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最近の言動を聞く限り、政府(財務省)は、消費税増税延期にやや傾いているように思える。
消費税増税は、グローバル企業の国際競争力強化を“裏から”支援する政策である。
そのような観点で考えれば、グローバル企業の円ベースでの利益増加を支えている円ドル及び円ユーロの安値レートがどうなるかが、消費税増税の“唯一”の判断基準になるはずだ。
円ドル相場が9月末で95円を超えて円安なら消費税増税は延期で、迷うのは90円から95円のあいだのレートのときだろう。
たとえ、1ドル=80円でも、経済社会を歪め、デフレ基調という現状の日本では悲劇的な経済低迷に陥る消費税増税には反対だが、90円以上の円安なら増税延期と腹を括ってもらいたい。
小泉政権時代に消費税増税が政策課題にならなかった大きな理由は、円キャリートレードや膨大なドル買い(アフガン&イラク戦争戦費の融通)もあり、破格の円安水準が続いていたからである。
そして、消費税増税が菅内閣発足と同時に政策課題に上ってきたのは、リーマンショック後の巻き戻しとユーロ銀行危機で厳しい円高基調に転じたからにほかならない。
● 「政権がデフレ脱却を最優先の課題に掲げる中、菅長官は賃金上昇も最終判断の大きな材料になるとの見方を示した」
既にベースアップも賞与も年間で決まっているのだから、賃金動向が最終判断の大きな材料というのなら、大企業でも1%そこそこという賃金総額上昇でしかないのだから、消費税増税は延期するしかないだろう。
さらに、国家公務員や地方公務員は、消費税増税法案と引き換えに年限付きの賃下げになっており、生活保護費も8月から徐々に削られ、年金支給額も10月から減額調整される。このような状況で来年4月から消費税税率をアップすれば、経済がどうなるか火を見るより明らかであろう。
マイナスを脱したとされる現状のCPIも、電力料金などエネルギー価格の上昇で否応なく上昇したものであり、悪性インフレになる危険性に満ち満ちたものだ。
● 「1997年4月に消費税率を5%に引き上げた時は、その後の景気後退などで税収は減少傾向が続いた。菅長官は当時の経済財政の状況について「なぜそうなったのか、何の対策があればそうならなかったのか検証している」と明らかにした」
政権や与党が何度もこの問題に触れているのに、消費税増税に反対する政治勢力が問題視しないのだからどうしようもない。
消費税増税でも税収が減少ということについて、「なぜそうなったのか」という問いには簡単に答えられる。
可処分所得が増えないなかでの消費税増税は、売上単価アップ(荒利増加)が実現できにくく、消費税の内実である「給与所得課税+支払利息課税+返済元本課税+利益課税」がもろに企業業績に打撃を与え、翌年からの賃金動向にも影響を与えるからである。
さらに始末に悪いことに、消費税を1円も負担しないどころか膨大な還付金を受ける企業は、消費税増税を理由に売上単価アップ(荒利増加)が実現できるというオマケまでついている。
消費税は「給与所得課税+支払利息課税+返済元本課税+利益課税」だから、同じ営業利益で税引き前利益が出ていた企業が消費税負担増で赤字に転落する事態も多発する。
赤字にならずとも、消費税負担増により法人税の課税ベースが狭くなるから、法人税は大きな減収になる。消費税が6兆円の増収になれば、法人税は、景気動向にかかわらず、2兆円ほどの減収になる。(還付金を受けるグローバル企業はその分、どのみちヒトのカネだが見掛け的には法人税負担増になる)
また、多くの企業が消費税増税前と同じ利益を残そうと考えれば、付加価値のおよそ60%を占めている賃金を切り下げることになる。そうなれば、給与所得税が大きく減少する。
このように、デフレ下ないし景気低迷時の消費税(付加価値税)増税は、税収全体の減収をもたらすものなのである。
税収減はともかく、税収が減るということは、経済がさらに低迷することを意味する。
「何の対策があればそうならなかったのか」という問いには、バカバカしい話だが、財政によるバラマキで全国民が消費税増税を上回る購買力増加を手に入れられるようにするしかないと答えることができる。
消費税増税で税収を減らさないためには、消費税増税分(6兆円)を超えるバラマキをやらなければならないという喜劇の台本のような策しかないのである。
安倍首相や財務省官僚に言いたい。このようなことはわかっているはずだから、円レートのウォッチを続け、すみやかに増税延期の決定をして貰いたい。
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消費増税「秋の臨時国会前に首相が判断」 官房長官
2013/7/28 18:45
菅義偉官房長官は28日のフジテレビ番組で、2014年4月の消費税率引き上げについて「秋の臨時国会の前までに安倍晋三首相が判断する」との見通しを示した。同時に「デフレ脱却は安倍政権の一大事業。安易に決めず、ありとあらゆる指標、可能性を国民に示した方がいい」と述べ、引き上げの時期や幅で複数案を検討する必要性も示唆した。
政府は秋の臨時国会を10月に召集する予定。菅長官は消費増税の判断時期について、これまで9月9日発表の4〜6月期の国内総生産(GDP)改定値などをもとに判断するとしていた。28日の番組では、8月にまとめる中期財政計画が「消費税率引き上げを決め打ちするものではない」と改めて強調した。
政権がデフレ脱却を最優先の課題に掲げる中、菅長官は賃金上昇も最終判断の大きな材料になるとの見方を示した。
1997年4月に消費税率を5%に引き上げた時は、その後の景気後退などで税収は減少傾向が続いた。菅長官は当時の経済財政の状況について「なぜそうなったのか、何の対策があればそうならなかったのか検証している」と明らかにした。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS2800K_Y3A720C1PE8000/?dg=1
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