02. 2013年8月01日 02:27:37
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米国のシェール革命で原油デリバティブに異変 2013年08月01日(Thu) Financial Times (2013年7月31日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 米国のシェール革命は世界の原油取引の様子を変えていく一方で、デリバティブ(金融派生商品)市場でも大きな変化を引き起こし、ひいては米国のシェールオイル生産業者の経営にも悪影響を及ぼしている。 米国内での原油生産拡大の立役者であるこれらの生産業者は、売り上げを確定するために生産前に売り渡す原油の割合を増やしている。そのため原油先物価格に下落圧力が加わっており、シェールオイル生産業者は重要なヘッジ契約を結ぶのが難しくなっている。 米国のシェールオイル油田としては最大の生産量を誇るバッケン油田(ノースダコタ州)では、原油の生産量が2011年の年初に比べて3倍近くに増えている。一方、指標とされるウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)原油先物を見ると、受け渡しが3年先の期先物の価格は同じ時期に大きく下落。2011年の4月と5月には1バレル105ドルを超えていた価格が今年6月までに同81.51ドルまで下げる場面もあった。 米国のシェールオイル生産の大半を担う独立系生産業者にとって、これはゆゆしき事態だ。大半の生産業者は、原油の販売価格を生産コストより高い水準に固定できたことを銀行などに示して採掘継続に必要な資金を融資してもらうために先物を売っているからだ。 危険水域に近づきつつある先物価格 採算ラインとなる原油価格は生産業者により異なる――稼働中の設備の生産コストと借り入れの状況による――が、先物価格は危険水域に近づきつつあると警鐘を鳴らすアナリストもいる。 テキサス州ヒューストンのエネルギー投資銀行、シモンズ・アンド・カンパニーのスティーブン・シェパード氏は「北米の原油生産の増加は、原油先渡し価格の高値が続くか否かに左右される。原油生産を増やすためには、北米の探査・生産業界としてはWTIが少なくともバレル85〜90ドルの水準にあることが必要だ」と言う。 独立系業者のためにヘッジ契約を手配するある銀行関係者はその影響を単刀直入に説明し、「比較的小さな業者は生産コストを上回る価格でヘッジできなければ終わりだ。借り入れができず、そのため採掘もできないからだ」と語る。 同氏や他の関係者は、特に規模が小さい業者は概して先物価格がそれほど下がっていない1年先、2年先までしかヘッジしていないと警鐘を鳴らす。例えば、受け渡しの期日が2年先のWTI期先物は今年、1バレル83.69ドルの安値をつけた。それでも、独立系生産業者に助言を与えているあるアナリストは、この1カ月で長期の先物価格に関する質問を何件か受けたと話している。 アナリストやトレーダーによれば、先物価格下落の最大の理由はシェールオイル生産業者自身のヘッジ活動だ。独立系生産業者による生産量が増えるに従い――先駆的な独立系石油生産業者のEOGリソーシズは2010年から2012年にかけて原油とコンデンセート油の生産を倍増させた――、これらの業者のヘッジ活動も増えてきた。 ヘッジは必ずしも先物市場で行う必要はなく、企業はオプションを使ったり、銀行とスワップ契約を結んだりすることもできるが、銀行は自分たちのポジションをカバーしなければならないため、どんなヘッジ戦略も先物市場に影響を与える傾向がある。また、生産者は航空会社などの石油ユーザーが先物を買うよりも遠い先までヘッジする傾向があり、多くの場合、より期先の先物価格を押し下げることになる。 ソシエテ・ジェネラルでコモディティー(商品)市場部門のグローバル責任者を務めるジョナサン・ホワイトヘッド氏は「先物市場には常に生産者と消費者の間にミスマッチが存在したが、独立系業者による生産拡大で一段と悪化した」と言う。 今、シェールオイルの生産者にとって問題となるのは、彼らのヘッジ活動の増加を相殺する要素があるかどうか、だ。 正常な市場では、精油所や石油製品を消費する燃料ユーザーといった自然な石油需要家は、市場の魅力に引き戻され、安い先物価格を利用して価格を確定しようとする。実際、一部の市場参加者は、最近の先物価格下落に引かれて一部の需要家が市場に戻って来る兆候が見られると話している。 「この6週間で、期先物の安値を利用して通常よりも遠い先までヘッジする輸送会社が何社かあった」。BNPパリバのコモディティーデリバティブ部門でエネルギー企業を率いるリカルド・ボルトロッティ氏はこう話す。 だが、いわゆる需要家のヘッジは近年減少してきた。石油市場のボラティリティー(変動率)が低下し、ヘッジの魅力が薄れたからだ。石油先物の大口需要家である航空会社は、比較的弱いバランスシートにヘッジ活動を制約されている面もある。 当面は先物の逆ざや状態が続く? 一部のアナリストの見るところ、これは期先物の先物価格が期近物の価格を下回る状況が当面続くことを意味している。「バックワーデーション(逆ざや)」として知られる市場環境だ。 ゴールドマン・サックスのコモディティー調査部門を率いるジェフリー・カリー氏は「我々は先物カーブの後ろの方で持続的にバックワーデーションが生じる状況に向かっている。石油メジャーが生産の大部分を独立系業者に売却した1990年代を髣髴させる状況だ」と話している。 もしそうだとすれば、シェール革命を切り開いた独立系業者は、価格下落傾向に真剣に取り組む必要がある。 By Ajay Makan
世界タブレット市場、Androidのシェアがついに7割 ‘ホワイトボックス’の台頭が価格下落圧力強める 2013年08月01日(Thu) 小久保 重信 市場調査会社の米ストラテジー・アナリティクスが公表した速報値によると、今年4〜6月期の世界のタブレット端末出荷台数は5170万台で、1年前の3610万台から43%増加した。
Androidは87%増、iPadは14%減 グーグル、新型「ネクサス7」とネットをテレビに映す「クロームキャスト」発表 アンドロイドを搭載したグーグルのタブレット端末「ネクサス7」〔AFPBB News〕 このうち米グーグルのモバイル基本ソフト(OS)「アンドロイド(Android)」を搭載する端末は3460万台で、市場全体の総出荷台数に占める割合(シェア)は67%と、ほぼ7割に達した。 これに対し米アップルの「アイパッド(iPad)」の同じ期間の出荷台数は1460万台にとどまった。 アンドロイド搭載タブレットが1年前から87%増えたのに対し、アイパッドは14%減少し、そのシェアは1年前の47.2%から28.3%へと、ほぼ3割の水準に低下した。 これに先立ち別の調査会社である米IDCが公表していた今年1〜3月期のリポートでは、アンドロイドのシェアが56.5%、アイパッドが39.6%だった。 アンドロイドは1〜3月期時点ですでにアイパッドを上回っていたが、この4〜6月期でその差がさらに広がったということのようだ。 iPad mini の需要、4〜6月期に持続せず ストラテジー・アナリティクスによると、アンドロイド躍進の理由の1つは、「ホワイトボックス」と呼ばれる中国などの小規模メーカーのノーブランド端末の台頭。そうした端末の大半は、グーグルが無料で提供しているアンドロイドを採用しており、安価なモデルが市場に出回っている。 米インフォワールドが調べたところ、ホワイトボックスを統計に含めなかった場合、4〜6月期のアイパッドのシェアは40.4%と若干高まる。 ただし、いずれにせよ、アイパッドのシェアは大きく低下しており、それにはホワイトボックスの台頭以外に2つの理由があるとストラテジー・アナリティクスは分析している。 その1つは昨年の反動だ。アップルは昨年3月に初めて高精細ディスプレイ「レティーナ(Retina)」を採用した第3世代アイパッドを発売しており、その後の4〜6月期に出荷台数が伸びた。ところが今年4〜6月期は新製品がなかった。 もう1つの理由は、昨年11月に発売したアイパッドミニと第4世代アイパッドがこの4〜6月期に予想通り伸びなかったこと。アナリストらはこのうち安価なアイパッドミニが4〜6月期も持ちこたえ、前年割れを防ぐか、減少幅を縮小させると見ていたという。 マイクロソフト、Surface RT を150ドル値下げ なおタブレットに採用されているOSにはこのほか「ウィンドウズ」と「ブラックベリー」があるが、いずれのシェアもごくわずかという状況だ。ウィンドウズは4〜6月期に230万台を出荷し、シェアは4.5%。ブラックベリーの出荷台数は10万台で、シェアは0.1%だった。 このうちマイクロソフトはウィンドウズ8の派生版である「ウィンドウズRT」を搭載した「サーフェス(Surface)RT」の価格を150ドル下げたが、依然としてアンドロイドの廉価タブレットに比べて高い水準となっている。 今後はホワイトボックスをはじめとした低価格端末の台頭で価格下落圧力が強まり、アップルも低価化を余儀なくされると言われている。 アップルのアイパッドミニの現在の価格は329ドルから。インフォワールドによると、アナリストらはこれを249ドルにまで下げる必要があると指摘している。 |