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2013年7月31日 植草一秀の『知られざる真実』
アベノミクス効果は終了した。
そもそも、「アベノミクス」とはやし立てたのはマスメディア。
しかし、その内容は陳腐そのものだ。
金融緩和と財政出動と成長政策。
経済政策のメニューとして100人の専門家に聞けば、100人が答える定番メニューで、わざわざ名称をつけて騒ぎ立てるようなものでない。
それでも、昨年11月から本年5月にかけては、大きな変化が生まれた。
急激な円安と急激な株高だ。
8664円の株価が15627円に跳ね上がった。
これで参院選が荒らされてしまったわけだ。
株価が上昇した理由は円安。
円安が生じた理由は、
1.米国金利が上昇傾向を示した
2.日本金利が急低下した
の二つ。
この2番目の、「日本金利が急低下した」というのが、「アベノミクス」効果。
金融緩和政策を強化するとの宣伝で、それを実施する前に長期金利が低下したのだ。
日本の長期金利低下が急激だったので、円安も急激になった。そして、その結果として、日本株価上昇が急激になった。
「第二の矢」の財政出動は、13兆円の補正予算が編成されたこと。
内容はひと言で言って利権の塊。
何のためらいもなく、利権支出満載の補正予算を13兆円規模で編成できるなら、庶民に重圧を与える消費税増税など、2年は先送りできるではないか。
そもそも、本当に財政危機なら、こんな補正予算など編成できるわけがないのだ。
いずれにせよ、円安・株高が出現して、安倍政権人気がメディアによってあおられた。
しかし、この株価も5月22日から6月13日にかけて、急反落した。
15627円から12445円に急落したのだ。
昨年11月14日から本年5月22日までの株価上昇が6963円。
その上昇幅の約半分がわずか3週間で消滅した。
理由は、米国金利が急低下する一方、日本金利が大幅上昇し、為替レートが円高に振れたこと。
米国経済指標が悪化して米金利が低下した。
他方、日本では、黒田日銀が金融緩和を決定したら、長期金利が上昇に転じた。アベノミクスがアベコベノミクスに転じてしまった。
このまま、円高、株安が続いて参院選に突入していたなら、選挙結果はかなり違ったものになっただろう。
ところが、事態はまた急変した。
6月13日に12445円まで下落した日経平均株価が、7月18日には14808円まで急反発したのだ。
しかし、この株価上昇は、アベノミクス効果によるものではなかった。
株高のメカニズムは、米金利上昇=ドル高=円安=株高というものだった。
米国で長期金利が上昇したのは、
1.景気指標が好転したこと
2.バーナンキFRB議長が金融緩和縮小の方針を明言したこと
の二つに依っている。
日本の長期金利は上昇しており、これは円安ではなく円高をもたらす要因である。
つまり、アベノミクスは株安要因となったにもかかわらず、米国の金利上昇が円安と日本株高をもたらしたのだ。
この株高で安倍政権は窮地を脱した。
米国が安倍政権を救済するために、円安を誘導したのかも知れない。
こうしてみると「アベノミクス」はすっかり色あせている。
「アベノミクス」のメッキはすでに剥がれ、メッキの下から、醜悪な「アベノリスク」が顔をのぞかせ始めている。
日銀の対応は白川総裁時代のものとさして変わらず、財政政策は補正予算のあとの対応で足元がぐらついている。
成長政策は弱肉強食まっしぐらに突き進み始めた。
「アベノミクス」の迷走がすでに始動しているのだ。
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