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安倍の第四の矢は経済ハラキリか?(FTalphaville)
http://www.asyura2.com/13/hasan81/msg/229.html
投稿者 masaharu 日時 2013 年 7 月 19 日 11:30:48: navyu/lCyj.U.
 

安倍の第四の矢は経済ハラキリか?(Is Abe’s fourth arrow economic hari-kiri? by Philip Pilkington)

安倍の第四の矢は経済ハラキリか?

フィリップ・ピルキングトン筆 ライター、キングストン大学助手

(Is Abe’s fourth arrow economic hari-kiri? by Philip Pilkington http://ftalphaville.ft.com/2013/07/04/1557492/is-abes-fourth-arrow-cconomic-hari-kiri/ から翻訳しています。著作権の問題がありますので図・グラフは転載していません。フィナンシャル・タイムズ紙の購読は有料ですが、私が翻訳しているアルファビルというブログサイトだけなら、メールアドレス登録だけで無料です。)

皆が日本の安倍晋三の「第四の矢」と呼ばれる景気回復プログラムの話をしている。来年度に消費税を8パーセントに上げ、その翌年の2015年10月には10%まで上げるという計画である。私達は、過去二十年間のカラフルな日本のマクロ経済の歴史から、そのような動きがもたらす結末について、何かを言えるだろうか。ああ、私達は可能である。

日本は、本当にたくさんの財政出動と増税の経験を有している。それが、安倍の弓から第四の矢が本当に放たれた場合に、何が起きるかについて予測することを、他の国での場合よりとても容易にしている。

1997年に、日本政府は財政削減に取り組み、消費税を3%から5%に引き上げた。この政策が制定されて間もなく、不況が起こり、増税による削減を目論んでいた対GDP比債務残高が急激に上昇した。

全ての非を、東アジア金融危機による不況のせいにする者もいる。しかし、数字はより複雑に物語る。下のグラフの緑のドット線は、消費税増税が行われた1997年4月を示している。オレンジの線は、アジア金融危機が始まった1997年7月である。金融危機が始まる以前に、消費税増税の直後の消費が落ち込み、GDP成長率が減少したことが分かる。

上記から、消費税増税が即座に劇的な効果を消費に与えることがはっきりとする。実際に、1994年から今年度の第一四半期の間で、1997年の第二期の消費の落ち込みは記録上最大のものである。

1998年の不況の大部分はアジア金融危機に非があるだろうが、それでもデータを緻密に検証した場合、消費税の影響は極めて明白で、極めて劇的である。また、アジア金融危機開始以前のGDPの落ち込みは、単に増税間際の論理的に予測がつく消費の跳ね上がりと落ち込みを見ているだけでは不十分であることを示唆する。

増税の直前直後と2008年金融危機の期間とその後の景気刺激策の期間を除外して、増税の前後の各四半期の平均消費成長率を調べると、(1997年の)消費税増税以前の平均消費成長率が0.53%だったのが、増税後にたった0.08%になってしまっていることが分かる。消費税の課税が、どっしりとした長期の影響を持つことは明白である。

しかし、考慮に入れる必要のある、より大きな図がある。低消費というのが、日本経済にとって、常に現在形の問題だったと思えることだ。それが、日本が直面している一番重要な問題だという人もいる。2009年の景気刺激策の影響をみれば、この着想に辿り着き、安倍の第四の矢の効果の予測にも役立つだろう。

2009年4月に、世界経済の大急降下への対処として、GDPの3%に及ぶ大型の景気刺激策を発表した。消費に与えた影響は、下のグラフの通り、劇的だが短命だった。

黒い垂直線は、景気刺激策が発表された時期を示している。見ての通り、民間部門の消費は、2008年以後の底から短期的に跳ね上がったが、再びすぐに落ち込んでしまった。これは、消費者が消費をためらうという、日本経済の重要な構造問題を映し出している。

これは日本で盛んに指摘されていることで、理由として、高齢化から1980年代の過剰消費の後に培われた低消費文化の形成まで、様々なことが言われている。

しかし、理由が何であれ、教訓は明確である。消費支出は先進国経済では生血であり、消費支出を抑制する方策が組み込まれた景気回復プログラムは、失敗するだろうということだ。今の問題は、政治圧力が、本当に安倍が弓を張るよう導くのかということだ。

(以上翻訳終了)

Masaharu,O  

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01. 2013年7月19日 17:03:59 : niiL5nr8dQ

1997年前後の景気後退の原因と消費税率アップの影響について

20年前の不動産バブルの終了は(おそらくは地価および金融政策の誤りのために)ハードランディングとなりました(バブル崩壊)。

その悪影響で低迷を続けていた日本経済がようやく立ち直りの兆しを見せていた1997年に、景気回復より財政再建を優先する超緊縮予算が組まれ、また、消費税などの負担増も重なりました。 橋本構造改革です。 景気は再び急速に悪化しました。

4月には日産生命が破綻、11月には拓銀と山一証券が破綻。 景気対策のため年末には特別減税が実施されることになり、財政再建路線の誤りは半年を待たずに明白になりました。

この時期の景気の急速な悪化は、経済指標にも表れています。 次の図からは民間投資(住宅投資や民間企業設備投資)が1997年前後に急速に冷え込んだことがわかります。

Fig1
図1 (クリックで拡大)

民間投資の伸び率は、1997年1-3月期まで消費税率アップ前のかけこみ需要期待でプラスでしたが、同年4-6月期から1999年1-3月期まで3年に渡って大幅なマイナスとなっています。

民間消費や所得(GDP)も横ばいあるいは減少となっています。

ただし、この景気後退のすべてが消費税率アップの悪影響のためというわけではないと思われます。 この時期にはさまざまな大きな出来事がありました(*1)。 今回は、この時期の大幅な景気後退の原因として、消費税率アップの悪影響がどの程度の割合を占めているのか、について考えてみます。


■民間投資の動きは所得と輸入で8割がた説明可能

景気の動きを見るためにここでは民間投資に注目することにします。 民間投資は経済のエンジンだからです。

さまざまな経済指標と民間投資との相関を、タイムラグを考えて調べてみたところ、民間投資の動きは、所得と輸入の2変数で8割がた説明できることがわかりました(*2)。

次の図は、民間投資の伸び率を、所得の伸び率と(1期前の)輸入の伸び率の2変数による、線型の予測式で予測したものです。 緑色の領域が民間投資の動きのうち予測し切れない部分を表しています。 まずまずの予測能力をもった式であることがわかります。

Fig2
図2 (クリックで拡大)

所得が増えると民間投資が増えるのは、まず所得自体が民間投資を含んでいるためでしょう(Y=C+I+G+X-M)。また、所得が大きいと消費が増えますから、内需増の期待で民間投資が増えるのだと考えられます。

(1期前の)輸入が増えると民間投資が増えるのは、輸出予定のためと思われます。 輸出するためには生産しなければならず、そのためには原材料等を輸入し、かつ生産設備に投資しなければなりません。 輸出、輸入、民間投資の三者は密接に結びついています。(その証拠に、日本の輸入が増えるのは輸入品が安くなる円高時ではなくて、輸出が増える円安時です。)

上の図で1997年前後を取り出すと次のようになります。

Fig3
図3 (クリックで拡大)

この図を見ますと、1996年中の民間投資の伸び率に、所得と輸入の動きでは説明できない小さな盛り上がりが見られます。これは消費税率アップ前のかけこみ需要期待によるものと思われます。

1997年中の民間投資の伸び率は、所得と輸入の動きでほぼ説明可能であることがわかります。 図から読みとれるように2つのうち、この時期の主役は所得です。 したがってこの時期に関しては、所得の落ち込みに消費税率アップがどの程度影響したかを考えればよいでしょう。

一方、1998年(とくに後半)から1999年前半の民間投資の伸び率には、所得と輸入の動きでは説明できない大きな落ち込みが見られます。 注1の年表に示しましたが、この年の秋には長銀と日債銀の破綻がありました。 金融不安と貸し渋りが、基礎体力の落ちていた企業の設備投資意欲をさらに奪った可能性があります。

これらについてさらに考えてみます。


■1997年の民間投資落ち込みの原因

次の図は、3つの変数(政府支出、為替レート、マネーサプライ前年比)の伸び率の推移をそれぞれ示しています。

Fig4
図4 (クリックで拡大)

ごらんのように1997年ごろのマネーサプライ前年比と為替レートはほぼ中立なので、この時期の景気悪化の主因は緊縮財政にあると考えられます。

1997年度は、公共事業費が約4兆円削減された上、負担増が約9兆円(消費税率アップで5兆円、特別減税の廃止で2兆円、健康保険の負担増が2兆円)に上りました。 計13兆円(GDP比2.6%)という巨額のマイナスの景気対策が打たれたことになります。

消費税率アップの影響はこの時期の落ち込みの半分弱(割合にして約5/13)を占めることになります。

(これらは短期的な話です。 長期的には、消費税率アップは消費性向の低下という経路を通じて経済を縮小均衡へ導いてしまうとWSは考えています。)


■1998年〜1999年前半の民間投資落ち込みの原因

図4に見られるように、1998年以降は小渕政権下の大型の財政出動で財政要因による悪化はなくなりましたが、1999年後半まで民間投資の減少は止まりませんでした。

少し戻って図3を見ると、1997年以来の所得減少の継続、貿易(ここでは輸入)の減少、その他の要因の3つが民間投資の減少に同程度に寄与しています。

3つの要因のうち、まず所得の減少は1997年の緊縮財政政策の余波と考えてよいでしょう。

次に、貿易量が落ち込んだのはアジア通貨危機などに代表される世界経済要因もありますが、円高が進行したためでもあります(図4の実効為替レートのグラフを参照)。 金融緩和がなかったために円高が進行しました。 そして残念なことに、まさに変動相場制下におけるマンデル・フレミングモデルの主張どおりに、大型の財政出動の効果は半減してしまいました。

次の図は物価上昇率の推移を示していますが、この時期からデフレが定着してしまったことがわかります。 この時期の金融引き締めははたして適切であったのでしょうか。

Fig5
図5 (クリックで拡大)

最後に、その他の要因としては1998年秋の金融危機(長銀、日債銀の国有化などがありました)等による国内企業への貸し渋りが考えられます。

この時期、アジア通貨危機などにより、他の通貨が円にくらべて大幅に安くなり、海外投資の魅力が増しました。 内需が落ち込む中で、銀行は海外の証券を買い、活路を求める企業は海外の企業を買ったり、海外へと出て行きました。

次の図は日本の資本収支の推移を示します。 以前は1年に約7兆円だった海外への資本流出が、円高が進行した1998年には約19兆円に急増したことが読みとれます。

Fig6
図6 (クリックで拡大)

というわけで、景気回復の腰を折り、景気の急激な悪化の引き金を引いたのは1997年の財政引き締めであった。 消費税率アップ(3%→5%)はその責任の13分の5程度を占める。 1998年から1999年に小渕政権下の財政出動で景気回復を図ったが、十分な金融緩和を行わなかったために、円高による貿易の減少や金融危機等に伴う国内貸し渋りなどによりその効果は半減してしまった、というのが今回の記事の結論となります。

では。

-------

*1) この時期にはいろいろ重要な出来事がおきました。 ウィキペディアと「平成経済20年史(紺谷典子、幻冬社)」を参考に簡単な年表にしてみます。

1995年(平成7年)
・村山内閣(94年7月〜)
・阪神淡路大震災(1月)、地下鉄サリン事件(3月)
・4月 円高(1ドル=79.75円)、利下げ(公定歩合1.0%)
・11月 景気対策(14兆円)
・年末 円安へ(1ドル=100円)

1996年(平成8年)
・住専国会
・景気回復
・9月 橋本内閣発足

1997年(平成9年)
・4月 財政構造改革(消費税など負担増9兆円と公共投資など歳出削減4兆円)
・4月 日産生命破綻
・5月 アジア通貨危機(〜98年、ロシア財政、ブラジル通貨にも波及)
・11月 拓銀、山一破綻
・年末 特別減税実施

1998年(平成10年)
・4月 財政構造改革法を緩和、特別減税を拡大、緊急経済対策(16兆円)
・4月 改正日銀法施行
・7月 小渕内閣発足
・10月 円急騰
・長銀(10月)、日債銀(12月)国有化

1999年(平成11年)
・1月 ブラジル通貨危機
・2月 ゼロ金利政策
・11月 大型経済対策(24兆円:公共事業、貸し渋り対策、定率減税)
・日経平均2万円台回復

2000年(平成12年)
・4月 森内閣発足で緊縮財政復活
・8月 日銀利上げ
・日経平均急落(年初2万円台→12月1万3千円台)


*2) 民間投資に関係しそうな変数として、民間消費、政府支出、輸出、輸入、所得(GDP)、実効為替レート、マネーサプライ(M2)前年比の7つを考えました。 いずれも名目4半期生データの4期(1年)後方移動平均の時系列を考えています。

(移動平均をとっているので、これらの値は実際の値より半年ほど遅れています。 なお、上で図1から図6で示した値は、さらに伸び率の4期前方移動平均をとっているので、実際の値とほぼ同期した、ただし平滑化された値になっています。)

次の図は、これらの変数の伸び率(前期比)の長期トレンド(48期(12年)移動平均相当)を示します。 長期トレンドはHPフィルタで同定しました。 その際、トレンドの滑らかさを決めるパラメータは、トレンドの階差の分散が、48期移動平均の時系列のそれと一致するように選びました。

Fig7
図7 (クリックで拡大)


この長期トレンドをもとの時系列から差し引いた時系列を次に示します。 見にくくなるので1995年〜1999年の範囲だけですが、時系列自体は1981年から2009年に渡っています。

Fig8
図8 (クリックで拡大)

各時系列がバラバラではなくて、一緒に連動して推移していく様子が読みとれます。

どの時系列どうしは相関が大きいのか、どの時系列は比較的独立なのか、といったことを見るために、相関を調べました。 とくに、民間投資に興味があります。

Fig9i
図9i (クリックで拡大)

民間投資(の伸び率)は、所得(の伸び率)と相関が大きいことが読みとれます。 また、1期前の輸入(の伸び率)との相関も大きいです。 輸出(の伸び率)よりも輸入(の伸び率)との相関のほうが若干大きくなっています。

(わずらわしいので、以下では「〜の伸び率」の部分を省略して単に「〜」と書きます)

次に、所得を調べます。

Fig9y
図9y (クリックで拡大)

所得との相関が大きいのは順に、民間投資、消費、輸出、輸入です。 Y=C+I+G+X-Mという式から考えると、所得の6割を占める消費のほうが、2割を占める民間投資より相関が大きくてもよいのですが、民間投資のほうが相関が大きくなっています。 民間投資こそが経済を駆動することがよくわかります。

また、相関は小さいですが、為替で円安が進行すると半年後に所得が増えることや、マネーサプライ前年比が伸びると2年後に所得が増えることもわかります。

政府支出と所得の相関が小さいのは、おそらく、所得が減少したり伸びなくなったときに景気対策として政府支出が増やされることの反映ではないかと思います。

次に輸入を調べます。

Fig9m
図9m (クリックで拡大)

輸入との相関が大きいのは順に、輸出、(1期後の)民間投資、所得、(逆相関で)実効為替レートです。 これはおもに輸出のために輸入と民間投資が行われる構造の反映でしょう。

所得が増えると輸入が増えるのは、同時に輸出が増えるのと購買力が増すためです(Y=C+I+G+X-Mの式の右辺の-Mの効果を他の項の増加が上回る)。

また、一見不思議ですが、円安が進行すると輸入が増えることもわかります。これも輸入が輸出に従属しているためであると考えられます。

次に輸出を調べます。

Fig9x
図9x (クリックで拡大)

輸出との相関が大きいのは順に、輸入、所得、(1期後の)民間投資、(逆相関で)実効為替レートです。 これも輸出のために輸入と民間投資が行われる構造の反映として理解できます。

所得と輸出の相関が大きいのは、Y=C+I+G+X-Mの式自体と、輸出の民間投資への波及効果のためです。

円安が進行すると輸出が増えるのは、輸出品の(海外通貨建て)価格が下がり競争力が増すためです。

次に民間消費を調べます。

Fig9c
図9c (クリックで拡大)

民間消費との相関が大きいのは順に、所得、(逆相関で1期前の)実効為替レートです。 所得が増えると消費が増えるのは、Y=C+I+G+X-Mの式自体と、消費性向が安定的なためです。

円安が進行すると1期後に消費が増えるのは、輸出の増加が所得の増加につながり、所得の増加が消費を増やすという経路を通じてであろうと思われます。

次に実効為替レートを調べます。

Fig9e
図9e (クリックで拡大)

実効為替レートとの相関が大きいのは順に、(逆相関で)輸入、(逆相関で)輸出、(逆相関で1期後の)消費です。 これらにはすでに言及しました。

あと、相関は小さいですが、マネーサプライが絞られる(増やされる)と2年後に円高(円安)が進行することや、円高(円安)進行の1年半後にはマネーサプライが増やされる(減らされる)ことが読みとれます。


次に政府支出を調べます。

Fig9g
図9g (クリックで拡大)

政府支出と諸変数の相関はあまり大きくありません。

これは、所得減少時に景気対策として政府支出を増やし、所得悪化を食い止めていることを反映している可能性があります。(つまり、政府支出が変動しているときには他の変数は止まりがち。)

相関は小さいですが、マネーサプライが絞られる(増やされる)と1年後に政府支出が増加する(減少する)ことがわかります。
(金融政策の悪影響を財政政策で緩和していることの反映でしょうか?)

最後にマネーサプライを調べます。

Fig9m2
図9m2 (クリックで拡大)

マネーサプライと諸変数の相関はあまり大きくありません。

相関は小さいですが、マネーサプライが増やされる(絞られる)と2年後に円安(円高)が進行することがわかります。

また、これも相関は小さいですが、マネーサプライが絞られる(増やされる)1年前には、民間消費が増加(減少)していることがわかります。

今回は以上です。

2010.04.25 経済10 | 固定リンク

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「経済10」カテゴリの記事

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紹介:「財源はいくらでもある!消費税増税は反対! 緊急国民財政会議」ご報告---Like a rolling bean (new) 出来事録さん(2010.07.06)
コメント

特徴的なことは、1996 年の前半にピークを迎えた家計消費支出、政府消費、公的資本形成が 1996年中に低下傾向をみせはじめることである。そして 1997年第I四半期に家計消費支出は駆け込み消費をみせるのであるが、消費税率の引き上げがあった第U四半期には急落する。そして、消費税率の引上げ前後の消費の増減をならしてみると、1996 年第U四半期から 1998 年第I四半期までの約2年間、家計消費の低下傾向を読み取ることができる。そしてその家計消費の低下傾向は、1996年初頭からはじまる政府消費の低下、そしてそれにつづく公的資本形成の減少とほぼパラレルに動いていることも読み取ることができる。これら公的需要項目の低下傾向に少し遅れて、民間投資は、1997年第I四半期をピークに低下していく。こうした観察事実にもとづけば、1997年に不況に陥っていった原因は、1996年後半からはじまる緊縮財政(政府消費、公的資本形成の引き下げ)であり、これによって家計消費の不調、そして民間投資の減少が引き起こされたと考えることは妥当であると思える。

投稿: 引用 | 2010.05.01 11:24
http://waveofsound.air-nifty.com/blog/2010/04/1997-bcae.html


 


 
資産価格バブル、物価の安定と金融政策:日本の経験 資産価格バブル、物価の安定と金融政策:日本の経験
翁 邦雄*
・白塚重典**
要旨
日本経済は 1980 年代後半以降、資産価格バブルの発生・拡大と崩壊に伴い
非常に大きな景気変動を経験した。金融政策運営上の観点から資産価格バ
ブルの生成と崩壊の問題を考えた場合、日本銀行はもっと資産価格変動を
考慮すべきであったのだろうか。それとも資産価格の変動に惑わされずに、
一般物価だけを念頭においたインフレーション・ターゲティング的な政策
運営をすべきであったのだろうか。こうした判断を下すうえで、金融シス
テム面の問題をどのように考慮すべきであったのであろうか。本稿はこれ
らの問題に暫定的な回答を出すことを企図したものである。


5.結び
本稿では、1980 年代後半から現在に至る日本の資産価格バブル生成・拡大か
ら崩壊までの過程を、金融政策運営の観点から振り返った。本稿の暫定的結論
は、次のようになろう。
まず、日本の経験は必ずしも資産価格を直接、金融政策の目標に含めるべき
ことを意味するものではない。その意味では、この点についての Bernanke and
Gertler [1999]の結論は正しい。しかし、同時に日本の経験は Bernanke and
Gertler [1999]が主張するように、柔軟なインフレーション・ターゲティング
(flexible inflation targeting)により、長期的にインフレ目標値にコミットする
ことで、マクロ経済の安定と金融システムの安定の両者を整合的かつ相互補完
的に達成していくことが、必ずしも自動的に保証されている訳ではないことを
物語っている。
その際、重要な論点の一つは、日本が経験したようにバブルは、Blanchard
and Watson [1982]でモデル化されているような、市場参加者がファンダメンタ
ルズを正しく認識している、という合理的バブルではなく、事後的に振り返っ
てみるとユーフォリアとして形容されるべき、将来のファンダメンタルズにつ
いての行き過ぎた楽観的期待であった、という点である。物価の安定が持続す
る中で、景気拡大の長期化に連れ、潜在 GDP 経路は上方へシフトしていると
認識され、ユーフォリアが発生し、GDP ギャップからみたインフレ圧力は、過
小評価されていた。しかし、この間における資産価格の上昇も、それ自体は
ニュー・エコノミーの到来の結果なのか、ユーフォリアなのかについての十分
なヒントは提供しなかった。こうした日本の経験に照らして考えると、結局の
ところ、資産価格上昇をもたらしている新たなステージの経済発展への期待が、

ユーフォリアかどうか見極め、正しい潜在成長率のパスを推測しなければ適切
な政策対応は保証されならない、ということになると思われる。その意味でバ
ブル生成局面において資産価格を直接目標に含めていれば、より妥当な政策判
断にたどり着いた、とは言えない。
他方、バブル崩壊局面における金融システムの不安定化という日本の経験は、
バブル崩壊局面における思い切った金融緩和は、試行する価値があるかもしれ
ないことを示唆しているように思われる。しかしながら、同時に日本の経験で
は、バブル崩壊に伴う金融面での影響がある閾値を超えた段階で急激に顕現化
するという、間接金融に偏った金融システムの特質から、バブル崩壊後の早い
段階では、実体経済面への影響は極めてマイルドであり、観察されるデフレ圧
力からは、金融システムの不安定化が通常の景気循環を超えて永続的なインパ
クトをもたらすものである、と認識することが困難であった。また、資産価格
の下落についても当初はその持続性についての認識は乏しかった31。こうした
経験に照らすと、バブル崩壊期についても、デフレ圧力にフォーカスする、な
いし資産価格を直接目標に取り込むことで問題が解決するわけではなく、結局、
バブル生成・拡大期と同様、バブル崩壊による金融システム面への影響も見込
んだうえで、潜在産出量の経路がどの程度の規模で永続的に下方シフトするリ
スクがあるのか、という判断が不可欠であるように思われる。
http://www.imes.boj.or.jp/research/papers/japanese/01-J-27.pdf


02. 2013年7月19日 17:06:46 : niiL5nr8dQ
1
第3セッション:「アベノミクスの経済政策」

進 行 役:岩田 一政 日本経済研究センター理事長
報 告:伊藤 元重 経済財政諮問会議議員・東京大学教授
梅溪 健児 内閣府経済社会総合研究所長
アダム・ポーゼン ピーターソン国際経済研究所所長
討 議:若田部 昌澄 早稲田大学教授
吉川 洋 東京大学教授

【報告1】
「アベノミクスと日本経済について」
“On Abenomics and the Japanese Economy”

伊藤 元重

アベノミクスはリーマンショック後の円高・株安による「失われた3年半」からの再生
に重点を置いており、金融政策によってその基礎を築いたことは重要な成果である。失わ
れた 20年に根ざすデフレ期待を払拭することは容易ではないが、金融政策が「失われた3
年半」の間に実行されたものとは異なることを示し、人々の期待を変えることが必要であ
る。今回の政策の注目すべきことの第一は、金融緩和の規模が従来に比べ遥かに大きく、
小出しではなく一気に行われたことである。第二は、日銀が長期国債を大胆に購入する点
である。日銀が長期債の購入にこれまで消極的であった理由は、長期債の売却は債券価格
の下落をもたらすことから、将来の出口を見つけるのが難しくなるためであった。したが
って、今回日銀が大量の長期債を購入することの意味は、日銀が長期間にわたって金融緩
和を続ける強いコミットメントを示したことに他ならない。デフレ下において家計セクタ
ーは金融資産、特に預金を積み上げた。しかし、株価上昇が持続し、物価上昇も始まれば、
国民が預金から株式・投信に資産をシフトし始めると見込まれ、これにより実体経済が活
性化するであろう。
現状では、日銀による大量の国債購入は、金融政策の枠内に収まっている。しかし、こ
のような日銀の行動が政府に対し、財政赤字をより長期にわたって続けることが可能であ
るとの誤ったメッセージを送ることとなった場合、市場は日銀による財政ファイナンスと
とらえ、国債利回り上昇のリスクが生じる。また、民間の資金が民間投資に回ることとな
れば、国債購入に回る分は少なくなり、長期金利が上昇し、「クラウディングアウト」とな
るおそれがある。これを回避するためには、民間投資を阻害しないように財政赤字を減少
しなければならない。2
機動的な財政政策のための国債の追加発行と、巨額の政府債務の存在は別の次元の問題
であり、機動的な財政出動と財政健全化は両立しうる。機動的な財政出動は、景気後退を
回避し、増税の政治的承認を得るために必要である。
デフレ脱却により債務の実質価値は大きく減少するが、インフレは財政健全化を部分的
に助けるに過ぎず、社会保障制度の改革が必須である。短期的目標としては、デフレから
の脱却と 2015 年度までのプライマリーバランス赤字の半減(2010 年度比)を実現する必
要がある。消費税率は予定どおり引き上げていくことが不可欠である。
民間セクターの需要を増大させ、需給ギャップを埋めることが、デフレ脱却の実現と経
済を成長軌道に乗せていくために必要である。「失われた 20年」の間、企業、家計、金融
機関のバランスシートは調整され、その意味で消費と投資の活性化に向けての環境は整備
されている。これを実際に引き出すインセンティブを与えるためにも、デフレ脱却が重要
であり、政府としては、大胆な規制改革を行う必要がある。

【報告2】
「家計の期待上昇と新たな経済成長への意義」(梅溪健児、上野有子、多田洋介)
“Improving Household Expectations and Implications for Renewed Growth
of the Japanese Economy”

梅溪 健児

2012年末の安倍政権発足後、政府と日銀は「三本の矢」と呼ばれる政策を次々に実施し
てきた。2013 年4月末時点で、その効果は金融市場やマインド指標に顕著に現れている。
特に株価については、海外投資家がアベノミクスに対していち早く期待を上方修正し、株
価上昇の牽引役となってきた。簡単なイベントスタディで検証すると、市場参加者のアベ
ノミクスに対する前向きな期待が株価上昇に反映されていると考えられる。
次にマインドの変化をみると、消費者心理が政権発足後に明確な改善を示したのに対し、
日銀短観からみた企業マインドの変化は控え目であった。賃金や雇用統計に明確な改善は
ないものの、株価の大幅かつ持続的な上昇やアベノミクスに好意的なニュース等が消費者
心理の改善に貢献した可能性がある。
今回のマインドの動きは、2002年初からの景気回復期と対照的である。当時は、海外景
気の回復が輸出業種を中心に企業マインド改善に弾みをつけたのに対し、生産コスト削減
のため賃金や雇用の改善が遅れ、消費者心理改善は鈍かった。その結果、家計部門の確か
な内需に裏付けられた景気回復ではなかったこともあり、リーマンショックによる世界貿
易のメルトダウンに直面すると、我が国は急速に深刻な不況に陥った。
消費者マインドが家計支出に及ぼす影響に関する理論研究には幅広いものがあるが、複
数の実証研究では、消費者マインドと現在や将来の家計支出とのリンクが示されている。
そのうちキャンベルとマンキューは、恒常所得仮説に従って支出を決定する家計がある一3
方で、一部の世帯では現在の所得と支出を一致させる、との枠組みを提示した。本稿では、
そのモデルが日本の消費行動を説明できるかを調べるため、将来所得に関する消費者マイ
ンドの変化を織り込んで分析を行った。その結果、2000年代以降の我が国家計の消費行動
はこのモデルと整合的であり、マインドの上昇(特に収入の増加見通し)は可処分所得の
将来の増加を通じて、家計支出増につながることが統計的に有意に示された。
この推計結果を用いて、消費者マインドが 2013年を通じて高い水準を維持し、家計収入
の増加がそれを裏打ちすると想定すると、2013年の実質消費支出は3%弱程度増加すると
の示唆が得られた。
以上の分析から、マインドの改善がその実現を伴って強化されると、それが実体経済に
対して持続的な押上げ効果を発揮しうることが期待される(アカロフ・シラー両教授の言
う「期待の乗数効果」)。すなわち、企業から家計への好循環の下で、賃金上昇や雇用改善
など実体経済の好転が先行き期待の持続的な上昇につながることが経済再生に必要である。

【報告3】
「財政の矢の的中−アベノミクスの最大の課題−」
“Getting the Fiscal Arrow on Target−Abenomics’ biggest challenge−”

アダム・ポーゼン

日本経済の回復は世界にとって重要である。三本の矢のうち最も的に当てるのが難しい
のが、財政政策である。「三本の矢」は、単に政策分野が金融、財政、構造改革の3つであ
るということではなく、三本セットになって初めて意味がある。アベノミクスはこの戦術
を正しく理解している。
20年来日本を苦しめたデフレ状態から脱却するために、先般、日銀が行った一連の措置
(第一の矢)はそれまでの政策を大転換したものであり、中央銀行が行うべきことをまさ
に行ったということである。
第三の矢である構造政策については、女性の熟練労働力をどう活用するのかが最も重要
である。女性労働力を活用すれば、少子高齢化の悪影響を減殺する。また、TPPへの参
加は構造改革にとって非常に重要であると考えている。
第二の矢である財政政策は的に当てるのが最も難しい。日本の場合、金利は低く、公的
債務の海外保有分が非常に少ないこと等から、公的債務に関して直ちにリスクが生じるわ
けではない。しかし、高い公的債務水準には以下のコストが発生する。政府は利払い費に
多くを回さなければならないため、より有効な公共投資にしわ寄せが行く。金融機関が大
量に国債を保有することにより市場における資金の投資配分が損なわれる。円が大幅に減
価するおそれがあり、その場合には、エネルギーの輸入コスト増大をもたらす。
来年以降に予定されている消費税増税は実施されなければならない。他方、増税に伴う
影響をならすことが必要である。1997年の消費税増税の影響は大したことではなかったと4
言う人がいるが、信じ難いことだ。増税の負の乗数効果はかなり大きいものである。大幅
な金融緩和によってインフレが起こっているのに、経済成長を伴わないならば、人々や国
債市場のコンフィデンスにとって最悪のシナリオとなる。
消費税増税に伴うGDPの変動をならすために一時的な政策が必要である。その手段と
しては、投資税額控除や加速度償却等の時限特例措置が考えられる。また、消費税増税前
の 2014年の春闘で、公共部門を含め、賃上げを実現することも賢明である。

【コメント1】
若田部 昌澄
アベノミクスは、第一の矢と第二の矢によるインフレ期待の増大が実質金利の低下をも
たらし、直接間接に需要を高め、需給ギャップの縮小を通じて物価を上昇させる。そして
資金需要の増大により貸出が増加し、労働需要の増加により賃金が上昇すると考えられる。
今回はうまくいっているが、今後も日銀が引き起こす不況を繰り返さないために、日銀に
大きな独立性を認めた 1998年の日銀法は見直されなければならない。
財政健全化の必要性は誰も否定しないし、私がリフレ政策を支持する理由の一つも、財
政健全化を実行できる環境にするためである。しかし、1997年の消費税増税による景気悪
化の例もあることから、予定されている消費税増税については、増税の大きさとタイミン
グが問題となる。政府、日銀がその政策スタンスについて誤ったシグナルを送り、再びデ
フレレジームに戻るおそれがある。大恐慌から脱したものと誤認して緊縮政策に転じ、不
況に逆戻りした 1937年の米国の失敗も参考になる。こうしたことから、私は、消費税増税
の延期を提案したい。政府は、増税のための経済的条件を再度強調すべきである。その条
件の一つが名目3%、実質2%の成長であるが、これは一時的なものではなく長期継続的
な条件と考えるべきである。たとえ増税延期が認められないとしても、法人税減税や投資
減税など、その影響を和らげる方策がなされるべきである。
リフレレジームは、一時的なものであり、第三の矢である成長戦略が重要だが、「魔法
の杖」はない。第三の矢は次のレジームの形成に重大な影響を与える。成長戦略に関する
政府主導か市場主導かという考え方の違いについては、これまでの産業政策はほとんど機
能してこなかったため、規制緩和による市場主導を支持する。

【コメント2】
吉川 洋
日銀の積極的なリフレ政策により、株価は急上昇し、円安となった。ただし、4月以降、
金利が上昇している。日本では物価とベースマネーの相関はほとんどなく、金融緩和によ
りインフレ目標を達成できるかは不明瞭である。根強いデフレの要因は 1990年代の不況に
おける賃金決定のレジームチェンジにある。1990年代半ば以降、アメリカ、ユーロエリア
の賃金が上昇しているのに対し、日本では賃金が低下している。金融政策により「インフ5
レ期待」を直接変化させることだけでは、賃金・物価に影響を与えられないだろう。消費
者心理も世代によってまちまちであり、今年1〜3月期で、50〜64歳は消費が増加してい
るが、40歳代以下では増加していない。
財政拡張ではなく、財政健全化が持続的な経済成長にとって必要不可欠である。2015年
までに消費税率を 10%に引き上げることは必要な第一歩である。引上げを避けることは国
債市場の不安定化リスクを生み出す。1990年以降の財政収支の変動要因を見ると、財政赤
字拡大の主因は高齢化による社会保障関連費用の増大である。このため、社会保障制度の
改革が必要である。
日本の高度経済成長期に人口はそれほど急速な増加はしておらず、これまでの経済成長
は、人口増ではなくイノベーションによるものであった。企業部門は借入より貯蓄をする
ようになってしまい、企業部門のイノベーションの欠如が現在の日本経済の大問題であり、
デフレを悪化させている。第三の矢でこれが変わることを期待している。

【パネル討議】

伊藤 元重:1997年の金融危機時とは異なり、現在の民間のバランスシートは良好だが、
政府の財政状況は悪化している。基礎的財政収支の改善目標のためには消費税増税が必要
であるが、円滑な増税を行うために何らかの調整は必要かもしれない。重要なのは市場が
それをどう捉えるかであり、市場が将来の財政健全化を信じていれば大丈夫である。債務
の対GDP比はイタリアのほうが日本より大きいが、前者は市場で問題とされ、後者は大
きな問題とはされていない。
アダム・ポーゼン:人口動態は運命であるからそれが引き起こすデフレ等の経済問題に
ついてやるべき政策はないなどと主張する者がいるが、そうではない。吉川教授が図で示
されたとおり、経済成長は人口の増加ではなくイノベーションによって起こるものである

岩田 一政:消費税増税は予定どおり行うべきだが、実施に伴う影響を補完することが
重要である。日本経済研究センターでは、具体的な補完的措置(法人税減税、自動車2税
の廃止)について提言している。

吉川 洋:消費税増税による消費の短期的変動として、駆込み需要とその反動減がある。
こうした短期的変動もならす必要があるのだろうか。

若田部 昌澄:増税について、イタリア等は他に選択肢がなかったから実行したが、日
本は金融政策の自由がある。増税の影響を和らげる補完的な措置の必要性を強く支持する。
歴史的にみると、デフレ局面にある中で財政健全化に成功した国は思いつかない。

【フロアとの質疑・応答】

ジョセフ・スティグリッツ:「期待」が需要を高めるという点がかなり強調されていた
ように感じる。ポーゼン所長も述べていたが、投資税額控除は、現在と将来の投資にかか
る相対価格に影響を与えるがゆえに、非常に重要なものである。異なる税は異なる効果と6
副作用がある。消費税は逆進的であり好ましくない一方、環境税、炭素税などは、企業の
投資を促進するなど、税収以外の効果もある。産業政策については、若田部教授は、機能
していないと述べたが、バイオ産業など機能したものもあったはずである。財政健全化の
デフレ的影響の相殺の仕方についてであるが、小規模な法人税減税は、新規投資に結びつ
かず内部留保を増加させる一方で賃金に影響しないと考えられ、分配の問題を悪化させる
のではないか。

ジェフリー・サックス:根本的な疑問として「経済危機」とは何なのか。日本の失業
率は欧米より低く、果たして日本は「経済危機」であるといえるのか。

リチャード・クーパー:ポーゼン所長の「人口動態は運命ではない」というのはその
とおりである。退職年齢の引上げは日本で検討されているのか。年金問題に関係するだろ
うが、財政健全化への影響はどうなのか。

浜田 宏一:金融緩和について、吉川教授は効果が薄いと述べたと思うが、最近公表さ
れた内閣府「地域経済動向」では、すべての地域で雇用が改善していることを示している。
ただちに物価上昇には影響がないかもしれないが、雇用に対する好影響も考えられるので
はないか。

梅溪 健児:我々の分析では、「期待」の上昇は消費者心理の改善を通じて家計消費に好
影響を与えるという結果を得た。ただし、賃金上昇など実体経済の好転を持続的に伴って
いることが必要である。また、退職年齢は、60歳から 65歳に引き上げられつつある。

吉川 洋:現在は「危機」ではなく、「失われた 20 年」というのも誇張ではないか。過
去 20年間には、不況だけでなく実に多くのことがあった。日本の成長率が低いという者も
あるが、高いとは言わないまでも妥当な水準ではないか。一方、失業率は低いというが、
非正規労働者の割合が 1/6 から 1/3 に増えている。大企業にはキャッシュがあるのに、賃
金は低いままであるなど分配面の問題があり、特に若者は将来を悲観的に見ているのでは
ないか。

若田部 昌澄:環境税については、スティグリッツ教授の言うとおりである。産業政策
については、最近のコンセンサスでは、日本や韓国では疑問符が付くものである。なお、
アメリカでは特定の産業というよりは、研究開発活動全般に措置を行っていると認識して
いる。「危機」については、人的被害の増大、貧困層の増大、それにデフレのままでは財政
や社会保障やそのほかの制度が維持できないといった点から定義づけられるのではないか。

http://www.esri.go.jp/jp/workshop/130530/data/session03.pdf


03. 2013年7月19日 20:20:04 : dEqdQrxnL2
<財閥からの厳命>
 財閥の本丸は金融部門である。資本主義社会では、言及するまでも無く金融資本が頂点

に君臨している。全国銀行協会は、格好の隠れ蓑に過ぎないのだが、実権は三菱や三井に

ある。
 7月18日付のロイター電子版は、全銀協会長発言を取り上げて大きく報道していた。

現在の会長職は、三井住友銀行頭取の国部毅という人物らしい。国部は「消費税率(10

%)は計画通り引きあげる」と記者会見で言明した。
 これが財閥中枢の意思なのだ。これに自民・公明も従う。むろん、彼らの小間使いのよ

うな安倍も、である。まず8%、ついで10%へと、大衆向けの大増税は強行されるだろ

う。
 中曽根バブル崩壊のツケを民衆にかぶせる、それが財閥の意思といっていい。彼らは、

主権者の意思など虫けらのように弾き飛ばすだろう。日本の1%も、実にえげつない。
<財閥は国家なり>
 小泉内閣を想起すれば、無知な日本人も少しは理解出来るかもしれない。小泉も竹中も

財閥の配下に過ぎなかった。彼らは郵政民営化にだけ特化したわけではなかった。
 中曽根バブルで衰退した財閥銀行を再生させるために、民衆の税金・血税を悪用した。

それどころかメガバンクを誕生させた。これに公正取引委員会は手も足も出なかった。中

曽根バブルが、彼らの実権をより強化したのである。
<財閥が養成するナショナリスト>
 戦前の侵略戦争の主犯である財閥は、天皇制国家主義を有効活用して肥大化してきた。

これに立ち向かったのは一部の右翼だけだった。左翼は官権によって始末された。
 財閥にとって、天皇制国家主義が一番暴利を得やすい政治制度であった。しかし、ワシ

ントンは彼らの不正を見逃すことはしなかった。日本敗戦後、真っ先に解体した。だが、

不死鳥は朝鮮戦争で蘇った。財閥の手先でしかなかった商工官僚の岸信介を、CIAと協

力して政権に就けてしまった。
 国家主義の眼目は、平和憲法の解体にある。石原慎太郎は「破棄する」といい、安倍が

「自衛隊を国防軍にする」とわめくのも、リベラル日本国憲法をぶち壊すことにある。
 戦後体制を崩壊させることは、安倍路線が国際社会に挑戦状を突きつけていることなの

だ。彼の歴史認識も、ここから派生している。アジアはいま重大な岐路に立たされている

のである。
 財閥の支援がそれを可能にしている。ここが欧米極右との違いなのである。日本の1%

は異質なのだ。
<焼け太りメガバンク>
 中曽根内閣のバブル経済で暴利を手にして世界の文化遺産やリゾートを買いまくった財

閥銀行は、バブル崩壊で破綻するや、小泉内閣を操って血税注入で再生した。同時に、財

閥銀行を合体させた。焼け太りで、独占肥大化した。
 これに議会も新聞テレビも抗議するどころか、推進に一役買ってしまった。メガバンク

が君臨する日本である。三井や三菱は、欧米のロックフェラーやロスチャイルドに相当す

るかもしれない。
 これらに日本共産党は「大企業」というだけで、なんとも微笑ましい。
<今も納税ゼロ?>
 彼らは現在、破綻寸前の財政を支援するために、税金を払っているのであろうか。納税

義務を果たしていないはずだ。今も、ではないのか。
 安倍内閣誕生で、中央銀行にも手をまわした。急激な円安政策を強行させて、財閥の暴

利に貢献させている。そのツケである輸入品の値上がりは、庶民の台所に回している。
 安倍内閣の悪政は、もってかくの如し、である。
<英の銀行監視力・韓国の財閥監視力>
 英国の新聞テレビは、日本ほどではない。国民の怒りは巨大銀行経営者の高給批判へと

向けられている。脱税のためのタックスヘイブンにも。韓国でもタックスヘイブンに人々

の関心が集まっている。
 韓国における財閥攻撃世論は小さくない。財閥攻撃の学者は、いわばヒーローとして扱

われている。手を焼くサムスンは、そんなヒーローを講師に招いて、経済の民主化にも取

り組み始めている。
 日本で財閥という言葉は、まだ筆者しか使用していない。財閥批判は筆者だけである。

そうした中で、国家主義が爪をかきたてている。
2013年7月19日9時10分記
http://blog.livedoor.jp/jlj001/archives/52040143.html


04. 2013年7月19日 21:09:14 : nJF6kGWndY

日本の1%には、年所得1億を超える超富裕層は、ほとんどいない

総資産も僅か2億以下の、ほとんど高給公務員など高額サラリーマンか、年金受給者、医者など、株もほとんど持たない経済音痴ばかりだったから、
デフレ政策で底辺層を痛めつけるのが好まれた

リスク資産が多い世界の超富裕層はインフレと高金利で大衆から収奪するのが好きだから、対照的だな


05. 2013年7月19日 23:06:16 : v6VS5nCqBo
そもそも消費活動そのものに税を掛けるそれも全部の取引にも掛ける事自体間違いなのだよ。物品税もしくは売上税が妥当でしょう。逆累進が有り過ぎだね!

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