02. 2013年8月02日 19:43:02
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日銀がマネタリーベースを毎日公表、透明性確保が狙い 2013年 08月 2日 13:57 JST [東京 2日 ロイター] - 日銀は現金と金融機関が日銀に預ける当座預金残高の合計であるマネタリーベース(資金供給量)を1日から毎日公表し始めた。4月に開始した「異次元緩和」で緩和度合いの目安を従来の金利からマネタリーベースに変更したのに伴い、これまで月1回だった公表頻度を高めた。マネタリーベースは日々の変動が大きいため、こまめに公表した方が緩和姿勢に対する不要な誤解を生まないとの判断もあったもよう。 異次元緩和は2%の物価上昇率を2年で達成するためにマネタリーベースを2倍にすることで、人々のインフレ期待を高める政策。巨額の国債購入などを通じて、3月末には146兆円だったマネタリーベースを、2013年末に200兆円、14年末に270兆円まで引き上げるのが目標だ。このため日々のマネタリーベースに関する問い合わせが増えたことに伴い、公表頻度を高めた。 1日に公表したマネタリーベースの7月31日の残高は173兆3100億円となり、直近で判明している6月末の173兆1250億円を上回って過去最高を更新した。 マネタリーベースの内訳の半分を占める当座預金残高は、財政資金や現金の動きで日々大きく振れるため、マネタリーベースも変動する。8月1日実績も173兆2100億円と前日比で減少に転じている。これまでは短期的な減少が緩和姿勢の後退と誤解されることもあり、毎日公表することで常に変動が大きいことが広く認知されれば誤解が解けるとの狙いもあったようだ。 なお、日銀は現在マネタリーベースを、「本年末の200兆円に向けて、幾分早めのペースで積み上げている」(黒田東彦総裁、7月29日講演)。6月は国債の大量償還などで季節的に増えるほか、4月と5月の金利急変時に日銀が多額の資金供給を行ったためだ。月平均で4月から7月までは毎月6.75兆円のペースで増加。8月以降は月5.4兆円増のペースで年末200兆円の目標を達成できる計算だ。 (ロイターニュース 竹本 能文 編集;佐々木美和)
コラム:設備投資依存が招く「実感なき景気回復」=唐鎌大輔氏 2013年 08月 2日 16:43 JST 唐鎌大輔 みずほ銀行 マーケット・エコノミスト(2013年8月2日)
自公連立与党の圧勝に終わった参議院選挙を経て、市場の関心は「その結果、何ができるか」に移った。特に堅調な日本株市場をけん引する海外勢と話すと、そのムードはことさら強いように感じる。 6月14日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」には、「民間設備投資や研究開発投資の拡大、事業再編・事業組換えを促進し、産業の新陳代謝を進める」との表現が盛り込まれた。安倍晋三首相はその後、設備投資を促す減税措置について前倒しで議論する考えを示しており、今秋公表といわれる成長戦略第2弾では解雇規制の緩和や混合診療の解禁などと共に、設備投資サポート策が注目点となりそうである。 だが、本当に設備投資拡大が日本経済にとって喫緊の課題なのかは議論の余地がある。 先に結論を述べると、重要なことは設備投資が「足らないこと」ではなく「儲からないこと」ではないかと思われる。それは煎じ詰めれば、日本の潜在成長率が落ち込む状況にあって有望な投資機会が存在しないからということになる。 「失われた20年」において超低金利を常態化させても設備投資が盛り上がらなかった事実は、調達コスト(金利)の高低が投資行動の制約ではないことの証左だ。減税措置などコスト面でのサポートを強化しても設備投資の抑制ムードが打開されるとは限らないだろう。また、仮に様々な政策サポートを与えた上で、設備投資が盛り上がったとしても、それが本当に良いことなのかどうかは別の問題だ。 そもそも、日本の設備投資残高(以下、資本ストック)の水準感は、十分に高い。資本ストックを名目国内総生産(GDP)で除した資本係数は1990年代後半から伸びが鈍化し、2000年代に入り横這い感が強まったが、円安バブルと呼ばれた2005―07年に日本企業が設備投資のアクセルを踏んだことで資本係数が一段と持ち上げられた経緯がある。 しかし、そうした資本ストックから生み出される収益は確実に減っており、収益性の劣化は鮮明である。05―07年は減価償却を上回る設備投資が出たが、本来はコストの安い海外で担うべき製造工程が国内に回帰し、バブル崩壊に伴う円高と共に一気に重荷と化したとの指摘は多い。 これから安倍政権がやろうとしていることは円安相場を前提として、設備投資に対する各種政策サポートを加えることで資本係数を引き上げようとする試みだが、収益性が伴わない投資で資産価格が釣り上がることをバブルと呼ぶのである。 <「何によってGDPを引き上げたか」が大事> 設備投資拡大にこだわることの問題点を、別の視点から説明しよう。いうまでもないが、資本係数の上昇に賭けるような経済成長は、個人消費ではなく設備投資で成長をけん引しようとするものである。 日本の実質GDPのうち、個人消費が61%、設備投資が13%であることを踏まえると(13年1―3月期時点)、設備投資で成長をけん引するにせよ、その後の雇用・賃金環境への円滑な波及がなければ、個人消費は停滞したままであり、景気全体が浮揚するのは難しい。 「実感なき景気回復」と呼ばれた「戦後最長の景気回復」は、正確には02年1月から07年10月までの69カ月間を指すが、この間に実質GDPは約49兆円拡大した。この49兆円がどのように実体経済に分配されたかを見ると、民間最終消費(いわゆる個人消費)に約17兆円、民間設備投資に約15兆円、純輸出(輸出−輸入)に約20兆円といったイメージだ(民間住宅投資、民間在庫投資、政府部門の消費・投資などはここでは割愛する)。 こうした増分だけに着目すると家計部門(個人消費)と企業部門(設備投資)が受けた恩恵は互角に見えるが、経済の約6割を占める個人消費が、約1割に過ぎない設備投資と同程度の額しか恩恵に与れなかったという事実は看過しかねる。このように、需要項目別の付加価値分配に目を向けるだけでも、「実感なき景気回復」と呼ばれた理由が分かるのではないかと思われる。 要するに、大事なことは「GDPを引き上げること」ではなく、「何によってGDPを引き上げたか」なのである。 <高く仕入れ、安く売っても豊かにはなれない> では、今回の景気回復も同様の構図に陥るリスクはないのだろうか。 「戦後最長の景気回復」局面で起きていたことを簡単におさらいすると、円安で競争的(安価)な価格設定が可能になったことを受けて輸出数量が増加し(今年6月時点はまだそれすら明確に実現されていないが)、それに伴い生産も上向き、結果的に国内で設備投資が増えたが、上述したように、安価な製品を販売しているため積み上がった資本ストックの収益率は決して高いものにはならなかった。 一方、鉱物性燃料を中心とする輸入物価は円安により確実に上昇し、その結果、交易条件(輸出物価/輸入物価)は悪化した。交易条件とは「1単位を輸出することで、何単位輸入できるか」を表す概念であり、「輸入財で測った輸出財1単位の価値」ともいえる。 交易条件が改善(上昇)した分を交易利得、悪化(下落)した分が交易損失と呼ばれる。「戦後最長の景気回復」こと「実感なき景気回復」の間に交易損失は17兆円(8.8兆円の交易利得から8.5兆円の交易損失へ転落)も拡大した。 これは前述した、個人消費に分配された付加価値額と概ね匹敵する。消費を増やしたことで個人の効用を引き上げても、それと同額分、交易損失が拡大し、海外へ所得が流出すれば、景気回復に実感が伴わないのは当然である。直感的に言っても、高いものを仕入れ、安いものを販売することで豊かになる道理はない。 <円安で強まる「デフレ感」もある> 交易損失が「実感なき景気回復」に至るという事実は、GDPデフレーターを見れば、さらによく分かる。 GDPデフレーターは「名目国内総所得(GDI)/実質GDP」で計算され(実質GDPとは生産された付加価値の「量」である)、「付加価値1単位を産み出すことにより得られる豊かさ」と言える。 これを個別要因に分解すると、最近のGDPデフレーターは輸入デフレーターの拡大で押し下げられていることが見て取れる。要するに、円安による輸入物価上昇で交易条件が悪化し、その結果、多大な交易損失が出ることでGDPデフレーターが下がっているのである。もっと言えば、円安で輸出物価が下落していることも交易条件を悪化させている。 円安になれば輸入物価上昇の経路を中心として消費者物価指数(CPI)は確かに上振れるが、GDPデフレーターのように円安で強まる「デフレ感」があることはもっと周知されても良いだろう。ちなみに、「戦後最長の景気回復」局面においてCPIは上昇傾向にあったが、GDPデフレーターは下落の一途をたどっていた。これが実感の伴わなかった原因ではないだろうか。 GDPデフレーターの低下が人々のデフレ感の正体で、「実感なき景気回復」の根源だとすれば、その兆候はすでに見られる。交易条件の推移を国際比較すると圧倒的に悪化しているのが日本で、これを韓国が追う格好である。互いに資源が乏しく通貨安で輸入物価が上がり、国際競争の激しい財を輸出することで輸出物価が下がっているという共通点が見出せはしないだろうか。この傾向は円安相場の進展に伴い、足元でますます強まっている。 今後、円安の力を借りた設備投資や純輸出の拡大でGDPの拡大を追求したとしても、個人消費の伸びが追随せず、しかも交易損失の拡大を伴うものであれば、「実感なき景気回復」が再発する恐れはある。実際、交易損失は昨年来、円安主導の景気回復を模索する過程で拡大しており、今年1―3月期で20.1兆円と過去最高水準で高止まりしている。 以上を整理すると、設備投資を拡大すること自体に意義を見出すことが難しいという事実に加え、設備投資を拡大するためには輸出増が必要で、その輸出を増やすためには円安が必要というのが現状認識かと思われる。しかし、その円安は輸入物価の上昇をもたらし、交易損失を拡大させ、最終的には「付加価値1単位を産み出すことにより得られる豊かさ」であるGDPデフレーターを押し下げる。円安により設備投資を追い求める過程で、GDPデフレーターが示す「デフレ感」が強まるという側面はもっと広く知らされて良いのではないか。 <交易条件に対する安倍政権の問題意識> ただ、GDPデフレーターや交易条件に対する問題意識は安倍政権でも抱かれており、「前回と同じ轍は踏まない」との思いは見受けられる。 たとえば、経済財政諮問会議の議事要旨(13年5月28日開催分)には、「成長というのは単にGDPが増えるのではなくて、グローバル化の中で日本が豊かになる。それはGDPを増やすだけではなくて、交易条件を高めていく(中略)残念ながらこの10年、日本は交易条件で必ずしも優れた成果を出していないが、そこをしっかりやる」との民間議員からの意見が見られる。交易条件が悪化していることについて、同会議が問題意識を持っていることは間違いない。 悩ましいのは、安倍政権の望む「円安」と「交易条件の改善」は相反する組み合わせということだろう。円安にもかかわらず、交易条件が改善するためには「円安でも値下げしない輸出品」か「円安でも値上がりしない輸入品」が必要になる。 この点、6月14日に閣議決定された「骨太の方針」には、前者については「産業の新陳代謝を通じた比較優位産業の成長により輸出競争力が強化される」ことで、後者については「省エネ・省資源や海外の資源権益確保などにより輸入品に対する価格交渉力が強化される」ことで解決を図る意思が示されている。 より噛み砕いて言えば、前者は世界と伍すための健全な競争環境を政府が整備することを意味し、法人税減税や解雇規制の緩和などはこの論点から支持されよう。 後者はシェールガスなどの国家エネルギー戦略に関わる話で、喫緊の課題としては原子力発電所の再稼動問題とも絡んでくる論点になる。 なお、骨太の方針では「交易条件を改善するこうした取組の強化により、実質国民総所得(実質GNI)が中長期的に年2%を上回る伸びとなることが期待される。また、こうした取組は、GDPデフレーター上昇率のプラスへの転換・定着にも寄与することとなる」とも述べられており、交易条件の改善、実質GNIの高まり、その結果としてのGDPデフレーターのプラス復帰が意識されていることが分かる。 これらは高く評価される政策スタンスであり、より広く世の中に周知されて欲しい論点である。 *唐鎌大輔氏は、みずほ銀行国際為替部のマーケット・エコノミスト。日本貿易振興機構(ジェトロ)入構後、日本経済研究センター、ベルギーの欧州委員会経済金融総局への出向を経て、2008年10月より現職。欧州委員会出向時には、日本人唯一のエコノミストとしてEU経済見通しの作成などに携わった。2012年J-money第22回東京外国為替市場調査ファンダメンタルズ分析部門では1位。
市場は生産回復の米経済好感、短期筋主導の日本株にもろさも 2013年 08月 2日 15:36
8月2日、これまで弱かった生産面が改善してきた米経済を好感し、円安・株高が進んでいる。写真は都内で5月撮影(2013年 ロイター/Issei Kato) [東京 2日 ロイター] - これまで弱かった生産面が改善してきた米経済を好感し、円安・株高が進んでいる。米家計の耐久財需要が拡大する一方、グローバル需要が回復し、米経済はすきのない強さを見せ始めている。 米金利も上昇してきたが、米連邦準備理事会(FRB)の「キャンペーン」効果で以前のように引き締め懸念は強まっていない。日本株にも好環境だが、足元の上昇はヘッジファンドなどの買い戻しが中心で、もろさも秘めている。 <米経済成長加速の可能性高まる> 米経済は、これまで強い内需と弱い外需という二面性を有していた。消費は堅調だが、生産は伸び悩み、経済全体としての改善状況は緩やかだった。だが、ここにきて生産面も回復しつつあり、成長スピードが加速する可能性が強まってきている。 生産動向を計るうえで重要視されている米ISM製造業景気指数は、7月が55.4と前月の50.9から上昇。アナリスト予想の52.0も上回り、2011年6月以来の高水準となった。個別項目でみても新規受注が拡大、在庫は減少と年後半の生産増加を示唆する内容だった。 米生産増加の主要因は、内需のさらなる拡大と外需の下げ止まりだ。低金利を背景に米自動車販売は依然堅調で、米耐久財受注が増加基調を続けている一方、欧州や中国などでも製造業関連指標が底堅さを見せ始めている。 7月のユーロ圏製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値は50を2年ぶりに回復。HSBCの7月中国PMIは弱かったが、大企業の動向を示す国家統計局のPMIは、政府による景気支援の動きを背景に予想を上回った。 これまでなら米経済指標の改善はFRBの量的緩和第3弾(QE3)縮小懸念に結び付き、景気改善よりも緩和縮小懸念をネガティブ視されることも多かった。 だが、「QE3縮小と金利上昇を切り離すFRBの作戦が功を奏し、懸念は広がっていない」(りそな銀行・総合資金部チーフストラテジストの高梨彰氏)という。米10年債利回りは再び2.7%台に乗ってきたが、金融政策の動向を反映しやすい2年債利回りは0.32%付近とそれほど上昇していない。 <米金利上昇なら波乱も> ただ、このまま米経済の改善スピードが加速すれば、いくらFRBが沈静化しようとしても、QE3縮小観測が再び強まるのは必至だ。「雇用の足を引っ張っていた製造業まで回復すれば、非農業部門雇用者数は20万人を超えてくる。そうなればQE3縮小観測は強まり、米金利は上昇する」(SMBC日興証券チーフエコノミストの牧野潤一氏)という。 ドルが上昇すれば、ドル建てで取引される商品の割高感につながり、資源価格は下落する。エネルギーや素材セクターの寄与度が大きい米ダウ.DJIは、短期的にせよ圧迫される。株価収益率(PER)は15倍程度でダウの過熱感が強いわけではないが、過去最高値を更新するなど高値警戒感も出ている。流動性縮小懸念が強まらないにしても、金利が急上昇すれば短期的な株価調整が起きる可能性もある。 一方、日本の輸出製造業にとって、ドル高・円安と資源価格の下落は好都合だ。現在までの4─6月期決算発表では、本業の回復が遅いメーカーも少なくないが、円安とコスト減が続けば、ビジネスモデルを立て直す資金的・時間的余裕が生まれる。「米国の悪材料が日本の好材料となる可能性がある」(牧野氏)ととの見立てだ。2日の日経平均.N225は前日比450円を超える上昇となり、1万4400円台後半まで水準を切り上げた。 <ファンド主導の日本株上昇> とはいえ、海外勢が主導してきたいわゆる「アベノミクス相場」は、参院選を通過したことで第1幕を終えた可能性がある。東証によると7月第4週に海外投資家は8週ぶりに売り越し(509億円)となった。トムソン・ロイター傘下の投信情報会社リッパーがまとめた米国ファンドの資金動向に関する週間調査(7月31日までの週)によると、日本株式ファンドは5週間ぶりの流出超(3億3640万ドル)となった。 日経平均.N225は7月25─29日の3営業日で1070円下落、8月1─2日の2日間で797円上昇と激しい値動きを繰り返している。2日の東証1部売買代金は2兆3170億円と大きく膨らんでいるわけではない。海外投資家の多くが日本株買いに再び参戦し、第2幕に入った様子は乏しい。あくまで先物主導の展開だ。 「参院選後に売り越した一部のヘッジファンドが買い戻しているに過ぎない。多くのファンドや長期投資家は依然様子見だ。異常ともいえる値動きが続いており、警戒が必要だろう」と立花証券・顧問の平野憲一氏は指摘している。 関連ニュース 米金融政策への思惑で円高、日経平均は一時300円超す下落 米金融政策への思惑で円高、日経平均は一時300円超す下落 2013年7月26日 米FRBが市場との対話に失敗、フォワード・ガイダンスは効果なし 2013年7月26日 トルコ中銀が翌日物貸出金利を75bp引き上げ、追加引き締めも 2013年7月24日 市場はボラ低下で長期投資家が回帰、短期筋は様子見 2013年7月23日 |