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参院選も圧勝の与党。アベノミクスも信任を得たのか(撮影:尾形 文繁)
安倍首相、国民はアベノミクスを認めてません ぐっちーさんが読む、ちょっと先のマーケット
http://toyokeizai.net/articles/-/16267
2013年07月26日 ぐっちーさん :投資銀行家 東洋経済オンライン
参議院選挙に勝利したことで、安倍晋三首相は、これでアベノミクスに象徴される経済政策が支持された、背中を押された、と発言していますね。みなさん、本当にどうなんでしょうか?
■日本の輸出依存率は、わずか15%しかない
まず円安です。私は自分の著作(→ぐっちーさんの新著はこちら)でも何度も書いていますが、日本は輸出依存率がわずか15%しかなく、大部分は輸出とは関係のない内需企業なのです。上場企業約3500社のうち、海外売上比率が50%を超える企業は僅か250社程度です。ですからこの円安で確実にメリットがあったのはその250社に限られると言ってもいいわけです。
大手新聞は円安による輸出増加によって景気が回復と謳うわけですが、残念ながら輸出は期待ほど増えておらず、貿易赤字も高止まり。一体どう釈明をするのでしょうか??
これは当たり前の話で、輸出のほぼ半分は円建て決済なのです。一方輸入の70%はドル建てです。そうなるとどうなるか?
■生活品は、値上げの嵐が吹いている
これは小学生でもわかることですが、円安によってメリットがある輸出部門は極めて限られており、一方円安によって値上がりしてしまう輸入品が続出するという状態になります。
現に、ガソリンからツナ缶に至るまで生活品は値上げの嵐です。
実際私がいま仕事をしている東北ではガソリンをはじめ、燃料費が高騰、すでに漁船は燃料費に見合わないため漁にも出られない状態です。夏でこの状態ですから、冬になったらどうなるでしょうか。
ハウス物の農産物はすべて灯油をたいて温めているのです。今年の冬場の野菜の値上がりは必至でしょう。つまり円安でメリットを得ているのはほんの一握りの輸出大企業なのです。そしてその円安による収益を広告宣伝費につぎ込むため、テレビ、新聞などのジャーナリズムは実に批判しにくい、という構図が出来上がってしまっています。
私の友人の某民放のディレクターもなかなか表だって円安を批判しにくい・・・とこぼしていました。
■日経平均株価は、日本経済を映していない
日銀短観を見ても、プラスになったのは大企業製造業のみ。中小企業のDIはいまだにマイナスなのです。企業数で見れば99.7%、雇用で見ても70%は中小企業によって占められているのが日本経済の現状なのです。円安によって痛むのは中小企業とその従業員です。これでも安倍晋三首相は、まだ経済政策に支持を受けたと言い張るつもりなのでしょうか?
株高も、要するに日経平均に採用されるような大企業の株が上がっているということだけで、その内実は輸出に傾斜した大企業の株がインデックスに多数入っているわけで、日経平均が日本経済を映しているなどと思ったら大間違いでしょう。
今回の選挙結果は、あまりにもひどかった民主党政権の何も決められない政治に対する拒否反応と見ていいと思います。自民党政権を100%容認したものではなく、民主党にだけは戻したくない、というバイアスが未だに働いていると見るべきでしょう。
思えば民主党政権のテイタラクは確かにすさまじかった。
個人的にびっくりしたのは日米の教師を交換して派遣しましょう、というJETというプログラムがあるのですがこの予算をカットしようとしたことです。
実はこのJETで日本に滞在し、日本のファンになった・・・というアメリカ人教師は非常に多く、このプログラムはアメリカでもとても評判が良いものです。にもかかわらず、これをカットするという話が出てきたわけですね。何も知らないそのへんのおばさんが勝手にカットする、と言い出したわけです。アメリカに行って評判を聞けば大変に有効なものだということがすぐわかるのに・・・・
国会議員の外遊をすべてやめれば、簡単にねん出できるような程度の金額ですよ。これをなくすと言うわけです。ただでさえ、日本は海外に対する売り込みがへたくそです。
みなさん、特にこれを読んでいるだろう皆様の奥様はご存じないかもしれませんが、あの韓流ドラマというのは韓国政府の予算を使った国家プロジェクトなんですよ。韓国政府の韓国のイメージをアップするための彼らの作戦に日本人がまんまとはまっているわけです。チャン・グンソクだけではなく、チェ・ジュウからKARAまですべて国家プロジェクトです。
日本を含め、東南アジアではこの韓国政府のキャンペーンは大成功しています。例えばシンガポールの旅行社が韓国旅行のパッケージを売ろうとしてチャン・グンソクの写真を勝手にパソコンでコピーしてパンフレットを作るとします。これ、韓国政府の方針ですべてOKです。勝手に使ってもらってもかまわない、と国がお墨付きをつけています。
■日本は、チャンスをみすみす逃している
しかし、一方でその旅行者が日本への旅行をプロモーションしようと福山雅治さんの写真を勝手にコピーして配ったら一発でアウト。
国そのものがプロモーションに携わるわけですから、ジャニーズ事務所一社で海外に殴り込みをかけるのとはわけが違う。
例えば年末恒例の紅白歌合戦。海外でも日本の歌がいっぺんに見ることができるわけですから、海賊版が出回るほどの人気です。しかしNHKもこれをDVDでは売ることができない。なぜか?約50人に及ぶ歌手の一人一人とすべて海外販売に関する契約をしなければならず、収拾がつかないからです。素晴らしい日本を売る絶好の機会をみすみす逃していると言えますね。
そもそも日本はいまだに製造業輸出がすべてだと思っているフシがあり、こういうソフトに関してはすべて本人頼みで、結果的に現在はたまたまクールジャパンという風が吹いているだけであります。韓国のように国を挙げて文化を輸出することにもっと予算を割いても良いのではないでしょうか。
みなさんがフォアグラ、ワインなどが高級品だと思って珍重しているのもすべて長年渡るフランス政府のキャンペーンの成果です。フランスは早くから自国文化を輸出することに熱心で、アジアではそれを韓国がやっていて、中国がそれに続くという状態です。
いずれにせよ、こういう予算までカットしに行った民主党は確かに「とても任せられない」政権であったことは間違いありませんね。ちなみに、の韓国政府の肝いりの歌手や芸能人も東南アジアでは通用してもアメリカでは全く通用しませんでした。理由はわかりませんが、ペヨンジュンもパパラッチもアメリカでは不発でした。
ところが・・
全米はおろか、世界中を席巻した韓国人歌手が突然出たわけです。そう、あの腹の出た中年の男、妙な踊りのカンナムスタイルですね。あれだけは韓国政府は一銭も出していないそうですが、歌手のPSYは全米の主要ネットワークを占拠したのです。皮肉と言えば皮肉ですがまあ、流行というのはそういうものかもしれません。
■国民はアベノミクスに承認を与えたわけではない
しかし、いずれにせよ、日本政府はこの種の支出を渋り、つまらん公共事業や輸出振興にお金をかける傾向があります。安倍首相もクールジャパンとかいうなら、こういうものに支出を増やすべきではないでしょうか。
このままいくと秋口から冬にかけては、円安による燃料費の高騰で悲鳴が聞こえてくるでしょう。国民はアベノミクスに承認を与えたわけではなく、もう少し様子を見てみよう、と思ったに過ぎないと思います。このあたりを誤解しないで経済運営をするべきだろうと思いますけどね。いかがでしょう。
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