13. 2013年7月23日 15:55:19
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[FT]米地方債、デトロイト契機に投資妙味増す 2013/7/23 14:00日本経済新聞 電子版 (2013年7月23日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 米ミシガン州デトロイト市の財政破綻は、米地方債市場の投資家にとって青天の霹靂(へきれき)ではなかった。 多くのブローカーや投資アドバイザーからみると、債券投資家が被る損失や、同様に多額の債務を抱えたシカゴの格下げを巡る報道は、実際よりはるかに恐ろしいものとして誇張されている。 デトロイト市の風景。GMのビルが見える。同市は18日、米連邦破産法第9条を裁判所に申請し、財政破綻した=ロイター デトロイト市の風景。GMのビルが見える。同市は18日、米連邦破産法第9条を裁判所に申請し、財政破綻した=ロイター デトロイトのような破綻は、3兆7000億ドル規模の米地方債市場でも極めてまれだ。19日の報道は広範囲にわたる売りを引き起こしたが、地方債市場は長期的視野を持つ投資家に利益をもたらす可能性が高い。 米ウィルミントン・トラスト・インベストメント・アドバイザーズの地方債担当チーフストラテジスト、スティーブン・ウィンターシュタイン氏は、市場が激しい売りを経験したのは初めてではないと振り返る。 「今回は2010年と多くの共通点がある。金利は上昇し、地方債ファンドからの資金流出が増加した。当時、アナリストはデフォルト(債務不履行)の連鎖を予想したが、11年には起こったのは地方債価格の急騰だった。今回も、私にとって大きな買い時になるかもしれない」とみている。 ■現時点では資金流出 他の債券と同様、地方債も、米連邦準備理事会(FRB)による「量的緩和」縮小観測から売り圧力にさらされている。4週間で合計約20億ドルという多額の資金が地方債ファンドから流出した。 地方債市場からの大量の資金流出により、金利上昇局面で地方債が他の債券より有利になるという傾向はかすんでしまった。公共事業への投資を促し、資金調達コストを低く抑える目的で、米政府は地方債の利息収入を非課税としている。地方税も免除される場合が多い。 地方債は国債を上回るパフォーマンスをあげる傾向があるが、現時点ではそうではない。年初来リターンは、米国債がマイナス2%だったのに対し、バークレイズ・キャピタル地方債インデックスはマイナス3.3%だった。 米トムソン・ロイター傘下のミュニシパル・マーケット・データ(MMD)によると、表面利率5%のトリプルA格付けの長期債は19日、価格の下落に伴い、平均利回りが11ベーシス上昇して4.14%となった。市場の関心は、税制優遇措置を考慮した利回りが投資家にとって魅力的に映るまで上昇し、資金流出に歯止めがかかるかどうかだ。 アナリストのホイットニー氏は今も地方自治体のさらなる危機を予測する。積み立て不足の年金債務は依然として公的セクターの長期的な課題という。中期的には、利回り上昇に伴い債券価格が下落するため、投資家はあらゆる種類の債券保有を思いとどまる可能性がある。 ■高利回りと税制優遇措置が魅力 一方で、米アライアンス・バーンスタインのジョー・ローゼンブラム氏は、高利回りと税制優遇措置が相まって、投資家を遠ざけるどころか新たに引き付ける可能性があると指摘する。 地方債の投資家は一般に利息収入に敏感だ。所得税率が35%の投資家が社債など課税対象の証券で地方債と同じ収入を得るためには、その債券の利回りは8.8%以上でなければならない。 デトロイトのような米連邦破産法第9条による破綻はまれだ。こうした破綻は、07年以降は年平均8件であり、有料道路や病院など、地方債全体でもリスクが高いもので主に発生している。デフォルトはさらに珍しく、米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスによると、格付け対象の地方債でデフォルトを起こしたのは過去40年で71件にすぎない。ウィンターシュタイン氏は「地方債市場には6万5000の発行体があるが、デフォルトや破綻はどれほど起きているだろうか。絶対数は極めて少ない。国債との利回り格差をみると一部の地方債はさらに魅力的な投資対象になっている」と話す。 By FT Reporters |