02. 2013年7月17日 14:52:25
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2013年 7月 17日 12:42 JST 世界の高層ビル建設、再び活況に−1000メートルのビルも By PETER EVANS [image] John Safa 建設中のレデンホール・ビルディング(中央左) ロンドンで建設中の48階建てのレデンホール・ビルディングは、来年完成すれば金融街シティーで2番目に高いオフィスビルになる。このビルの大きさは、先細のガラス張りのデザイン(箱形のチーズおろし器に似ているという声もある)と相まって、英国中から称賛が集まっている。 しかし、一部の国際的な基準だと、不動産開発会社の英ブリティッシュ・ランドとカナダのオックスフォード・プロパティーズの共同事業であるレデンホールは、ごく平凡な建物かもしれない。 世界を見渡してみると、高層ビル建設は大きく復活している。世界経済がゆっくり回復し、金融危機の痛みが薄らいでいるためだ。設計や建築工学の革新に支えられ、建築物に関する大胆な発表をしたいという都市計画者や開発業者の欲望に後押しされ、こういった高層ビルが金融危機以降、最速のスピードで建設され、その高さの記録も更新している。 世界高層ビル協会(CTBUH)によると、世界中で、高さが少なくとも200メートル(およそ60階に相当)に及ぶビル600棟近くが建設中ないし計画段階にある。この調子が続けば、高さ200メートル以上のビルの数は今後10年間で倍近くに増えるとみられる。 これは、レデンホールのように224メートルしかない、つまりニューヨークのエンパイア・ステート・ビルの高さの約半分の高層ビルは「当たり前になりつつある」ことを意味する、とイアン・ミルン氏は語る。同氏は設計・エンジニアリング分野のコンサルティング企業WSアトキンズのシニア設計責任者を務めている。 超高層ビル向けのエスカレーターやエレベーターを製造しているフィンランドのコネ社は最近、エレベーターを300階まで上昇させることができる技術を披露した。同社のMatti Alahuhta社長兼最高経営責任者(CEO)は、「現在のところ、トレンドはビルをもっと高くする方向に向かっているようだ」と話した。 コネ社の技術のようなイノベーションは、より高いビルへの欲望をかき立てる。現在、高さが500メートルを超えるビルは世界に3つしかないが、2020年までには20棟増える計画だ。その中の1つがサウジアラビア・ジッダのキングダム・タワー(事業規模12億ドル)で、世界初の1000メートルのタワーになる見通しだ。 2012年に完成した世界最高層ビル4棟のうち3棟はドバイにある。タミール・ホールディングが開発したプリンセス・タワー(413メートル)がその1つで、世界最高層のタワー・マンションだ。ドバイには世界で最も高いビル、ブルジュ・ハリファ(828メートル)もある。 多くの高層ビル建設計画が好況期に着手され、景気後退時に完成した。ドバイなどでは08年末から12年末までの間、新規の建設がほぼストップしていた。しかし、設計者やエンジニアによると、今年初め以降、高層ビルに再び関心が集まり始めているという。 [image] DAMAC Holding ドバイのダマック・レジデンツェ(2016年完成予定) 開発面積で中東最大の不動産開発会社ダマック・ホールディングはドバイの不動産市場への関心の高まりの象徴だ。同社の旗艦プロジェクトであるダマック・レジデンツェ(335メートル)はドバイマリーナを一望できるタワー・マンションだが、16年に完成予定で、インテリアのデザインはイタリアのファッションブランド「フェンディ」が手掛ける。 同社のHussain Sajwani会長によると、巨大な超高級タワーへの需要が回復している。しかし、今回は一部の開発業者がやみくもに野心的なプロジェクトを引き受けていた10年前の建設ブームの時より慎重だという。ビルを商業的に実現可能にするためだ。同会長は「市場は成熟し、顧客の理解も深まっている」と話す。 ただし、ドバイのほか、サウジのジッダやカタールのドーハといった中東のその他の都市で超高層ビルの建設が相次いでいることで既にバブルが生じており、新たな不動産バブル崩壊の可能性が高まっていると指摘する向きもある。 英ノッティンガム大学で建築を教える高層ビルの専門家フィリップ・オールドフィールド氏は、「一部はエゴだけのために建設されている」と指摘し、「一つ新しい展開を言うと、都市ないし国がどれほど発達しているかを誇示するためにのみ高層ビルが利用されている。それは、スペースのニーズに純粋に対応するためではない」と語った。 中東と同様に、中国でも超高層ビルが爆発的に増えそうだ。CTBUHによると、建設中のビルの中で最も高いもの4棟が中国にあり、深圳で建設中の平安国際金融中心(660メートル)がその1つだ。専門家によると、アジアでの高層ビル建築は、都市が混雑し過ぎていることへの対応策であることが多いという。スペースがないため、上に建設していくしかないからだ。 アトキンズのミルン氏は「香港などの都市は超過密で、超高層ビルの建築が正当化される」と述べる。 ニューヨークでも高層ビルへの関心は再び高まっており、建設中で最も高いビル20棟のうち2棟がニューヨークにある。代表的なのは、2001年の同時多発テロで崩壊した世界貿易センタービルの跡地に建てられる「ワン・ワールド・トレード・センター」だ。 ロンドンは超高層ビルの建設で後れを取っている。昨年、西欧で最も高いビル、シャード(306メートル)が完成したものの、ロンドンだけでなく欧州の大半の都市は超高層ビルという観点からすると取り残されている。専門家は考えられる理由の1つとして、欧州の都市は超高層ビルを建設することで建築遺産を危険にさらすのを好まない点を挙げる。多くの都市には厳しい都市計画規制が存在し、歴史的建造物を含む景観が高層ビルによって損なわれるのを防いでいる。 ロンドンで高層ビルが増えないもう1つの理由に、一部の開発業者がテナント探しに苦労していることがある。欧州のトレンドを反映するかのように、これまでオフィスビルの最大の借り手だったロンドンの多くの金融サービス企業は、ユーロ危機による圧迫を受け、大規模なオフィス移転を先延ばししている。実際、シャードの72のフロアのうち使われているのは6フロアのみだ。 レデンホールでさえ、14年半ばの正式開業を控え、フロアを埋めるのに苦慮している。保険のエーオンやアムリンが低層階への入居を決めているものの、高層階はテナントを募集中だ。 http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887324802804578610732370286960.html
【クレジット市場】邦銀パスし米ローン市場で調達、投機的等級企業
7月17日(ブルームバーグ):日本の農薬会社アリスタライフサイエンス は、円建て債務を海外でのドル建て借り入れに切り替えた。投機的等級の企業への資金の出し手が少ない日本を離れ、高リスク企業向けローン市場が発達する米国に活路を求めた格好だ。 借り換え資金のうち優先債務(11.5億ドル)の利率がドル建てロンドン銀行間貸出金利(LIBOR )+3.5%、劣後債務(4.9億ドル)は同+7.5%。全体では平均で同+5%となり、借り換え前の円LIBOR+7%弱よりもスプレッド(上乗せ金利)部分が低い。ブルームバーグ・データによると、6月の日本企業の平均スプレッドは0.6%、米では2.7%。 スタンダード・アンド・プアーズ(S&P )によると、今回の借り換えのうち、返済優先順位の高い優先債務は「B」、順位の低い劣後債務は「CCC+」と、いずれも投機的等級。米国では、様々な投資家がハイリスク・ハイリターンの投機的等級の企業にも資金提供するローン市場が発達しているのに対し、日本ではこうした企業にとって資金調達の場が不十分だ。 アリスタの園田敦彦・財務部部長は、日本での資金調達を断念した背景について、「邦銀はうちみたいな企業には融資しにくいからだ」と説明する。預金を元手とする銀行の融資対象は、相対的にリスクの低い優先債務部分に限定されており、「米国のように劣後部分に資金を出して支える投資家がいれば、銀行は融資しやすくなるはずだ」と話す。 一方、アリスタ同様に投資ファンドからの買収で多額の債務を抱えたすかいらーく の場合は、すべて優先債務だったため、6月に邦銀からの借り換えに成功した。 邦銀離れ アリスタは旧ニチメン(双日 の前身)や旧トーメン(豊田通商 に吸収合併)が出資して設立。その後、同社を傘下に収めたアジアの投資ファンドから、欧州ファンドのペルミラが2008年に2500億円で買収した。ペルミラ子会社との合併を通じて、アリスタは買収に要した巨額債務を負わされたが、金利低下の市場環境をとらえ15年3月の返済時期よりも2年も前倒しで借り換えに踏み切った。 アリスタの園田氏は、米ローン市場での借り換えを選択した理由について、調達コストの低下など米金融市場の環境の良さに加え、「いろいろなタイプの投資家がいるので、スピーディーに借り換えようと考えると、米国市場になった」と説明した。 同じく投機的等級だった携帯電話サービスのイー・アクセス(現在はソフトバンク傘下)も11年に、米国で高利回り債を発行した。邦銀の預貸ギャップは当時から拡大し続けており、銀行は融資先の開拓に懸命だが、こうした企業の資金需要は十分に取り込めていない。 S&Pの根本直子マネジングディレクターは、邦銀はリスクを取っていかないと、企業に逃げられてしまうと指摘する。 米ローン市場 アリスタが借り換えに利用した米ローン市場は、特定の銀行ではなく、ヘッジファンドや年金、投資信託も含めた不特定多数の投資家が融資する仕組みで、債権は転売もできる。社債と似ているが、有担保のため、社債よりも回収確率が高い。 野村資本市場研究所研究部長の関雄太氏は、「米国では機関投資家の中でも伝統的なアセットクラスではないところに投資機会を見出す投資家が増えてきて、格付けの高い社債や国債よりも、低格付けのローンや債券を買う人が増えてきた」と話す。 米連邦準備制度理事会(FRB)の超低金利政策が5年目に入る中で、米レバレッジドローン(投機的等級向け融資)市場には資金流入が進み、今年は過去2番目に高水準だった昨年を上回る勢いで組成が進んでいる(ブルームバーグ・データ調べ)。アリスタの園田氏は、「米国は投資需要が強く、スプレッドは今までより下がった」とし、調達コストの低下も決め手になったことを明らかにした。 日本の市場育成 野村資本市場研の関氏によると、米国でローン市場が誕生したのは、80年代のS&L(貯蓄貸付組合)問題で発生した不良債権を銀行が投資家に転売し始めたのがきっかけ。現在は大型買収の活発化を背景に、レバレッジドバイアウト(LBO)向け融資の流動化に利用されることが多いという。 米銀は不良債権問題やBIS規制導入などを契機に、ローンを抱えて金利を稼ぐよりも、ローンの組成や転売など手数料ビジネスに力を入れていると、関氏は解説する。 一方、日本でも、三菱商事や三菱東京UFJ銀行などが中心になって、04年に売買を前提とした「高流動性シンジケートローン」を立ち上げたが、今年3月末時点の市場規模は1兆1449億円と、協調融資残高に占める割合は1.8%にとどまっている。 S&Pの根本氏は、日本ではリスク企業の調達環境が厳しい背景として「銀行のノウハウ不足や銀行内部の損失を出したくない文化、当局の方針」を挙げた。金融庁は4月、新規融資が増えるよう金融機関向けの監督・検査方針を改定。同氏は、アベノミクスで経済環境が良くなって来れば、「貸し出しを伸ばす好循環になる可能性はある」と述べた。 記事に関する記者への問い合わせ先:東京 占部絵美 eurabe@bloomberg.net;東京 藤村奈央子 nfujimura@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先:Katrina Nicholas knicholas2@bloomberg.net 更新日時: 2013/07/17 12:55 JST
債券先物は上げ幅拡大、5年債入札結果順調で買い優勢−議会証言注目
7月17日(ブルームバーグ):債券先物相場は上げ幅を拡大している。きょう実施の5年利付国債の入札結果が順調だったことを受けて買いが優勢となっている。 東京先物市場で中心限月の9月物は前日比6銭高の143円17銭で開始。その後は横ばい圏でもみ合ったが、株安が進むと水準を切り上げた。午後零時45分の5年債入札結果の発表後には14銭高の143円25銭まで上昇し、午前高値を上回った。株式相場は反落し、TOPIX は一時0.6%下げた。 現物債市場で長期金利 の指標となる新発10年物国債の329回債利回りは同0.5ベーシスポイント(bp)低い0.82%で開始。その後、しばらく0.825%で推移したが、午後に入ると再び0.82%に下げた。5年物の112回債利回りは0.5bp低い0.295%。20年物の145回債利回りは1bp低い1.715%。30年物の39回債利回りは1bp低い1.845%で推移している。 財務省がこの日実施した表面利率0.3%の5年利付国債(113回債)の入札結果によると、最低落札価格は100円01銭と事前予想を1銭上回った。小さければ好調とされるテール(最低と平均落札価格との差)は1銭と前回の2銭から縮小した。投資家需要の強さを示す応札倍率は4.28倍と前回の4.36倍からやや低下した。 ソシエテ・ジェネラル証券の菅原琢磨シニア円債ストラテジストは、5年債入札結果について、「ここもとのボラティリティ低下と市場環境の好転を反映してしっかり。好調な結果だった」と分析した。 16日の米株相場は下落。S&P500種株価指数は前日比0.4%安の1676.26で終了した。一方、米10年国債利回り は同1bp低下の2.53%程度。米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長が17日の議会証言で、市場の緩和策縮小観測を抑えようとするとの見方が広がった。 菅原氏は目先の注目はバーナンキFRB議長の議会証言と指摘。「先週ぐらいから米金利はかなり戻しているが、落ち着きどころがどの辺になってくるのかというところで、議長の証言をどう消化していくのかがポイントだ」と話した。 記事に関する記者への問い合わせ先:東京 山中英典 h.y@bloomberg.net;東京 小宮弘子 hkomiya1@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先:大久保義人 yokubo1@bloomberg.net;Rocky Swift rswift5@bloomberg.net 更新日時: 2013/07/17 13:30 JST
バーナンキ議長、議会証言で緩和策縮小と利上げの区別目指す
7月16日(ブルームバーグ):米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長は17日の議会証言で、資産購入縮小が政策金利引き上げの前触れでないという自らの真意を強調する機会を得る見通しだ。 バーナンキ議長は経済成長がFRBの予想通りに推移することを前提に月間850億ドル(約8兆4600億円)の債券購入額を年内に縮小し始める可能性があると説明してきた。同時に、FRB当局者はフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標引き上げがバーナンキ議長の2期目の任期満了(2014年1月31日)より後の15年までないことを示唆している。 元FRBエコノミストで現在はバークレイズの米国担当シニアエコノミストを務めるマイケル・ゲーペン氏は「FRBの二股に分かれたメッセージは続くだろう」と述べ、「当局は緩和縮小を開始できる環境を見込んでいる。緩和縮小に関してタカ派的トーンで、利上げについてはハト派的トーンだ」と指摘した。 FF金利先物市場では、バーナンキ議長の真意が織り込まれ始めている。ブルームバーグの集計データによると、14年末までの利上げの確率は44%と見込まれており、今月10日時点の53%から低下した。バーナンキ議長は10日に「予見可能な将来において高度に緩和的な金融政策が米経には必要だ」と発言した。 バーナンキ議長は17日に下院、18日に上院でそれぞれ証言し、FRBの半年に1度の金融政策報告を行う。下院金融委員会で証言する時刻の1時間半前の午前8時半に証言内容が公表される。以前は午前10時に公表されていた。 原題:Bernanke Seeks to Divorce QE Tapering From Interest-RateOutlook(抜粋) 記事に関する記者への問い合わせ先:ワシントン Joshua Zumbrun jzumbrun@bloomberg.net;ワシントン Jeff Kearns jkearns3@bloomberg.net;ワシントン Michelle Jamrisko mjamrisko@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先:Chris Wellisz cwellisz@bloomberg.net 更新日時: 2013/07/17 11:32 JST FRBの信頼性に生じたずれ 9月にも債券買い入れ規模の縮小に着手すると示唆した米連邦準備制度理事会(FRB)は、単に虚勢を張っただけのように思われ始めている。 6月の連邦公開市場委員会(FOMC)では、明らかに強気な景気見通しを示した。家計と企業の支出は上向いていると述べ、インフレは低いが、「一時的な影響」で押し下げられているとの見方を示した。FRBが発表した見通しは、金融業界のエコノミストらの予想よりも、米経済が年内にさら … 2013年 7月 16日 16:15 JST ピムコのグロース氏、4-6月期に金利リスク・エクスポージャー拡大 記事
パシフィック・インベストメント・マネジメント(ピムコ)の創業者で最高投資責任者のビル・グロース氏は、利回りが急上昇した6月に世界最大の債券ファンド「トータル・リターン・ファンド」の金利リスク・エクスポージャーを拡大させた。4-6月期の運用損が四半期として最大を記録する一因となった。 多くの投資家が債券全般の保有を減らしたのに対し、グロース氏は運用額2680億ドル(約26 兆7400億円)のトータル …
http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887324802804578610852803359998.html FXフォーカス2013年 7月 17日 14:04 JST 中国の外貨準備動かす人物 元量子物理学者で姿見えず By LINGLING WEI、BOB DAVIS 【北京】今年初めの中国の春節(旧正月)の公式パーティーで、Zhu Chaghongという名前の元債券トレーダーが、総額3兆5000億ドル(約350兆円)に上る世界最大の中国の外貨準備の投資運用で賢明な選択をしたと仲間から称賛された。 [image] Paul Wiegmann 学生時代のZhu Chaghong氏 Zhu氏の同僚たちはその席で、毛沢東をたたえる有名な革命歌(「東方紅」)の歌詞をもじって「東方は紅、太陽が昇った。中国にZhu Chaghongが現れた。・・・彼はSAFEの大いなる救いの星!」と冗談交じりで歌ったという。このパーティーに参加した人々の話だ。SAFEというのは中国国家外貨管理局の略称で、中国人民銀行の管轄下で外貨準備を運用している機関だ。つまり世界最強クラスの投資家でもある。 欧州が依然として資金の源泉を探し、開発途上国が天然資源ブームの陰りの兆候を心配している現在、Zhu氏は何兆ドルもの資金の配分における中心的人物だ。しかし外貨準備を多様化して満足出来るリターン(収益)を獲得する中国の戦略を指揮しているにもかかわらず、Zhu氏については外部にほとんど知られていない。中国メディアは彼を「姿の見えない人物だ」と称している。 Zhu氏は43歳。元来は物理学者で、そのキャリアは驚くべき転身を次々に遂げてきた。20歳の時、貧しい安徽省出身の彼はシカゴ大学に移り、量子物理学を研究した。しかしその後、こうした有望な学問的キャリアをあっさり捨てて債券ディーラーになり、最終的にはアリアンツ傘下の米巨大投資会社パシフィック・インベストメント・マネジメント(ピムコ)に入社し、有力投資家として有名なビル・グロース氏の右腕となった。 そこでZhu氏はアメリカンドリームを経験した。米不動産登記によると、彼はカリフォルニア州で豪華な家2軒とラスベガスでコンドミニアム(分譲マンション)を購入した。しかし2009年末、そうした生活を捨てて中国に戻り、SAFE準備管理部の最高投資責任者(CIO)になった。 知人たちはZhu氏を変わり者だと述べている。また、極めて控えめなため、彼の写真がネット上に一枚もない、と中国の大勢のインターネット利用者はぼやく。SAFEの活動に詳しい人によると、SAFEでは、Zhu氏は自らのことを、勤務先であるSAFEのために投資決定するプロ集団の一員にすぎないと述べているという。 [image] しかしZhu氏はSAFEで実績を上げた。SAFEは従来、安全だが退屈な米財務省証券(国債)に依存していた。しかし同氏は、SAFEに入ると、米社債、株式、そして不動産にもっと投資するよう上司を説得したのだ。 関係筋によれば、Zhu氏の積極的なスタイルの最近の兆候として、SAFEが昨年下半期、まだ急騰していなかった日本株に賭けた点が指摘できるという。ただし、その投資ポジションの規模は明らかでない。 SAFEのメディア担当官は、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の本記事に対するコメントを拒否した。 こうした投資上の賭けをしているにもかかわらず、米国の金融政策が今後変更される見通しになっている現在、Zhu氏の主目標は、記録的な投資成果を上げることではなく、SAFEが抱えるかもしれない損失を減らそうとすることになるだろう。連邦準備制度理事会(FRB)が債券買い入れ規模を縮小して米国債が下落し続けた場合、SAFEは損失を被るからだ。 ある中国人当局者は、SAFEは昨年、Zhu氏の指示の下で「非常に良い年を経験した」と述べた。SAFEがその投資内容とパフォーマンスを発表することはない。 米財務省と中国人民銀行(中銀)のデータに関するWSJの分析によると、Zhu氏がSAFE入りした直後の2010年6月、中国の外貨準備の約45%、つまり1兆1100億ドルが米国債に投資されていた。その後、中国の米国債購入総額は増加したが、Zhu氏は外貨準備に占める米国債比率を着実に減らしており、12年6月には約35%、1兆1400億ドルとなったという。 Zhu氏はまた、日本株式、欧州債券、米社債と米株式への投資を増やした。個々の具体的な数字を示すのは難しいが、例えば2011年6月から12年6月までの1年間で、中国の外貨準備に占める米社債と米株式の比率は5%から7%に上昇した。 今年5月現在の最新数字では、SAFEは依然として米国債に約1兆3200億ドル投資している。アナリストによれば、この数字は実際の保有額を過小評価しているかもしれないという。中国政府はどのように投資しているか隠したがるからだ。中国による膨大な米国債保有は、中国の外貨準備の価値がおおむね米金利の変動にさらされることを意味している。 それはひいては、FRBによる金融緩和からの撤退開始という予想される事態にSAFEがぜい弱になることを意味する。緩和から撤退すれば、米国債の相場が下がるからだ。 中国社会科学院の著名な経済学者で中国人民銀行の元金融政策顧問、余永定(Yu Yongding)氏は、Zhu氏の努力は「遅過ぎたため、多くは達成できない」と述べている。 |