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一見、華やかそうなアッパー・ミドルの生活であるが、内情は火の車というのが実態だ。実はいま私たちが真に学ぶべき生活設計の知恵は、ロウアー・ミドルの生活のなかにある。
注目したいのが、手取り年収300万〜500万円前後のロウアー・ミドル(中位低所得者層)の“スーパー節約術”である。手取り年収がわずか400万円なのにもかかわらず、毎年着実に200万円も貯蓄している夫婦が何組もいたりする。
たとえば30代で子供が1人というケースでは、月の生活費が約13万円に住宅ローンの返済が約4万円。確かに200万円近く貯蓄に回せる計算である。ちなみに食費は2万〜3万円程度。3000万円の物件の購入で組んだ住宅ローンも、貯蓄から1500万円ほど頭金に回しているので、余裕を持って返済できる金額に収まっている。
毎月40万円も生活費にあてているプチ高所得者とはまさに大違い。「これだけの支出でよく生活していけますね。どう節約の技術の限界にチャレンジしているのですか」と称賛の意味を込めて尋ねた。すると「これで支出が少ないって一体どういうことでしょう。もっと切り詰められないかと思って相談にきたのに……」と切り返され、たじろいでしまったことがある。
そんな彼らの食費の面での節約術から見ていくと、レシピの工夫や改善がすごい。たとえばロールキャベツの具材ですぐ思い浮かぶのは牛肉や豚肉。しかし、彼らは肉の代わりにもやしを使う。もやしの値段は100グラム当たり16円程度で、肉と比べたら10分の1以下。それにもやしには、たんぱく質、カロチン、ビタミンCなどの栄養素がバランスよく含まれているうえに、カロリーが低い。だから家計にも健康にも優しい。
安くて栄養満点の「もやし」と「バナナ」の消費が爆発
実は面白いことに、このもやしの1世帯当たりの購入量が増えているのだ。図4に見るように09年は05年と比べて22.3%増の6.74キログラム。確かに価格が安値で安定していることも手に取りやすくさせているのだろう。さらに栄養豊富で安価な果物の代表がバナナであるが、やはりこちらも同22.9%増の23.0キログラムへ急増している。「もやし消費」「バナナ消費」を志向する賢い節約家族が増えていることを示すデータと捉えられそうだ。
また、大根を買うときは葉っぱを切り落とさずに、まるごと1本買ってくる。葉っぱはお浸しにして、硬い青首のところは大根おろしにする。また、残りは皮を剥いておでんなどの煮込みの具として使う。ここまではどの家庭でも行っている。ところが彼らは、剥いて残っていた皮をニンジンなどと炒めてキンピラ風にしたりして食べ切ってしまう。「皮には実の部分よりもビタミンCが多く含まれています。捨てたらもったいないでしょう」と当たり前のように話す。
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