09. 2013年7月18日 02:13:35
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JBpress>海外>The Economist [The Economist] 欧州のゾンビ銀行:生ける屍が落とす暗い影 2013年07月18日(Thu) The Economist (英エコノミスト誌 2013年7月13日号) 欧州の金融システムはひどい状態にあるが、この問題について意味ある対策は取られていない。 IMF、ハンガリーへの金融支援策を発表 計2兆5000億円 ECBの対策のおかげで、債券市場はひとまず落ち着いたが・・・〔AFPBB News〕 「近年実行された金融政策の中では恐らく最も成功した措置だろう」。これは「アウトライト・マネタリー・トランザクション(OMT)」――苦戦するユーロ圏諸国の国債を買い取るという欧州中央銀行(ECB)が昨年夏に行った約束――に関するマリオ・ドラギ総裁の控えめな判断だ。 総裁は、債券市場に落ち着きをもたらしたという点で称賛に値する。だが実際には、状況はまだひどく、欧州の銀行がこの問題の中心にいる。 ユーロ圏の経済は、6四半期連続で縮小している。国際通貨基金(IMF)は先日、2013年の経済見通しを再度下方修正した。今回は、ユーロ圏が今年0.6%縮小すると予想している(ユーロ圏の見通しの悪さを際立たせるために英国の見通しを上昇修正した)。 ユーロ圏の中核国の経済見通しは、中国の減速もあって悪化している。5月にはドイツの輸出が過去2年間で最も急激な落ち込みを記録した。だが、痛みをまともに受けているのは周縁国だ。 ギリシャは6年連続の景気後退の最中にある。スペインの失業率は27%近い。イタリアの格付けは7月上旬に引き下げられた。ECBのブノワ・クーレ理事は7月10日にユーロ圏は「まだ深刻な危機に巻き込まれている」と述べた時、状況を正しく理解していた。 OMTプログラムは金融投機筋を食い止める防波堤になるかもしれないが、圧力は、債券利回りのみならず街頭でも高まりかねない。長年にわたる失業、経済的苦難、債権国からの命令は、ポルトガルやギリシャで政治的枠組みに重圧をかけている。 信用の死骸 銀行は、欧州の将来展望のカギを握る。特に周縁国での不安は、1990年代の日本の経験が繰り返されることだ。すなわち、企業に貸し出しを行うほど健全でもなく、かといって破綻するほど弱くもない「ゾンビ」銀行が何年もふらふら歩み続けた時のことである。 欧州にも、これと同じ死の徴候がある。欧州の銀行の平均株価純資産倍率(PBR)は1倍未満で推移しており、投資家が、銀行は生きているより死んだ時の方が価値が高いと考えていることを示唆している。銀行の資本増強が迅速に進められた米国では、PBRは1倍を超えている。イタリアの2大銀行であるウニクレディトとインテーザ・サンパオロのPBRは、それぞれ0.34倍と0.42倍だ。 欧州の銀行に対する疑念は、確かな根拠に基づいている。問題債権の額は増え続けている。困ったことに、イタリアの銀行システムには「Tier1」の中核的自己資本よりも多くの不良債権が存在している。周縁国の多くの銀行は、自国の国債を大量に買ってきた。ポルトガルの3大銀行は、ポルトガル国債の保有残高を今年第1四半期に16%増やした。 銀行資産に占める住宅ローンの割合が高まる一方で、住宅価格は下げ続けている。スペインでは、第1四半期に住宅価格が史上最大の落ち込みを記録した。 欧州諸国は、バランスシートをきれいにしているはずではなかったのだろうか? 欧州の銀行から価値が下がった資産を買い取るために数十億ユーロを調達したプライベートエクイティ(非上場株)投資会社は、案件が出てくるのをひたすら待ち続けている。 規制当局は、銀行が、不良債権を損失処理したり売却したりするよりも、どれくらいの資本を保有する必要があるのかを決めるモデルをいじくり回してきたことを危惧している。 デンマークの大手銀行、ダンスケ銀行は先月、同国の監督当局から計算式を変更するよう突然命じられ、その結果、自己資本比率が低下した。デンマークはユーロ圏外にいるが、ドイツの政治家たちでさえ、自国の銀行のバランスシートで生じる嫌なサプライズについて冗談を言っている。 これらはどれも、全面的な破綻の前触れではない。欧州の銀行は、危機が始まる前よりも多くの自己資本を持っている。だが、貸し出しは抑制されている。周縁国に関する限り、超低金利によって成長に弾みをつけようとするECBの試みは、近年では一番うまくいかなかった中央銀行の政策の1つだ。 5月には非金融企業向け融資がイタリアで4.1%、ポルトガルで5.0%、スペインで9.7%減少した。その一部は、景気後退の影響によるものだが、金融の細分化も反映している。強い国の銀行は、国境を越える貸し出しを減らしている。弱い国の銀行は、強い国の銀行に比べて資金調達コストが高くなっている。 貸し出しチャンネルの目詰まりを解消せよ このような市場細分化は、顧客にも波及する。ドイツとスペインの企業の間では、借り入れコストの差が2011年夏のわずか6ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)から今年は149bpに広がっている。 欧州の銀行が貸し出しを行うだけの強さを持たない間は、欧州の経済は成長するのに苦労するだろう。ドラギ総裁と同僚の政策立案者たちは、3つの治療法に集中すべきだ。 第1の治療法は、貸し出しチャンネルの目詰まりを取り除くことだ。ECBが周縁国で銀行の貸し出し金利の引き下げを試みる仕組みはある。だが、ECBは、資本市場をこじ開けるのを手伝うことで、中小企業の銀行への依存を有効に下げることもできる。例えば、ECBが中小企業向け融資を担保とする証券を買い取ってもいいだろう。 これは、一部の国を他国よりも助けることを意味する。ECBを不安にするやり方だ。だが、そんな心配は、もう遅すぎる。ECBの政策は既に、ユーロ圏全体でまだら模様の影響を及ぼしているからだ。 欧州投資銀行(EIB)も、中小企業向け融資を担保とする証券で「最初に損失を被る」立場を取ることで、金融を緩和することができる。この種のことについては多くの議論がなされてきたが、ほとんど行動に移されていない。 第2の治療法は、欧州の銀行に関する疑念の雲を振り払うことに関係している。ECBは、来年ユーロ圏の銀行の監督機関の役割を担う前に、「資産の質の評価」を行う。各国の監督機関によるこれまでのストレステストは、厳格さが足りず、誰も納得させられなかった。 資産の質の評価は、ECBの信頼を築くための最初で最善の機会だ。資本が足りない銀行は、資本を増強しなければならない。新株発行によって民間投資家から資金を調達するか、債権者に損失を負担してもらうか、場合によっては、公的資金を取り込むことによって実施するのだ。 銀行同盟創設の障害はドイツ こうしたやり方は、スペイン政府やイタリア政府が国内銀行を支えるために借り入れを行うことで自国の財政状況を悪化させるという、お馴染みの不安を呼び覚ます。そして、その不安が第3の治療法の重要性を思い出させる。すなわち、共通の破綻処理基金(欧州委員会が先日提案したもの)と共同の預金保険制度を備えた、ECBによって監督される適切な銀行同盟だ。 ユーロ圏は、銀行同盟なしには機能しない。この点では、ドイツが障害になっている。ドイツは、このような相互義務を将来引き受けることを検討するかもしれないが、今ではないとほのめかしている。問題は、銀行が死にかかっているのが今だということだ。ゾンビ銀行が息を吹き返すのを待つことは、愚かな人間がやることだ。
JBpress>海外>Financial Times [Financial Times] 転換期にあるグローバル化 金融危機や格差などの問題に左右される貿易 2013年07月18日(Thu) Financial Times (2013年7月17日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 保護貿易は、まさに「吠えなかった犬」だ。大変な金融危機が発生したにもかかわらず、世界経済が統合に向かうトレンドはそのまま続いている。これは間違いなく驚くべきことだ。 では、なぜこうなったのだろうか? このトレンドは今後も続くのだろうか? まだやるべきことが残っているとしたら、それは一体何だろうか? 世界金融危機でも続いたグローバル化 外国直接投資(FDI)と貿易は1990年以降、世界経済全体の成長率をはるかに上回るペースで拡大しており、FDIの伸び率は貿易のそれをも上回っている。 国内総生産(GDP)の世界合計に対する財・サービスの輸出の比率は1990年の20%から2012年の31%に上昇した。同じくGDPの世界合計に対するFDI残高の比率は、同じ時期に9%から33%へと急拡大した。そしてどちらの比率も、2012年には金融危機前の水準を上回っていた。 アルビンド・サブラマニアン氏とマーティン・ケスラー氏が刺激的な論文*1で指摘しているように、財とサービスの貿易がどちらもますます自由に行われるようになっており、世界のGDP比で見た貿易とFDIの規模もかつてないほど大きくなっている。 「超グローバル化」は、いわゆる「グレートコンバージェンス(大いなる収斂)」の過程で新興国が高所得国の生活水準に追いつくのに大きく貢献した。 そのため、サブラマニアン氏とケスラー氏によれば、「1990年代後半までは、経済の最先端(米国)に後れを取らずに成長している発展途上国は30%ほどしかなく(72カ国中21カ国)、米国を追い上げるペースも1人当たり年1.5%程度にとどまっていた」*2。 ところが、「1990年代後半以降は発展途上国の4分の3近く(103カ国中75カ国)が後れを取らなくなり始め、追い上げのペースも1人当たり年3.3%程度に加速していた。世界金融危機(2008〜2012年)の間は発展途上国の経済成長も鈍化したが、追い上げのペースは・・・3%に近い水準を保った」という。 保護貿易主義が限定的だった理由 危機の時代には保護貿易主義の台頭が避けられなかった。しかし驚くべきことに、今回はこれが非常に限られたものになっており、2010年には世界の貿易が目覚ましい回復を遂げていた。 なぜ保護貿易主義に抗うことができたのか? これには5つの説明が考えられよう。 *1=‘The Hyperglobalization of Trade and its Future’, 2013 *2=1960〜2000年における米国の1人当たりGDP成長率は年率2.47%だったが、これを上回る成長を遂げていた途上国は、サンプルとした72カ国のうち21カ国にとどまっていた。また、同じ期間におけるこの21カ国の成長率と米国の成長率の差は、単純平均で1.53%だった 第1に、今日では世界貿易機関(WTO)や多くの貿易協定――特に欧州連合(EU)の協定――において自由貿易が制度化されている。第2に、ユーロ圏を中心に失敗もあったが、金融・財政政策は1930年代とは比べものにならないほど良くなっている。 第3に、国単位の資本主義がグローバルな資本主義にますます置き換えられている。企業と従業員はもう同じ船に乗る仲間ではないのだ。 第4に、市場とグローバル化のイデオロギーが支配的になっている。第5に、穴もたくさん開いてはいるとはいえ、社会的セーフティーネット(安全網)が失業がもたらす最悪の結果から人々を守っている。 今後のグローバル化進展を脅かす要素 では、グローバル化はもう後戻りしないと考えてしまってよいのだろうか? 答えはノーだ。確かに、思想や利益、技術を原動力に進められてきたグローバル化は今後も進んでいくように見える。しかし、その行く手を脅かすものがないわけではない。そうした脅威は貿易システムの外部にもあるし、その内部にも潜んでいる。 9月の米貿易赤字4.4%減、輸入が過去最大の落ち込み ある国が輸出主導の経済成長を目指した政策を取れば、輸出先の貿易相手国には経済を縮小する圧力が加わる〔AFPBB News〕 外部の脅威の1つに、世界経済の不均衡が挙げられる。ある国が輸出主導の経済成長を目指した政策を取れば、輸出先の貿易相手国には経済を縮小する圧力が加わる。総需要が不足している超低金利の時代では特にそうだ。 過去10年間に見られた外国為替市場への介入は、かつてないほど大規模で執拗なものだった。 地球環境の外部性も脅威をもたらすかもしれない。例えば、地球規模の問題の緩和を目指して二酸化炭素の排出に課税する国があったとしよう。工場がこの国からほかの国に移ってしまったら、この目的は達成されなくなる。 すると、その影響を打ち消す相殺関税を輸入品にかけよという議論が強まるだろう。そうなれば、相手の国も関税をかけてくるという報復の連鎖が生じてしまうかもしれない。 もっと大きな脅威をもたらすのは高失業、低成長、そして格差の拡大である。グローバル化は格差拡大の一因ではあるが、決して唯一の要因ではない。技術の進歩、金融の自由化、そして勝者総取り方式の市場も重要な要因だ。しかし、格差の拡大が開かれた貿易に脅威をもたらすことは明らかだ。 世界経済の不均衡には、今よりも効果的な国際通貨体制により対処すべきだ。グローバルな環境問題には、グローバルな合意で対処すべきである。また、低成長と格差の問題には、今よりも優れたマクロ経済政策と勝者から敗者への所得再分配で対処すべきだ。 しかし、そうした対処は恐らくなされないだろう。従って、そのしわ寄せは貿易に及ぶ恐れがある。 松岡農相、WTO提案「重要品目最大5%」に難色 - 東京 ドーハ・ラウンドの頓挫でWTOに対する信頼感が損なわれてしまった(写真はジュネーブのWTO本部)〔AFPBB News〕 ただ、脅威は貿易システムの内部からも生じている。多角的貿易交渉「ドーハ・ラウンド」は死んでしまったか、あるいは昏睡状態に陥っている。 いずれにしても、すぐに妥結するとは考えにくい。そのため、当然ではあるがWTOに対する信頼感は損なわれてしまっている。 紛争解決の機能は引き続き効果的に果たされているものの、これ以上の自由化を成し遂げられない組織が必要不可欠だと言えるかどうかは微妙だ。また、モノの貿易についてはさらなる自由化の余地は限られているが、サービスの貿易を自由化する機会はまだたくさん残っている。 これには代替策が存在する。2国間または多国間ベースで優先的に自由化を進めるというやり方である。 サブラマニアン氏とケスラー氏の論文に書かれているように、輸出ランキングの上位30カ国の輸出のうち約半分は、特恵貿易協定を結んだ国に向けられている。また特恵貿易協定の数も、1990年から2010年にかけて70件から300件に増えている。 中国を排除する大構想のリスク しかし、今日では米国が環太平洋と環大西洋という「巨大地域」での貿易協定を提案している。同じような考え方をする国々の間で統合を深めるひとつのやり方だというのが、提案側の理屈である。 だが、これらの計画には、台頭著しい貿易超大国の中国を排除する狙いも込められている。これは危なっかしいやり方だ。下手をすれば、貿易システムをばらばらにしてしまいかねない。 この状況から抜け出す方法はあるのか? 答えはイエスだ。例えば2つの貿易協定を作るのではなく、合意された規則に従う準備ができているのであればどの国でも――特に中国が――自由に参加できるグローバルな枠組みを1つ作るということも可能だろう。これにはリスクも伴うが、最小限に抑えられるはずだ。 そのような大規模な貿易協定をWTOの中で作り、WTOの紛争解決プロセスとリンクさせる方法が見つかれば理想的だろう。 また、もしドーハ・ラウンドの交渉分野の1つで――例えば貿易摩擦の分野ならあり得るかもしれない――勝利宣言をあげることができ、さらに大きな問題に取り組めるようになれたら、大変有益なこととなろう。筆者が見る限りで最も重要なのは、重要な原材料に輸出制限を発動しないという合意を交わすことだ。 貿易以外の政策分野で改善を進めよ しかし何にも増して重要なのは、ほかの政策分野で改善を進めることだ。確かに貿易は成功している。だが地政学的な対立関係は言うまでもなく、金融危機、格差、失業そしてマクロ経済の不安定性が世界を脅かしている限り、この成功は安泰でないに違いない。20世紀前半の歴史で分かったように、自由な貿易や投資は、ほかの様々な出来事と無関係に達成できるものではないのだ。 もしグローバル化を続けるというのなら、我々はそれ以外の分野にも注意を払い、これまでよりもはるかに効果的な手を打っていかねばならない。 By Martin Wolf
【第884回】 2013年7月18日 週刊ダイヤモンド編集部 雇用は良好でも景気は脆弱 楽観できない米国経済の今後
「従業員求む」の貼り紙が目立つ。ただし、雇用増もその大部分がパートタイマーというのが現状 Photo:Getty Images 世界の市場関係者が固唾をのんで待った米国の雇用統計は、予想以上に良好な結果となった。 7月5日に発表された6月の非農業部門新規雇用者数は、前月比19万5000人増と市場予想を3万人上回った。失業率は7.6%で前月と変わらずだが、この調子で雇用増が続けば、今後順調に低下していくとみられている。 これを受けて、米連邦準備制度理事会(FRB)は9月には量的緩和の縮小を開始する、との見方が濃厚になった。同日の長期金利は2.5%から2.7%まで跳ね上がったが、一方で米国景気への楽観が広まり、ダウ平均株価は上昇した。 今回の雇用増は、特に小売業とレジャー関連で顕著だった。背景には、良好な消費者のマインドがある。それを支えているのが、住宅価格と株価の上昇である。「雇用が伸びることで住宅の需要が伸び、担保価値増大で家計が改善して消費が伸びる、という好循環が起きている」(小野亮・みずほ総合研究所主席研究員)。金融危機の発端となり、その後の米国経済の重しであった住宅市場と家計の改善の意味は大きい。 多分にリスク含みの景気 だが、米国経済は決して盤石の状況ではない。 企業の業況、特に製造業は芳しくない。6月の製造業ISM景気指数は50.9で、好不況の分岐点となる50を何とか上回る水準だ。フルスロットルの金融緩和を続けているにもかかわらず、銀行貸し出しも伸びていない。さらに懸念されるのは、物価に下落圧力がかかっていることだ。指標とされるPCEコアインフレ率は、4月以降1.1%に張りついている。 総じて見れば、米国の景気は“改善を続けているものの、勢いは弱い”ということだ。 にもかかわらず、なぜ量的緩和縮小に向かおうとしているのか。一つには、大規模な量的緩和がもたらす弊害に対して、FRB内で懸念が大きくなっていることがある。資産バブルと財政規律の緩みへの懸念である。そして、失業率を量的緩和縮小の一つの条件として提示している以上、雇用の改善が続けば緩和継続は正当化しにくい。来年1月に確実視されるFRB議長の交代前に、出口への道筋をつけておきたい、という思惑もあろう。 しかし、住宅価格や株価の上昇、消費の好調など、「今、良好な面は金融政策頼み」(鈴木敏之・三菱東京UFJ銀行シニアマーケットエコノミスト)なのが現実だ。出口戦略が現実となったときには、これまでの流れが逆転しかねない。「バブルは防げるが、成長率も低下する。年内は持っても、来年の景気は相当厳しくなるだろう」(白川浩道・クレディ・スイス証券チーフ・エコノミスト)。 鍵を握るのは、金利の上昇をどこまで抑え込めるかだ。FRBは量的緩和の縮小に踏み切っても、ゼロ金利政策は当面継続を強調するはずだ。だが、市場が手のひらを返す可能性は小さくない。 もしリスクが顕在化すれば、影響は全世界に波及する。今後の米国の景気動向には、警戒が必要である。 (「週刊ダイヤモンド」編集部 河野拓郎) |