03. 2013年7月30日 14:02:11
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雇用情勢持ち直し続く、消費増税の判断後押しも 2013年 07月 30日 12:30 JST [東京 30日 ロイター] - 30日に発表された完全失業率と有効求人倍率が、それぞれリーマンショックの影響が出始める前の水準に回復し、雇用情勢の持ち直しが続いている。雇用情勢の改善傾向は、足元で一服感もみられる個人消費の下支えに寄与することが期待されるとともに、来春に予定されている消費税率引き上げの判断を後押しする可能性がある。 総務省が30日発表した労働力調査によると、6月の完全失業率(季節調整値)は前月から0.2ポイント改善の3.9%となった。完全失業率が3%台に低下するのは2008年10月の3.8%以来、4年8カ月ぶりだ。 6月は非労働力人口が増加するなど労働市場から退出する動きが失業率を押し下げた面もあるが、雇用者数は増加しており、生産年齢人口における就業率は71.9%と過去最高を更新。労働市場の持ち直しを確認する内容となった。 厚生労働省が同日に発表した6月の有効求人倍率も前月から0.02ポイント上昇の0.92倍となった。これは2008年6月の0.92倍以来、5年ぶりの高水準。新規求人倍率も同0.07ポイント上昇の1.49倍となるなど、実際の雇用に先行する求人の増加傾向が続いており、今後も雇用情勢の改善が見込まれる。 失業率、有効求人倍率ともに2008年9月に発生したリーマン・ショックの影響が出始める前の水準を回復するなど改善基調を続けている。菅義偉官房長官は雇用関連指標を受けて「アベノミクスによる景気回復に向けた動きが雇用にも波及し始めている」と評価。金融、財政、成長戦略の3本の矢を一体的に進めていくことで「早期のデフレ脱却と民間主導の持続的な経済成長を実現していく」と強調した。 一方で総務省が30日に発表した6月家計調査では、全世帯(単身世帯除く2人以上の世帯)の消費支出が前年に比べて実質で0.4%減となり、2カ月連続で減少した。 減少の背景には、前年にエコカー補助金や住宅エコポイントなどの政策効果で消費が伸びたことの反動があるが、株高・円安要因を含めた個人消費の増勢にも、ここにきて一服感がみられる。持続的な個人消費の増加には雇用・所得環境の改善が不可欠な状況だ。 雇用情勢は来春に予定されている消費税率の引き上げ判断にも影響する。安倍晋三首相は今秋にも4─6月期の実質国内総生産(GDP)などを踏まえて是非を判断する方針。安倍首相の経済ブレーンを務める浜田宏一内閣官房参与(米エール大名誉教授)は23日のロイターとのインタビューで、増税判断には「有効求人倍率が全国で1倍を超える、失業率も3%台に入るなど雇用とGDPが、今後も続いていく勢いがあることが重要だ」と語っている。 現段階で有効求人倍率の1倍には距離があるが、完全失業率は3%台に入った。消費増税引き上げに伴う個人消費への悪影響を最小限に抑えるためにも、雇用情勢の持ち直し継続が期待される。 (伊藤 純夫 編集;田巻 一彦)
失業率低下はひとつの例、消費増税は秋に総合判断=麻生財務相 2013年 07月 30日 13:30 JST [東京 30日 ロイター] - 麻生太郎財務相は30日午前の閣議後会見で、総務省が発表した6月の完全失業率が4年8カ月ぶりの低水準を記録したことを「いい数字」と評価しながら、消費税率の引き上げは今秋に総合的に判断するとの認識を重ねて示した。 6月の完全失業率(季節調整値)は3.9%と、前月の4.1%から0.2ポイント改善。08年10月以来の水準となった。財務相は失業率の低下を「ひとつの例」としながら、消費増税は「いろいろなものを勘案して、最終的に秋に決断する」と述べるにとどめた。 <消費増税の最終判断、9月9日以降> 消費増税の決定時期については、判断の「ひとつの大きな目安になる」4─6月期の国内総生産(GDP)2次速報が9月9日に発表されるとして、5─6日にかけて行われるG20首脳会合(サンクトペテルブルグ・サミット)の開催時点では「まだできていない」と述べた。 財務相は9月のサミットへ、中期財政計画を提出する方針にもあらためて言及。計画は「(15年度の)基礎的財政収支の赤字半減目標に沿った形で、歳出・収支を考えながら」策定するとしたが、消費増税法には3%と2%の2段階引き上げが明記されているとして「それを基本的な数字として考えている」と話した。ただ、続けて「最終的には18条2項(の景気条項)があるので、(判断は)9日以降になる。ふたつに分けて考えないとできない」とした。 日銀の黒田東彦総裁が29日の講演で、消費税率を計画通り引き上げても「成長が大きく損なわれることはない」と述べたことには「日銀としての見解を述べられた。財務省は18条2項(の景気条項)に沿って決める」と述べた。 <国内経済、気分的に良くなっている> 今年上期の経済情勢についての質問には、「世の中の先物指標としてのひとつの大きな基準」として株価の上昇などを指摘。「気分的には良くなっているのは確かだ」との認識を示した。 (ロイターニュース 基太村真司;編集 田中志保)
アベノミクス「50点」、GPIFは多様化進めよ−慶大小幡氏 7月26日(ブルームバーグ):「リフレはヤバい」などの著書で知られる慶応大学大学院の小幡績准教授(45)は、安倍晋三政権が進める経済政策、いわゆるアベノミクスに「点数を付けるなら50点」と辛口採点だ。今後はこれまでの期待が剥落し、実際に打ち出される政策に国民の間から不満が出始める、とみている。 小幡氏が19日、ブルームバーグ・ニュースの取材に応じた。この中でアベノミクスについて、日本を覆う閉塞感を一掃し、「雰囲気を良くした点では100点だが、金融政策を中心に手段は最悪で0点。足して2で割ると50点になる」と述べた。政策の中身がゼロで、「中長期的にはごまかしが効かなくなり、徐々に悪い方の効果、副作用が出てくるのではないか」と懸念を示す。 日本銀行の黒田東彦総裁が4月に打ち出した量的・質的金融緩和について、小幡氏自ら言うように「非常に批判的」な立場。異次元緩和はインフレを起こそうとしており、「当然、名目金利は上昇傾向をたどる。金利上昇は設備投資、個人消費にマイナスなほか、国債価格の下落による中小金融機関の行き詰まりも懸念される」と指摘した。株価上昇による資産効果はプラスだが、「バブル的になれば、反動が大きなマイナスになる」と言う。 リスクの大きさを踏まえれば、「異次元緩和はフェードアウトさせなければならない」と強調。市場に逆ショックを与えないように、まずは「さらなる緩和的政策を求める一部の要求に対し、期待感を下げていくことから始める必要がある」としている。 参院選後はいばら道、財源や消費税 「安倍政権はこれまで勢いよくきたが、参院選後は難しくなる」と小幡氏。衆参両院の多数派が異なる「ねじれ」解消で、政治は安定するとみられるが、国民は「政局が安定しさえすれば良いとの考えから、政策の中身に苦情を言う段階に入ろう」とし、「政策、政権に対する支持率という意味ではより厳しくなってくる」と読む。 具体的には、円安進行を受けた原材料や製品輸入コストの増加が与える影響、先行した期待が実現しないことへの不満などが警戒され、年金や医療を含めた「社会保障の財源問題など、既得権益が絡む難題は何も解決しない」との見方を示した。 財政健全化に向けた政策として小幡氏は、来年4月からの消費税率引き上げの是非を政府が今秋に最終判断することに注目する。「5%から8%に上げるかどうか、その後に10%に上げるかどうかといった二者択一で決断を迫られており、ごまかしが効かない」と指摘。上げる、上げない「どちらもネガティブな要素がある」としながらも、マーケットに「大きな波乱をもたらすのは、上げなかった場合だろう」とみる。 こうしたマイナス面を和らげるため、小幡氏は消費税率の引き上げ方法として、10%になるまで毎年1%ずつ上げていくよう提案。事務対応コストはかかるものの、「反動減を抑えられ、景気判断をする必要もなくなる」とメリットを説明した。 GPIFに運用多様化の必要性 小幡氏は、国民年金と厚生年金の保険料を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)で、運用委員会委員も務めている。日本の年金運用について、「総じて改善の余地が非常に大きい」とし、GPIFは「もっと資産の多様化を進めるべき」との認識を示した。 不動産や不動産投資信託(J−REIT )などを投資対象に含める余地があるほか、「国内資産のウエートが過大であることは間違いなく、ホームバイアスの是正も極めて重要」と指摘。国内外の債券・株式の伝統的4資産による運用構成ではなく、「現代の多様化を反映したカテゴリーに変えるのも一つの考え方。変えなくても、ウエート付けにおいてもっと多様な資産を買う余地があるのではないか」としている。GPIFは、世界最大規模の年金運用機関。 記事に関する記者への問い合わせ先:東京 河野敏 skawano1@bloomberg.net;東京 Tom Redmond tredmond3@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先:Nick Gentle ngentle2@bloomberg.net;大久保義人 yokubo1@bloomberg.net 更新日時: 2013/07/30 13:15 JST
依然若干の緩和余地、豪ドルのさらなる下落も=豪中銀総裁 2013年 07月 30日 13:36 JST [シドニー 30日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(中央銀行、RBA)のスティーブンス総裁は30日、経済支援で利下げが必要な場合、インフレは障害とはならないとの認識を示した。また、長期にわたる鉱業部門への投資ブーム終了を見据えた厳しい状況に言及した。
「ブーム後の経済政策」と題する演説の内容が明らかになった。 この中で総裁は、最近の豪ドルの下落を歓迎するとともに、さらなる下落があっても驚きはないとの認識を示した。 総裁は「中銀は最近、インフレ見通しからみて必要なら需要を支援するためにさらなる緩和政策の余地があることを指摘してきた。最近のインフレ統計でその評価が変わったようには思えない」との考えを示した。 先週発表された第2・四半期のインフレ率は約2.4%で、中銀の長期目標バンドである2─3%におさまっている。 指標発表を受け、市場では中銀が次回8月6日の金融政策決定会合で政策金利を過去最低の2.5%からさらに0.25%ポイント引き下げるとの観測が強まっている。 控えめな内需や緩やかに上昇しつつある失業率、穏やかなインフレは、さらなる刺激策の可能性を示唆している。 30日に発表された6月の住宅着工許可件数も予想を大幅に下回り、金融緩和圧力がさらに増す内容だった。市場では、来週の利下げの確率は75%と織り込まれている。 総裁は、住宅および資産価格の上昇が利下げの妨げになるとの懸念を否定。低金利は投資家に若干のリスクをとることを促す意図があると説明した。 中銀が前回利下げを実施したのは5月。オーストラリアでは、世界的金融危機を受け家計が消費より貯蓄を選択する傾向が続いている。 また総裁は、過去数年続いた鉱業投資ブームが頭打ちとなっていることについては、新たな成長源を見いだすことが重要と指摘。「大幅な投資拡大は終わり、タイミングは不透明ながら今後は縮小が予想される。かなり大幅な落ち込みとなる見通しで、全体の経済成長の圧迫要因となる公算が大きい」との見方を示した。 この一部を相殺するものとしては、鉱業投資によって増加する生産量をあげた。鉄鉱石の出荷はすでに年間約15%増えており、液化天然ガスの輸出は2015年から大幅に増加する見通しだという。 さらに総裁は、支援要因として豪ドルの下落を指摘した。豪ドルは対米ドルで4月以来約13%下落しており、国内の鉱業セクターを支援している。 「最近の豪ドルの下落は、マクロ経済的にみて妥当だ。今後さらに下落しても、大きな驚きはない」と語った。 |