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竹中平蔵「アベノミクスは100%正しい」 安倍政権の経済政策を占う (東洋経済オンライン) 
http://www.asyura2.com/13/hasan81/msg/246.html
投稿者 赤かぶ 日時 2013 年 7 月 20 日 07:50:00: igsppGRN/E9PQ
 

竹中平蔵(たけなか・へいぞう)
慶応義塾大学教授 グローバルセキュリティ研究所所長
1951年生まれ。一橋大学卒業後、日本開発銀行、大蔵省主任研究官、ハーバード大学客員准教授などを経て現職。2001〜2006年、小泉内閣において 経済財政政策担当大臣、金融担当大臣、郵政民営化担当大臣、総務大臣などを歴任。ワールド・エコノミック・フォーラムのファウンデーション理事会メンバー。アカデミーヒルズ理事長、公益社団法人日本経済研究センター研究顧問、(株)パソナ取締役会長、(財)森記念財団都市戦略研究所長などを兼務。経済学博士。


竹中平蔵「アベノミクスは100%正しい」安倍政権の経済政策を占う
http://toyokeizai.net/articles/-/15884
2013年07月20日 佐々木 紀彦 :東洋経済オンライン編集長


 7月21日に投開票を迎える参議院選挙。その大きな争点となるのが、経済政策である。安倍政権の成長戦略をどう評価すべきか?参院選後に何がポイントとなるのか。安倍内閣の産業競争力会議メンバーである竹中平蔵氏に話を聞いた。

■ダボス会議の参加者は、安倍首相を絶賛

――世の中では「アベノミクスバブルは終わった」という議論もささやかれていますが、ここまでの安倍政権の経済政策をどう評価しますか?

アベノミクスは、理論的には100%正しいと思います。最近私は、「TINA」という言葉をよく使いますが、これは英国元首相のサッチャーの言葉です。TINAとは「There is no alternative」の略、つまり「これ以外の方法はない」という意味です。

ただ、これが本当に実現できるかどうかはわかりません。これは政治の強い決意をもって実行してもらわないといけない。「アベノミクスが正しいかどうか」を議論するよりは、「アベノミクスが本当に実現できるかどうか」を議論するほうがいいと思います。

今年のダボス会議では、参加者は皆、安倍さんを絶賛していました。「彼の言っていることは正しい」という意見です。この間、経済学者のジョセフ・スティグリッツやアダム・ポーゼンと内閣府で会議を行いましたが、彼らも同意見でした。「安倍首相の言っていることは正しいので、きちんと実行してほしい。それに尽きる」ということです。

デフレを解消しようと思ったら、これは貨幣的現象ですから、金融を緩和しないといけない。財政については、短期には需給ギャップを埋めるけれども、長期には財政再建が必要になる。そして、経済を成長させるためには、規制改革を進めなければなりません。これらは否定しようがないことです。まさしく、There is no alternativeですよ。繰り返しますが、問題はこれを実現できるかどうかです。まだ道のりは、そうとう遠い状況です。

近頃の株の乱高下について一言申し上げておくと、日本の株価は昨年6月が底で、今年の5月までに83%も上昇しています。バブルの1980年代後半でも、年平均の上昇率は60%ぐらいです。ところが、それを上回るペースできたため、みんなが「これは上がりすぎる。どこかで利益を確定させたい」と思っていたわけです。ちょうどそこに、アメリカの金融の出口の話が出てきて、調整が起きました。これはひとつのプロセスだと思います。一連の動きが示しているのは、金融政策の効果がいかに大きいかということです。

――実行は未知数ながらも、安倍政権はスタートダッシュには成功したということですね。

そうです。起承転結でいうと、「起」はグッドスタートで、「承」はディベロップメントです。現在、出されている成長戦略は100点満点からはほど遠いですが、今までの成長戦略より、はるかに内容があります。

これから問題になるのは「転」、つまり、ターンです。この評価は、参議院選挙後に安倍首相がどれだけ本気で改革を加速させることができるかによって決まります。「転」がうまくいくかに応じて、「結」が決まってきます。

――改革が成功するかどうかは、参院選で自民がどれだけ議席を獲得できるかに左右されますか。それともより重要なのは、安倍首相の意志ですか。

意志だと思います。選挙ですから、やってみないとわかりませんが、事前の世論調査からすると与党は強い。自民党の支持率40%、内閣支持率70%、こんなことは今までありません。

だから、問題は選挙の後です。ポリティカルキャピタル(政治的資本)という言葉がありますが、それを安倍首相がどう使うのか、どのようにポリティカルキャピタルを配分して、どういう順位で改革を実行していくのか。総理大臣になっても360度敵に回すことはできませんので、やっぱりどこかに集中してやらないといけない。

郵政民営化を担当しているときに面白いと思ったのは、ある厚生分野のドンが私のところにやってきて「私は厚生についてはこういう意見をもっていて、竹中先生とは違う。でも、郵政は応援しますから」と言ったことです。ある分野で意見が違う人でも、ほかの分野では手を組むことができるわけです。

――誰を敵に回し、誰と手を組むか。その駆け引きが重要だということですね。

その設定が戦略的アジェンダですよ。その意味で小泉元首相は優れていました。今回、安倍政権は、デフレの克服をアジェンダとして掲げていますが、これは成功しています。ですので、その次のアジェンダをうまく作ってほしいと思います。

――次のアジェンダの柱となるのはどの政策でしょうか。

基本的に、改革の大玉、いわゆる、岩盤規制と呼ばれるものがあります。その中から、何をやっていくかです。それを突き崩す装置として、特区はうまく使ってほしい。特区で実績を上げて岩盤規制を壊していくのが、ひとつのやり方です。

数え方によりますが、岩盤規制の数は5〜10程度です。だから、年間2つずつ岩盤規制を壊すという目標を決めてやっていけばいい。2つであれば、360度敵に回すことはないので現実的です。3〜5年の長期政権を築いて、毎年2つくらいやっていけば、ほとんどの問題は片付くことになります。

たとえば、農業に対する株式会社の本格的参入や混合診療の導入などを実現するひとつの方法として、そういうやり方があると思います。

■本当に必要なのは総理の思い入れ

――改革のセンターピンは何によって決まりますか?

これも総理の意志です。なぜ郵政民営化がセンターピンになったかというと、小泉元総理が強い思い入れを持っていたからです。当時、「郵政民営化はそんなに重要か」と思った人もたくさんいましたが、「小泉さんがそこまで言うならやろう」ということになったわけです。だから、本当に必要なのは総理の思い入れだと思いますね。

安倍首相は、憲法改正に思い入れがありますし、それは重要なテーマです。ただし、当面は経済政策に力を入れて強い基盤を作ってから、憲法改正に取り組んでほしいと思います。

今のところ安倍首相は「この秋は成長戦略実現国家だ」と言い切っていますし、ポリティカルキャピタルを引き続き改革に使う方向です。そこには本当に期待したいと思います。

――産業競争力会議の政策への影響力はどの程度あるのでしょうか?

会議で決まったことは閣議決定されますから、決定されたことに関しては決定的な影響力があります。ただ問題は、まだ改革の大玉がないことです。

楽天の三木谷さんは産業競争力の評価を100点満点で75点と評価していますが、いい線をいっていると思います。なぜ100点から遠いかというと、法人税減税といった大玉が入っていないからです。しかし、今までのような、通り一遍の40〜50点の成長戦略よりは画期的です。戦略特区も入っているし、コンセッション(インフラ運営権の売却)も入っています。100点と50点の中間として、75点というのは的確な評価です。

これからのポイントは、どうやって残された課題を解決していくか、そして、どんな形で改革実現をフォローアップしていくのか。産業競争力会議に続く後継組織のあり方は、まだ発表されていません。

――これから、安倍首相が族議員らと戦っていく中で、最大の応援団となるのはどの集団でしょうか。

小泉さんを見ていて思ったのは、最大の応援団は世論だということです。ただ、世論とメディアはあきらかに違います。

――産業競争力会議が提案した「解雇ルールの明確化」について、メディアが「解雇の自由化」「解雇を原則自由に」と誤解を招くような表現で伝えたことを批判していました。

あの改革は、メディアと経済界が潰したようなものです。面白いことに、メディアの批判をすると、メディアの人は必死に言い訳してくる。批判ばかりしている人間は、自分が批判されるとすごく弱い。

ほかに規制改革の例でいうと、世界銀行の規制環境ランキングで、日本は2000年には40位でしたが、2006年には28位まで上がりました。そのときに「行き過ぎた規制緩和だ」とメディアがあおって、全部規制改革を潰してしまった。その結果、直近のランキングでは47位にまで落ちています。この改革はメディアがつぶしたんですよ。

もうひとつの問題は経済界です。今回、産業競争力会議で、「企業を強くするためにコーポレートガバナンスの強化が必要だ」と提案したところ、企業自身がそれを拒んできました。経済界は「政治はしっかりしろ」「決断できない政治」とさんざん批判してきましたが、自らに火の粉が及ぶと突然、抵抗勢力になる。自分たちが強くなることを拒んでいるわけです。

■学校の公設民営ができれば面白くなる

――東京に国家戦略特区を作るという政策もインパクトが大きい話です。

それが実現できるかは総理の意志、官邸の意志、特区担当大臣のやり方にかかっています。これは間違いなく使えるツールです。これをどれくらい本気で使うかです。

たとえば、公設民営学校の解禁(公立学校運営の民間への開放)の議論が、早くもワーキンググループを通してできるようになりました。これは岩盤規制です。今まで10年間実現できなかった岩盤規制のひとつが、特区ワーキンググループの議論を通して、4週間でできるようになりました。

学校の公設民営ができれば面白いと思いますよ。たとえば、「港区のこの学校は徹底したグローバル教育をやる」ということも可能になります。グローバル教育において、日本は韓国に徹底して差を開けられています。韓国には、英語だけで授業をして、毎年アメリカのアイビーリーグに数十人も送り出す高校もあります。今の日本ではそんなことは考えられないですよ。

――成長戦略では、今後10年で世界大学ランキングトップ100に日本の大学を10校ランクインさせるという目標も掲げられています。

それにはそうとう努力がいります。私も大学の中にいて思うのは、大学のシステムの中にはマネジメントという概念がないことです。あくまで自治なのです。つまり自分のことは自分で決めると。そんなのダメに決まっていますよ。

■戦後の悪夢を引きずる日本

――リーダーがいくら頑張っても変えられない。

そうです。リーダーが頑張っても今のシステムでは変えられない。慶応でも、塾長にはそんなに権限が与えられていません。重要なのはマネジメントなのです。

この問題に限らず、日本の問題はすべてそうです。いまだに戦後の悪夢を引きずっています。

たとえば、株式会社が農業に参入できないのも、昔の大地主と小作の悪夢があるからです。そうした関係を復活させないために、農業委員会を置き、いまだに企業の進出を認めないわけです。大学も、戦中に軍部が学問の自由に介入してきた悪夢から、外部には力を持たせないよう自治を貫くことになった。不動産についても、借地借家法で借り手の権利が強く守られているのは、旦那さんが兵隊にとられて留守を守っている奥さんと子どもが困らないようにするためだったわけです。

そうした権利を守るのはもちろん必要です。ですが、客観的な情勢は当時とは変わっています。食料が決定的に不足している時代と違い、今は世界中からすばらしい食料が入ってくる時代です。そこは時代背景に合わせて法律を柔軟に変えていかざるをえないですよ。

――成長戦略を実のあるものにするためには、事業を興す人がいないといけません。そうした変化の主体となるのは、外国人や若者でしょうか。

日本経済の規模は今も500兆円もあります。大きい経済です。これを動かすには、枠組みを変えなくてはいけません。その柱となる枠組みが3つあります。

ひとつ目は法人税の引き下げ。これは決定的に重要です。これは特区でどうにか風穴を開けたい。

2つ目は、日本で遊んでいるおカネの運用。つまりは、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)です。この年金運用機関には、110兆円の資産があります。シンガポールやノルウェーは同じような性格の資金を30兆円運用していますが、30兆円の運用をするのに1000人のプロフェッショナルが携わっています。一方の日本は、110兆円を71人で運用しています。つまりは、運用していないも同然で、国債を無条件に買っているわけです。そこにぜひ風穴を開けたい。

今回の成長戦略には、公的な資金のあり方、運用の仕方について根本的に議論する委員会をつくると記されています。第12回目の産業競争力会議の席では、安倍首相自身がGPIFに言及しました。これはすごいことです。

■経済界が改革を邪魔している

最後に、もうひとつ残されたテーマが、移民です。移民というと、一般の方々は直感的な反発を持ちますが、オーストラリアやアメリカの例を見ても、成長戦略を議論するときには必ず最初に移民が出てきます。これは当たり前の話です。

日本は2050年までに、3200万人の人口がなくなります。3200万人というとカナダの人口です。この国から、カナダの人口がいなくなるわけです。2030年を超えると毎年100万人がいなくなります。100万人というと、私の出身の和歌山県の人口です。ひとつの県が毎年なくなっていきます。ちゃんとした労働力を加えていかないと、それだけの人口減少には耐えられません。

私が教え子の女性に「何が欲しいか」ときくと、まず「メイド」と答えます。メイドがいれば、女性が仕事に専念できますし、女性の職業参加率も高まるはずです。移民の問題は今回突破できませんでしたが、どこかで向き合う必要があります。今すぐ移民を入れようという話ではないですが、少なくとも議論は始めないといけません。

――最近は、若い人たちの間で、起業ブームが起きています。変化の主体として若い人にも期待が持てそうです。

そうだと思います。その際に重要なのは、日本は開業率も低いけれど、廃業率も低いということです。なぜ廃業率が低いかというと、成績の悪い企業や能力のない社長が居座っているからです。それを追い出すシステムがありません。

これは、英語で言うとメタボリズム、新陳代謝ですよ。英語で、We should increase metabolism というと、「太ったほうがいい」という意味だと思う人も多いですが、これは「新陳代謝を高めよ」という意味です。それをやるために、やっぱりコーポレートガバナンスが大事です。

ところが日本の企業は、独立した社外取締役をほとんど置きません。欧米はどこの国でも、取締役会の過半数は社外取締役とするよう何らかの形で義務づけています。しかし日本では、それを法律で義務づけようと提案したとたんに、経済界が反対しました。だから私は、改革を邪魔しているのは経済界だと思いますよ。

(撮影:尾形文繁)


 

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コメント
 
01. 2013年7月20日 08:21:39 : 8rNCXQYiW2
人面獣。ウソの塊。悪魔の咆哮。愚民によって参院選後に日本は滅亡する前兆。

02. 2013年7月20日 09:02:40 : nJF6kGWndY

>アベノミクスは、理論的には100%正しいと思います

リフレ理論自体が現実と100%合うわけではない


>「これ以外の方法はない」

まあ、確かに現状では、経済成長とGDP比財政赤字を実現するには

QE+効果的な財政支出+成長戦略

以外に政治的に打てる手はないだろう

>「アベノミクスが本当に実現できるかどうか」

無理だろうな


03. 安心革命 2013年7月20日 09:34:06 : dhwFOFH76mN9w : NXupkVJfcA

「アベノミクスは、理論的には100%正しいと思います。……

ただ、これが本当に実現できるかどうかはわかりません。これは政治の強い決意をもって実行してもらわないといけない。……

デフレを解消しようと思ったら、これは貨幣的現象ですから、金融を緩和しないといけない。……問題はこれを実現できるかどうかです。……」

 竹中氏のこの考えはアベノミクスの土台になっている。私は「アベノミクス@すでに折れている第1の矢」で次のように書いた。

 「山に登るとき、地図を見て線を引き、その線に從って登るとどうなるか。無理である。確かに理論としては正しいが、現実は谷あり川あり崖ありで登れない。無理して登ると転落する。学者は現実を知らない。だから机上の空論という。

 日本におけるデフレの現象の原因は別にある。貨幣現象でなく、国民の不安だ。不安を取りの除かなければデフレは解消しない」

 「強い決意で実行する」ということは、地図をみて登山を強行することだ。どうなるだろうか。


04. 2013年7月20日 09:34:20 : KO4C9oEhYU
竹中は自分でやっている事だから正しいとしか言えないだろう。アホノミクス。

05. 2013年7月20日 10:03:39 : hjzeLtKqng
お客が減ったよケケ中参上。

06. 2013年7月20日 14:06:47 : mUeSQTAbSY
量的緩和はネズミ講

アホノミクス

かと思ったら、

サギノミクスだった。

お後がよろしいようで・・・


07. 2013年7月20日 15:22:39 : KwVFPpYXm6
THEアメポチ売国奴が正しいと言うので、

それは日本国益から見たら「間違い」であると馬鹿でもわかるわなw


08. 2013年7月20日 15:49:41 : dmkMWIGdew
 竹中平蔵は「この地上から消えて欲しい」人間だな。
何だ、こいつは日本人の皮を被ったアメリカ人かい!

09. 2013年7月20日 16:34:48 : FfzzRIbxkp
ぼくちゃんの会社にとって100% 期限つきでもうかりましたってさ。

正社員切りは、派遣がもーかるんじゃよ。派遣村作ったへいぞうちゃんならやりそうなこと。今度は正社員村ができるぞ。

正社員村ができたって、派遣がもーかればいいんだよ。ってな感じ。


さて、正社員村はできるでしょうか?いえいえ、へいぞうちゃんほど薄情な人間が社長ならできるでしょうが、
中小企業の社長の人間味は、そんなちっぽけじゃないぞ。

公務員村・議員村はTPPでできあがり。


10. 2013年7月20日 20:00:36 : 2GdU6YgM3s
この竹中とかいう悪党は何故逮捕されずに未だ日本の中央に発言権を持っているのだ?
こんな極悪人は即刻死刑にしてほしい。

11. 2013年7月20日 21:15:38 : morHiK8n96
売国奴竹中、

りそな案件、かんぽの宿案件、これだけで懲役300年相当。

こいつがシャバでノウノウとしている間は、日本の暗黒時代。

こいつが死後も含め、公に弾劾されてからが日本の夜明け。


12. 2013年7月21日 02:00:11 : 89ln0gnalM
権威民主主義の象徴だが、これももうすぐ終わるだろう。

お望み通り構造改革だ。


13. 2013年7月21日 09:47:05 : KO4C9oEhYU
日本人の70%近くがアメリカ大好きということだが、日米安保条約でアメリカは日本を守っていると信じているようだが、日本はアメリカによって監視されていると言う事をそろそろ自覚しなければならない。つまりアメリカを日本を守る善意の国として全面的に手放しで信用することは危険だと自覚しなければならない。アメリカが日本に要求する事を無批判に受け入れてはならない。当然のことながらアメリカの要求は自国のための要求であり日本のためではない。アメリカに親切心があるなど考えてはいけないのだ。
TPPはもっての外、アメリカ傘下の原発再開もっての外(それが証拠に事故後官邸に長らくアメリカ人の駐在員がいた)、財政再建という名の消費税増税もっての外、集団的自衛権(アメリカの弾よけ)という名の憲法改正もっての外、アメリカの要求を受け入れて成功した国は世界中に一国もない。
国民は自覚し賢くならねばならない。行動をしなければならない。今がその時だ。

14. 2013年7月21日 14:06:59 : a1iNOS3XDA
ケケケよまだ一月一日に住民税の逃げをやってるのかよ。

こやつの薄笑いには気味悪さを感じる。こやつはチョ鮮だろう。
こやつの悪行は孫まで遺伝だな。


15. 2013年7月21日 17:14:51 : hbBs6PpdR2
ステイグリッツは99%に人が1%の人の犠牲になっていると主張をしている。著書もある。

竹中平蔵はウソを言うでない。


16. 2013年7月22日 01:08:42 : zfNMolIw6w
JBpress>日本再生>今週のJBpress [今週のJBpress]
成長か衰退か、参院選後が日本経済の分水嶺
竹中平蔵・慶大教授が語る正念場のアベノミクス
2013年07月20日(Sat) 川嶋 諭
 富士重工業の「フォレスター」が北米で快走を続けているという。日本経済新聞によると同車の在庫は約2週間しかなく、「太平洋上を輸送中に販売先が決まってし まう」状況だという。アベノミクスによる円高是正で輸出採算も大幅に改善、将来のための研究費を100億円ほど上積みすることを決めた。

アベノミクスの効果、じわりじわり顕在化

今週のランキング
順位 タイトル
1 世界の流れに逆行する日本企業の対中投資
2 どん底への競争を繰り広げる欧州自動車メーカー
3 米中戦略・経済対話で米国を見下ろす中国
4 辛坊治郎氏のヨット事故が炙り出した問題点
5 韓国政府、「経済民主化」から成長路線に転換?
6 米国を喜ばす術を身につけ始めた人民解放軍
7 「中国封じ込め」にブレーキをかけるアメリカ海軍
8 中国が世界を買い占めない理由
9 夢の年金生活は昔話、米市民が直面する辛い退職後
10 仮想標的は日米艦隊、中露が海軍合同訓練を実施
11 米国をアジアにとどまらせる危険なバランス
12 ドル相場の上昇は続くのか
13 日本の強い指導者はプラスであって、マイナスではない
14 欧州のゾンビ銀行:生ける屍が落とす暗い影
15 均一性のNECと一点突破の日立
16 スノーデンを恐れ中韓の中傷を真に受ける米国
17 転換期にあるグローバル化
18 「超55年体制」に回帰する政治
19 実際に起こり得る「自由vs民主主義」の戦い
20 国民を震撼させたドイツ赤軍の悪夢が蘇る
 一方で、東芝やエルピーダメモリもほぼ2年ぶりに半導体の増産投資を再開させた。このところ日経平均は鳴かず飛ばずの状態が続いているとはいえ、確実にアベノミクス効果は浸透し始めている。

 この流れを本物にし、日本経済を確かな成長軌道に乗せるのが政治の役割だろう。

 揚げ足取りに奔走するだけでなく、野党も具体的な成長戦略を披露し、前向きな議論を仕かけてはどうか。

 中国や韓国が盛んに仕かけている日本に対するネガティブキャンペーンには辟易するが、これも沈没しかねなかった日本経済を見透かしてのものと言える。

 日本経済が本格的に強さを取り戻せば、そういった類の攻撃も収まらないにせよ下火になってくる可能性が高い。弱肉強食が当たり前の世界では、弱さを見せれば徹底的に叩かれるものだからだ。

 一方、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)は、米国による中国の国家資本主義包囲網という側面を持っている。

 自由貿易は日本経済にとって背骨のような存在である。大市場を背景にした中国による我田引水型の貿易が勢力を増して良いことは何もない。TPPの是非にはこうした点への関心も不可欠だ。

 もちろん、日本の農業への影響は大きいかもしれない。しかし、例えば前に紹介した宮崎県綾町のケースのように、徹底した有機栽培へのこだわりで、大規模化しなくてもTPPへの対応は十分。それどころか歓迎するとまで言い切る地域もある。

 規模では世界第5位と言われる日本の農業を本質的に強くできれば、日本経済の基盤は磐石になる。それには弱いから守るのではなく、徹底的に強くする戦略への転換が不可欠だ。日本人のアイデアと工夫をもってすれば不可能ではないはずだ。

 参院選後、アベノミクスはどこへ向かって進んでいくのか。

 農業問題も含め、アベノミクスは衆参両院のねじれが解消した後が実は正念場だと産業競争力会議のメンバーであり安倍内閣のブレーンの1人である竹中平蔵・慶応大学教授は話す。

 そして、日本経済が浮揚できる最後のチャンスとも言い切る。最新刊『竹中先生、日本経済 次はどうなりますか』(アスコム、税抜き952円)を発売したのを機に竹中教授に日本経済の行方を聞いた。

川嶋 これまで出口のないトンネルの中を進んでいるような日本経済でしたが、アベノミクスの登場で国民の間には何か期待感のようなものが膨らんでいます。何か良くなるんじゃないかと。参院選後に衆参のねじれは解消するでしょう。政権の基盤が強化された後、アベノミクスはどんな発展を見せるのでしょうか。

アベノミクス以外に日本を再生させる道はない


竹中平蔵・慶応義塾大学教授
竹中 私はよく最近言うんですが、アベノミクスは理論的には100%正しい。ただし、それを本当に実行できるかがまだ分かりません。未知数なんです。

 だから、アベノミクスが正しいかどうかという議論はもうやめた方がいい。そうではなくて、いま議論すべきなのは、アベノミクスを正しく実行できるかどうかです。

 英国の宰相マーガレット・サッチャーの言葉で、ティーナ(TINA)というものがあります、英国女性の名前に由来しているのですが、そこに「There is no alternative」の意味を持たせている。つまり、ほかに方法はないよ、ということなんです。

 これを安倍晋三首相も最近よく使っています。実際その通りで、3本の矢、これ以外に日本を再生する方法はありません。

 日本語に「起承転結」という言葉があるでしょう。英語にすれば「起」は「start」、「承」が「development」で、「転」は「turn」、「結」は「conclusion」ですよね。

 これに沿ってアベノミクスを見れば、「起」つまりスタートは非常に良かったと思います。まず安倍さんは徹底してデフレを克服する政策を掲げた。そのためには金融政策が必要不可欠だとして、日本銀行に対応を迫りました。

 それだけでなく同時に新しい総裁も任命して、そしてすぐに2%のインフレターゲットも設定しました。新しく任命された黒田東彦総裁は4月4日の政策決定会合で、当面考えられるすべてのことを一気にやると明言しました。

川嶋 胸のつっかえが一瞬で落ちたようなスピード感でした。政策にはこういう素早い行動力が大切ですよね。

竹中 だから本当にグッドスタートだったと思います。アベノミクスで株価が急上昇したけれども、最近株価が少し揺らいでくるといろいろと批判する人がいます。なかにはアベノミクスのメッキが剥げたという人までいます。

 しかし、それらは全くピント外れ。なぜって、昨年の6月から今年の5月まで株価は83%上がったんですよ。あのバブルの時ですら株価の上昇率は年60%なんです。バブルを上回るような速さで上がったわけで、どこかで利益確定の動きが出てくるのは当たり前の話です。

竹中 実はそこに米国でFRB(連邦準備理事会)のベン・バーナンキ議長がQE3(量的緩和第3弾)の出口を探しているという話が入った。それでアジアや日本からお金が引き上げられるという事態が発生しました。

アベノミクスの点数は75点


『竹中先生、日本経済 次はどうなりますか?』(アスコム)
 日本だけじゃなくてアジア全体の株式時価総額が何兆円か下がった。そういうことが重なって今の状況になっているわけです。

 黒田総裁の金融政策は間違っていたわけではない。もう1つ、逆に株価が一気に上がったことで日本の株はミニバブルだとか指摘する人がいます。しかし、よくそんなことを平気で言うなと思いますよ。

 2007年7月、第1次安倍内閣のとき日経平均は1万8000円台でした。2008年のリーマンショックの前でも1万4000円台だったのです。ですから、今の株価水準が高すぎるということはありません。

 要は今までの金融政策が悪すぎて、日本の株価が低く抑えられてしまっていたということです。だから日本経済の実力からすると、正しい政策をちゃんと実行すれば株価が1万8000円とかに戻るのは当然だし、もっと高くなっても全然おかしくない。

 次の「承」の「development」に関しては、これは骨太方針とか成長戦略を問われたわけです。これに関しては、楽天の三木谷浩史(会長兼社長)さんが安倍政権の成長戦略を75点という評価をしました。

 三木谷さんは非常に良く考えているなと思いました。

川嶋 75点を腑分けするとどうなるんでしょう。

竹中 日本の成長には思い切った規制緩和が必要です。いわゆる岩盤規制と言われるような、もう15年ぐらいずっと議論しているのにびくともしない規制がありますよね。

 例えば、農業に対していまだに株式会社が参入できない。これを米国の人に言ったらびっくりされますよ。「ウソだろ!」って。「そんなの憲法で許されるのか」っていう話ですよね。

 それが日本ではずっと行われているわけでしょう。議論することすらタブーみたいになっている。あと混合診療もそうですよね。一部だけ自由診療したら、ほかの治療まで全部保険が使えなくなるという。全く意味が分かりませんよね。

川嶋 これについてはJBpressで何度も取り上げてました。訴訟も起こされていますが、ほとんど負けてしまっていますね。

竹中 法律の問題なら、法律を作り変えればいい。それもせずに患者のためにならない非合理がまかり通っているのは不可解極まりない。

 実は今回のアベノミクスではこうした岩盤規制にはまだほとんど手がついてないわけです。だから100点からは減点されてしまう。

安倍政権以前の成長戦略は40点止まり

 しかし、岩盤規制以外については結構しっかり取り組まれていると思います。安倍政権の前にも成長戦略はいくつも出されてきました。この7年間で7つは出ています。しかし、それらの評価はせいぜい40点止まりでしょう。

 それに比べたらはるかに良いわけです。それは特区の話があったり、 コンセッションの話があったり、それとGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)を改革して年金基金を見直すとか、かなり大胆で画期的なことが含まれているわけです。

川嶋 コンセションとは国や地方自治体の資産の一部を民間に貸し出して、民間の活力で事業を拡大し経済を発展させるやり方ですね。九州の玄関口、福岡空港の2本目の滑走路をこの方式で作ろうという計画も出てきました。

 民間に任せることで様々なアイデアとチャンスが生まれ、今までの発想とは次元の違う世界が見えてきそうで楽しみです。結果が予測できるものだけではなくて、民間に任せたら何か出て来る、そういうチャンスを作ることが大切ですよね。

 またGPIF改革は、韓国の経済規模にも匹敵する運用資産を、これまでのような日本国債に偏った運用をするのではなく、株式や世界中の債券などに分散して投資できるようにする。

 シンガポール政府投資公社(GIC)のSWF(ソブリン・ウエルス・ファンド)のような運用成績が期待できれば、これまた次元の違った話になりますね。これまでのように安全というわけにはいかないけれど、知恵と行動力を求められるから、運用担当者の能力が磨かれるはずです。

竹中 ええ。一方で戦略特区は、これまたうまくやれば画期的なものになります。特区は2002年、小泉純一郎内閣のときに規制改革の突破口として作ったものです。しかし、今では地方が国に補助金をねだるような形に変わってしまいました。

 それでは意味がないので、安倍首相が主導する特区を作ろうという構想です。例えば、首相が東京を国際戦略拠点にしたい、大阪をイノベーション拠点にしたいと考えて特区を設定する。そして、首相の意思を反映させるために新しく特区担当大臣を置く。

竹中 特区担当大臣と特区が置かれる都道府県の知事や市長、特区でビジネスを展開する企業の代表、その三者が集まって「三者統合本部」を作る。小さいけれど1つの独立政府のようにして物事を決めて行けるようにする。ここがミソです。

 こうした成長戦略を総合すると、安倍政権以前の40点と100点の中間だから70点ぐらいではないだろうか。産業競争力会議のメンバーである三木谷さんはそう見ているわけです。私もこれには賛成で、三木谷さん、良く考えているなと思いました。

参院選後に大切な起承転結の「転」を迎える

 ただ、これで終わりでは困る。私は今回の成長戦略は中間報告、第1次リポートであって、次に「つづく」、英語で言えば「to be continued」なんですね。それは安倍総理もよく分かっているようです。

 最近、成長戦略は進化すると言っていますよね。これからも続けてアイデアを出し実行していくというわけです。

 そこをどう続けるか。そこで3番目の「起承転結」の「turn」が大切になってくるわけです。ここが日本にとって、最も大切なところです。

 やっぱり衆参ねじれのままでは政治は安定しませんし、それでは成長戦略の矢を継ぐことができない。ですから、ねじれ解消は基本です。まぁ、選挙はやってみなければ分からないとはいえ、おそらく自民党は大勝するでしょう。

 で、問題はそこから先ですね。ねじれを解消して初めて本当の意味での政権交代だという思いは自民党執行部に強い。2007年の選挙で負けた安倍さん自身の責任でそれ解消したいという強い思いがある。

 でも、それは単に始まりという意味でなければなりません。私は今度の安倍政権は歴史に名を残す内閣になると思っています。

 ねじれを解消して、強い政権が誕生する。ただし、そこでこの「転」「turn」をきちんとやり切ることが前提です。もし失敗すれば、結局はワン・オブ・ゼム、歴代の内閣と大差ない政権に終わってしまう危険性がある。

川嶋 日本経済にとって、大きな分水嶺を迎えているわけですね。選挙後がポイントになる。チャンスの女神は前髪しかないと言われますが、このチャンスをものにできないと日本経済に再びチャンスはやって来ないかもしれない。

竹中 はい。大変な分水嶺です。どっちに傾くかで、日本の将来の差は大きく変わってしまいます。もし、この安倍内閣で日本経済を良くしないと、日本経済はもうダメでしょう。つまり、安倍内閣が歴史的な内閣になってくれないと日本経済の将来はない。

 ですから、選挙後の「turn」で相当な体制を作ってもらわないといけないわけです。

 ただし、政策というのは結果が出るまで時間がかかります。日銀総裁の黒田さんの政策は正しいと思いますが、おそらく結果が出るまでに2年はかかると思います。

政策の成果には時間がかかる、人事でメッセージを

川嶋 すぐに結果が出ないからアベノミクスが失敗だというような口車に日本の国民は簡単に乗るべきではない、ということですね。前にマレーシアのマハティール元首相にインタビューした際、「信頼して任せじっと待つ」ことが必要だと言っていました。

 ここは日本国民も我慢のしどころですね。

竹中 はい。ところが人事は違うんです。人事というのは即効性があり強いメッセージ性を持つ。ですから、人事をやるということは、これからこうするぞという方針を示すことにほかなりません。

 実際、小泉さんはこの人事を上手くやりました。人事はメッセージであるということを活用して体制をを整え、思ったように政策が実行されるように仕向けていった。

川嶋 選挙後の人事での注目はどこでしょう。

竹中 注目すべき点は2つあると思います。1つは特区担当大臣です。現在の内閣府特命大臣である新藤義孝さんは安倍内閣の立ち上がりに貢献度が極めて高かったと思います。でも、私自身が経験したから言うのですが、総務大臣との兼任は大変なんです。

 国会が始まったら、30本ぐらい法律を抱えてしまうので身動き取れなくなる。そうなると、特区を実際に回るようなことは不可能に近い。

竹中 特区を担当する大臣を具体的に誰にするかという話よりは、仕組みの問題が大事だと思うんです。特区を重視するなら、特区に全身全霊を懸けて取り組めるようにしなければならない。

 もう1つのポイントが金融担当大臣でしょう。民主党政権下では、基本的に市場経済に反対意見を持っている人がこのポストを占めてきました。その結果、モラトリアム法案のようなものが出てきてしまった。

経済が分かっていなかった金融担当大臣

川嶋 中小企業の支援という大義名分で、銀行に無理やり貸し出しを求めたやつですね。一時的に助かった中小企業も多いでしょうが、根本解決には程遠く、むしろ健全な競争を阻害して不良債権を増やしてしまう。分配しか頭にない人たちにありがちです。

竹中 今度の安倍政権では真っ先に廃止しました。ただ、金融庁長官は変わっていないんですよ。こういうところにメッセージ性が足りないと私は思います。

 市場経済では、制度疲労を起こし時代に合わなくなった企業は退出してもらわなければなりません。そして活力ある新しい企業に人材を供給することで、経済は成長していく。そういう企業の新陳代謝を促すのは、実は銀行の役目なんですね。

 ですから銀行がしっかりしていないと、そういう判断ができない。銀行にそういう意識を持たせて市場原理を働かせていこうというメッセージ性、それは金融庁長官にある意味集約されると思います。

川嶋 企業でも人事は極めて大切です。でも最も難しい。獅子身中の虫などという表現もありますが、味方だと思ったら敵だった、というようなこともよくある。

 生き馬の目を抜くような政治の世界では、足の引っ張り合いが日常茶飯事でしょう。そうした中でメッセージ性あふれる人事をやるのは難しそうです。でもやらなければならないということですね。

竹中 政治の世界では、白地のキャンパスに自由な絵を描くようなんてことは全くできません。すべて制約の中でもがきながら決めていかなければならない。だから、内閣の中にはよそ者は1人かせいぜい2人しか入れられないんですよ。

川嶋 選挙も大事だけど、選挙の後の方がもっと大事だということはよく分かりました。それは、言葉を変えると、安倍さんの敵は自民党の中にいるということになります。安倍さんの改革の足を引っ張ろうとする勢力。それとの戦いですね。

川嶋 ところで、以前、竹中さんにお会いして第1次安倍内閣が失敗に終わった理由をお聞きしたとき、「安全運転すぎる」ということを強調されていました。小泉さんの後を受けて、周りが安倍さんに失敗させないように、リスクを取らせなかった。

 その結果、リスクを取ってでも大きな改革を望んでいた国民が失望し、民意が離れていってしまった。リスクを取らなければ成果も上げられないから、支持率はどんどん下がってしまった。

 第2次安倍内閣ではその反省に立ってスタートしているので、かなり期待してきたんですが、最近はやや安全運転が目立つようになってきた気がして気がかりです。その点はいかがでしょう。

日銀に対して取った大きなリスク

竹中 安倍政権のこの7カ月間を見てますと、ちゃんとリスクは取っていたと思います。日銀に対してはリスクを取った。これは非常に大きいポイントですね。ただ、あとは安全運転と言われればその通りかもしれません。

 でも、これは私は本当に小泉さんの近くにいて分かったけれども、総理大臣といえども360度敵にはできないんです。選択と集中で、ここと戦ったら、しばらく休んでまた政治的力を蓄えて、またここと戦うと、戦略的重点項目を1つ、2つどう決めるかが勝負です。

 小泉さんの後、残念ながら重点項目がなくなってしまったけれど、今回、安倍さんは日銀に対してリスクを取った。激しくやったわけですよ。あの時、安倍さんを誰も助けてません。全部安倍さんがやり切ったのです。たいしたものだと思います。

川嶋 エネルギー問題、とりわけ原発の再稼働についてはやや既得権益者の声に押されてしまったのかなぁという印象が拭えません。エネルギー分野ではほかにもっと大きな成長戦略が描けるだろうと思うのですが。

竹中 それは別の要因があるんですよ。安倍さんは財務省と戦おうとして、経済産業省に引っ張られすぎてしまった。財務省をちゃん押さえ込んでおかないと、全部やられてしまうと思いがあるんですね。

 その結果、秘書官など経産省出身者が増えてしまった。経産省はある意味安直なところがあって、原発を再稼働させたくて仕方がない。だから、私は官房長官の菅義偉さんには申し上げたんですよ。

 「安全を確認して再稼働すると言っちゃだめですよ」と。「再稼働するかどうかを判断するに当たっては徹底的に安全性をチェックすると言うべきだ」と。これって同じようで国民の受け取り方が全く違うでしょう。

川嶋 確かに。欲を言えば、自然エネルギーに対してもっと踏み込んだような政策があると良かったと思います。

安倍政権があえて避けてきた3つの問題

竹中 それはさっき言った通りで、360度敵に回せない。実は、安倍政権は成長戦略を策定して骨太の方針作る段階で、あえて3つの問題を避けてるんです。

 1つは社会保障改革、これをやらないと財政再建できません。2番目は地方分権。地方分権を本当にやろうと思ったら消費税を回さなければならないから、これはすごく難しい問題です。そしてエネルギー政策。この3つは今のところこれまでの枠組みをそのまま引き継いでいる。

 大事なテーマはほかにもたくさんあるんですが、これを全部はできないから、今後どのようにやっていくかが、戦略的アジェンダなんですよ。

 あれやってない、これやってないと言うのは簡単です。世の中にはいっぱい問題があるから。その中で一つひとつ順番にきちんとやり抜いていくことが大切です。何かを徹底してやっていると、ものすごい反対論が出てくるんです。一方で、賛成論も出てくる。

 これが均衡するのが政治の理想なんだと思いますよ。

川嶋 そこに論争が出てきて、旗幟鮮明になる。四面楚歌と思いきや、意外な味方が現れて思わぬ展開が開ける。企業の中でもよくあることです。リスクを取らない安全運転だと、敵もできにくいけれど、味方もできませんね。

竹中 そうなんです。反対論がなければ賛成論もない。そのうちに何かスキャンダルがあると足元をすくわれてしまう。

 以前、小泉さんに何回か言われましたよ。「悪名は無名に勝るからな」って。小泉さんって大変な哲学者だと思いましたよ。

 リスクを取った結果、ものすごく批判されている大臣がいたら、それは大変良いことなんですよ。一番困るのは、「そんな人いたっけ」という人。でも、そういう人の方が圧倒的に多い。

 で、メディアに文句が言いたいのは、評判の悪い人を叩くことです。なのに、何にもしない人は叩かない。巨大メディアにそんなことされ続けたら、政治家だってリスクを取らなくなってしまいますよ。

川嶋 ホンダの創業者である本田宗一郎の言葉に「傷ついた鶏をつっつくな」というのがあります。リスクを取って挑戦し失敗した人を叩くのは容易ですが、それでは会社にとって何のメリットもないどころか、リスクを取らなくなってしまうという戒めです。

 日本のメディアは部数や視聴率を最も気にするからどうしてもそうなるんでしょう。人気商売の政治家にも同じことが言えるかもしれません。でも、ここに国の民度が現れてしまう。

大メディアが日本経済の足を引っ張ってきた

竹中 メディアが悪いよね。ほんとに悪いと思いますよ。この国は。どうだろう。日本が悪くなった7割はメディアの責任かもしれません。

 最近、若い人たちが新聞を読まなくなったのは良い傾向かもしれませんね。今の20代で新聞読んでる人って10%ぐらいしかいないんでしょう。30代でも3割ぐらい。読んでいるのは、50代以上ばっかりですよ。

川嶋 メディア論は別の機会にして、最後に、世界から見た安倍政権についてお聞きしたいと思います。私たちが翻訳している英国のフィナンシャル・タイムズ(FT)紙などは、日本の右傾化を本気で心配しているようですが。

竹中 これも日本のメディアの影響が大きいんだと思いますよ。だって外国のメディアって日本のことは分からないですから。記者クラブにも入ってないでしょう。

 日本のメディアが書いてることで大体の状況をつかんで、そのうえで具体的な発信をしているわけで、これはつまり、日本のメディアがバイスをかけてることの証明なんですよ。

 実際に会えばよく分かりますが、安倍さんはものすごいリアリストです。だから右傾化というのはかなりピントが外れていると思いますね。

 確かに、米国の中で日本の右傾化を心配する声があるのは事実です。しかし、よく聞いてみると、日本についての情報がちゃんと伝わっていないんです。

 この前、内閣府の西村康稔副大臣と一緒に香港に講演に行ったんですが、そういうことを政府としてもっとやっていく必要があると思います。マスコミを通すと話が歪んでしまうから、直接にね。

川嶋 中国と韓国の日本に対するネガティブキャンペーンはものすごい。しかも米国で盛んにやっています。明らかに情報発信力の差が出てきているということでしょうか。この点は日本も国防の観点からも真剣に受け止める必要があります。

 ところで、日本はようやくTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の交渉に参加することになったわけですが、TPPは一面で中国を排除する目的があるとも言われます。

 急速に台頭してきて我が物顔に振舞い始めた中国。ルールは自分たちに合わせろと言わんばかりの勢いで、それに対して自由貿易主義は何としても守らなければならないというのがTPPの1つの狙いですよね。

韓国に懲りて中国排除を狙い米国が参加したTPP

竹中 中国が国家資本主義を露骨に進めていることをけん制するために、政治的にやってるわけです。米国としては、自由貿易を守っていきたいのだけれども、2国間ではもうやりたくないということなんですよ。

 米国は韓国との2国間の自由貿易協定(FTA)を結びました。しかし国内の反発が強く、もう2国間の協定には懲り懲りしているわけです。韓国の利益のために結んだ協定ではないかと。米国に行くと分かりますが、米側の反発はすごいですよ。

 それが多国間だと言いわけができる。そもそも、どこの国でも自由貿易に対しての反発は強い。しかし、多国間の協定だと反自由貿易者に対してのアレルギーが薄まるんです。

 そしてもう1つ。自分たちのルールを曲げない中国を入れない言い訳もできる。つまりこれは、中国の封じ込めなんですが、そんなことを面と向かって言う必要もなく、中国の国家資本主義の膨張を防ぐことができる。

 TPPはそういうメッセージを持っているんです。2009年ですよ、米国がTPPに入ってきたのは。わずか4年前です。それまで米国はTPPなんて何にも考えていなかった。

川嶋 まさに米国らしい政治的な策略ですよね。

竹中 そうです。そして、もう2国間の自由貿易協定はやらないと断言している。日本が米国と自由な貿易を望むなら、TPPに加わるしかない。それ以外にないんです。There is no alternative. なんです。


17. 2013年7月22日 01:11:27 : zfNMolIw6w
【第18回】 2013年7月22日 伊藤元重 [東京大学大学院経済学研究科教授、総合研究開発機構(NIRA)理事長]
アベノミクスを論ずる際に飛び交う
名目金利と実質金利を混同した間違いだらけの議論
実質と名目の混同

 アベノミクスの効果を判断するうえで、金利の動きが非常に重要になってきた。しかし、世の中の議論には名目金利と実質金利を混同したものが多い。専門家と言われる経済学者やエコノミストのなかにも、そうした混同をする人がいて、間違った議論が横行しているのだ。

 世の中に横行している議論には以下のようなものがある。

――物価上昇期待が進めば国債の利回りである長期金利が上がっていくだろう。長期金利がいまの1%から2%程度に上がっただけで、政府債務の金利負担は膨れ上がり、財政運営は大変なことになるだろう。

――金利が上昇していけば、不動産価格や株価は下がっていくだろう。

――金利が上昇すれば、銀行の抱える国債の価格が下がるので、銀行のバランスシートが毀損してしまい、銀行の経営は大変なことになるだろう。

――金利が上昇すれば、企業の投資などにもマイナスの影響が及び、景気の足を引っ張るだろう。

 これらの議論で問題なのは、そもそも名目金利を想定しているのか、実質金利を想定しているのかが明確でない点だ。一番目の議論では、物価が上昇していけば金利も上がると言っているので、明らかに名目金利のことを指しているはずだ。他の議論も名目金利を指していると見てよいだろう。しかし、もしそうだとすれば、ここにある議論はすべて間違いということになる。

名目金利上昇で政府財政は大変なことになるのか?

 たとえば、将来的に物価上昇率が2%程度、名目金利が2.5%になると想定しよう。この場合、実質金利は0.5%である。安倍政権が発足する少し前には、名目金利は1%程度、物価上昇率はマイナス0.5%程度だったので、実質金利は1.5%であった。想定した物価上昇によって、名目金利は1.5%程度上昇するが、実質金利は1%程度下落することになる。

 こうした名目金利の上昇(実質金利の下落)は、政府の財政運営を難しくするどころか、むしろ助けになるはずである。政府の債務状況を見るための重要な指標は、債務の絶対額ではなく、債務がGDP比でどれだけあるのかということだ。現時点では、この公的債務の対GDP比が200%を超えている。その意味で、日本の財政は危機的な状況なのである。

 名目金利の上昇は、国債の利払い費を増やしてしまう。すでに発行されている国債の利払いに影響するわけではないが、将来、それをより高い金利で借り換える必要があるので、それ以降の国債の利払いが増えていくのだ。そして、これは債務/GDPという比率の分子を増やすことになる。しかし、もし物価が上昇していけば、それは名目GDPを増やす。つまり、この比率の分母を増やす結果になる。

 数値例で言えば、名目金利が1%ポイント上昇しても、物価が2%ポイント上昇するなら、分子は1%ポイント増えるが分母も2%ポイント増えるので、全体としては政府の債務負担は軽減されるはずなのだ。

 少しテクニカルな説明になってしまったが、これをもう少し別のかたちで説明すれば次のようになる。たしかに、名目金利が上昇すれば政府の利払いはその分増えていく。しかし、物価がそれ以上に上昇すれば、税収(の名目値)は利払い以上の勢いで増えていくはずである。したがって、財政運営にはプラスに働くことになる。

金利が上がれば景気は悪化するのか

 上の議論が理解できれば、他の例の問題点も明らかだろう。

 たとえば、名目金利が上昇すると不動産価格や株価にマイナスの影響があるかと言えば、実質金利が上昇しないかぎり、そうした問題は起こりえないことになる。

 もう少し具体的な例で考えてみよう。先述した、名目金利が1%から2.5%に上昇し、物価上昇率がマイナス0.5%からプラス2%に上昇する例である。ここで重要なのは、一般物価と不動産価格や株価は連動するという点である。不動産価格や株価は名目値で表記されるものなので、地価や株価を大きく変えるような実態経済の変化が起きないかぎり、物価が2%上昇するときには、株価や不動産価格も2%程度上昇すると考えるのが自然である。

 ただ、金利が変化しているので、それが地価や株価の実質価格に及ぼす影響を考えなくてはいけない。ここでは不動産のケースだけ考えてみよう。たとえば、資金を調達して不動産投資をしようとする企業を想定する。その調達金利は名目金利だが、負債の実質的な負担は実質金利である。金利が2.5%であっても、物価が2%で伸びていくかぎり、借金の実質額も2%で減少していくからだ。

 つまり、実質金利が低下していれば、名目金利が高くなっていても、不動産投資をする人には有利になっているのだ。これは住宅ローンを使って住宅を購入する人にとっても同じことだ。不動産調達のコストは名目金利ではなく、実質金利なのである。

 金利と景気の関係についても、同じように考えればよい。景気に大きな影響を及ぼす投資や消費は、金利に敏感に反応することがある。ただ、そこで重要なのは、名目金利ではなく実質金利である。名目金利が上昇しても、物価がそれ以上に上昇していけば、金利の実質負担は小さくなる。

 国債価格の金融機関への影響についても同様に考えればよいのだが、少し詳しく説明しておきたい。国債の利回りである長期金利(名目金利)が上昇すれば、その分だけ、金融機関が保有する国債の市場価格は下落する。これは金融機関にとって、会計上の評価損ということになる。

 ただ、その国債を満期(償還)まで保有しておけば、額面価格で政府に買い取ってもらうことができる。問題は、その間に物価上昇が進む分だけ、国債の償還時の実質額が小さくなるということだ。

 その意味では、金融機関への影響は、金利が上昇した時点での会計上の評価損、そして満期まで保有すれば、その時点での物価上昇による実質的な価値の減少ということになる。

 ここで注意しなくてはいけないのは、金融機関が膨大な預金を預かっているということだ。そもそも国債を購入する資金も、その預金を利用している。金融機関のバランスシートで見れば、保有国債は資産であるが、預金は負債である。物価が上昇すれば、この両方とも実質価値が減少する。国債の価値は物価上昇で低下するかもしれないが、それ以上に、預金という金融機関の負債の実質額も低下するのだ。

 もちろん、金融機関は預金に金利を払っている。この金利が上昇すれば、その分の負担は大きくなる。ここで再び実質金利が重要となってくる。預金金利が上昇しても、それ以上に物価が上昇していれば、金融機関の負担はむしろ小さくなるのだ。

 金利の金融機関への影響は複雑である。将来への不安から、名目金利が上がれば、一部の金融機関は国債を安値で損切りするかもしれない。また、物価が上昇して実質金利が下がっていけば、預金者は預金の一部を引き下ろす行動に出るかもしれない。

 こうした諸々の要因をすべて考慮に入れたとき、金利の変化が金融機関の経営に及ぼす影響は非常に複雑なものとなる。したがって単純な議論はすべきではない。しかし一般論で見て、名目金利が上がっても、物価がそれ以上に上昇して実質金利が下がるようなら、金融機関にとってはプラスの影響となるはずだ。

実質金利は物価上昇で低下するのか?

 そこで最大の問題となるのは、物価が上昇していく過程で実質金利が本当に低下するのかということだ。

 物価上昇率が上がれば、それと同じだけ名目金利が上昇するメカニズムを、経済学者は「フィッシャー効果」と呼ぶ。フィッシャー効果が働く世界では、物価が上昇しても実質金利は変化しない。

 激しい物価上昇が続くような経済では、フィッシャー効果が成り立つケースが多い。しかし、日本のように、物価上昇率がゼロ近辺にあるときには、フィッシャー効果は成立しない。

 過去、日本の物価上昇率がプラス圏内からマイナス圏内になったとき、物価が下がるほどには名目金利は下がらなかった。名目金利がゼロ以下にはならないのだ。

 名目金利といっても、短期金利であればゼロまで行くことは可能だが、長期国債の利回りである長期金利であれば、1%を切るのもなかなか大変なことである。歴史的に見ても、長期金利が1%近い水準にまで下がったのは、17世紀のジェノバ以来のことだと言う人もいる。

 物価上昇率がマイナス圏内に入っても、長期金利は1%前後のところまでしか下がらない――したがって、デフレが進行していくときには、実質金利は上昇する。

 今後起きると予想されるのは、これとちょうど逆のプロセスである。つまり、物価が上昇を始めても、金利はそれほど上昇しないということだ。もしそうであれば、デフレから穏やかなインフレに移行するプロセスでは、実質金利は低下していくことが期待される(もちろん名目金利は若干上昇する)。

 すでに述べたように、金利は他のさまざまな要因にも反応して動く存在である。だから、実質金利が必ず下がると言い切ることはできない。海外の金利動向、日本の財政再建の信頼性に対する市場の反応、景気動向などに注意して、金利の動きを追う必要がある。

 いずれにせよ、名目金利と実質金利を混同することは、ぜひとも避けなくてはいけない。


18. 2013年7月22日 21:07:07 : niiL5nr8dQ

竹中平蔵の「経済政策ウオッチング」
参院選勝利で内閣改造が焦点、二つの重要なポイントとは?
nikkei BPnet
2013年07月22日 
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 参院選は事前の予想通り、自民党の勝利で終わった。今後は内閣改造がテーマとなるが、ここでどのような人事を行うかによって、経済政策「アベノミクス」の将来が決まってくる。

アベノミクスの「起承転結」を考える
 私は以前から、アベノミクスの「起承転結」ということを言っている。「起」というのはスタート、「承」はデベロップメント、「転」はターン、「結」はコンクルージョンである。

 スタートに関しては、金融政策を中心に良いスタートが切れたことは間違いない。4月4日、黒田東彦総裁になって最初の日銀政策決定会合で、考えられるすべての金融政策の手段をとったというところに大きな利点があったと思う。

 市場もそれに対して好意的に反応した。株価は、少なくとも5月半ばまでは約80%上昇するペースだった。

 デベロップメント(承)に関しては、成長戦略が担うことになるわけだが、これはやはり100点からは程遠いものだったと思う。しかし、「国家戦略特区」など今までとは違うものが入っているから、40〜50点よりは高い点数にはなっている。

 楽天の三木谷浩史社長が評価したように「75点」くらいの内容だったと言える。その意味では、デベロップメントは無難にこなしてきている。

Next:参院選後の体制づくりにすべてがかかっている

 参院選までは政治的な配慮から大胆なデベロップメントに向かうことができなかった。今回、与党が参院選に勝利したことで、衆参の「ねじれ」も解消された。政治は安定を取り戻している。

 自民党が今回の選挙で強調していたのは、「政治の安定」だった。その一点だけを焦点にして参院選を戦ったと言ってもよい。

 問題は、安定化したあとの体制づくりをどうするか、である。そこにすべてがかかっている。

 私は安倍内閣というのは、うまくいけば歴史に残る内閣になると考えている。しかし、今後の体制づくりを間違えれば、歴史の厳しい評価が下されることになるだろう。

 自民党には依然として、「地元にもっと予算を回してほしい」という政治家が存在する。それに押し流されるようなことがあれば、過去の凡庸な内閣と同じ道をたどることになる。

 参院選後の体制づくりこそ、デベロップメントに続くターンの段階である。このターンがうまくいくかどうかによって、安倍内閣の将来はまったく違ってくる。

Next:内閣改造であと2人の改革派が必要

どの内閣でも内閣改造は重要だが、今回の内閣改造はきわめて重要なものと言える。ポイントは二つある。

 一つは、改革派がどれだけ入閣するか、である。

 私は安倍晋三首相と菅義偉官房長官は改革派だと思っている。ところが、自民党は決して改革派ばかりではない。内閣のメンバーを改革派ばかりでそろえることは難しい。

 そこで、今度の内閣改造では、首相と官房長官のほかに、改革派が2人、入閣していれば大丈夫だと私は見ている。それだけの改革派がいれば、改革を進めることは可能である。

 ある財界人が次のようなことを言っていた。

 「改革を進めた小泉内閣でも、本当の改革派は内閣に1人か2人しかいなかった」

 まさにその通りで、安倍首相が少数精鋭の改革派をどのように使いこなすかが、これからの改革の成否を握るのである。

特区担当大臣、規制改革担当大臣をどう位置づけるか
 そこで二つめのポイントとして、内閣の2ポストに注目したい。

 まず特区担当大臣である。現在、特区を担当している新藤義孝総務相もとても頑張っておられるが、総務大臣との兼務はかなり大変である。総務大臣は私も経験したことがあるが、ものすごく多くの法律を抱えるポストであり、国会が始まると審議が多くて身動きが取れなくなる。

 今度の国家戦略特区制度では、特区ごとに国・地方自治体・民間の三者統合本部をつくらなくてはならないので、担当大臣は全国の特区を飛び回ることになるだろう。フットワークが要求されるポストとなる。そうなると、総務大臣という重いポストと兼任するのはなかなか難しい。

 安倍首相がそういった事情を考慮に入れながら、特区担当大臣をどのように位置づけるかがポイントになる。「誰がやるか」よりも、「どのように位置づけるか」というのが、内閣の改革方針を決定することになるだろう。

 また、規制改革担当大臣も重要だ。規制改革と特区は関連性が高い。特区担当大臣と同じ人がやるという考えもあるだろうし、規制改革担当大臣には別の人を立てるという考えもあるだろう。ここでも、規制改革担当大臣をどのように位置づけるかが、内閣にとって重要なポイントとなる。


金融システム健全化に重要な金融担当大臣のポスト
 政策というものはすぐには答えが出ない。しかし、人事というものはすぐにメッセージが出る。「この人をこのポストに充てる」ということは、「首相はこういう考えだ」というメッセージとなり、内閣の評価に直結する。

 内閣改造で注目したいもう一つのポストは、金融担当大臣である。経済の新陳代謝を高めるためには、コーポレートガバナンスが重要だが、それと同時に金融機関が健全に機能して、ちゃんとしたモニタリングを行っていることが必要だ。

 市場から退出すべき企業について、最終的に退出させる判断を下し、企業に引導を渡すのが金融機関の役割だ。その金融機関が健全な競争下に置かれているかどうかを見るのが金融庁ということになる。

 ところが、2009年に民主党政権が誕生すると、市場本位の金融に否定的な人が金融担当大臣に就任した。モラトリアム法(中小企業金融円滑化法)をはじめ、民主党政権下の金融担当大臣はめちゃくちゃな金融行政を行ってきた。

 2012年の自民・公明両党への政権交代で、モラトリアム法は廃止されたが、日本の金融システムは健全化したというメッセージは出されていない。

Next:経済再生のラストチャンスかもしれない

金融行政は依然として、民主党政権以来の政治空白が続いている。

 内閣改造では、この金融担当大臣をどのように位置づけるかが、きわめて重要になってくるだろう。

 安倍内閣で経済再生が実現できなければ、日本は本当に危ない状況になる。ラストチャンスと言っていいかもしれない。

 日本再生のためには、安倍内閣に歴史的な内閣になってもらわなければならない。そのためにも、アベノミクスのターン(転)をしっかりと行い、最良のコンクルージョン(結)に持っていってほしいと思う。

竹中平蔵(たけなか・へいぞう)
慶応義塾大学総合政策学部教授
グローバルセキュリティ研究所所長
 1951年、和歌山県生まれ。経済学博士。一橋大学経済学部卒業後、73年日本開発銀行入行、81年に退職後、ハーバード大学客員准教授、慶応義塾大学総合政策学部教授などを務める。2001年、小泉内閣の経済財政政策担当大臣就任を皮切りに金融担当大臣、郵政民営化担当大臣、総務大臣などを歴任。04年参議院議員に当選。06年9月、参議院議員を辞職し政界を引退。
 現在、慶応義塾大学総合政策学部教授・グローバルセキュリティ研究所所長。公益社団法人日本経済研究センター研究顧問、アカデミーヒルズ理事長、株式会社パソナグループ取締役会長などを兼職。主な著書に『日本大災害の教訓―複合危機とリスク管理』(共著、東洋経済新報社)、『経済古典は役に立つ』(光文社新書)など多数。
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20130718/358476/?ST=business&P=6


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