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[引用]http://okada.ldblog.jp/archives/31106266.html
2013.8.1 岡田高明の中国ビジネス最前線:日本経済新聞の「中国経済危機説」 は見事にはずれた
日本経済新聞が煽りに煽った「中国の7月危機説」は見事に外れました。
最近、日本の新聞は、中国経済を「経済が減速している」とか、「景気が後退している」とかいう言葉で表現しています。これは間違いで「経済成長の伸び率が鈍化している」というのが正しい表現です。これは、国家の成長過程において、ある意味当たり前の現象です。
「中国の7月危機説」の話の元となっている、ノンバンクや理財商品の話は、中国の経済を考える上で、実はあまり重要な話ではありません。それは、以前にも説明しましたように、中国の実体経済を動かしている中小企業や個人企業は、現金をベースに運営されているからです。
一方、私が現場感覚で中国の製造業を見るとき、大きな二つの問題があります。これらの問題のほうが、はるかに深刻です。今後、ボディーブローのように経済全体にダメージを与えますので、早く対策を講じる必要があります。
一つ目は、衣料品、情報家電品等の人海戦術に頼る製品の生産拠点が、どんどん中国から海外にシフトしていく中、残った産業は、大型家電と自動車ぐらいであり、これだけでは、中国の製造業を支えていくことはできません。
現実に、以前は家電関係の部品を生産していた中小企業の多くが、自動車部品にシフトしようと血眼になっています。中国は懐が大きいので、大型家電にしても自動車にしてもまだまだ需要がありますが、いずれは伸びが鈍化する時期が来ます。その時に、大型家電や自動車以外に新しい産業が育っているかどうかです。残念ながら現時点ではまだ見えません。
二つ目は、生産技術の問題です。ここで言う生産技術とは、世界の舞台で競争に打ち勝つレベルの技術力、すなわち技術競争力のことです。中国人は、一般的に品質がいいものは値段が高いと思っています。私は、若い頃からずっと製品開発の仕事に携ってきましたが、製品の品質レベルを上げると、不思議にも原価が安くなることを何度も経験しました。実は日本の技術がすばらしいのはそういう部分にあります。
少し専門的になりますが、実例をあげますと、私が若い頃ある製品で、一般の鉄とステンレスとをくっ付けるのにロウ付けという技術をつかってくっつけていました。鉄とステンレスとの間に銅片を挟み高温で溶かす方法です。銅が鉄にもステンレスにもなじむ性質を応用したものです。ところがこの方法ですと非常に高温にするのでずれたり変形したりで精度が出ません。後加工が必要でコスト高になります。私は悩んだ末、アメリカの航空機に使っていた部品がTIG溶接という新しい技術を使っていることを知り、その機械を導入し試してみました。すると抜群の精度でくっつき後加工の必要もありません。結局、製造コストが以前の1/2になりました。ちなみに、TIG溶接は、金属どうしを密着させ、非常に低いエネルギーで溶接する技術です。
実は、自動車部品には、こういった、技術の高さにより高品質と低コストを同時に実現している部品がたくさんあります。これが日本のお家芸です。
残念ながら、今の中国は、このような壁を乗り越える技術がまだまだ不足しています。
結局、この大きな二つの問題を解決するには、日本をはじめとする、外国の力が必要です。そういう意味で、中国の製造業は完全に新たな段階に入っています。
現在、中国の経済の伸び率が鈍化していることの本質は、決して理財商品ではありません。
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