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2013/8/1 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
失業率改善4年8カ月ぶり水準とか庶民の実感とかけ離れた発表にいい加減にしろと詰る声
「6月の完全失業率は4年8カ月ぶりの3%台」「有効求人倍率は4カ月連続改善し、リーマン・ショック前の水準に回復」――。今週は政府の労働統計の発表が相次ぎ、いずれも“バラ色”の数字が躍った。
メディアは〈アベノミクス効果による円安・株高で企業の景況感が改善し、雇用分野にもプラスの影響が及び始めた〉と解説するが、庶民にすれば「景況感の改善」なんて、ちっとも実感の湧かない話だ。
夜の街は相変わらず客待ちの空車タクシーが大行列を成している。参院選で議席を獲得した共産党の吉良佳子(30)は「60社ぐらいにエントリーして1社しか内定を取れなかった」「人格を否定されるような思いだった」と、朝日新聞のインタビューに就職氷河期の実体験を語っていたが、今も状況は似たようなものだ。〈高級宝飾品がバカ売れ〉なんてニュースは「どこの国の話?」である。景気の回復を実感している人がいれば、手を挙げて欲しいほどだ。
実感とかけ離れたバラ色統計には「ホントかいな」と言いたくなるが、政府は「とどめ」と言わんばかりに、今年度の経済成長率の見通しまで上方修正するという。
今年2月に閣議決定した「実質2・5%増」から、「実質2・8%増」に引き上げるのだが、その理由も「アベノミクス効果」だ。「円安・株高が進み、個人消費が当初の見通しより伸びているほか、円安効果で輸出が持ち直しているため」だという。
この動きに素早く反応したのが、政府・自民党だ。「よほどの外圧要因がなければ消費税を上げない選択肢はない」(甘利経済再生相)、「現状なら見送りなし」(世耕官房副長官)、「来年4月に上げるのは決まっている」(高村副総裁)などと、経済成長を理由に、「消費税引き上げは予定通り」の大合唱だ。
「おいおい、チョット待てよ」ではないか。庶民の大半が景気回復を実感できない中、消費税アップだけが既定路線化していくのだから、フザケている。
もし来年、消費税が8%に上がれば国民の懐から約6兆円が国庫に吸い上げられることになる。年収500万円の標準世帯で年7万3000円の負担増となり、家計は火の車だ。いよいよ国民生活は干上がってしまう。
◆アベノミクスの大ウソ宣伝にだまされるな
政府の経済統計なんて見掛け倒しにすぎない。マヤカシの数字を持ち出して大増税の材料にするのは、「いい加減にしろ」である。
完全失業率の3%台回復も決して額面通りには受け取れない。なぜなら、6月の労働力人口(15歳以上の働く意欲のある人)は前月に比べて15万人も減ったのだ。
「完全失業率は失業者数を労働力人口で割った数字です。就職をあきらめた人が増え、分母にあたる労働力人口が減ったおかげで、失業率が低下した可能性が高い。アベノミクスが好調ならば、就職をあきらめる人は増えないはずです。中身をロクに精査せずに、ことさら失業率の改善を強調するのは、消費税アップに向けた地ならしにも思えます」(経済評論家・吉見俊彦氏)
やっと職にありつけた人々だって不安定な非正規雇用が前月比9万人も増えた。有効求人倍率の改善も復興予算のバラマキで宮城・岩手・福島3県の数字が全体を押し上げただけ。求人倍率が1倍を超え、人材の「売り手市場」と言えるのは、47都道府県のうち1都13県にとどまっている。
加えて株価は連日の乱高下だ。参院選後の上下の振れ幅は1000円を超える。ジェットコースター相場の再出現だ。
6月の景気ウオッチャー調査には「株式市場の乱高下に困惑している。経済的な安定感がないと、設備投資も一時様子見が出ている」(会計事務所)、「実質経済が本当に大丈夫なのかといった感じがあり、車の販売も少し停滞している」(その他サービス)、「株価の乱高下が景気回復への期待感に水を差した」(四国の商店街)といった悲鳴であふれていた。
国民の先行き不安にフタをして、政府・与党は消費税アップの大合唱なのだから許せない。
「本来、消費税アップには賃金上昇が不可欠です。政府はきのう(31日)、6月の所定内給与(残業代などを除いた額)を発表しましたが、前年比0・2%減と、実に13カ月連続も減少しています。アベノミクス効果は給与に少しも反映されていません」(吉見俊彦氏=前出)
政府は経済界に最低賃金引き上げを求めているが、たった時給10円のアップすら、企業経営者らはクビを縦に振ろうとしない。こんな状態では「景気回復」もクソもありゃしないのだ。
◆米国のリスク肩代わりで日本は沈む
もっと言えば「実質GDPの2・8%増への上方修正」だって、実態は下方修正に等しい。
5月に日銀は、今年度の経済成長率を「2・9%」とはじいていた。総額10兆円規模に膨らんだ公共事業の大盤振る舞いに加え、円安政策による輸出拡大をもくろんだが、期待外れで下方修正となった。それを裏付けたのが、6月の貿易統計で、輸出金額の前年比7・4%増は市場コンセンサスの10%増を大きく下回った。それなのに、なぜ「上方修正」なのか。露骨なデマゴーグというしかないが、果たして、この先、アベノミクスはどうなってしまうのか。政府の大ウソ宣伝とは裏腹に「とんでもないことになる」という経済専門家は大勢いる。
東海東京証券チーフエコノミストの斎藤満氏は「9月にも米国が量的金融緩和の縮小を実施すれば日本経済の致命傷になる」とこう言った。
「米国が金融を引き締めれば、長期金利の上昇リスクが高まります。しかし、日本がジャブジャブに緩和すれば、日本が米国債を買い支えるのだろうという見方になり、米国債の下落(金利上昇)リスクは軽減されます。アベノミクスの異次元緩和は、米国のリスクを肩代わりしてやるようなものなのです。ただでさえ、国債暴落の危険性と隣り合わせの無謀な政策なのに、米国のリスクまで背負えばどうなってしまうのか。放っておけば長期金利が跳ね上がり、いよいよ国債暴落を覚悟しなければいけない事態となります」
緩和縮小で米国の投機マネーが中国市場から一斉に撤退すれば、懸念されてきたチャイナリスクも現実となる。もちろん、日本経済には大ダメージだ。
埼玉大教授の相沢幸悦氏(経済学)は、こう警鐘を鳴らす。
「メディアは、しきりに住宅や高級車、宝飾品など高額商品の売り上げが好調と伝えますが、すでに消費税アップ前の『駆け込み需要』が発生していると見るのが自然です。将来の買い物を先取りしているだけなのに、『個人消費が伸びている』と安倍政権がのぼせ上がっていると、その反動は恐ろしいものになる。しかし、消費税アップ後の消費の落ち込みを財政出動でカバーしようにも、この国の債務は1000兆円を超えるのだから難しい。今年のように、大型の補正を組まなければ、内需は冷えてしまうが、そうすれば財政は悪化し、それこそ国債暴落リスクを高めてしまう。もはやアベノミクスは身動きの取れない泥沼にはまり込んでいるのです」
庶民はアベノミクスのまやかしにダマされてはいけない。
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