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大反響第2弾 わずか7年後、この国はこんなに変わる 第2回 業界別ライバル企業 どこが勝ち残っているか、教えます【家電】【銀行】【ネット】
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/36570
2013年08月01日(木) 週刊現代 :現代ビジネス
■家電 パナソニック×東芝×ソニー パナソニックが家電で復活する可能性は低い
「家電製品の世界市場で、本気で勝とうと思うならば、パナソニック、シャープ、ソニーの技術を全部合わせて製品開発に取り組むくらいの発想が必要でしょう。価格競争の激しい一般消費者向けの事業は規模も必要ですから、2020年には3社が一緒になっていてもいい。ただ、これまでの日本の企業文化では、それは難しいかもしれません。しかし、このままでは2020年にはパナソニックもシャープも、ソニーもなくなってしまっていることは十分に考えられます」
衝撃的な未来予測を語るのは、元サムスン電子常務で東京大学大学院ものづくり経営研究センター特任研究員の吉川良三氏である。
パナソニックは'13年3月期決算で7543億円、シャープも同5453億円の巨額赤字を計上した。不採算部門を整理し、着々と手を打っているかに映る。しかし、その対応ではまだ手ぬるいという。
「パナソニックの津賀一宏社長は電機事業とともに、新たに自動車部品への注力を宣言しています。しかし、日本の製造業の屋台骨とも言える既存の自動車部品メーカーは技術者が優秀で、小回りも利く。はたして大企業のパナソニックが、彼らに伍してやっていけるのかどうか。また、シャープは再生を図るための技術が新型ディスプレイ『IGZO』だけでは心もとない。資金を他社に頼らなければならない財務状況の厳しさも含め、2020年に存続しているかどうかさえ疑問です。ソニーはそこそこの黒字化を継続できそうですが、高画質が売りの『4Kテレビ』が成功しても一人勝ちは難しいでしょう」(経営評論家・塚本潔氏)
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構造不況に陥っている電機産業だが、改革を進めている企業も多い。東芝や日立製作所は家電からインフラの輸出に軸足を移しつつある。証券アナリストの植木靖男氏が見通しを語る。
「東芝は原子力発電所の輸出に傾注し、安倍晋三首相がトップセールスで世界に売り込んでいます。ただ、福島第一原発事故の影響もあって、期待どおりの成果を挙げられるかは未知数。むしろ注目は日立製作所でしょう。火力発電やプラント、ガスタービンなど、スケールが大きく、インフラの輸出では日立製作所が優位を保っているでしょう」
日立は7月、英政府から270両の高速鉄道の製造と保守管理事業を追加受注したと発表。もはや家電メーカーではないのだ。メイド・イン・ジャパンの家電製品が消えてなくなる日は間近に迫っている。それでは"日の丸家電"が生き残る道はどこにあるのか。
米国松下電器元会長の岩谷英昭氏は、高付加価値商品の開発に力を入れよと後輩たちを叱咤激励する。
「テレビは2020年に向けて『ユビキタス』化が進んでいきます。スポーツや映画、ニュースなど、『いつでもどこでも見たいときに見たい番組が見られる』ようになる。日本のテレビは今のところ単なるモニターですが、これからはネットワーク化された商品が消費者に望まれているのです。これまでの日本の家電はトップダウン型で作られてきました。その結果、中途半端な高機能を持った商品が毎年のように発表されてきました。しかし、社長には家でのんびりとテレビを見るような時間はありません。ものづくりは現場が消費者の目線で行うものなのです。それがパナソニック創業者・松下幸之助のやってきたことでした」
■中国・韓国の時代は終わり
その上で、安価な価格帯の家電のノウハウも捨て去ってはいけないと岩谷氏は言う。松下幸之助の原点、「水道哲学」に立ち戻れとアドバイスをする。
「松下幸之助は、水道の水のように物資を安価で大量に供給することが企業の使命だと考えていました。もちろん、今の時代、国内で製造して発展途上国に安価に供給することでは儲けにならない。だから、安価な製品はアジアをはじめとする発展途上国で委託生産して、その国の人びとに喜んでもらえばいい」
事実、すでに日本の家電メーカーの最大のライバル、サムスンは岩谷氏の言う戦略に踏み出しつつある。サムスンの李健煕会長と25年来の付き合いである、前出の吉川氏が李会長の驚くべき先見の明を解説する。
「サムスンもこれからは消費者向け製品を韓国内で作らなくなるでしょう。これまでサムスンは半導体やパネル、携帯電話で市場を占有して利益を出すビジネスモデルでした。これは次第に巨大な中国のメーカーに押されていく。今はスマートフォンが好調だから家電メーカーのような顔をしていますが、もう次のことを考えて行動しています。おそらくサムスンは完成品メーカーから部品や装置メーカーに様変わりして、高品質部品を中国の家電メーカーに販売する戦略を描いていると思います」
シャープの液晶テレビが「亀山モデル」として一世を風靡したのが'04年のことだ。それからわずか10年足らずで、液晶パネルの価格は暴落し、シャープは存亡の危機に追い込まれた。上図を見ても明らかなように、パネル生産は世界的な合従連衡が進んでいる。
近未来の家電業界の姿を吉川氏はこう予言する。
「大衆化した家電製品は東南アジアの企業に製造を委託するようになるでしょう。もはや中国や韓国ではない。日本はマレーシアやミャンマー、インドネシアに製造技術を教え、その対価を得るわけです。ただし、商品開発の工場は日本国内に置く。一言で言えば『ユニクロ方式』ですね。今はメイド・イン・チャイナが多いですが、2020年にはメイド・イン・東南アジアになっているでしょう」
■銀行三菱UFJ×みずほ×三井住友 いまが邦銀のチャンス三菱UFJが「世界の王者」に
2020年、住宅ローンを借りるために銀行窓口に出向く人はいなくなっているかもしれない。
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口座を持つネットバンクの担当者が、スマートテレビ経由で見積もり、返済シミュレーションから契約まで対応。ネットバンクなので窓口が閉じることもなく、24時間いつでも在宅で手続きを済ませられるようになるからだ。
振り込みをするために銀行窓口、近場のATMまで足を伸ばす必要もなくなるだろう。振り込みなどの送金サービスは、銀行ではなくネット業者が行うようになる。個人アカウントを通じて家賃、税金の支払いや身内への仕送りも、スマートフォン経由でできるようになっている可能性が高い。
「銀行の『専売特許』であった決済、貸出業務が銀行業界だけのものではなくなる。IT化が銀行業界に革命を起こし、今後は3メガバンクをネット企業などの新勢力が脅かす時代に突入するのです」(同志社大学大学院准教授の戸谷圭子氏)
ネットバンクの成長は目を見張るものがある。ソニー銀行は設立からまだ10年余りだが、外貨預金分野でメガバンクに次ぐ規模に成長。住宅ローンなど個人向けローン分野でも、住信SBIネット銀行などネット専業各社がシェアを急激に伸ばし、すでにメガバンクの牙城を崩しつつある。
2020年には、銀行ATMから現金をおろす"手間"も必要なくなる。
「2020年頃には買い物の半分は電子マネーによる決済になっているでしょう。日本はまだ現金決済主義だからATMが持てはやされているが、電子マネー化が進めばその行動様式が大きく変わるのです」(元マイクロソフト日本法人代表で、現在はスルガ銀行社外取締役などを務める成毛眞氏)
すでにセブン&アイ・ホールディングスの『nanaco』、イオンの『WAON』など、電子マネーによる決済額は2兆円を突破。さらにコンビニやスーパーだけでなく、百貨店や家電量販店などでも使えるようになれば、電子マネーにチャージ(入金)しておけば大抵の買い物に困らなくなる。
チャージはセブン銀行やイオン銀行などを通じて行える。わざわざメガバンクに口座を作らなくてもよくなるので、結果、メガバンクから預金が大量に流出するようになる―そんなシナリオも現実味を帯びてくるわけだ。
■欧米の銀行にも勝てる
2020年にかけて、メガバンクを大きく揺るがす「爆弾」が火を噴く可能性も捨てきれない。元日本銀行参事の深尾光洋・慶応大学教授が指摘する。
「2015年に消費税率は10%まで引き上げられる予定だが、それは日本の財政赤字の2割強分の増税にしかならず、焼け石に水です。その後の赤字削減策が示せずに財政悪化がいよいよ止められないとわかれば、日本国債が大量に売られ、国債を多く抱えるメガバンクなどの経営問題に発展する可能性がある。そうした事態が2020年までに訪れるかもしれません」
従来の銀行経営の根幹を揺るがす大異変が次々に起こる中で、2020年にはネットバンクが大きく輝いている可能性が出てきた。
もちろんこうした事情をメガバンクは百も承知で、各社ともに次の一手を打ち始めている。国内の人口減少で全体のパイが減り続ける上、前述の新興勢力からの突き上げもくらう。横並びで成長できる時代が終わり、まさにメガバンクの「真の王者」を決める戦いの幕が開いたといえる。
勝ち残るのはどこか。一つのポイントは、「企業向け貸し出し」からいかに"脱却"できるか、にある。
銀行の儲けの構造をざっくり言えば、集めた預金を個人や企業に貸し出して利鞘を稼ぐことだから、「企業向けからの脱却」は矛盾した戦略に映る。そのカラクリを大手コンサル会社マッキンゼーで銀行業界を担当、現在はルートエフ代表の大庫直樹氏が解説する。
「国内法人向け貸し出しの利鞘は1%にも満たないケースが多く、収益性が低い。一方で、個人向けの貸し出しは無担保なら2%の利鞘を稼げます。実際、国内法人向けへの収益依存度が低い三菱UFJフィナンシャル・グループは、メガバンクの中で収益性が最も高い。三井住友フィナンシャルグループは傘下に三井住友カード、SMBCコンシューマーファイナンスなどを抱え、個人向け部門の強化をしている」
つまり、限られた資源をどこに集中投下するかということ。みずほフィナンシャルグループは出遅れ感があるが、今年7月に傘下の2銀行をワンバンク化し、新生・みずほ銀行を誕生させた。「体制を立て直したばかりだけに、成長余地が残されている」(信州大学経済学部教授の真壁昭夫氏)ともいえる。
もう一つのポイントが、「海外進出」である。成長著しい新興国などの資金需要は旺盛で、現地トップバンクの地位を得ることができれば果実は大きい。
「現地企業のリスク審査は、地元の事情に精通している現地の人に頼らざるを得ない。だから、海外進出は現地企業を買収し、経営も現地の信頼できる人材を活用する。その意味でメガバンクの中で最も体力のある三菱UFJが、最も海外展開にも積極的になれるだろう」(前出・大庫氏)
欧州危機の痛手を受けた欧米の銀行の動きが鈍い今、メガバンクは目ぼしい新興国銀行を買収できる千載一遇の好機を得ている。欧米勢が息を吹き返す前に、どこまで果敢に攻められるか。ここ1~2年の動き方次第で、10年後、20年後の「勝敗」が決まる。
■ネット グーグル×アマゾン×アップルほか 楽天はアマゾンに飲み込まれてしまうのか
ネット通販の国内企業最大手、楽天。その最大のライバルは米国資本のアマゾンだ。両社の戦いは、どう展開していくのだろうか。
'12年度総売上高を比較すると、アマゾンが7300億円(日本国内のみ。企業全体では5兆7400億円)、一方の楽天が4400億円と、圧倒的にアマゾンがリードしている。
「楽天とアマゾンはどちらも巨大で勢いのある企業ではあります。ただ、日本国内でも両社を比較すれば現時点で強いのはやはりアマゾンだというのが一般的な見方でしょうね」(IT評論家・湯川鶴章氏)
そんなアマゾンの人気を支えている理由のひとつに、迅速な配達サービスがある。アマゾンは現在国内に12ヵ所の物流センターを持ち、全国からの注文に素早く対応できる体制を作り上げている。
また物流センターに加え、アマゾンはヤマト運輸や佐川急便、日本通運などの運輸会社と強固な関係を築いてきた。だからこそ、都市部なら当日配達も可能という流通網を構築することができたのだ。
革新的なサービスを展開するアマゾンの勢いはめざましく、このままでは他のネット通販会社はもちろん、家電量販店など、あらゆるリアル店舗が駆逐される可能性すらある。
対する楽天はインターネット上のショッピングモールである「楽天市場」を中心としたネット通販で事業を拡大してきた。
しかし、楽天には前出のアマゾンのような強固な物流システムがない分、配達スピードでどうしてもアマゾンに劣ってしまう。
楽天は最近になって自社独自の流通ルートの整備を進めようとしているが、アマゾンがすでに確立した物流ルートに対抗するにはまだ及ばないのが現状だ。
資本規模の違いに流通システムの差。厳しい状況に追い込まれているように見える楽天に、逆転の一手はないのだろうか。
「楽天の強みは、なんといっても国内最大規模のインターネットショッピングモール、『楽天市場』を抱えていることです。楽天が今後拡大していくためには、いまの自社の強みを最大限に活かすべきです」(IT経営コンサルタント・上村孝樹氏)
楽天市場の会員数は2012年時点で7500万人にも及ぶ。国内においてこれだけの顧客データを持っている企業はそうない。楽天が逆転の一手を打つならば、この強みを活かさない手はない。
楽天は現在、電子書籍端末である「kobo」を販売しているが、あくまで電子ブックリーダーであり、その機能は限られている。
自社が持つ膨大な顧客データを活かしきるために、思い切って「iPad」のような汎用性の高い端末を開発・販売する分野に乗り出せば、大化けする可能性を秘めている。楽天にはその下地が、すでにあるのだ。
楽天とアマゾンの競争から離れ、今後のIT業界全体の展望を見てみよう。2020年にはグーグル、アマゾン、アップルなどがより規模を拡大させ、同じ分野での激突が起きてくることが予想される。
たとえばグーグルは来年、「グーグルグラス」の発売を目指す。これは、人の生活を変えてしまう革新的な製品になる可能性を秘めた、メガネ型の端末だ。グーグルグラスを装着して声を発するだけで音声認識機能が働き、メガネのレンズに相当するディスプレーに検索結果が浮かび上がる。ほかにも装着したまま写真、ビデオを撮る機能も装備されている。
一方、アップルが今後1~2年内の発売を予定しているとされるのが、腕時計型端末の「iWatch」だ。こちらも本来の時計機能に加え、携帯型コンピューター、デジタルオーディオプレーヤー、GPS端末、音声認識ソフトウエアなどが詰め込まれる。映画や漫画の世界から出てきたような新世代商品が現実化するのだ。
今後はこうした多機能端末をめぐってアマゾン、グーグル、アップルといった世界的企業が正面からぶつかりあうだろう。
「今後はグーグルグラスやiWatchなどの、身に着けられる端末がどれだけ普及するかがIT業界の大きな関心事になってきます。もしグーグルグラスが大ヒットすればスマートフォンやタブレット端末などに取って代わることになるでしょう。
2020年まであと7年ありますが、IT業界の7年というのは鉄鋼業界の50年に相当すると言ってもいいくらいの期間なんです。それくらいスピードが速い業界なので、7年後には思いもよらない技術が生まれている可能性も大いにあります」(早稲田大学ビジネススクール教授・根来龍之氏)
2020年にもっとも輝いているIT企業。それは、いまだこの世に産声を上げていない、まだ見ぬ企業なのかもしれない。
「週刊現代」2013年8月10日号より
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