http://www.asyura2.com/13/hasan81/msg/465.html
Tweet |
大反響第2弾 わずか7年後、この国はこんなに変わる 第1回 業界別ライバル企業 どこが勝ち残っているか、教えます【自動車】【飲料】
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/36569
2013年07月31日(水) 週刊現代 :現代ビジネス
これが2020年のニッポン株式会社だ「キリン・サントリー・アサヒ」「パナソニック・東芝・ソニー」「NTTドコモ・KDDI・ソフトバンク」ほか
絶対王者が突然死する。圏外企業がトップに躍り出る。産業史は「まさかの事態」の連続だ。しかも、これから7年はかつてない激変の時代に入ると、専門家は口を揃える。何が起きてもおかしくない。
■自動車 トヨタ×日産×ホンダ 販売台数は1億台へやっぱりトヨタが強い
所狭しと並ぶ自動車の群れ。隣の自動車にぶつかりそうなくらいに接近しており、ドアミラーを畳んでいる車も少なくない。その隙間を埋め尽くすように、オート・リクシャーと呼ばれる三輪車タクシー、スクーターなどが溢れかえる。
交通渋滞は日常茶飯事。聖なる動物である牛が道路に寝そべれば交通は止まり、渋滞が長引く。舗装されていない道路も多く、大量の自動車が土煙を立てる。モータリゼーションが幕開けした1960年代の日本を彷彿とさせる風景。巨大化したインドの自動車マーケットのことである。
2020年、インドは世界第3位の巨大自動車市場になる見込みだ。中国、米国に次ぐ年間1000万台のマーケットになるとの予測もある。トヨタ、日産、ホンダの日本トップ3は「次の稼ぎ頭」と目を付け、競争を激化させている。
先陣を切ったのはホンダ。今年4月にディーゼルエンジン搭載の『アメイズ』を市場投入するとこれが大ヒット。これまでシェアトップ10中の下位に甘んじていたが、直近のランキングで一気にトップ3に食い込む勢いを見せている。
これに触発されたのか、トヨタはディーゼルエンジンのインド生産にカジを切る。現地生産でのコスト削減効果をテコに、ディーゼル車の販売強化を積極化させると見られる。
7月には、日産が新興国向けブランド『ダットサン』の第1号車をインドに投入する方針を決定。カルロス・ゴーン社長がインドに乗り込み、自ら記者発表するほどの力の入れようだった。
実は、インドでトップシェアを持つのはスズキの子会社マルチ・スズキ。世界のメーカーに先んじて'80年代にインドに進出した「開拓者」だが、いま各社の追い上げにあっている。
「特に勢いがあるのが韓国の現代自動車。現代は家族も含めてインドに3000人規模を駐在させている。日本企業全体のインド駐在者が4000人規模なので、本気度が日本勢の比ではない。進出時期こそトヨタ、ホンダなどとさほど変わらないが、いまや現地大手のタタ自動車を抜いてシェア2位に君臨している」(インドの自動車事情に詳しい東京大学ものづくり経営研究センター特任研究員の伊藤洋氏)
ほかにも、トップ10には、米ゼネラル・モーターズ(GM)、フォード・モーターや独フォルクスワーゲン(VW)など世界の巨大メーカーがずらりと並ぶ。インドの「主戦場」は50万円前後の低価格小型車だが、今後は富裕層向けの高級車、若者向けのSUVなどの市場も拡大する見込みだ。「次のヒット」次第でシェアがガラリと変わる激戦に、全世界の自動車関係者たちが目を離せない状況が続く。
http://gendai.ismedia.jp/mwimgs/8/2/587/img_82c37223384ac76f00ccafcd5954b5c8244699.jpg
2020年、世界で販売される自動車の数は1億台の「大台」を突破する。牽引するのは中国、インドなどの新興国である。自動車業界の覇者を決めるポイントは、「新興国でいかに勝つか」にある。
■エコカーを制するのはどこか
「エコカー戦争でいかに勝つか」も重要なポイントになる。現在はハイブリッド(HV)が主流だが、2015年には燃料電池車(FCV)が市場投入される予定で、電気自動車(EV)の普及も本格化するからだ。
世界一の自動車マーケットである中国では、100社を超えるメーカーが熾烈に争い、「米GMや独VWがトヨタの3倍近く売る」(経済ジャーナリストの塚本潔氏)など、日本勢は水をあけられている。ただ、公害問題が深刻化している中国では環境規制が強化される見込みで、エコカーが一気に普及する可能性は高い。米国でも環境規制強化の流れは同様で、「次のエコカーを制する者が世界を制する」と言っても過言ではない。
ただ、エコカーの主流がHV、FCV、EVのどれになるのかは専門家の間でも意見が分かれる。
「2020年の主流はHVで、中国だけでなく、インド、ロシア、ブラジルなどほぼすべての新興国で公害問題が深刻化する中、HV技術に優れるトヨタ、ホンダへの注目度が高まる。その後はFCVの実用化が有力で、独BMWに技術供与するなど先行するトヨタが期待大だろう」(エコノミストの中原圭介氏)
世界の自動車業界に詳しい百年コンサルティングの鈴木貴博代表はこう見る。
「2030年頃からEVが本格的に普及するだろう。EVになると自動車はコンパクト化するので、軽技術に優れるスズキが輝く。EVは構造が簡単なので、他業種からの参入も相次ぎ、まったく新しい企業がトップになる可能性もある」
大方の見方をまとめると、2020年段階ではHVが主流だが、その後はいずれが主導権を握るかは不透明。となると、「自動車各社は全方位的な開発が求められる。その点、規模の力のあるトヨタ、ホンダが有利。生産規模が限られるマツダ、富士重工業などは他社との提携戦略が勝ち残りのカギになる」(野村證券シニアアナリストの桾本将隆氏)。
近未来を見据えると、自動車の「多機能化」も進む。
「まずは衝突回避する機能から始まり、最終的には自動運転化が実現する。自動運転なのでフロントガラスは映画やテレビ会議用のスクリーンになる。音声認知システムを使って、声で自動車に命令を出せるようにもなるでしょう」(慶応大学名誉教授の清水浩氏)
すでに衝突回避技術を搭載した富士重工業の自動車が大ヒット、各社が追随する動きが出ている。ただ、そうした新技術をすべて自前で用意するのは不可能であり、「衝突回避用のセンサー分野に強いソニー、パワー半導体の三菱化学、自動車用マイコンで世界シェアトップのルネサスエレクトロニクス」(産業タイムズ社代表の泉谷渉氏)などとの"協業"が必要になる。いかに優れた他業者を見つけ、タッグを組めるかが、勝ち残りのポイントになる。
新興国開拓、エコカー対応、新技術開発……。自動車メーカーはこれまで以上に複雑多岐にわたるテーマに考えをめぐらせなければならない。しかも、一つ決断を間違えれば、あっという間に「負け組」に転落するリスクと背中合わせだ。
「大きいメーカーは、多様化する市場にいかに効率的に対応するか。小さいメーカーは、いかに自社の強みとリソース(資源)を集中すべき分野を選択し、戦略的に攻めるかが鍵になる。中途半端な対応では勝ち残りは難しくなるのでは」(A・T・カーニーの川原英司パートナー)
一部の勝者の後ろに、多数の無残な敗者が累々と積み上がっていく。自動車業界はいままさに、「優勝劣敗の色分けが濃くなる10年間」(前出・桾本氏)に突入したのである。
■飲料 キリン×サントリー×アサヒ 海外進出で勝負するサントリーの大逆転
http://gendai.ismedia.jp/mwimgs/6/1/349/img_613515d648c3378426f2fe6a3e1a8e0c102310.jpg
「(国内)1位になることは必達目標。何をすればトップメーカーに追いつけるか考えている」
今月3日に上場を果たしたサントリー食品インターナショナルの鳥居信宏社長は、記者会見の場で力強くこう語った。
この上場を機に、飲料業界には大きな変革が生じようとしている。
現在の業界順位は、清涼飲料1位がコカ・コーラ・グループ、2位がサントリー、3位にアサヒ飲料。ビール類では、上の表に示した通り、サントリーは現状では業界3位。しかし、7年後にはこの状況が大きく変わり、サントリーがトップに躍り出る可能性が出てきたのだ。それにはいくつかの理由がある。
http://gendai.ismedia.jp/mwimgs/a/f/584/img_af7c07ca5f48e7718546c799de078b95399038.jpg
アベノミクス効果による景気回復で、高価格のプレミアムビールの人気は続いている。今年上半期のビール類の出荷量が前年同期比0・9%減だったのに対し、サントリーの「ザ・プレミアム・モルツ」は前年同期比2・9%増と独走状態。
さらにサントリーには、ビール以外の飲料にも強みがある。著書に『キリンビールの大逆襲』などがあるジャーナリストの中村芳平氏はこう指摘する。
「サントリーは洋酒メーカーとしてスタートしたので、ハイボール、チューハイ、ワインなども強い。ビール離れした若者が多い今の時代の流れにうまくはまっています。酒類だけでなく、ペプシコーラもサントリーの傘下なので、このままいけば、コカ・コーラを抜く可能性もあるでしょう」
とはいえ、最大のライバル企業であるアサヒグループHD、キリンHDが低調なわけではない。
看板商品のスーパードライを持つアサヒグループHDは、発売から26年になる現在も国内でのビール類シェアトップを保持。その人気は揺るぎない。さらに昨年、カルピスを買収したことで、今後の国内での成長にも期待がかかる。
一方、ビール類では国内シェア2位を誇るキリンHD。ここで新たに将来が有望視されているのは、医療・バイオ分野を担う協和発酵キリンだ。
http://gendai.ismedia.jp/mwimgs/b/2/586/img_b22c17987f712583c528af5cb6ecd935393469.jpg
「キリンは、製薬のノウハウを持っている協和発酵を'08年にいち早く買収したことが大きかった。今後、高齢化社会となり、医薬・バイオ事業はますます稼ぎ頭になることが期待されています」(大阪経済大学客員教授の岡田晃氏)
協和発酵キリンはサプリだけでなく、とくにがんや免疫疾患に対する医薬品の研究・開発に力を入れており、今後、大きくシェアを伸ばしていくだろう。
■巨額資金を調達した
このように有力なライバル企業が並ぶ中、彼らを抑え、サントリーが躍進を果たす可能性があるのは、いったいなぜか。大きなカギとなるのは「海外進出」だ。
「今後業績を伸ばすためには、海外での事業展開がうまくできるかが大きなポイントです」(著書に『ビール15年戦争』などがあるジャーナリストの永井隆氏)
冒頭で、サントリー食品インターナショナルの鳥居社長が語った「何をすればトップメーカーに追いつけるか」の決め手は、ここにあると言っても過言ではない。そもそも、サントリーが上場したのも、海外展開を見越してのことだ。
「サントリーは上場によって約4000億円の資金調達をしましたが、こうした市場から得た潤沢な資金を国内外のM&Aに廻す狙いがある。そうなると、今後、他の飲料メーカーから頭一つ抜け出してくると思います」(前出・岡田氏)
単に海外と言っても、どの地域にどのように進出するか、そこを誤れば大失敗する可能性も大いにある。
そのターゲットとして現在大きな注目を集めているのが、「アジア」だ。
アジア地域での個人消費は'80年から約6倍にも増加しており、2020年には、消費意欲のある中間層が20億人に達するとの見方もある。じつはアジア進出は世界中の企業が狙っており、「仏ダノン社はアジアでのM&Aを進めている」(経営コンサルタントの小宮一慶氏)など、すでにその戦いは始まっている。
アサヒグループHDは、'94年からいち早く中国に進出し、その3年後には世界第6位の青島ビールと提携した。だが、今年に入って、青島ビールはサントリーHDとも提携し、事業をスタートさせたのだ。
「アサヒは中国でスーパードライを広めたかったのですが、うまくいきませんでした。中国では水質が悪くて水道水が飲めないので、ビールは水代わりに飲めるような軽くてアルコール度の低いものが好まれる。アルコール度が高めのスーパードライは受けなかったのです。そんなところで、サントリーとの提携も決まり、重婚のような形になってしまった」(前出・永井氏)
当然、アサヒとサントリーの間には緊迫した空気が流れた。だが、こうした三角関係になったのには、こんな背景があったという。
「もともとサントリーは、中国向けのブランド『三得利ビール』で上海でのシェア1位を獲得していたんです。青島ビールとしても、シェアが高いサントリーと提携したい意向は当然あったのでしょう」(同前)
日本の飲料市場が飽和状態になりつつあるいま、海外を制する者こそが飲料業界の勝者となり得るのだ。
「週刊現代」2013年8月10日号より
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。