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バーナンキ発言の読み解き方
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/36559
2013年08月04日(日) ドクターZ :週刊現代
FRB(米連邦準備理事会)のバーナンキ発言、FOMC(連邦公開市場委員会)の議事録などが出るたびに、市場関係者が慌てふためき、マーケットが大きく揺れ動く。9月に緩和縮小が始まる、いやまだ先になりそうだ・・・・・・。そんな予測や憶測が飛び交い、株価や為替が翻弄される。それほどに注目されるFRB、FOMCの動きについて、われわれは何に注目して見ればいいのか。
初めに確認しておきたいのは、金融政策は金融市場のみならず実体経済にも影響を及ぼす。つまり、強力な威力を持つということ。2年後のインフレ率、賃金上昇率、失業率、名目GDP成長率までを9割方決めてしまうのが金融政策である。そんな馬鹿なと思うかもしれないが、過去のデータから見ればこれは厳然たる事実である。
アメリカのFRB議長ともなれば、世界経済を左右する人物といっても過言ではない。その一挙手一投足がそれだけでニュースになるのは当然。だから、経済の先を読んで儲けようとする金融市場関係者が血眼になって、中央銀行関係者に接触したがるのである。
ただ、われわれにとって重要なのは、「中央銀行ウォッチャー」などと称する金融市場関係者の意見はまともに聞かないほうが得策だということだ。理屈は簡単で、金融市場関係者が「当局はこう言っている」と話す内容は、自己ポジションに有利なようなマーケット・トークばかりだからだ。
良い悪いの話ではない。金融市場関係者は儲けるプロなのだからマーケット・トークをするのは当然だろう。中央銀行も金融市場関係者が何を言おうと、反論をしない。むしろ、「何も言えない」というのが正しい。それをいいことに、金融市場関係者は言いたい放題になる構図だ。
金融市場関係者は中央銀行当局の話を曲解してでも、マーケット・トークを広げようとする。それは彼らの仕事の一つ≠ナあるともいえる。金融市場関係者とはそんなものだと理解しておいたほうがいい。
実際、ここ最近はバーナンキ議長の金融緩和に対するスタンスが変節≠オているなどという発言をよく聞くが、実態はどうか。FRBの目標はインフレ率2%、失業率6・5%。一方で5月のインフレ率はコアで1・7%、同失業率は7・6%だから、当分は金融緩和をするのが当たり前といえる。
FRBのホームページに掲載されているバランスシート(BS)の図を見ると、BSの規模は2011年6月頃から昨年11月頃までは2兆8500億ドル程度であったが、その後に急増してこの7月には3兆4900億ドル程度となっている。つまり、バーナンキはどこも変節≠オていない。
FRBの動きと、巷で流布される「発言内容」がいかに乖離しているかがわかるだろう。最近のFRBの金融政策について、客観的なデータを示さない意見は敬遠したほうがいい。FRBの発表するデータは嘘をつかないが、それを金融市場関係者が解釈すると嘘になることがしばしばである。
こうした内容を報じるマスコミにも気を付けたほうがいい。マーケットに「一つの意見」はありえず、必ず反対の意見があるのだが、マスコミで報じられるのはそうした意見のごく一部だけである。
金融業界は口八丁の世界だ。「人を騙して儲けるのに良心の呵責がある」といって金融業界を辞める人は後を絶たない。口で言うなら何でもありと心して、市場関係者の話を聞くぐらいでいいだろう。
『週刊現代』2013年8月10日号より
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