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雇用保険は原則として労働者を雇用する事業にはすべて適用されるが、常時5人未満の労働者を雇用する個人事業のうち農林、畜産、水産などの事業には適用されない。ただし申請すれば適用される。また65歳を超えて新たに雇用されるものには適用されない。昼間の学性には適用されないが、夜間学生には適用される。
日雇労働者、季節的労働に従事する者、65歳を超えて継続して雇用されるもの以外を一般被保険者という。会社の正社員がこれに当たる。パートなどの非正規雇用もこれに当たる。ただし週労働時間20時間以上で31日以上の雇用見込が必要となる。
そこで会社は雇用保険の保険料(原則折半)を払いたくないから、週20時間未満の労働にする。パートの収入が減ることになる。
これを解決するには、正規、非正規に関わらず雇用保険に入れることである。しかも20時間未満の保険料は全額会社負担とし、20時間を超えたら原則折半とする。原則というのは、失業等給付は折半、雇用保険2事業は全額会社負担だからだ。こうすると会社はほとんどの労働者を20時間以上にする。
ところが現行制度では、週30時間以上になると年金、医療、介護(40歳以上)の加入義務があるから、30時間を超すことはない。越したら保険料の半分を会社が払うことになるからだ。
この問題の解決は簡単である。まず医療、介護の保険料を税方式にすることだ。会社の負担は消える。同時に給与の低い労働者の負担も減る。特にパートの場合、朗報である。累進課税制度のもとでは低所得者の所得税は少ないからだ。
次の問題は年金である。これは会社に加入するかしないかを選択させることだ。つまり厚生年金脱退の自由を認めることだ。今日でも、厚生年金の保険料をは払っていない会社が2,3割あるといわれる。払う余力のない会社には脱退させるとよい。無理して徴収するより、加入させない方がすっきりする。その代わり、加入を選択した会社には、全労働者加入を義務化する。こうすると非正規雇用の労働時間は週30時間を超すことになる。
このように会社の負担を減らしたのち、最低賃金を上げることだ。日本の最低賃金はヨーロッパ先進国の半分ぐらいである。為替相場もあるが、ヨーロッパ先進国では日本円に換算すると時給約1500円にはなる。だから1500円とは言わないが、せめて1000円前後は必要だ。地方で950円、東京で1050円ほどから始めるとよい。現在より約300円高くなる。そしてジワリと上げていく。
その効果は、すぐに非正規雇用者の賃金が上がることに現れる。ジワリと上げていくとそのうち正規雇用とあまり変わらなくなる。そうすると正規雇用に移る労働者も増える。正規、非正規の格差が次第に解消していく。
「同一労働・同一賃金にすべし」ということはたやすい。しかし現実にそうならないのは、現在の制度では非正規雇用が正規雇用に比べて経営上、メリットがあるからだ。そのメリットを一つずつつぶしていき、正規雇用の方にメリットがあるようにすると、非正規雇用はおのずから正規雇用に移る。
共産主義者は、需要と供給を一致させることで不況が起きないという。奥さんがロシア人であったことから、ケインズはソ連に招かれた。帰国してこう言った、「ロシアが成功するためには、国民が貨幣(お金)への執着を立ち切ることだ。だが、人間にはそれができない。だから失敗する」。
かく為すべしでは、ものごとは解決しない。インフレにすれば景気は良くなる。だからインフレターゲットでいけ。確かにそうだが、これまでゼロ金利にしてもインフレにならない理由があった。それを解明し、ひとつずつ解決していく他はない。それをしないで無理に強行すれば、失敗する。
同じく、「同一労働、同一賃金にすべし」では、正規・非正規労働の問題は解決しない。非正規が必要とされる理由を解明し、一つずつ解決していく他はない。次の手順で解決していく。
@全労働者雇用保険に入れる。ただし週20時間未満は保険料全額会社負担とする。20時間を超したら原則折半とする。
A医療・介護を税方式に代える。所得税の累進度を上げて費用を賄う。経営者、低所得労働者ともに負担が減る。
B厚生年金の脱退を認める。経営の苦しい会社は国民年金に移る。厚生年金加入の会社は全労働者に加入させる。
以上のステップを踏んだのち 、つまり経営者の負担を軽減したのち、
C最低賃金を上げる。時給1000円から始め、いずれ1500円に持っていく。最低賃金には政府の介入が可能だ。だから上げることができる。
こうして、非正規雇用のメリットを一つずつ、つぶしていくことで同一労働・同一待遇が実現する。
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