘。SQをにらむ先物への売り圧力が現物への裁定解消につながり、下げが加速する一因になった。 個別では、いすゞ自動車 が大幅安。クレディ・スイス証券は4−6月期決算について、新興国需要に対する懸念を払拭(ふっしょく)する内容ではなく、短期的に株価にややネガティブとの見方を示した。今3月期は営業赤字見通しとなり、配当計画も無配に修正した大平洋金属、1−6月期の連結営業利益は会社計画を下回り、前年同期比25%減だった堀場製作所 は東証1部の下落率1、2位を占めた。 東証1部33業種の下落率上位は不動産、倉庫・運輸、精密機器、ゴム製品、繊維製品、情報・通信、保険、非鉄金属、証券・商品先物取引、陸運など。東証1部の売買高は概算で24億2251万株、売買代金は2兆1300億円、値上がり銘柄数はわずかに98、値下がりは1612だった。 国内新興市場では、東証ジャスダック指数 が2%安の88.13と3日続落、マザーズ指数 が2.9%安の730.19と続落した。 記事についての記者への問い合わせ先:東京 岩本正明 miwamoto4@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先:Sarah McDonald smcdonald23@bloomberg.net 更新日時: 2013/08/07 15:37 JST
市場は「閑散大動き」続く、夏休み返上のヘッジファンドがかく乱か 2013年 08月 8日 15:29 JST [東京 8日 ロイター] - 東京市場では「閑散大動き」ともいうべき展開が続いている。夏休みシーズンは休暇で参加者が減り、商いが薄くなるため、相場は小動きとなりがちだが、今年は薄商いの中でも日本株やドル/円は大きく振れている。 その背景にはCTA(商品投資顧問業者)などヘッジファンドによる夏休み返上の売買があるとの見方が多い。長期投資家の本格復帰は9月になるとみられ、まだしばらくは薄商いの荒れ相場が続く可能性がある。 <CTAは夏休み返上か> 「閑散小動きではなく、閑散大動きが今の相場」と三菱UFJモルガン・スタンレー証券・投資情報部長の藤戸則弘氏は指摘する。多くの市場関係者が夏休みを取得し、商いが薄くなっているなかで、ヘッジファンドなど短期筋の売買が相場を大きく動かしているという。先物売買が裁定買いや解消売りを巻き込んで現物株の値幅が増幅される展開だ。 東証1部売買代金は5日に今年最低の1兆6431億円を記録、その後も株価が大きく動いている割に6日が1兆9407億円、7日が2兆1300億円と盛り上がりに乏しい。8日も日経平均.N225は200円高から200円安と大きく動いたが、2兆1481億円にとどまった。平均で3兆円以上のボリュームがあった5月とは様変わりだ。 米国では、連邦公開市場委員会(FOMC)や雇用統計など重要イベントが一巡し、日本でも成長戦略第2弾や消費税増税の判断などの新たな材料が出始めるのは9月に入ってからになる。材料一巡に加え市場参加者の多くが夏休みをとっていることが薄商いの背景だ。「短期筋中心の荒れた相場だが、彼らは売れば買い戻すので、最終的な水準はあまり変わらないのではないか」(国内投信)との安心感もある。 薄商いの荒れ相場における「主役」は、ヘッジファンドのなかでも為替や株式、商品など様々な先物を組み合わせた投資をするCTAやマネージド・フューチャーズとみられている。最近、彼らの注文を多く仲介しているとみられている米系証券の先物売買の手口をみると、日経平均が576円下げた7日はTOPIX先物を5500枚売り越し。日経平均が2日で800円上昇した8月1─2日は日経平均先物を計8800枚買い越していた。 通常なら彼らも夏休みをとるところだが、今年は事情が違うという。「マネージド・フューチャーズの成績が良くないようだ。世の中は夏休みモードだが彼らは少しでも取り戻そうと必死だ。ボラティリティこそ彼らの収益源であり、ちょっとした材料にでも食いついて先物で仕掛けている」(準大手証券)。大きな材料が見当たらないなかでも、中クラスの経済指標などをとらえて仕掛けているとみられている。 クレディスイスのヘッジファンド・インデックスによると、マネージド・フューチャーズのネットパフォーマンスは5月がマイナス4.98%、6月がマイナス5.42%となっている。ヘッジファンド調査会社イーベストメントが7日発表した7月のヘッジファンドの運用成績は平均でプラス1.2%となったが、マネージド・フューチャーズはマイナス0.87%と2004年6月以来最悪の期間となった。 三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸氏は「実需筋が夏休みであるほか、材料も一巡しており、8月中はしばらく薄商いが続くなかでCTAなど短期筋の売買で日本株やドル/円は荒れた展開が続きそうだ」との見方を示している。 <長期金利は緩やかな低下傾向> 荒れる日本株やドル/円と異なり、円債市場では緩やかな金利低下傾向が続いている。10年長期金利は今週に入り0.8%を下回る水準で推移。薄商いは他市場と同じだが、日銀の大量国債購入が功を奏している格好だ。流動性の低下はショックによる急変動のリスクを大きくするが、市場では「ショックの際でも日銀が大量に購入すれば金利は徐々に落ち着く」(国内銀行市場担当役員)との安心感があるという。 また需給面でも国債を支える潤沢な資金状況は当面続くとの見方が多い。国内への資金流出入を示す経常収支は2013年上半期が3兆2114億円の黒字と、過去2番目の低水準だったが、なお黒字が継続している。今年1─6月の貿易収支は4兆2382億円の赤字と過去最大となったが、所得収支が8兆6783億円の黒字と過去最大になり、経常黒字を維持させている。 金融機関の国債消化余力を推し量るデータの一つとして注目されている預貸ギャップ(預金から貸出を引いた額)は都銀・地銀(第2地銀含む)で前月に比べて2兆7980億円縮小したが、「預貸ギャップ縮小がトレンドとなるのか、単月の数値だけでは判断できない」(国内証券)として、債券相場への影響は限定的と受け止められている。市場では金融機関によるポートフォリオリバランスの動きも意識されているが、預金は6月のボーナス支給に伴う季節的要因のはく落を勘案する必要があるという。 消費税増税が金利動向を左右する大きなポイントだが、三井住友アセットマネジメント・シニアストラテジストの濱崎優氏は、増税を見送っても金利はさほど上昇しないとの見方を示す。「ここで増税を実施してはせっかく立ち直ってきた日本経済の腰を折ってしまう可能性がある。そうなればすべて終わりだ」としたうえで「日銀の国債大量購入が需給を引き締めるてくれているほか、インフレ予想もそれほど上がっていない。将来的な財政再建の道筋をきちんと示せば金利上昇は限定的だろう」と話している。 焦点:米投資家の外国株購入で為替ヘッジが流行 2013年 08月 8日 14:16 JST [ニューヨーク 7日 ロイター] - 外国株を買う米国の投資家の間で、為替ヘッジが流行している。ただ、過去の経緯を見るとヘッジの成果はまちまちだ。 米国には約1500本の上場投資信託(ETF)があるが、ことしに入って最も資金流入が多いETFの1つがウィズダムツリー・ヘッジ付き日本株ETF(DXJ.P)だ。ETF業界の調査会社インデックスユニバースによると、同ファンドには総資産の82%に相当する90億ドル以上の資金流入があった。 ウィズダムツリーほどの規模ではないが、ことしは他にもヘッジ付きETFが何本か設定されたり、設定の準備段階にある。 これは株式市場においては新たな潮流だ。債券を中心に大手資産運用会社は、長年にわたり為替変動をヘッジしてきた。しかし株式市場はもとより変動が激しく、為替ヘッジのために追加的なコストをかけることが、これまで必ずしも効果を上げてきたわけではない。ボラティリティは抑えられてもリターンは減る傾向にあるからだ。 株式投資における為替ヘッジの恩恵はあまり実証されていない。クレディ・スイスとロンドン・ビジネス・スクールが最近行った調査によると、1972年から2011年にかけて、19カ国の株式に投資した米投資家の実質的リターンはヘッジ無しが6.1%、ヘッジ付きが4.7%だった。ヘッジによりボラティリティは2.7%低下したが、米ドル建ての実質リターンも年間1.4%減った。 ことし、為替ヘッジ戦略が関心を呼んでいる理由はいくつもある。国際市場に資金を振り向ける投資家が増えた。日本や英国を筆頭に、一部の海外市場では中央銀行の介入により通貨安と株高が同時に起こるとファンドマネジャーは見ている。 メロン・キャピタル(サンフランシスコ)の資産配分ポートフォリオ管理ヘッド、バシリス・ダジョグル氏は「米ドル高に備え、国際ポートフォリオの為替リスクをヘッジするコストの相対的な安さを考えれば、米国に拠点を置く投資家にとって(ヘッジは)価値があるかもしれない」と話す。 為替ヘッジを掛けていないiシェアーズMSCI日本ETF(EWJ.P)はことし19%上昇。これに対してウィズダムツリー・ヘッジ付き日本株ETFの上昇率は24%、ドイツ銀行のDB・XトラッカーズMSCIヘッジ付き日本株ファンド(DBJP.K)は28%に及んだ。 ウィズダムツリーとドイツ銀行はここ数カ月でヘッジ付き株式ETFをさらに3本設定したため、ヘッジ付きETFの総数は少なくとも9本になり、総資産は約110億ドルと、昨年末の13億ドルから増加した。大した規模でないのは確かだが、まだ始動したばかりだ。 ETFは個人投資家向けに販売されるが、機関投資家が短期的な取引やヘッジに利用することの方が多い。ドイツ、英国、ブラジルのほか、他の新興国についても株式投資の為替変動リスクをヘッジできるようになっている。 ドイツ銀行はさらに3本のヘッジ付きETFの設定を申請済みで、MSCIは月単位ではなく毎日為替リスクをヘッジしたい投資家に向けた指数を導入している。 ETFのコストはファンドの提供会社によって異なる。ウィズダムツリー・ヘッジ付き日本株ETFのコスト比率は0.48%で、iシェアーズMSCI日本ETFは0.50%。ドイツ銀のヘッジ付き日本株ETFは総コスト比率が1.03%だ。 <機関投資家が動く> 大手機関投資家も為替ヘッジを強化している。メロン・キャピタルは6月半ば、代表的なグローバル投資戦略における非米ドル建て資産エクスポージャーのヘッジ比率を3分の2まで高めた。平均すると外貨エクスポージャーの40%をヘッジし、手段としては主に為替フォワード取引を利用している。 フェデレーテッド・インベスターズ(ニューヨーク)の国際株式ヘッド、オードリー・カプラン氏は、自身が運用するポートフォリオの為替ヘッジ比率は平均20─30%と、世界金融危機前の5%未満から高まったと説明する。 為替の動きを予測しヘッジを実行するのは複雑な作業であるため、大手機関投資家は外貨エクスポージャー管理のために外部企業を雇うのが通例だ。円のような非常に流動性の高い通貨であれば、ヘッジコストは最低限に抑えられる。 とはいえ、ヘッジを掛けていれば損失を免れるわけではない。外貨がドルに対して上昇すれば、ヘッジは逆効果になる。日本その他で通貨が上昇して株価が低迷すれば、損失は増幅される。 ここ数カ月、日本では株価と円相場との逆相関が強いため、ヘッジがことのほか成功を収めている。しかし日経平均株価と円相場との逆相関は持続的なものではなく、もしも相関が逆転すればヘッジ付きファンドに打撃をもたらすだろう。 (Wanfeng Zhou記者) 焦点:外為取引急増で欧米銀行のシェア争い激化 2013年 08月 8日 14:25 JST [ニューヨーク 7日 ロイター] - 外国為替市場は今年前半に取引が急増し、規制面でも他の金融商品に比べて締め付けが厳しくないことから、欧米銀行間で激しいシェア争いが起きている。 主要通貨でボラティリティが高まり、銀行にとっては利益を上げるチャンスが膨らんだ。 トレーダーなどによると、この数カ月にバンク・オブ・アメリカ(バンカメ)(BAC.N)、ゴールドマン・サックス(GS.N)、モルガン・スタンレー(MS.N)など、これまで外為事業が比較的小さかった銀行がシェア獲得に向けた取り組みを強化。ドイツ銀行(DBKGn.DE)、シティグループ(C.N)、バークレイズ(BARC.L)、JPモルガン・チェース(JPM.N)といった従来市場を牛耳ってきた大手銀に挑んでいる。 さらにBTIG、ニューエッジ、FXCM(FXCM.N)、ゲイン・キャピタル(GCAP.N)など中堅も参入し、市場の細分化が進んだ。 銀行間の競争がとりわけ激しいのは、外為取引がデリバティブや社債など他の分野と比較して新たな規制強化を受けておらず、銀行にとっては他の金融商品よりも少ない資本手当てで取引が可能だからだ。 コンサルタント会社コアリションの調査・分析部門ヘッドのジョージ・クズネツォフ氏は「規制当局にとっても、株主にとっても、資本の面からも好都合に見える商品の1つだ」と話す。 日銀の大胆な金融緩和策や米連邦準備理事会(FRB)の資産買い入れ縮小の観測などを受けて、外為取引は上半期に増加。最大級の外為決済システムを運用するCLSバンクによると、6月の1日当たりの平均取引高は5兆6000億ドルと、前月比15%増加した。 取引高はこの数週間は減少しているが、競争は激しいままだ。大手銀の外為担当の幹部は「市場の参入障壁が非常に低い。海外への送金方法をグーグルで検索しただけで、10年前には存在しなかった外為サービス会社がたくさん見つかる」と述べた。 <薄い利幅> 外為取引は政策の動きや資本面での取り扱いから銀行にとって有望な分野ではあるが、妙味が大きい事業だとはとても言い難い。通常の取引の利幅は1ドル当たりわずか0.01ドルと薄く、しかも銀行はシェア獲得のために価格を引き下げている。 コアリションによると、昨年の大手投資銀行のフィクストインカム部門の収入に占める外為取引の比率はわずか8%で、2008年の36%から低下した。バークレイズによると、上半期に急増した取引高も第3・四半期に入ってからは24%減少している。 しかし単に新たな規制で他の分野の成長が見込めないという理由だけでも、多くの銀行にとり外為取引は魅力的なビジネスだ。 国際的な規則は銀行に、損失に対して十分な資本を積むよう義務付けているが、外為は他のフィクストインカム商品よりもリスクが小さい扱いとなっている。コアリションのクズネツォフ氏によると、これは外為取引に関連する資産が基本的にキャッシュであるためで、フィクストインカム関連の取引事業の大部分から撤退したUBS(UBSN.VX)ですら外為取引は残した。 <人材は引く手あまた> 幹部人材の調査などを手掛けるオプションズ・グループのマイケル・カープ最高経営責任者(CEO)によると、銀行はフィクストインカム部門の多くで人員を削減する一方で、外為については事業を拡大し人材を求めている。 昨年以来、大手行が外為取引事業強化のためにライバル行から人材を引き抜く動きが続いている。春にはバンカメがゴールドマンからジム・コールトン氏ら2人を引き抜き、5月にはJPモルガンがロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS.L)で海外支払システムを設計したロン・カーポビッチ氏を採用した。 コンサルタント会社シフト・フォレックスの共同創設者のマシュー・ミラー氏によると、大手銀の外為取引部門の適切な人材がいないかどうか問い合わせの電話が多く寄せられており、「リテールと機関投資家の両方で人材が必要になっているようだ」という。 (David Henry、Peter Rudegeair記者) 中国輸出入は予想超える上昇:識者はこうみる 2013年 08月 8日 13:40 JST [北京 8日 ロイター] - 中国税関当局が8日発表した7月の貿易統計は、輸出が前年同月比5.1%増、輸入が同10.9%増と、それぞれ市場の予想を上回った。貿易収支は178億ドルの黒字で、ロイターがまとめた市場予想272億ドルを下回った。 市場関係者のコメントは以下の通り。 ●輸出は外需の伸びを反映し安定 <ソシエテ・ジェネラル(香港)の中国エコノミスト、WEI YAO氏> 予想を上回る輸出の伸びは理解できる。非常にゆっくりとした外需の拡大を反映している。急回復というよりも安定だろう。 輸入の伸びについては、背景に何があるかを調査中だ。コモディティ価格が前年比ベースで上昇していることが一つの要因だと思う。 水増しによる拡大はかなりなくなったと思う。 ●輸出入は正常化、これまでの決済の遅れが影響か <みずほ証券アジア(香港)の中国担当チーフエコノミスト、Jianguang Shen氏> 中国の輸出入が回復したというよりは、正常化したと言える。5月と6月の政策の行き過ぎによる決済の遅れが、7月の数字に表れている可能性がある。 中国は貿易で年5%の伸びを達成できる。ただオフィシャルな目標である8%の達成は若干厳しい。もちろん、世界的にコモディティ価格が上昇すれば、達成はより容易になってくるだろう。 予想外の輸入の伸びは内需の持ち直しを必ずしも意味していない。これまでにその他の兆しがみられないからだ。世界的な石油価格の急上昇で、中国の輸入の急増を説明できる部分があるかもしれない。 ●内外の景気改善で上振れ <ANZ(上海)のエコノミスト、ZHOU HAO氏> 輸出入とも予想外の上振れとなった。国外の経済状況改善や中国政府の景気押し上げ策が奏功した。世界的な景気回復、とりわけ米国での心強い兆候は、下期の貿易拡大を支え、年間の貿易拡大目標8%の達成が可能になるだろう。 7月中国貿易統計、輸出は前年比+5.1%で予想上回る 2013年8月8日 第2四半期中国GDP、前年比+7.5%に鈍化:識者はこうみる 2013年7月15日 第2四半期の中国GDP伸び率、前年比+7.5%に鈍化 2013年7月15日 6月中国貿易統計、輸出入とも予想外のマイナス:識者はこうみる 2013年7月10日
日銀会合は政策据え置き、量的・質的緩和の効果見極め−景気判断維持 8月8日(ブルームバーグ):日本銀行は8日開いた金融政策決定会合で、政策方針の現状維持を全員一致で決定した。足元の景気についても「緩やかに回復しつつある」とした前月の判断を据え置いた。日銀は当面、4月に打ち出した量的・質的金融緩和を着実に進め、その効果を見極める構えだ。 会合では「マネタリーベースが年間約60兆−70兆円に相当するペースで増加するよう金融市場調節を行う」方針を据え置いた。資産の買い入れ額も、長期国債はじめ、指数連動型上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(J−REIT)、コマーシャル・ペーパー(CP)、社債などいずれも据え置いた。ブルームバーグ・ニュースがエコノミスト26人を対象に行った事前調査では、全員が現状維持を予想していた。 みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは結果発表前、「景気は緩やかに回復している。輸出が増え、設備投資も増える方向だ」とした上で、今回の金融政策決定会合について「日銀は戦力の逐次投入をしないことを確約しているので、今回も全員一致で現状維持だろう」と予想していた。 日銀が7月に示した今年度の生鮮食品を除く消費者物価(コアCPI)前年比見通し(委員の中央値)は0.6%上昇。6月のコアCPIは0.4%上昇と1年2カ月ぶりにプラスだった。食料(除く酒類)およびエネルギーを除く総合、いわゆるコアコアCPIは2月の0.9%低下から6月は0.2%低下へ急速にマイナス幅を縮小している。 年内の追加緩和予想 BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは当面の金融政策について「CPIの上昇が始まり、追加緩和の可能性は低下したように見える」としながらも、「インフレ期待が醸成されると長期金利が上昇圧力を受けるため、金利安定を目的に日銀はさらなる長期国債購入を迫られる可能性がある」と指摘。年内に追加緩和があると予想する。 大和総研の熊谷亮丸チーフエコノミストは「先行きの日銀の経済・物価見通しは下方修正含みだ」と指摘。最大のリスク要因は「中国における金融バブルの崩壊だ。中国では580兆円程度の過剰融資が存在すると見られる」と指摘。10月末の「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」発表以降のタイミングで「ETFを中心とするリスク資産買い取り増などの追加金融緩和策が視野に入る可能性」があるとみる。 もっとも、年内の追加緩和予想は少数派になりつつある。エコノミスト26人を対象とした調査では、追加緩和予想時期は年内が5人、来年1−3月が6人、消費税引き上げ後の来年4−6月が9人と最多となった。来年7月以降、ないし追加緩和なしとの回答は6人だった。 正念場は来年4−6月 SMBC日興証券の岩下真理債券ストラテジストは「異次元緩和決定から4カ月。その効果は株高、円安をもたらし、マインド改善が消費増加をもたらした。コアCPIもプラスに転じ、滑り出しは好調だ」と指摘。日銀は「よほどの大きなショックがない限り、2%の物価安定目標達成に向けた好循環シナリオを語り期待に働き掛けよう。正念場は、来年の春闘そして消費税引き上げ後の来年4−6月期だ」としている。 木内登英審議委員は前会合に続き、2%の物価安定目標の実現は「中長期的に目指す」とした上で、量的・質的金融緩和を「2年間程度の集中対応措置と位置付ける」提案を行ったが、8対1の反対多数で否決された。日銀は4月4日の会合で、2年程度を念頭に置いて物価目標をできるだけ早期に実現すると宣言。量的・質的金融緩和は物価目標を安定的に持続するために「必要な時点まで継続する」と表明した。 黒田東彦総裁は決定会合終了後、午後3時半に定例記者会見を行う。議事要旨は9月10日に公表される。決定会合や金融経済月報などの予定は日銀がウェブサイトで公表している。 記事に関する記者への問い合わせ先:東京 日高正裕 +81-3-3201-3564 mhidaka@bloomberg.net;東京 藤岡 徹 +81-3-3201-2158 tfujioka1@bloomberg.net 記事に関する記者への問い合わせ先:東京 日高正裕 mhidaka@bloomberg.net;東京 藤岡 徹 tfujioka1@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先:Paul Panckhurst ppanckhurst@bloomberg.net;大久保義人 yokubo1@bloomberg.net 更新日時: 2013/08/08 12:03 JST |