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日経平均のウエイト上位5銘柄
日経平均株価は先物で簡単に動かせる? 指数先物裁定取引を理解しよう
http://www.zakzak.co.jp/zakspa/news/20130722/zsp1307221510004-n1.htm
2013.07.22 ZAK×SPA!
たまには当たるも八卦当たらぬも八卦の相場予想ではなく、金融の勉強でもしましょう。今回は、指数裁定取引を解説して、巷で多くの人が誤解している、「日経平均先物で日経平均株価を簡単に操作できるかどうか」について考えてみましょう。
日経平均先物の板は、日経平均を構成する225銘柄の板全部と比べてかなり薄く見えるので、多くの人が先物で簡単に日経平均を操作できると思っているのですが、これはよくある勘違いです。裁定取引が行われるからです。
裁定取引というのは、理論価格からずれている金融商品を売買して儲けることですが、リスクがない本当の裁定と、(理論的な)割安株を買うというようにリスクがある裁定があり、文脈により両方の意味で使われます。同じ株が複数の取引所に上場されていて、価格差ができれば、同時に高いほうを売って安いほうを買えば、リスクなしで儲かります。日経平均の現物と先物には次のような関係があって、ほぼリスクのない裁定取引ができ、多くの証券会社のコンピュータが自動売買しています。
▼日経平均先物の理論価格=日経平均現物価格+金利−配当−貸株料
先物価格は金利の分だけ高くなって、配当と貸株料の分が安くなるわけです。証券会社のセールスでも、顧客の投資家に「将来の見通しが楽観的だから日経平均は先物価格のほうが上になっている」とか「悲観的だから先物が下になっている」とか話している人がいて、恥ずかしいです(笑)。相場予想と先物と現物の上下は関係ありません。
割安な先物を買って、割高な現物を売る裁定取引を考えてみましょう。現物株にはそれぞれビッド・オファー・スプレッドがあり、バスケットを成行でぶん投げるとスプレッドを跨ぐコストが発生します。ちなみに先物と現物の裁定取引は空売り規制の対象外なので空売りも成行で売れます。先物と現物の理論価格のズレが、少なくとも現物株のビッド・オファー・スプレッド以上に広がれば、ほぼ確実に自動売買で儲かります。これは一番単純な裁定取引で、実際はもっと狭い範囲で多少のリスクを取ってうまいこと儲けます。こうして先物の価格と現物の価格差は、常に裁定取引のコストの範囲内(数十円)に収まっていて、先物と現物は完全に“鎖”で繋がっているのです。
【先物で現物は操作できるのか?】
225銘柄をトレードするのは大変で(その大変さが裁定業者の儲けの源泉)、マクロの方向に賭けるヘッジファンドは先物を使うので、先物が現物を引っ張ることが多いです。しかし、先物の板の薄さを利用して価格を動かせるということはなく、価格差ができれば自動的に証券会社のコンピュータがどんどん注文を入れてくるので、先物も現物も価格へのインパクトという点では同じなのです。
もし先物を使って日経平均が簡単に操作できるなら、現物バスケットを100億円買って、先物10億円ぐらいで釣り上げて現物を売り抜く、という戦略でどれだけでも儲かっちゃいますよね。
日経平均自体が一部の銘柄にウエイトが集中していて、そもそも動きやすい指数であるのは問題なのですが、それは先物とはまた別の話です。
【今週の数字】日経平均株価におけるファーストリテイリングのウエイト10%
日経平均は、大きなウエイトを占めている銘柄があるので、一部の個別銘柄の値動きで簡単に全体が動いてしまう。
■藤沢数希氏 欧米の研究機関にて計算科学、理論物理学の分野で博士号を取得。その後、外資系投資銀行に転身。主宰するブログ「金融日記」は月間100万PV、ツイッターのフォロワーは7万人に及ぶ。最新刊『外資系金融の終わり』(ダイヤモンド社)が発売中
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