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(日刊ゲンダイ2013/8/6)
これは国家的詐欺ではないのか。
きのう(5日)、政府の社会保障制度改革国民会議が「最終報告」をまとめた。そこには国民に痛みを強いるメニューがズラリだ。
70〜74歳の自己負担額を1割から2割に戻し、高額医療の限度額も引き上げる。要介護度が比較的低い「要支援1、2」を介護保険の対象から切り離す。年金の支給額を減らし、支給開始年齢の引き上げも検討する……。
国民会議は、この報告書を6日に安倍首相に提出。政府は21日に閣議決定して、秋の臨時国会に法案を提出する運びだ。
国民が何も知らされないうちに、いつの間にか外堀が埋められ、負担増とカットが決められていた。まさしく詐欺、ダマシ討ちというしかない。
社会保障改革について、自民党は参院選の公約で「国民会議の審議の結果などを踏まえて、必要な見直しを行う」と曖昧な表現にとどめていた。安倍が遊説で負担の具体的中身に触れることもなかった。そもそも、社会保障改革は消費税増税とセットだったはずだ。つまり、増税の前提条件だったのである。法大教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。
「国も身を切る改革を断行し、増税分は社会保障に充てられる。そういう触れ込みだったから、国民も消費税アップを容認したのです。それなのに、バラバラに切り離され、増税だけが先に決まってしまった。議員定数削減は一向に進まず、公務員制度改革も完全に忘れ去られている。一方で社会保障は給付減、自己負担増の話ばかり。やらずブッタクリもいいところです。こうなることは分かっていたとはいえ、あまりに詐欺的な手法です」
◆有識者会議で憲法すらなし崩しに
かと思えば、安倍の私的諮問機関である「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」も6日、集団的自衛権の行使容認を首相に提言するという。これは年末の防衛大綱に反映される見通しだ。
「安倍政権は、内閣法制局長官にも集団的自衛権の行使容認派を据え、なし崩しの9条改正を行おうとしている。今の憲法のままで、戦争ができる国にしてしまおうというのです。まさに、ワイマール憲法を死文化させたヒトラーの手法そのものですよ。国会を無力化し、国民的な議論もすっ飛ばして、重要な国策を息のかかった法制局の一官僚の判断に任せてしまう。国民無視、国会無視の暴挙です」(政治評論家・森田実氏)
国民生活にとって重要なことが、国会の議論も経ず、いつの間にか、ワケのわからない有識者会議で決まっていく。憲法ですらなし崩しになってしまう。これは恐ろしいことだ。
「こうした会議は、これまでの政府でもありました。政府にとって都合のいい有識者を選び、世論工作のために、第三者の中立的な議論を装って答申を出させ、決めてしまう。それでも、衆参がねじれている間は、国会審議というハードルがあったので、やりたい放題はできなかった。
しかし、今は与党が衆参を圧倒しているから、国会のチェック機能は働かない。右から左に法案は成立し、国民はお上の命令に従わざるを得なくなるのです」(五十嵐仁氏=前出)
この臨時国会は審議もなく、7日に閉じてしまう。10月まで国会は開かれない。その間にも、ナンチャラ会議で次々と勝手に話が進んでしまう。答申が出れば閣議決定、法案提出、数の力で自動成立という流れだ。国会の存在価値はゼロ。もはや日本は民主主義国家ではなくなってしまった。
◆暴走政権は次々に庶民に負担増を押しつける
参院選後、やりたい放題が始まった安倍独裁政権の暴走を許したら、庶民生活はどうなってしまうのか。
今回の社会保障制度改革で、高齢者の医療費は1人当たり、年4万5000円から7万4000円に大幅アップすると試算されている。年金受給開始年齢も2〜3年に1歳ずつ引き上げる方針で、そうなると、何年経っても受け取れない人が出てくる。
「この先、一般家庭は大変ですよ。要介護度が低いお年寄りを介護保険の対象から切り離すのも、要するに『家族で面倒を見なさい』ということ。成長戦略では女性の活用といいながら、女性を親の介護のために家庭に押し込めるようなことを平気でやるのが安倍政権です。
ここ数年で定率減税も扶養控除も廃止になり、子ども手当も減額された。その間、ずっと給料は減り続け、この先も増える見込みはない。
そこへ消費税増税、食料品の値上がり、電気代、ガソリン代の高騰が重なり、社会保険料や介護保険料もどんどん上がっていく。
高齢者の自助負担を増やせば、その分、経済が回らなくなります。日本人の貯蓄の6割を占める高齢者がお金を使わなくなれば、景気回復どころか、ますます内需は冷え込んでしまいます」(経済ジャーナリスト・荻原博子氏)
景気が悪くなれば、税収が落ち込む。しかし、自民党は10年で200兆円の公共事業をバラまくと言っている。どうするかといえば、さらに消費税を上げる。社会保障も削る。こういう話に必ずなる。負担増はまだ序の口ということだ。
◆戦前の御前会議と手法は同じ
参院選で安倍自民が圧勝した直後、ある財務省幹部がこんなことを言っていた。
「1000兆円という国の借金を考えたら、消費税10%なんて焼け石に水。将来的に30%まで上げないと財政が持たない。
年金の受給年齢もいずれは75歳くらいまで引き上げざるを得ない。決めるには、自民党政権が圧倒的な数の力を持っているうちが最大のチャンス。これを逃してはいけない」
霞が関の役人は、国民生活のことなんて、これっぽっちも考えていないことが分かる。年金制度なんて破綻寸前なのに、どうすれば制度を維持できるかに腐心し、そのために政治を動かそうと企んでいる。その隠れみのが有識者会議だ。
「役人にとっても、諮問会議や国民会議、審議会ほど都合のいいものはない。戦前の御前会議と同じです。
国会審議などの民主的な手段を経ずに、官僚の舞台回しで国策が決まっていくことになるのです」(森田実氏=前出)
産業競争力会議や規制改革会議なども同じだ。政官財がツルみ、庶民から搾り取るだけ搾り取る。それが自民党政治で、会議は大企業優遇のための仕掛けである。
正社員を限定し、解雇の規制を緩和し、大企業の成長戦略だけを考える。おそらく、格差はますます拡大し、たった1%のグローバル企業と99%の貧者という社会になっていく。国民の不満はナショナリズムを鼓舞して打ち消していく。あの嫌な時代の再来ではないか。
つくづく、この国は最悪の選択をしてしまった。今さら嘆いても遅いのだが……。
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