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TPP交渉は今月22日からブルネイでまた会合が開かれる。これに向け、鶴岡公二首席交渉官を筆頭に政府の交渉担当者ら100人が休日返上で1泊2日の合宿を行った。これを新聞・テレビは「官僚たちの夏」(城山三郎の小説)に例えて伝えていたが、笑ってしまう。TPPで日本の出遅れは決定的。泥縄の合宿なんて、一夜漬けの試験勉強みたいなもので、褒められたもんじゃないからだ。
合宿は、埼玉県入間市の公務員研修所で今月4〜5日に行われ、来週13〜15日にも2回目を行う予定だ。「市場アクセス」「投資」「サービス」「政府調達」など分野ごとに、それぞれの交渉官と外務や経産、農水など各省の関係者が一堂に会し、先月のマレーシア会合で初めて目にした1000ページ近くに及ぶ協定の原案文書を漏れがないよう“解読”する。政府のTPP対策本部は「これが主目的」と説明するが、交渉戦略を練るならまだしも、ズラリ顔をつき合わせて文書を読むしかないなんて、絶望的な気分になってくる。
しかも、合宿のもうひとつの目的は「寝食を共にし、交渉団としての一体感を醸成する」ことだというからア然とする。激励に訪れた甘利担当大臣は直立姿勢の官僚を前に「同じ釜の飯を食って国益を踏まえて団結し……」と挨拶していた。この前時代的な精神論は何なのだ? 同じ釜の飯を食えば交渉が有利になるのか。戦前の軍隊というか、体育会の夏合宿じゃないのである。
◆日本は「ぼったくりバー」のカモ
精神論しか飛ばせないのは、この先もTPP交渉で日本政府は何もできないことの裏返しだ。これまで3度のTPP交渉会合で、国際NGOの一員として情報収集に参加したアジア太平洋資料センター(PARC)事務局長の内田聖子氏がこう言う。
「途中から参加したメキシコやカナダが『これまでの交渉は後から覆せない』という文面にサインしていることが明らかになったように、後から参加する国へのギャップはものすごい。『日本は今から入ってどうするの』と世界で笑いものになっています。マレーシア会合の後、日本の交渉団は『他の国は温かく迎えてくれた』と言っていましたが、TPPは米国が運営する“ぼったくりバー”です。遅れて参加した日本は『カモ』になるので歓迎しているのです」
TPP交渉の行方を不安がっている業界団体向けに政府は5日、説明会を開いたが、「守秘義務」を理由に交渉経過や具体的な内容は明かさなかった。その一方で「農産品は大丈夫」と楽観論ばかり強調するから、この説明会にも出席した内田氏は驚いたという。
「説明会で政府の担当者は、『急いでテキスト(原案文書)を読んだけれど、日本に打撃のあるものはなかった』と言っていました。守秘義務があるからと情報は知らされないのに、大丈夫だと言われても納得できません」
政府が本当のことを言えるわけがない。「聖域を死守」なんて掛け声だけなのだ。重要農産品5項目といわれる米、小麦、牛肉・豚肉、乳製品、砂糖は細かく分けると586品目になり、このすべてを関税撤廃の対象から外すと日本の貿易自由化率は93・5%になる。TPPの当初の基本協定は自由化率99%だから、重要5項目のすべてを守ることはハナから不可能。
そんなことは百も承知で政府はウソをついている。詐欺師みたいなもんなのだ。
◆地方は衰退、都会はスラム化、日本の光景が一変
TPPに参加したら日本はどうなってしまうのか。
官僚の合宿を持ち上げる大新聞やテレビは、TPPの真実を伝えないが、この国は間違いなく、地方から都会までズタズタ、ボロボロになってしまう。
「TPPで暮らしはどうなる?」(岩波ブックレット)の執筆者のひとり、東大教授の鈴木宣弘氏(農政)はこう言う。
「問題は農産品5項目に限りません。例えば、『学校給食に地元の食材を使おう』という産業振興策に自治体が予算を付けたら、『競争を歪める』とISD条項に引っかかる可能性がある。日本独自の政策がTPPのためにやれなくなってしまうのです。ISD条項は日本の憲法や法律よりも、優先される。つまり、日本の主権はなくなってしまうのです。また、製薬会社は安いジェネリック薬品を苦々しく思っているので、特許期間を長くする。安い薬が使えなくなれば、命もカネ次第になる。保険会社はボロ儲けするでしょうが、人の命や健康は軽視されてしまう。海外直接投資の自由化も大問題で、日本の雇用は空洞化する。我々の試算では、TPP参加でプラスになるのは自動車や電子機器、機械などごく一部の産業だけです。1次、2次、サービス産業までが衰退して地方に人が住めなくなる。一方、都市部は人口が集中しすぎてスラム化する。日本の光景が一変してしまうのです」
◆TPPの本質は米国企業のためのルール作り
TPPは誰のため、何のためのものなのか。なぜ割を食うのが分かっているのに参加するのか。
米保険大手アフラックと業務提携を強化した日本郵政は、がん保険へ参入することを断念し、アフラックの“出先機関”になる。きょう(7日)からTPPに関連して日米2国間協議が始まるが、そこで米国は「日本の自動車の騒音規制の緩和や性能基準の見直し」「国外に書類などを運ぶ輸送サービス(急送便)の手続き緩和」といった要求を突きつけるという。前者はGMやフォードなど自動車会社のため、後者は国際航空貨物輸送を手がけるフェデックスなどのためだ。米国の国益というより米企業の利益のための交渉なのである。
「TPP交渉は国同士の話し合いの形をとっていますから、国益のぶつかり合いのように見えますが、本質は米国企業のための共通ルール作りです。米国はグローバル企業のセールスマンとなり、政治力を使って商談をしているようなものです」(立教大教授・郭洋春氏=経済学)
米国の農業担当の首席交渉官は遺伝子組み換え食品に力を入れるモンサント社のロビイストだったし、米国では600社の企業関係者が政府と守秘義務契約を結び、アドバイザーとしてマル秘扱いのTPPの条文を読める立場になっている。これが現実だ。
だとすれば、TPPのふざけた本質が見えてくるというものだ。TPPでは1%のグローバル企業が儲け、99%の庶民は身ぐるみ剥がされる。日本はグローバル企業の草刈り場と化し、経済・産業は完全にヘタってしまう。日本政府はもちろんそれを分かっていながら真相を語らない。米国追従だからである。売国奴政府に日本を売られたらかなわない。
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