07. 2013年7月30日 17:06:08
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自律反発の日本株、円安は進まずイベント前に買い手様子見 2013年 07月 30日 15:35 JST [東京 30日 ロイター] - 日本株は自律反発したが上値は重い。ドル/円の戻りが鈍く、売り方の買い戻しが中心で、買い方は依然様子見だ。米連邦公開市場委員会(FOMC)や7月米雇用統計など重要イベントを控え、商いは薄い。ただ、日米のファンダメンタルズは依然として堅調であることから、材料一巡後は株高・円安トレンドの再開を期待する声も出ている。 <急落の反動で日本株買い戻し> 日経平均.N225は前日までの4営業日で1178円と大きく下落。ほぼ1カ月分の上昇幅を4営業日で消し去った。急落の反動に加え、海外短期筋による参院選後のポジション調整が一巡したとの見方が広がり、30日の東京市場では、先物を中心に買い戻しが入ったという。円高が一服したことでトヨタ自動車(7203.T)など主力輸出株にも押し目買いがみられた。 ただ、日経平均は1万4000円大台には届かず、上値の重さもみせている。「株価急落で買い方は劣勢になり、個人投資家などは含み損を抱えたようだ。投資マインドは冷え込んでおり、株価が上昇すれば売りが出やすくなっている」(国内証券)という。前場の東証1部売買代金は1兆0521億円と薄く、買い方は依然として様子見姿勢を崩していない。 また、ドル/円も98円前半に上昇したが戻りは鈍い。米FOMCや7月米雇用統計などを控え「FOMCでフォワード・ガイダンスがどうなるかなどを見極めるまでは、ドルロングを持ちにくい」(外為アナリスト)という。 岡三証券・投資戦略部シニアストラテジストの大場敬史氏は「円高進行、期待に届かない国内企業決算、消費増税の不透明感など株安材料はいくつか挙げられているが、4日で1000円以上も急落する理由とは考えにくい。不気味さがあり、手控える投資家が多い」と話す。 <材料一巡後は円安・株高再開との見方も> 一方、「日米の経済指標は依然堅調であり、イベントを無事通過すれば円安・株高トレンドが再開する」(東海東京調査センター・シニアストラテジストの柴田秀樹氏)との見方も健在だ。 31日に発表される4─6月期米国内総生産(GDP)は家計の税負担増や連邦歳出の強制的削減等を背景に、市場予想値は前期比年率1.0%と1─3月期の1.8%から減速するとみられている。 ただ、市場では「あくまで過去の数字。税負担の影響などは年後半にかけて薄れていくほか、金利も落ち着いている。米経済が年後半に向けて加速するとの見方は変わっていない」(外資系証券エコノミスト)との声は多い。 30日に発表された日本の6月完全失業率と有効求人倍率は、それぞれリーマンショックの影響が出始める前の水準に回復し、雇用情勢の持ち直しを示した。6月全世帯実質消費支出が予想外のマイナスとなるなど「アベノミクス」の広がりはまだ限定的だが、足元の改善傾向は続いている。 みずほ証券・チーフマーケットエコノミストの上野泰也氏は、6月の有効求人倍率に関して「景気が循環的に回復している中で、被災地の人手不足を含めて全体に上昇基調は変わらず、なお上昇の余地がある」と指摘。 そのうえで「安倍晋三首相のブレーンで内閣官房参与を務める浜田宏一・米エール大名誉教授は有効求人倍率1倍を消費増税の条件のひとつに掲げている。秋の消費増税の判断時期までに1倍に乗るかというと時間的に厳しいだろう。上向きだが、消費増税論議の行方への影響は限られそうだ」との見方を示している。
コラム:新興国襲ったドルキャリー巻き戻しの残存リスク=竹中正治氏 2013年 07月 30日 16:46 JST 竹中正治 龍谷大学経済学部教授(2013年7月30日) 今年5月以降、それまで新興国に流入していたマネーフローが流出に転じ、これら諸国の株価も為替相場も下落に転じた。このことが世界経済の不安定化要因のひとつとして懸念されている。しかも、米連邦準備理事会(FRB)の量的金融緩和(QE)縮小見通しの表明がその原因になったという論評が多い。しかし、そうした理解は私には「原因」と「きっかけ」を混同しているように思える。 たとえば、本フォーラムでも散見される一般的解説に、5月のバーナンキFRB議長によるQE縮小見通し表明が相場調整の引き金を引き、一部新興国の株価と通貨下落をもたらしたというものがある。そして、その結果として、新興国のインフレと景気減速、金融市場の不安定化を招き、それが世界経済に波及することが想定される最悪の事態だという。 ただし事実関係を見ると、新興国への資金流入の減少、あるいは資金流出の傾向は、FRBがQE縮小の可能性を表明する以前の今年2月頃から始まっている。たとえば、日本経済新聞は4月8日の記事で新興国の株価低迷と日米など先進国の株価上昇の対照的な動きを指摘し、次のように述べている。「世界の投資信託の資金の流れを追う調査会社EPFRグローバルによると、2月下旬以降、先進国の株式に投資するファンドへ資金流入が増える一方、新興国株ファンドから資金が流出している」。 また、国際通貨基金(IMF)の「国際金融安定性報告書(2013年4月)」によると、新興国への海外からの資金流入(直近1年間の累積ベース)は、リーマンショック後の09年後半から急激に回復し増加したが、11年前期に流入諸国の国内総生産(GDP)比率5%弱でピークを打ち、12年には同2―3%の水準まで減少していた。 そこで新興国の代表的な株価指数であるMSCIエマージング指数(中国、ブラジル、インド、ロシア、韓国、台湾の株式比率が高い)と各国の景気動向を示す経済協力開発機構(OECD)のコンポジット・リーディング・インディケーター(以下、OECD景気動向指数)を使って、これら諸国の株価と景気動向の関係を見てみよう。 掲載図ではブラジル、中国、インド、ロシア、南アフリカのOECD景気動向指数の平均値を計算し、その前年同月比の変化を横軸にした。縦軸はMSCIエマージング指数の前年同月比である(期間は11年1月―13年6月)。 <新興国の株価指数は2011年にすでに下方シフト> 図を見れば、MSCIエマージング指数とOECD景気動向指数の変化に明瞭な相関関係があることがわかるだろう。 絶対値で0―1までの値をとる両者の相関係数は0.774で1に近い。決定係数は0.6であり、これはOECD景気動向指数の変化で株価指数の変化の60%が説明できることを意味する。対象期間をリーマンショック前の08年1月から13年6月までに拡大して計算すると、相関係数はさらに高くなり0.891、決定係数は0.793となる。 補足すれば、OECD景気動向指数は国によってある程度内訳が異なるが、景気動向に敏感な数種類から10前後の経済統計データの合成でできている。データには当該国の代表的な株価指数も含まれるので、株価指数自体とある程度の相関が生じるのは当然だが、ここで計測された相関度はそれよりずっと高い。また、図では6月のOECD景気動向指数は未公表なので、5月と同じ値を暫定使用した。 図を見てわかる通り、11年5月(緑のスポット)以降、OECD景気動向指数は中心軸の左側に移動し、対前年比較で景気が弱くなっていることを示している(後述するが興味深いことにロイター・ジェフリーズCRB商品指数が示す国際商品市況もほぼ同じ時期に上昇から下落トレンドに転じている)。 それに応じて、株価指数は下方向にシフトし、11年9月(黄色のスポット)には前年同期比でマイナスとなった。つまり、新興国の株価下落はこれら諸国の景気動向を反映したもので、今年5月のバーナンキ議長によるQE縮小の示唆発言よりずっと前に始まっていた変化だといえよう。 <新興国から流出している資金の正体> では、どのような資金が新興国から流出しているのだろうか。米国の対外・対内資金フローを示す統計として同国財務省が毎月公表している「国際資本統計(TIC、Treasury International Capital)」を見てみよう。 新興国からの資金流出が在米投資家の対外証券投資の引き揚げとして生じているならば、米国の対外証券投資の本国還流としてこのデータに表れるはずである。ところが、債券も株式投資も、米国からのアウトフローは今年1月から5月まで旺盛な対外投資が継続している。とりわけ対外株式投資は昨年の月間平均46億ドル(約4600億円)に対して今年1―5月は月間平均195億ドル(約2兆円弱)に跳ね上がっている。 さらに、今年3―5月について米国の対外投資フローの国別の内訳を見ると、日本と欧州向けの証券投資フローは大きく増加する一方で、より小さな規模ではあるが、対中国(含む香港)、対シンガポール、対ケイマン諸島向けのフローは米国への還流(引き揚げ)超過となっている。 いうまでもなくケイマン諸島はタックス・ヘイブンとしてヘッジファンドなどが多数登記されており、登記上は米国と海外のマネーフローを仲介する地域となっている。米国の対外証券投資は昨年より増加しているが、内訳として新興国から先進諸国へのシフトが生じているといえよう。 しかし、もっと大きな変化を示している項目がある。証券投資以外の資金フロー、具体的には在米銀行のドル建て負債勘定が米国への資金還流方向に大きく動いていることだ。この項目での米国への資金還流額は4月999億ドル(約10兆円)、5月1380億ドル(約14兆円)と巨額なものとなっており、既述の証券投資フローより桁がひとつ大きい。 この還流規模はリーマンショック直後の08年10月に次ぐものだ。この項目は在米銀行の対外的な負債勘定であり、その資金還流とは在米銀行の一種の対外的なデレバレッジが起こっていることになる。 <ドル売りキャリートレードの手仕舞い> これは何を意味するのか。ここからはある程度推測である。07年前半まで円のゼロ金利下で円売りキャリートレードの残高が世界的に膨張したように、ドルのゼロ金利下で「ドル売りキャリートレード」の残高がリーマンショック後の世界経済の回復過程で積み上がったのだろう。 ドル売りキャリートレードの投資主体には2つある。第1は米国外のタックス・ヘイブンなどに登記されていることの多いヘッジファンドなど金融レバレッジを常用する投資ファンドである。第2は新興国内の各種法人である。 ここでいう「ドル売りキャリートレード」とはドル借入を負債サイドに置くもので、資産サイドには新興国の株式、債券、不動産、さらに金(ゴールド)や銅をはじめとする様々な資源系国際商品が載っている。ドル相場が上昇(現地通貨が下落)すると為替損が生じるリスクがあるが、負債(ドル借入)と資産(現地通貨建て資産や資源系国際商品)の期待リターン格差が拡大したことが、強い誘因となってドル売りキャリートレードが拡大した。その過程で、新興国では自国通貨相場の上昇、株価や不動産価格の上昇、ならびに国際商品価格の上昇などが起こった。 しかし、中国をはじめ新興国の景気動向に陰りが濃くなると、キャリートレードの投資リターンは次第に悪化した。OECD景気動向指数が11年5月から前年比でマイナスに転じたことはすでに述べた通りだが、ロイター・ジェフリーズCRB商品指数も11年4月をピークに下落トレンドに転じている。資源暴食で走ってきた中国の経済成長に陰りが濃くなるにつれて、資源価格上昇への期待が剥げ落ちたのだろう。 ここで冒頭のような一般的解説に従うならば、今年5月のバーナンキFRB議長によるQE縮小見通しが、すでにドル売りキャリートレードの縮小、撤退のタイミングを模索していた投資家を手仕舞いへと駆り立て、新興国の株価と通貨相場の同時下落の動きが強まったということになる。 しかし、5月のバーナンキ議長のコメントに反応して上昇したのはドルの長期金利である。短期金利はゼロ近傍のままだし、それが引き上げられるのはどんなに早くても14年半ば以降だと見込まれている。ドル売りキャリートレードの負債サイドは通常は短期のドル借入であるから、まだ慌てなくても良いはずではないか。 投資市場とは欲望と恐怖のゲームの場である。次第に陰りが濃くなる新興国の景気や国際商品市況の低下に不安を感じながら、ドル売りキャリートレードの手仕舞いのタイミングに気をもんでいた投資家達は、今年5月に雪崩を起こすように手仕舞いに殺到した。そのきっかけは、ある意味では何でも良かったのだ。 大手ヘッジファンドが中国のシャドーバンキングに絡む投資で巨額の損失を出して行き詰ったという観測情報も、投資残高の手仕舞いに拍車をかけたのだろう。また、「FRBのQE縮小が投機マネーの縮小を招き、資産価格の下落につながる」という直観的な連想と恐怖に突き動かされた者もいただろう。 ここで想起して頂きたいのは97―98年に勃発したアジア通貨危機だ。90年代に好景気が持続して金利が高騰していたタイバーツなどアセアン諸国の現地通貨に対して莫大に積み上がった「ドル売りキャリートレード(ドル売り・現地通貨買い)」の残高が、ヘッジファンドの現地通貨売りアタックを契機に急激に取り崩された。その結果、現地通貨相場の下落と為替損の発生のスパイラルが生じ、通貨・金融危機となった。そして、巨額損失の恐怖に怯えた投資家や金融機関が一斉にデレバレッジ(金融レバレッジの縮小)に走り、危機は世界に伝染した。 <アジア通貨危機の再来リスクは低い> 現状で同様のリスク状況がどこまで広がっているのかは、7月19―20日の主要20カ国・地域(G20)会合でも当然議論になったはずだ。もっとも、FRBは自国の金融政策の舵取りが国外事情によって縛られるのを嫌ったので、妥協の結果、G20の共同声明では次のような玉虫色の文章になった。 「金融政策は、中央銀行の各々のマンデートに従って、国内の物価安定に向けられるとともに、経済の回復を引き続き支援すべきである(中略)我々は、長期間の金融緩和から生じるリスクと意図せざる負の副作用に留意する。金融政策のあり方の将来的な変更については引き続き注意深く測定され、明確なコミュニケーションが行われるであろう」(日本の財務省のウェブサイトより引用)。 問題は、ドル売りキャリートレードの残高は一部が手仕舞われたとはいえ、どの程度残っているかだ。この点については直接的に知り得る統計データはなく、その点ではG20会合に参加した各国財務相・中央銀行総裁らも様々な金融・統計データから推測しているのが実状だろう。 前掲のIMFレポートでは、07年と12年の主要新興国の一般事業法人(非金融機関)全体の外貨建て負債残高が対GDP比率で上昇した国としてブラジル、メキシコ、チリ、韓国、タイをあげている。また、中国は対外借り入れが厳しく規制されているため同比率は低いものの、一般事業法人の自己資本に対する負債比率自体は、07年に比べて突出して上昇しており、国内の信用膨張が目立っている。 上記リスクが97年のアジア通貨危機のような激発性の危機を起こす危険性はないか。その可能性はもちろんゼロではない。しかし、楽観的な見通しを可能にする変化もある。 たとえば、アジア通貨危機の教訓としてアジア諸国を中心に短期の外貨負債の増加に対して各国は国内の規制や予防策を強化している。また、危機予防要因としての外貨準備残高は途上国を中心に激増し、95年の1.4兆ドルから11兆ドル(13年3月末時点)に増えている。そう考えると損失を抱えて行き詰まるヘッジファンドなどは今度も増えるかもしれないが、激発性の国際金融危機に転じる可能性は低いのではなかろうか。 *竹中正治氏は龍谷大学経済学部教授。1979年東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行、為替資金部次長、調査部次長、ワシントンDC駐在員事務所長、国際通貨研究所チーフエコノミストを経て、2009年4月より現職、経済学博士(京都大学)。新著に「稼ぐ経済学 黄金の波に乗る知の技法」(光文社) 竹中平蔵氏が考える、投資家のとるべき行動 「日本経済余命3年」から考える、投資家のとるべき行動とは? 2013.07.22 竹中平蔵 慶應義塾大学教授・グローバルセキュリティ研究所所長 インタビュー 高岡壮一郎(アブラハム・グループ・ホールディングス社長) ---『日本経済「余命3年」』という著書を書かれていますが、考え得る日本経済の最悪シナリオは?
日本経済は本当にやるべきことをすべて先送りしてきて、これ以上は先送りできない状況にある。余命が3年なのか5年なのかは誰にもわからないが、近い将来にちゃんとしたアクションを起こさなければならない。 最大の問題は財政赤字。財務省が言っていることはちょっと極端で、彼らが言うように今日、明日にとんでもないことが起こるわけではない。日本には約1400兆円の個人金融資産がある。累積債務の残高が約1000兆円だから、まだ400兆円の隙間がある。ただし、現状は国内の貯蓄が政府の債務の穴埋めに回され、この400兆円の隙間がどんどん狭まっている状態だ。 この隙間がなくなることが明確になった時点でマーケットは動き出す。『日本経済「余命3年」』は、そのタイムリミットがせいぜい3年だろうという意図で書いたものだ。 ---日本の財政状態が危機的な中で個人投資家は海外投資に目を向けていますが、これについてのお考えは? 日本経済に対して、潜在的な危機感を持っている人はかなりいるはず。
特に自分の裁量で資産を蓄積して、しっかりと自分でリスク管理をしなくてはいけないと思っている人にとっては非常に深刻な問題だ。 巷の評論家がちゃらちゃらと論評するような問題ではない。 日本の財政問題を非常に深刻に考えている人が、海外に向けて投資をするのはよく理解できる。 また、多くの人が日本の為替レートは実力以上の水準ではないかと感じている。実は為替相場を実質実効レートで見ると、そんなにむちゃくちゃな円高になっているわけではない。1995年に対ドルで79円をつけたときと今の79円は意味が違う。 とは言え、この間に日本の国際競争力は大きく落ちた。「競争力が落ちたほどには円安になっていない」という意味で今の円高は深刻だ。 しかし、この円高は早晩崩れる可能性がある。 日本はデフレだが、デフレを是正するための金融政策をきちんとしていないので実質金利がまだ高い。だから円が買われている状況がある。しかし今後は実質金利が低下し、円安に転じる可能性が十分にある。為替レートが相対的に高いうちに、資産を別の通貨で運用しておくことは理に適っている。一つの通貨だけでなく、複数の通貨に分散するのは賢明な選択だと思う。 キャピタルフライトは自然な行為 ---海外の資産に日本の個人投資家のおカネが行ってしまうと、日本の銀行に預けるおカネが減って、その結果国債を買えなくなる。財務省はこれを嫌がり、個人投資家の海外投資を規制したいのではないかという意見もありますが。 今は静かなキャピタルフライトが起き始めていると言える状況。 そういうことに危機感を持っている人は、財務当局の中にいると思う。 しかし、だからといって、いくらなんでもそれを規制することはできない。海外投資に規制がかかると心配する人がいるかもしれないが、そういう意味での危機感をもつ必要はないと思う。資産の健全な運用ということを考えると、海外の資産におカネが流れるのは自然な行為だ。 アルバート・ハーシュマンという開発経済学の権威が、おもしろいことを言っている。「世の中を変える力はつねに2つある。それはVoice(声を上げる)とExit(出口)だ」。まず、「今の政策じゃダメだぞ!」と声を上げる。しかし、ずっと声を上げ続けても政治は変わらない。であるならばExitから出ていく、出口から出ていくという意味だ。 たとえば今、日本の企業が空洞化で海外に移転しているのも、実はもうVoiceでは空しくて、Voiceではダメで、Exitに少しずつ向かいつつあるという状況なのだと思う。 個人のキャピタルフライトも同様。 日本全体からみると情けない話だが、しかし、ひとつひとつの企業、ひとりひとりの個人はもうそんなことを言っていられない。今、日本ではそういう行動が目立ち始めているということではないか。 ---個人のおカネが海外に出て優良資産に投資をした結果、利子・配当という形で日本に帰って来ると、貿易黒字が減る見通しの中で、逆に日本の経常収支にとっていいという考え方もありますが? おっしゃる通りで、それが一つの成熟した国際収支のパターン。実はこの10年くらい、日本の商社はすでにそういう行動をとっている。資源等々に積極的に開発投資をして、そのリターンはすでに数兆円規模に達している。その結果、日本の貿易黒字は減っているが、所得収支の黒字は増えている。所得収支で稼ぐのが成熟した経済のパターンであり、日本もその姿に近づいている。 ---リスクをとって海外投資をしようとしている個人投資家の方々にアドバイスを。 自分が持っている資産総額の関係で、どれくらいのリスクがとれるかを明確に判断することが必要。
一つの通貨やリスクの大きい資産にたくさんの資産を回すのは、賢い投資家のやり方ではない。 しっかり手元の流動性を確保し、自国の通貨もある程度はキープする必要がある。 しかし、しっかりとリターンを稼げるように、ある程度のリスクはとることも大切だ。そして、ローリスク、ミディアムリスク、ハイリスクのバランスをしっかりと考えるべき。 自分の将来の所得計画をちゃんともって、自分がどれくらいの資産を運用できるのかを明確に判断することが必要だ。 竹中平蔵(たけなか・へいぞう)慶応義塾大学教授・ グローバルセキュリティ研究所所長 1951年生まれ。一橋大学卒業後、日本開発銀行を経て、ハーバード大学客員研究員。87年大阪大学経済学部助教授、90年慶応義塾大学総合政策学部助教授。98年「経済戦略会議」メンバー、2001年経済財政政策担当大臣、02年金融担当大臣。04年参議院議員当選、経済財政政策・郵政民営化担当大臣
高岡壮一郎(たかおか・そういちろう) アブラハム・プライベートバンク代表取締役社長 1974年生まれ。東京大学卒業後、三井物産を経て、アブラハム・グループ・ホールディングスを起業。日本最大の富裕層向けプライベートクラブYUCASEE(ゆかし)および、ヘッジファンド等、海外投資に強みを持つ投資助言会社アブラハム・プライベートバンク株式会社(関東財務局金商532号)を経営。http://abraham-bank.co.jp/ メント9件 河島 浩一 · 九州大学 あなたは出口を用意していますか? 返信 · 5 · · 2012年11月21日 1:21 Kazunobu Matsuura 竹中さんはあんまり好きではないけど、うまく運用していそう。 自分は海外に移すほど資産はないしねー。地金でも買うか。 健康だけが唯一の財産。 返信 · 3 · · 2012年10月17日 2:12 澁田 雅博 · 神奈川大学 いや、意外と原稿料やテレビの出演料なので満足していて、運用がいらないんじゃないかな。 返信 · · 1月25日 20:11
島本幸治氏インタビュー インフレ目標を掲げながら、長期金利を抑える方法はあるのか? 2013.07.10 ソシエテ ジェネラル証券会社 支店長兼調査本部長 島本幸治氏 国債相場は足元では落ち着いているが、いつ急上昇するかもしれない一触即発の微妙な均衡を保っている。日銀は2%のインフレ率目標を掲げながら長期金利の上昇は抑えようという、当初からの政策的なジレンマを抱えている。実質的に政府の財政ファイナンスをしている日銀が市場の信認を失えば、一層の円安が進行するのは確実で、国民は海外投資などで資産防衛を行う必要に迫られる。債券分析の権威であるソシエテ ジェネラル証券の島本幸治支店長に聞いた。
インフレ期待が長期金利を押し上げている ――長期金利の現状と今後の見通しは? 日本の大胆な金融緩和策が、流動性の罠やデフレから脱却するきっかけになるのかについては、海外の関心も非常に高い。アベノミクスに対する期待が、当初は株価を押し上げ、円安に弾みをつけた。その後、結局はアベノミクスに対する期待が若干後退する形で株価が下がり、円高の局面もあった。ただしその間も、長期金利はあまり下がっていない。いったんは1%台をつけ、その後は0.8%前後で高止まりの状態が続いている。 もともと大胆な量的緩和が導入されたことで、日本銀行による国債買い入れが増えるわけだから、需給がひっ迫して金利が下がるだろうという見方が多かった。黒田総裁自身も金利を押し下げるという言い方を当初はしていた。市場参加者から見ても需給的に考えると10兆円の新規供給に対して7兆円を日銀が買い上げるというオペレーションを続けていると、国債が足りなくなるので金利が大きく下がるだろうという見方が多かった。 ところが実際に始めてみると意に反して、金利が上がっている。この背景には誰が売っているかという思惑以上に、ファンダメンタルズが影響している。これまでデフレが続いてきたが、今後はデフレ一辺倒ではなく、原材料価格が上がったり、これまで一方的に続いていた円高が円安方向に転じたり、消費税の引き上げも含めて、物価が上がる要因が増えてきている。市場が期待するインフレ率が上がり始めている。これが長期金利を押し上げていると言っていいだろう。 長期金利は市場の需給で動くが、実際には実体経済との裁定が働くので、期待成長率+期待インフレ率+リスクプレミアムで決まると考えられる。今までのデフレ状態からは変わるだろうということで、期待インフレ率の上昇が名目金利を押し上げている。 意に反して長期金利が上がっているという意味では日銀も批判にさらされているが、もともと日銀がやろうとしている政策が、国債の買い入れは増やすが、将来的にはインフレ率を押し上げる政策なので、その効果を先取りする形で市場が動き始めている。一概に日銀批判が妥当なのではなく、その効果に対する期待も出てきているということだ。 ただし、今は期待インフレ率の上昇による名目金利の上昇ということで解釈できる範囲内だが、今後は実体経済に悪影響が及ぶような金利上昇に留意が必要だ。問題は財政再建。プライマリーバランスをどう黒字にするかについては、明確な道筋がたっていないし、歳出をしっかり抑制しようという姿勢はあまりアベノミクスの中では出てきていない。成長を高めるような規制緩和も踏み込み不足。 ふたを開けてみれば金融緩和だけで、期待インフレ率の上昇を先取りしているとはいえ、結果的に長期金利上昇で実体経済に弊害も出ているので、金融緩和の効果が十分出ていない中で期待がしぼみつつあるというのが実情だ。 今後は悪い金利上昇に懸念 ――名目金利が上がっても期待インフレ率の上昇で、結果、実質金利が上がらなければよいという意見もあるが。
実質金利が直接、景気を押し上げたり押し下げたりするので、期待インフレ率が高まって名目金利が上がっても、実質金利が下がっていればいいというのが教科書的な解釈にはなる。 今の状況は長期金利が0.3%から0.8%に上がって、これは主に期待インフレ率上昇が要因なので実質金利が景気を抑制するほど上がっているわけではない。今の金利上昇が実体経済にマイナスかというと、今のところはそれほどでもない。 ただし今後は、悪い金利上昇のリスクが出てくるので注意が必要だ。 ――中期財政計画でも財政再建の糸口が見えない中で、米国でQE3の出口戦略が議論され始めた。 今、新発国債10兆円のうち、7兆円を日銀が買っているわけだが、この金額を増やすのはどんどんむずかしくなってくる。アメリカでは出口政策が議論されて量的緩和を減らす方向だ。ヨーロッパの情勢はまだ混とんとしているが、ドイツの総選挙後、金融緩和を見直す可能性が広がってくるだろう。こういう状況で日銀だけが、今の金融緩和を続けられるのかという問題がある。日銀の量的緩和は、もう限られた時間しか続けられないだろう。 10兆円のうち7兆円を日銀が購入するということは、ネットの供給は3兆円。国債の発行額そのものは11兆円、12兆円と増えてきても、一定量以上に日銀の買いを増やすことはむずかしい。そうすると、いずれは需給の影響が出てくるだろう。財政政策と一緒で、国債買い入れの金融緩和策も、一回強化するとそれが前提になるので、維持することはできても、なかなか買い入れ金額を増やすことができない。そうすると、結局は供給が増えることが、これから市場で意識されてくる。 いったん1%に上がった時点で、今は日銀も1%は超えさせないオペレーションをしているので0.8%前後で安定している。ただし、今後も財政健全化の方向がなかなか見えず来年、再来年も国債が増発されるとなると、将来の需給悪化に影響してくる可能性がある。 長期金利が今の0.8%くらいであれば実質金利も安定しているが、1%を超えたり、1%の半ばまで近づいたりしてくると、実体経済にも悪影響が出てくるだろう。今後はそのような動きに警戒が必要だ。 日銀は長期金利をコントロールできない ――インフレ率目標2%を掲げながら長期金利を抑えようというのが、そもそも政策として矛盾していた? 名目金利は抑えるが期待インフレ率は上昇させるという政策は、理論的には矛盾している。市場参加者から見れば、日銀が目指しているファンダメンタルズはインフレ率上昇である半面、目先の需給は長期金利低下要因。総裁自身は長期金利を下げるオペレーションをしていると発言しているので、市場参加者は混乱して、つかみどころがなくなっている。 日銀は短期金利ならコントロールできるが、長期金利は実体経済が決める。1940年代には長期金利に政府が関与する政策がとられたが、今はそのような時代ではない。市場の時代であり、為替レートの影響もある。長期金利の水準に政府や当局が関与するということは、むずかしい時代になっている。 ――具体的に長期金利は何%くらいで推移しそうか? 今後も需給はそんなに悪くないので、しばらくは0.8%程度で推移するが、米国ではQE3の出口戦略に対する警戒感が出て長期金利が上昇しているので、日本も量的緩和策の強化はむずかしくなる。そんな中で国債発行額は増えていくので、需給に対する警戒感は今後、金利を押し上げる方向に働きやすい。 さらに期待インフレ率が上昇すると、年末か年度末には1%を超えてくるだろう。1.3〜1.4%程度に達する可能性もある。 ――仮にさらに長期金利が急騰するような可能性があるとすればどのようなシナリオが考えられるか? たとえば、もし消費税率の引き上げが先送りされて、日本の財政規律に対する不安が出てきた場合。あるいは、アメリカの出口戦略がより早く実行されるという警戒感が強まり、日本の長期金利もつられて上昇する場合などが考えられる。 もう少し長い時間軸で考えると、アメリカが量的緩和の出口に達しても、日本はそう簡単に金利を上げられないので、内外の金利差が広がることで円安が加速するシナリオだ。円安を止める手段としては利上げしかないが、この場合利払い負担の問題が出てくる。 今、日本の政府部門は大きな借金を抱えているが、金利が低いことで発散を抑えている状況。なので、今の金融緩和の枠組みが崩れて円安に弾みがつき、円安を止めるために引き締めをしなければならないとなると、利払い負担の増加、財政の悪化の相乗効果で収拾がつかなくなるというリスクシナリオもある。 ――長期金利が急騰すると金融機関にはどのような影響が出てくるのか? やはり国債をもっている投資家にとっては、金利上昇はネガティブな要因になる。あとはスピードの問題だろう。今の形でゆっくり上昇するなら、そんなに大きなダメージはならないが、たとえば一気に1%台後半に行くような事態になると、金融機関が受ける打撃は大きい。 日銀がインフレ目標2%を断念するシナリオも ――日銀は市場を安定させるためにどのようなオペレーションをすべきか? 日銀が何をするべきなのかということより、金利の決定要因はすでに日銀以外のところにあると言ってよいだろう。確かに黒田総裁はレジュームチェンジを市場に印象付けさせようと、1回目にもう逐次投入の必要がないような大型の政策を打ち出したが、市場との対話に不十分な部分があった。批判を受けて今は対話を増やし、市場とのコミュニケーションを図っているところだ。 ただし、日銀の選択肢は減ってきている。アメリカのQE3の終了に逆らって逆噴射で政策を打ち出すのはむずかしくなってくるので、日銀ができることは限界が近くなってきている。金融政策はあくまで時間稼ぎで、政府の財政政策や規制緩和策のほうが、この段階では重要だ。 ――アメリカと方向感が違ってもあえて日銀が続ける可能性は? そこは為替とインフレ次第だ。黒田緩和はみんなの期待が非常に強い中、ポピュリズムで生まれた面もあったが、今後できることはメニューの面でも限られてきている。インフレ率2%の目標を掲げているが、インフレ率が2%の状況になると、エネルギー価格や電気料金はさらに上昇するので人々には受け入れがたい側面がある。 ポピュリズム的に生まれた緩和期待であっても、実際にインフレ率が上がって生活が豊かにならないと、金融政策を求める世論が変わってくることがある。あまり過度な金融緩和をしても結局は賃金が上がらずに輸入品の値上がりなどでインフレだけになると、追加緩和は政策的に成り立ちにくい。アメリカが金融緩和を緩めると金利面でドルに上昇圧力がかかるので、そういう中で追加緩和というのはむずかしくなると思う。 ――そうするとインフレ目標2%の旗を降ろす可能性もある? あると思う。インフレ率2%の実現性や妥当性に関する議論はいずれ出てくるだろう。 人気アクセスランキング 1位 投資信託残高を数倍に増やすために 2位 個人投資家は騙されるな!これからもっと日本株は下がる 3位 竹中平蔵氏が考える投資家のとるべき行動 4位 「いつかは ゆかし」に速攻で入会した人たちは何者だったのか? 5位 株高は6ヶ月以内にバブル崩
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