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http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130807-01051281-trendy-prod
日経トレンディネット 8月7日(水)15時58分配信
NECは2013年7月31日、グループ会社であるNECカシオモバイルコミュニケーションズ(以下NECカシオ)の携帯電話端末事業を見直し、スマートフォンの新規開発を中止すると発表した。長年日本の携帯電話端末市場をリードしてきた同社がスマホからの撤退に至るにはどのような要因があったのだろうか。
噂が現実となったスマートフォン事業からの撤退
NECカシオがスマートフォンの開発から撤退するという噂は以前からさまざまなメディアで伝えられてきたが、それが現実のものとなった。
NECの発表を基にその内容をまとめてみると、NECカシオは7月31日をもってスマートフォンの新規開発を中止、現在販売中の機種を最後に、生産と販売も終了するとしている。一方で、スマートフォンの保守は継続するほか、埼玉日本電気が手掛けるフィーチャーフォンの開発及び生産は継続するとのこと。またタブレットに関しては、NEC本体が手掛けているものもあり、こちらは継続されるようだ。
スマートフォンから撤退する要因として同社は「スケールメリット」を上げている。スマートフォンへのシフトで急速に市場が変化する中、シェア獲得が順調に進まず、出荷台数が減少傾向にあり、業績改善の見通しが立たないことから、撤退という決断に至ったようだ。
一方でNECは、経営資源を社会ソリューション事業、すなわち企業向けのシステム開発や、ICTインフラ事業などB2Bの分野に経営資源を集中するとしている。NECカシオの従業員も順次、社会ソリューション事業に再配置されるとのことだ。
NECは既にパソコン事業においてもレノボと合弁会社を設立するなど、その比重を弱めている。スマートフォンにおいては、レノボとの交渉が進まず撤退に至ったという報道もあるようだが、いずれにせよ収益性が落ちているハード事業からB2Bの分野へと軸足を移し、収益を高めようというNEC全体の戦略が、今回の決定には大きく影響しているようだ。
スマートフォンへの参入は遅くなかったNECカシオ
とはいうもののNECカシオは、かつて“折り畳みのN”として絶大な人気を博し、かつては国内トップシェアを誇ったNECの携帯電話事業、そして「G'z One」シリーズなど強い個性を持つ端末を多く提供してきたカシオ日立モバイルコミュニケーションズの系譜を継いでいる企業だ。それだけに、今回の撤退劇は大きな衝撃を与えるものであることに間違いはない。
同社がスマートフォン事業からの撤退に至ったのは、先に触れた通りスマートフォンでのシェアを順調に拡大できず、ここ数年で国内シェアを落とし続けたことが大きいだろう。とはいうものの、NECカシオのスマートフォン参入は、実は国内メーカーとして見れば遅い訳ではない。
同社がスマートフォンを市場に投入したのは、NTTドコモの2011年春モデルの1機種となった「MEDIAS N-04C」が初である。この機種は、当時世界最薄をうたった7.7mmの薄さを実現し、それでいてワンセグやFeliCa、赤外線などにも対応する高機能ぶりが高い注目を集めた。その後もLTE対応の「MEDIAS LTE N-04D」など高性能モデルから、「G'zOne IS11CA」などのタフネスモデルに至るまで、多彩なスマートフォンを投入している。
にもかかわらず、同社はスマートフォン市場でシェアを落とし続けることとなった。その要因はどこにあったのだろうか。
シェアを落とし、撤退に至った要因とは!?
大きな要因として考えられるのは、これは多くの国内メーカーに共通して言えることなのだが、“操作性が悪い”“本体が熱くなりやすい”“バッテリーの持ちが良くない”など、提供した端末の満足度が低く、ユーザーから支持を得られなかったことが大きいと見られる。そしてその背景にあるのが、Androidスマートフォンの開発経験の差だ。
Androidスマートフォン市場開拓が本格化した2010年から2012年前半頃までは、Androidが発展途上期にあったため、実装の仕方によって使い勝手や性能にばらつきがあった。海外メーカーがGoogleとの太いパイプや、豊富な開発経験でその問題をクリアし、使い勝手の良さを実現。一方、そうした強みを持たないNECカシオをはじめとした多くの国内メーカーが、Androidの実装に苦労することとなった。結果、国内メーカー製の端末が評判を落とし、シェアを落とすことにもつながったのである。
ただ、昨年頃からようやくAndroidの進化が落ち着きを見せ、国内メーカーもAndroidの実装に慣れてきたことから、使い勝手にそん色ないものが増えるようになった。それゆえNECカシオも、2画面ディスプレイを採用した「MEDIAS W N-05E」のように、自社のノウハウを活かした先進性のある端末を提供するなど、再び存在感を発揮するようになってきていたのだ。
だが、そうした国内メーカーの復活途上に起きたのが、NTTドコモの“ツートップ戦略”である。特定の機種のみに販売リソースを絞る同社の戦略が、結果としてNTTドコモを主要取引先としていたNECカシオの端末販売動向に、大きな影響を与えることとなった。販売シェアが落ち込んでいたところに、ツートップ戦略が駄目押しをした形で、撤退という判断に至ったといえそうだ。
“国内に閉じこもっていた”のが敗因なのか!?
ただ、今回の撤退を受けて「NECカシオは国内市場に閉じこもっていたのが敗因」という声が聞こえてくるのには、やや違和感を覚える。NECはフィーチャーフォン全盛の2002年に、大規模なリソースを投入して中国市場へ積極進出をするなど、海外進出を積極化させていたこともある。結果としてこの取り組みは失敗に終わっているが、海外に向けて攻めの姿勢をとっていなかった訳ではない。
一方カシオ日立としては、以前より自社の個性を活かして米国や韓国などに向けて端末を供給するなど、目立たないながらも海外戦略を進めていた。この取り組みはNECカシオ以降も継続しており、タフネススマートフォンを中心に米国で一定の立ち位置を確保するに至っている。
さらに最近では、東南アジアや南米へスマートフォンを投入し、販路拡大の可能性を探っているという状況であった。海外進出を再び本格化させるべく足掛かりを作ろうとしていた矢先に、NTTドコモの戦略変更によって軸となる国内の足場も失ってしまったというのが、真実ではないかと思う。
NECカシオの撤退により、スマートフォンを手掛ける国内のメーカーは、ソニーモバイルコミュニケーションズ、富士通、シャープ、京セラ、パナソニックの5陣営に絞られることとなった。日本のキャリア各社が海外メーカーを優遇するなど非常に厳しい環境にあるのは間違いないが、一方で各社ともスマートフォンの開発に慣れてきており、高い評価を得る端末も増えていると感じる。
それだけに今後は、自社の体力が失われる前に、2年間で失われたユーザーやキャリアからの信頼をどう回復していくかが、特に国内を主軸とするメーカーにとっては大きな勝負となってくるだろう。厳しい状況が続くが、各社の取り組みに期待したいところだ。
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