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［引用］http://okada.ldblog.jp/archives/27761013.html
2013.5.10 岡田高明の中国ビジネス最前線：中国における中小企業の社長たち
私は主に中国の中小企業を相手に、新規事業化のサポート、顧客の開拓、製造技術のサポート等々を行っています。したがって、ほとんど中小企業の社長さんたちといっしょに仕事をしています。
そして彼らのほとんどが３７、８歳から５０歳までの年齢で、他の世代には無い大きな特徴があります。彼らはそのことを語ろうとはしませんが、１９７０年前後に幼少期を過ごした人たちです。幼少期のころ、彼らは両親とともに強制的に地方に送られ、農業や土木に従事し、毎日毎日を死ぬような思いで過ごしたと言われています。
人の脳は幼少期にほとんど形成されると言われていますが、この時期にまったく勉強どころではなかったわけですから、後の生活に影響が無いはずがありません。
まず、良い面から紹介しますと、何事にも動じず、打たれ強いという特徴があります。何人かに聞きましたが、倒産なんて怖くない。仕事が無くなったら田舎に帰る。田舎に帰れば、米も野菜もあるし、牛や豚や犬や鶏など肉類も山ほどある、と開き直っています。日本人が追い詰められて自殺するのと大違いです。
さて、反対に良くない面です。これが中国の将来にとって大問題です。今までは中国の高度成長期とともに何をやってもそこそこやっていける状態でしたが、このところ急激に経営が厳しくなってきました。現在彼らがやっている事業は、そこそこの設備があり、そこそこの技能を保有した従業員がいれば、そこそこ成功したわけですが、今は他社に勝てる技術力なり、アイデアなりがなければ生き残っていけません。やる気と根性だけでは生き残れなくなってきました。もちろん、彼らはそのことを十分に認識していますので、最近彼らが私に頼ってくる内容はそのようなものばかりです。
ところが、上で紹介しましたように基礎的な能力が劣っていますので、応用力も無ければ創造力もありません。せいぜい自分の小さな小さな経験や知識で精いっぱい考える以外にありません。そこの穴埋めをするのが私の仕事であり価値でもあるのですが、物事はそう簡単にはいきません。なぜかと言いますと、彼らは基本的に現物とか現在の状況しか理解できません。物事を想像してみたり、将来起こりうることを予測するようなことはほとんどできません。したがっていくらいい話を持ち込んでも、それに投資する決断ができないわけです。
私は、この難問に毎日毎日挑戦しています。
いままで述べましたことは多分に概念的ですが、実際にあった面白い話をしましょう。
今年の始めごろ、ある社長が私のところに鉄の箱を持ってきて、これで商売したいが日本で売れないかというわけです。見ると、縦、横、高さがそれぞれ２０ｃｍぐらいの鉄製の箱です。非常に重く、箱の横にはハンドルが付いており、その反対側にはスイッチのようなものと豆電球がついていました。見たことも無いので、これは何ですかと聞くと、彼は得意げにハンドルを回し始めました。しばらく回し終わった後、彼は反対側のスイッチをいれました。そうすると、豆電球が点灯しました。私はとっさに「アー、発電機ですか」というと彼は即座に首を横に振り、「この電球は１日中点いている」と自慢そうに話しました。「アー、蓄電器も入っているんですね」と言いましたが、私も技術屋ですから興味を持ち、蓋を開けてもらいました。なんと「ぜんまい時計」のお化けでした。ちょっと考えれば今時使いものにならないことは明らかですが、彼は真剣でした。私は笑いを懸命に我慢し「日本で商売になるかどうかは検討してみます」と答え、別の話題に移しました。
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