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http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130724-00010001-bjournal-bus_all
Business Journal 7月24日(水)6時23分配信
7月8日の中国・上海株式市場は、代表的な株価指数である総合指数が大幅に下落し、終値は前週末比2.44%安の1958.27となった。船舶や資源・機械などの銘柄が売られ、ほぼ全面安。心理的な節目である2000の大台を割り込んだことから、アジア株安から東京の株安へと波及した。
上海総合株価指数は6月24日に急落したのに続き、27日に1950.01と今年の最安値を記録した。消費者物価指数(CPI)などの主要統計の発表を前に積極的な取引を手控える投資家が多い中、株価だけが下がるという悪い展開を見せた。6月のCPIは前年同月比2.7%上昇。全体の3割を占める食品の上昇幅は4.9%で、5月より1.7ポイント拡大。生鮮野菜は9.7%上昇した。
中国の金融システムの危機は小康状態にあるが、システムの不全が中国の経済・景気に与える影響はボディーブローのように効いてきている。日米市場では“中国関連銘柄”を敬遠する動きも強まってきた。
中国の7月危機説、バブル崩壊説の元凶は、影の銀行(シャドーバンキング)である。
影の銀行の問題とは何か? 簡単に解説しておこう。
上海総合株価指数は6月24日、前週末の終値に比べて5.30%安い1963.23で引けた。2000を割り込んだのは2012年12月4日以来、7カ月ぶり。27日も続落して今年の最安値となった。「理財商品」と呼ばれる高利回りの財テク商品の償還が6月末にもできなくなり、資金ショートで中小の銀行が連鎖破綻するという恐怖のシナリオが流布した。6月末の資金ショートは中国人民銀行(中央銀行)が資金供給の方針を明らかにしたことから、ひとまず回避され、金融危機説は後退した。
6月24日の上海総合株価指数の下げ幅(5.3%安)は09年8月31日(6.74%安)以来、4年ぶりのものだ。短期金融市場で、ここ数週間金利が上昇していた。一方、中国人民銀行は資金供給のパイプを緩めなかった。流動性の悪化懸念で株式市場に警戒感、失望感が急に台頭して、25日には5.8%安の1849まで急落した。
6月末に、総額1兆5000億元(約24兆円)の財テク商品が償還期限を迎えるとみられていた。問題の財テク商品は年率10%以上の高金利をうたっているが、元本はまったく保証されていない。個人投資家から集めた、こうしたリスクマネー(まさにイージーマネーの典型だ)を、金融機関や大企業が簿外で運用していた。これをシャドーバンキングという。このシャドーバンキングの破綻が現実味を帯びてきたことから、中小金融機関はデフォルト(債務不履行)に陥る懸念が、一気に強まった。
中国の金融不安から6月24日のアジア株は全面安、欧米株式市場も軒並み下落した。ニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均の下げ幅は前週末比で一時、240ドルを超えた(終値は139.84ドル安)。東京市場も、もちろん安い(167円安)。世界の株式市場で“中国リスク”の懸念が広がっていった。
中国→新興経済の落ち込み→資金を貸し出している欧米の金融機関に波及という負のスパイラルに陥る最悪のシナリオまで取り沙汰された。アベノミクスは「世界経済が失速しない」との前提に立っているから、これが大きく揺らいできた。
中国の短期金利の上昇の背景には「影の金融(シャドーバンク)への資金の流れを阻止する」という中央銀行の基本方針がある。中国には数万社規模の中小のノンバンク系の機関が存在し、こうしたノンバンク系の業容は拡大の一途をたどってきた。
中国共産党の機関紙である人民日報は6月24日、次のような解説記事を掲載した。
「人民銀行が(金利上昇を)傍観するのは、一部銀行への懲罰だ」
上海銀行間金利(SHIBOR)は6月19日の7.660%から6月20日に13.444%に急上昇した。21日は8.492%、24日は6.489%、25日5.736%となった。信じられないような変動率である。上海銀行間金利の上昇は氷山の一角にすぎない。瞬間風速では25%にまで上昇したといわれている。
上海銀行間金利の上昇は、内臓が悪い人の吹き出物のようなものだ。吹き出物を治療しても(金利の上場を抑え込んだとしても)、内臓が良くなるわけではない。
中国の広義のシャドーバンキング融資残高は、推定で36兆元(約580兆円)。中国の国内総生産の7割に相当する。影の銀行が破裂すると、その破壊力はすさまじい。
中国は今、不動産・地方財政・影の銀行の3点セットの爆弾を抱えていることになる。
なぜこのようなことが起こるかというと、中国の金融機関は政府系企業を重視して、中小企業向けの金融システムが未発達だからだ。この隙間を埋める形でシャドーバンクが発達した。高金利の「理財商品」を通じて急拡大するにつれて、大きな不安要因になってきた。一部の小規模銀行は既にローン債務の不履行に陥ったとの未確認情報もある。
6月28日、中国人民銀行の周小川総裁が「資金供給で市場の安定を図る」方針を示したことから、上海株式市場は8営業日ぶりに反発した。それでも上海総合株価指数は4年半ぶりの安値圏で推移している。上海市場では、銀行・証券・保険などの株が急落し、日米欧の株式市場への影響が顕著になってきた。
帳簿外金融の多くは不良債権化している。中国の昨年の財政赤字はGDP比で1.5%だ(公表数字はこうなっている)が、国際通貨基金の調査では10%。政府による銀行の(赤字)補填が財政を蝕んでいる。金融危機を防いだとしても、融資の縮小で中国経済は大きく減速を余儀なくされるだろう。
●日米で中国銘柄を選別する動き
ここ最近、東京市場ではコマツ、日立建機や新日鐵住金、JFE、さらには総合商社などの銘柄が株価を下げている。機関投資家は「当面、中国関連株は手掛けにくい」と言っている。
米国ではスポーツ用品の世界大手、ナイキのマーク・パーカー最高経営責任者(CEO)が中国事業の売上高の減少の可能性に言及した。ナイキの中国事業の売上高は全体の1割にすぎないが、株価は中国市場の動向に敏感だ。
「中国で、高額品の販売で稼いできた米欧企業は要注意」なのである。ナイキだけではない。小売りの世界最大手のウォルマート・ストアーズの中国市場の売り上げは横ばい。5月に、中国部門の副社長2人が辞任したことも明らかになった。
底堅い米国景気。下降線をたどる中国。「西高東低」の現実がどこまで続くのか。米国でも、金利上昇から景気の腰折れ懸念を指摘する声が大きくなってきた。
影の銀行は、不動産市況が悪化した途端に、一気にはじける。中国という爆弾を抱えながら、アベノミクスは爆走を続ける。
●中国、金融報道を規制
中国共産党中央宣伝部が国内メディアに対して、金融市場に出回っている資金が足りないことなどに関する報道を規制する通達を出していることがわかった。
経済の先行きに対する懸念が、社会不安や当局批判につながることを警戒しての措置だ。
通達は6月25日付で、(1)市場での資金不足や株安を大きく取り上げない(2)中国人民銀行の政策を「肯定的かつ正確」に解説・報道する--となっている。
習近平総書記が就任して以来、言論統制が強化されているが、影の銀行問題の深刻さを裏付けるような事実だ。だが、ここまでやると、中国は影の銀行問題で墓穴を掘ることになるかもしれない。
編集部
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