03. 2013年7月24日 16:36:55
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米経済を占う「緩和継続?縮小?」 FRBバーナンキ議長 「米経済、緩和が必要」早期の緩和縮小観測鎮める 米調査会社ファクトセットのデータを元に日経新聞がまとめた集計によると、6月末時点の時価総額で、世界のトップ10にアメリカ企業が9社入り、半年前の5社から躍進したことがわかりました。中国の著しい後退、アメリカの復帰がここでも明らかになりました。グローバル企業はアメリカに依存しない態勢がかなりできていますが、アメリカ経済は非常に堅調で、さらに調子がいいということでしょう。時価総額上位20社を見ると、アメリカがトップ10以内をほぼ独占し、強さを示しています。日本企業はトヨタ自動車が18位と前年の27位から復活してきました。 130724_1.jpg その中、FRBのバーナンキ議長は10日、予見しうる将来にわたってアメリカ経済は極めて緩和的な金融政策を必要としていると強調しました。
バーナンキ議長は前回、出口が必要だと発言したことで世界中が混乱し、途上国にまで影響を与えました。そして今回は考えられる限り緩和が必要だと発言したのです。これがフェイントで、やるときは突然やるということなのか、それとも本当に緩和が必要だと思い知り、前の発言を否定したものなのかはっきり分からせないところが役者だと言えます。市場では、出口についての予告はしているので、9月という予想がもう少し遅れる可能性はあっても、やるとしたらいきなりやるのだろうという見解が聞かれます。 世界を巡る資金の動きは、運用会社の状況を見ても明らかです。世界最大の債券運用会社である米PIMCOが、6月に145億ドル=約14兆円の流出超となり、1993年の調査開始以来最大規模の流出となりました。 130724_2.jpg この会社はビル・グロス氏が創業した、債券運用を主体とした安定志向の強い運用会社です。この会社の経済の読みは世界中の人に大きな影響を与えています。その会社がこれだけ信頼を失って落ちてしまったわけです。理由としては、国債利回りが上昇してきていることの他に、途上国の市場が下落したことがあります。バーナンキ議長の出口発言を受けて、投資家が途上国から一斉にお金を引き上げて債券価格が下落したことが背景にあるのです。アメリカだけではマーケットが足りないほど巨大な運用をしているこの会社は途上国の債券で大きく傷がついたということなのです。
消費税増税による日本経済へのショックは「かなり大きい」〜浜田宏一氏〜
安倍総理のブレーンで内閣官房参与を務める浜田宏一氏は13日、2015年度までに現行5%の消費税率が10%まで段階的に引き上げられることについて、日本経済のショックはかなり大きいと指摘しました。また、そうしたショックを軽減するための財政措置については、変動相場制の下では財政は効かないので期待すべきではないとし、法人税制で刺激するのがいいとの見解を示しました。 浜田氏は、予想通りかなりずる賢い人で、自分がやっていたリフレやアベノミクスというものが消費税増税によって来年4月で腰砕けになるのが明確なので、実施を引き延ばせと言っているのです。自分が提言し、仲間を多く送り込んで進めてきたアベノミクスの効果がなくなったのは消費税のせいだとし、消費税増税をやめろと言っているのです。ただし、消費税はその前から決まっていることで、これでは順序が逆です。消費税増税を導入する前提で、政策アドバイザーとして意見を言うべきなのです。自分の学説が崩れるから、増税を引き延ばせなどと言うのは、かなりずる賢いことであり、馬鹿にするのもいい加減にしろと言いたいです。前から言っていることですが、浜田氏は発想の乏しい人だと思います。 消費税増税を進めるべきかどうかについては、やる以外に選択肢は無いと思っています。消費税増税が実行できなければ、日本は財政出動はやるものの、財政規律についてはギブアップしたと世界から見なされ、非常に重たい借金大国の現実がのしかかり、国債暴落に繋がる可能性が高いと思います。延期することは危険なので、やらざるを得ないでしょう。 日本政府 日本に3年滞在で申請、新たな永住権創設を検討
日本政府は優れた能力を持つ外国人を呼び込むため、経営者や技術者を対象にした新たな永住権の創設を検討する方針を明らかにしました。日本に3年間滞在すれば、通常の永住権では認められない配偶者の就労や、親、家政婦の帯同が可能になるもので、専門性の高い外国人が長期滞在しやすい環境を整え、外資企業の誘致や日本の研究開発力の向上につなげたい考えです。 日本にはすでに似たような制度があり、5年間滞在というルールになっていますが取得した人は決して多くはなく、これを拒むような状況があるのだろうと考えます。住環境や子供の学校の問題などがあるのでしょう。永住権の新たな制度を創設したからといって、特殊技能者がたくさん来てくれるとは限りません。シンガポールのように100万人単位できてくれるということにはならないと思います。 130724_3.jpg グラフからも分かるように、日本の場合には外国人の就労者は非常に少ないのです。アメリカは例外としても、ドイツなどでもかなり高い割合で労働人口を外から輸入しています。シンガポールなどでは、完全に能力を基準として永住権を渡す制度があります。日本では、工事現場など人がやりたくない仕事を任せることがあっても、今回のように頭脳労働者を受け入れるということを今まであまりやってこなかったわけです。さらにそうした高い技術を持った人たちは世界中から引く手あまたなのです。この程度の条件では日本には来ないだろうと思います。
また、ロイターの情報サイトは6日、「移民受け入れで人口拡大、オーストラリア経済にもたらす成長の果実」と題する記事を掲載しました。経済成長が続くオーストラリアについて、毎年およそ25万人にのぼる移民の受け入れが成長要因の1つであることが見過ごされがちと指摘し、移民の受け入れにより、住宅や自動車、教育、医療などあらゆる分野での需要が支えられていると紹介しています。 白豪主義のオーストラリアの人口はかつて、1,600万人から増えなかったわけですが、その後移民受け入れにより、 約600万人が外から入ってきました。この人たちが若く、金持ちで能力があり、働きものであったために、オーストラリアは今、新興国のような特徴を持ち始めています。これはまさに毎年25万人の移民によるものです。移民は出て行く人も多いものの、教育レベルも高く、新しい勢力となっています。GDPの成長率を見ても政府債務がほとんどないという特徴もありますが、オーストラリア経済は非常に堅調だといえます。資源価格によって乱高下するという時代とは変わり、資源価格が下がり中国が減速を見せてもそこそこ保っているというのはこうした背景があるのです。やはり、若い人口が増えることが重要なのです。 オーストラリアが2,200万人の人口で、年間20万人以上を入れているという割合で考えると、日本の場合100万人規模で入れないといけません。そのくらいでなければ日本の就業人口の低減はカバーできず、GDPも維持できないと思います。オーストラリアの例は、良い参考になるでしょう。 講師紹介
大前 研一 ビジネス・ブレークスルー大学 資産形成力養成講座 学長 大前 研一 http://www.ohmae.ac.jp/ex/asset/column/20130724_123012.html |