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I子とC子が入ってきた。
安心「二人でどうしました」
I子「C子に誘われまして……」
C子「医療・介護を保険方式から税方式にすると、低所得者、経営者ともに負担が消えて、非正規雇用の雇用が増えますね。折半が消えるから。そうでしたね、先生」
安心「そうです」
C子「また給与所得控除を今の下限65万円から130万円に上げる。所得控除の上限は今の245万年から130万円に下げる。つまり一律130万円にする。さらに累進度を1980年代の60%まで上げると、高額所得者のお金で医療・介護の保険料が賄える」
安心「週30時間以上の労働であると、年金・医療・介護保険に加入しなければならない。これが非正規雇用を締め出しているのです。医療・介護を税方式にすると折半はなくなる。
そこで次は年金です」
C子「それを聞きに来ました、I子といっしょに」
安心「今日はひたすら話します。では……
年金制度は元々別々の制度でした。公務員の共済組合、民間の会社員の厚生年金、自営業者の国民年金というように別々に運営されていましたが、その後、国民年金として1階部分が共通化されました。そのため、現在でも極めて複雑です。
自営業者、学生、厚生年金から外れるパートなどは、第1号被保険者になります。保険料を本人が払う。2013年度の保険料は月額1万5040円です。年々上がり、2017年度以降は1万6900円になります。
65歳から支給される老齢基礎年金の給付は2013年度で78万6500円(月額6万5541円)です。給付額は変動し、この数年、月額6万6000円前後です。これは40年間保険料を支払った額で、支払いが少ないと給付も少なくなります。
民間サラリーマン、公務員、私学の教職員は第2号被保険者になります。保険料は給与から引かれます。9万8000円から62万円までの30級に分けて各人の報酬をあてはめ、それに保険料率を掛けます。またボーナスにも保険料がかかります。
現在16%台ですが、2017年9月以降18.30%に固定されます。被保険者と事業主の折半です。給付は民間サラリーマンの場合、基礎年金プラス厚生年金です。公務員と私学の教職員は、基礎年金プラス共済年金になります。これも払った保険料で給付が変わります。
第3号被保険者は第2号被保険者の被扶養配偶者です。保険料は第2号被保険者の保険料から払われ、本人は保険料を払いませんが、65歳になると老齢基礎年金を受け取ります。第1号保険者にくらべて優遇され、批判の出るところです。第1号被保険者は夫も妻も別々に保険料を払うからです。加えてパートで働いても年収130万円未満であれば、被扶養配偶者と認められます。130万円を超えると外れるから、超えない範囲で働くのです。
年金は問題山積です。第3号被保険者制度だけでなく、国民年金の未納問題、公務員と民間サラリーマンの格差問題などがあります。また根本問題は、給付額が少ないことです。国民年金(第1号被保険者)の平均給付は約5万円、第2号被保険者では、民間で約15万円、公務員で約22万円といわれといます。
これでは生活ができない。そこで貯蓄に励む。現在1500兆円と言われる貯蓄の多くは老人のものです。しかし老人の死期はわからない。明日かもしれないし、10年後か20年後かわからない。だからいくら貯金があっても使えない。使えないから景気が良くならないのです。
日本の景気を回復させるのは、実に簡単です。年金で充分生活ができ、医療・介護を充実させ、老後の不安を取り除くことです。不安がなければ老人はお金を使う。これが景気を回復させ、税収をもたらす。給付が充実すれば、消費税を上げても文句は出ない。ヨーロッパの先進国が消費税20%前後で文句が出ないのは、給付が充実しているからです。もちろん低所得者に配慮した軽減税率が採用されています。食料、書籍、子ども衣類などの消費税は0%という所も多いのです。
日本で今なすべきことは、給付を充実させ、安心を与えて消費を促し、貯蓄1500兆円を使わせることです。その上でこれを消費税として吸収すれば、社会保障の財源となるばかりでなく、国債残高1000兆円も減り、つけを子孫に残さなくて済みます。もちろん低所得者に配慮した軽減税率は不可欠です。
現在、公共事業で景気を回復させようとしていますが、これはバブル崩壊後20年間、政府が行ってきたことです。その結果が莫大な赤字です。一時的には景気がよくなっても、根源にある不安を取り除かないと、国民は消費せず、貯蓄するだけです。波及効果は少ない。
このように問題は大ですが、ここでは正規雇用と非正規雇用の格差に戻って考えてみましょう。政府は厚生年金の適用範囲を週労働時間30時間以上から20時間以上にして、パートなどの非正規雇用を厚生年金に加入させようとしています。しかしこれは失敗します。C子さん、どうして」
C子「経営者は必ず、折半を嫌いパートの労働時間を週20時間未満にするからです。現在の制度では、週20時間未満は年金だけでなく医療・介護、雇用保険に加入させなくてよいからです。そうでしょう、先生」
I子「私に言わせて、先生。パートの労働時間はますます少なくなって生活は苦しくなる。善意はマイナスの結果をうむ。経営者の心理がわかっていないからでしょ」
安心「中小企業だけでなく、大企業も安泰ではない。保険料を払いたくないのです。それを考慮すれば、厚生年金の脱退を認めることです。会社に加入するか加入しないかを選択させる。経営の苦しい会社や利己主義経営者の会社に脱退の自由をみとめる。脱退したら経営者も従業員もともに国民年金の第1号被保険者になる。
しかし脱退しない会社には、正規、非正規に関わらず厚生年金に加入させる義務を負わせる。つまり全労働者、第2号被保険者にすることです。
同じ第2号被保険者のうち、公務員や私学の教職員については全員加入を義務づける。これは民間の会社とは異なるからです。公務員は政府の職員、私学の教職員は学校法人だからです。
こうすると、会社は2つに分かれます。1つは厚生年金加入の会社です。パートはすべて週労働時間30時間以上になります。もちろん全労働者、自動的に週20時間以上の雇用保険加入となります。
もう一つは厚生年金に加入しない会社です。社長も従業員も国民年金の第1号被保険者になる。ただし雇用保険加入は義務とし、週20時間未満は保険料全額会社負担、20時間以上は原則折半とします」
C子「多くの会社は厚生年金に加入しますね。なぜなら、加入しない会社の評判は悪くなるから。つまり厚生年金に加入できない経営の悪い会社とかあくどい経営者とみられ、人材が集まらない」
I子「そんな会社には私、絶対行かない」
安心「脱退した会社には5年間の再加入を認めないようにすべきです。入脱退を繰り返すと困る。人材が集まらず、社長一人コツコツと働く。
厚生年金の脱退を認め、医療・介護を税方式にして折半をなくす。こうすると多くの会社のパートは週30時間以上の労働になり、厚生年金に加入します。パートの収入も増えます。
ここで面白い現象が起こります。それは第3号被保険者の多くが労働市場から締め出されることです。第3号被保険者のままでいたいなら、厚生年金に加入していない会社や事業所に勤めるか、働かないようにしなければならない。もっと働きたいと思うなら、30時間以上働いて第3号被保険者から第2号被保険者になる必要がある」
C子「本当に働かないと困る人の労働が増えるのですね」
安心「現時点で可能な政策は、このように会社などの事業所に厚生年金脱退の自由を認め、かつ加入するのであれば全労働者加入を義務づけることです。加えて医療・介護を税方式にし、雇用保険に全労働者加入させる。
法律をちょっと変えるだけで、ほとんどの非正規雇用が週30時間以上の労働に移ります。会社の負担が消え、労働者の収入も増えます」
I子「そんなに簡単に非正規雇用の収入が増えるのに、政府はなぜしないの」
安心「さー、先生もわかりません」
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