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シェールガス 掘れば掘るほど赤字になる?〈週刊朝日〉 
http://www.asyura2.com/13/hasan81/msg/163.html
投稿者 赤かぶ 日時 2013 年 7 月 16 日 07:27:00: igsppGRN/E9PQ
 

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130716-00000002-sasahi-ind
週刊朝日  2013年7月19日号


 オバマ米大統領は気候変動対策について6月25日に演説し、「米国は世界を先導できるという確信がある」と語った。この自信の背景には、シェールガスがある。石油や石炭と比べると温室効果ガスの排出量が少ないからだ。こうも言った。「米国は世界最大の天然ガス生産国としての地位を強化すべきだ」。

 シェールガスとは、地下にある頁岩(けつがん=シェール)の層にたまった天然ガスのことだ。硬い岩盤層で、1970年代の石油危機のころから、うまく掘れないかと試行錯誤が続けられた。それが、水と化学薬品を注入して圧力をかけ、岩にひびを入れて掘り出す新しい技術が開発されるなどして、生産が軌道に乗った。頁岩層は米国では国土全域に広がり、「掘れば出てくる」とすら言われている。2011年には米国の天然ガス生産量の3分の1をシェールガスが占めるほどになった。だからオバマ大統領は自信満々なのだ。

 その結果、天然ガスはとにかく安くなった。100万BTU(英国熱量単位=天然ガスなら25立方メートル、以下同じ)あたりで、08年夏には13ドルを超えたが、このところ4ドルを割り込んでいる。

 これに飛びついたのが日本だ。11年の東日本大震災によってほとんどの原子力発電所が止まり、火力発電に頼りきっているからだ。11年度、燃料とする天然ガスの消費量は前年より3割近く増えた。

 日本の電力会社が買う液化天然ガス(LNG)の価格は17ドルほど。これに対して、米国でシェールガスを買って液化し、タンカーに積んで日本に運んできても12〜13ドルほどに抑えられるという。震災後2度目となる電気料金の値上げが視野に入る電力会社にしてみたら、渡りに船だろう。

 シェールガスさえ活用できれば、火力発電に寄りかかっていても、電気料金の値上げを避けられるだけではなく、ひいては脱原発の「切り札」に――。「シェールガス革命」という言葉も飛び交う「バラ色の未来」が描かれた。すでに日本の商社やガス会社などが米国のガス田の権益を買った。

 オバマ政権は、その夢を後押ししている。5月16日にシェールガスを管轄するエネルギー省の新長官の人事が上院で承認されると、早くも翌日にはシェールガスを日本向けに輸出する計画のひとつを初めて許可した。英国・インド向けに続いて3件目の許可だ。

「輸出すれば、採掘会社、設備会社、海運会社などで幅広く雇用が増えます。オバマ大統領は、来年11月の中間選挙で勝つのに失業率を下げるシェールガスをうまく使いたいと考えたのでしょう」(三菱東京UFJ銀行ワシントン駐在員事務所の寺澤英光所長)

 しかし、どうも様子がおかしい。北米では、シェールガスの生産量が大きく落ち込んでいるわけではないが、ガスを掘り出す機械の稼働数が減っているのだ。今年に入ってからは半年間で2割ほど落ち込んだ。

 専門家の話をまとめると、この変調には、主に二つの理由がある。「価格」と「環境」だ。

「価格」とは、安さを売りにするシェールガスが皮肉にも天然ガス価格を引き下げすぎたことだ。シェールガスの生産には5〜7ドル程度かかるといわれる。それが4ドル以下でしか売れないのだから、「掘れば掘るほど赤字」(商社幹部)なのだ。4月には米国のある採掘会社が資金繰りに行き詰まって破綻した。

 もともとシェールガスならぬシェールオイル(頁岩層にある原油)を求めて採掘したら、一緒に天然ガスも出てきた。こうした場合に限っては、原油価格が高いので原油と天然ガスを合わせてようやく採算がとれる状況のようだ。

「5〜7ドルぐらいまで上昇しないと、持続的な発展は難しいでしょう。米政府も、生産量の増加は価格上昇に比例すると見ています」(みずほ銀行産業調査部)

 そこで輸出だ。オバマ政権が日本向け輸出を許可した背景には、価格引き上げのねらいもあると見られる。米国内で天然ガスの消費量が大幅に増えるとは考えにくいからだ。

 といっても、手っ取り早く局面を打開するには至らないようだ。輸出に望みをかけるなら申請を次々許可してもよさそうだが、エネルギー長官は、ケース・バイ・ケースで考えるという発言に終始している。

「エネルギー省は、許可申請を却下したくありませんが、許可した企業に破綻されるのも避けたい。審査に時間をかけるしかないのです」(前出の寺澤所長)

 さて、変調の二つ目の理由は「環境」だ。

 先ほど、シェールガスを採掘する際には水と化学薬品を注入すると紹介した。化学薬品というのは塩酸、潤滑剤、界面活性剤などで、これらが周辺の地下水に悪影響を及ぼすのではないかと懸念する声がある。

 実際に米国では、人口が密集する東海岸のニューヨーク州やニュージャージー州などで、この手法による採掘が禁止された。


 

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コメント
 
01. 2013年7月16日 08:17:58 : nJF6kGWndY

じきに上がるだろう

100万BTUあたり4ドルは異常に安すぎる(原油ならバレル24ドルに対応)

輸送コストなど考えても倍の8ドルくらいでもかなり安い

長期的に考えれば、50%のシェール税をかけるくらいで丁度良い


02. 2013年7月16日 09:31:29 : UeWPQrhtmU
中東、インドネシアがガス、原油の値段を下げる、そのとき米国生産は頭打ち、もっと怖いのはソ連が値下げの動きに追随すること、待ったなし、何せ隣のウクライナがシェールガス生産に乗り出すからね。

03. 2013年7月16日 11:51:03 : Vvx51e3qYc
 シェールガス革命は問題ありのようですね。記事にも記述されている採掘時に使用する化学物質のかなり深刻な環境汚染問題やコストの問題、さらに一つのガス井のガス産出寿命が短いという問題など、意外に弱点が多いようです。日本が米国のガスに縋り付き、輸入が開始される頃にはまた、問題(価格急上昇の可能性など)が発生してしまうのではないでしょうか?   

04. 2013年7月16日 17:32:35 : BDDFeQHT6I
アメリカの製品を当てにすれば必ず価格高騰で痛い目に遭う、売れるとなればどんどん値上げして来るにきまっているだろう、日本は何時まで立ってもアメリカのカモ、それより煽りで価格下落した天然ガスをロシアから輸入する方が絶対安全、パイプラインも出来るだろう。

05. 2013年7月16日 20:19:31 : 7OpGsifAXA
GTLを進めないのは油価がさがるから。
エネルギー産業において価格は決まるのでなく決めるものだ。

06. 2013年7月17日 13:41:22 : niiL5nr8dQ
第 66 回 シェールガス革命? 総合商社の眼、これから世界はこう動く 
2013年07月16日
1. 日本の天然ガス輸入価格は低下する?シェールガスに関する報道が増えています。シェールガスとは技術革新により新たに利用できるようになったシェール(頁岩)に含まれる天然ガス(以下単にガス)のことです。シェールガス生産に伴うガス増産により、@米国でガス価格が低下、米国はガス利用大国に、A世界的にガスの需給が緩和し、日本のガス(LNG)輸入価格も低下する、といった効果が期待されています。これがいわゆるシェールガス革命です。実際、2012年の米国でのガス価格は同熱量の石油の約1/5まで安くなっており、米国でガスの利用が進むという見方には疑問を感じません。しかし世界的にガスの需給が緩和し、日本のガス輸入価格が低下するという見方には疑問を感じています。
2. 天然ガスの国際市場は不完全。従い需給緩和が価格に反映されない可能性も。なぜ疑問を感じるのか?それはガスの国際市場が不完全であり、需給の緩和が価格に反映されない可能性があるからです。

現在、ガス輸送方法としてはパイプラインとLNG(Liquefied Natural Gas:液化天然ガス)の2種類が主流です。図表1はこのうちパイプラインガスの国際価格を比較したグラフです。シェールガス生産とリーマンショックの影響を受け、2009年頃から米国・カナダのガス価格が急激に低下しています。一方、ドイツ・英国ではリーマンショックによる価格下落は見えるものの、その後は米国・カナダとは全く異なる価格の動きを示しています。これを見る限り、パイプラインガスの国際市場は不完全で、一部(この場合は北米大陸)で需給が緩んだとしても、その影響が世界全体に波及しにくい構造が見てとれます。

次に図表2は世界最大のLNG輸出国カタールの輸出先別LNG単価です(2010年の貿易統計から算出しました)。一般に国際市場が機能している商品の場合、その商品の価格は世界中どこでもほぼ同じです。しかし図表2を見ると、LNG価格は売り先により約800ドル/t〜200ドル/tと単価に大きな開きがあり、LNG国際市場の機能不全を示唆しています。それではなぜパイプラインガス・LNGいずれも国際市場が不完全なのでしょうか?理由としてパイプラインガス・LNGいずれの市場も参入が困難という点が挙げられます。パイプラインガスを輸出・輸入するには、膨大なコストをかけてパイプラインを敷設する必要があります。LNGを輸出・輸入するにも同じく膨大なコストをかけて液化・気化設備を建設する必要があります。そしてこのような参入コストの高さが市場参入を困難にし、市場を不完全なものとしている可能性があります。例えばLNGについては、輸出量の約半分をカタール・マレーシア・豪州の3ヶ国が、輸入量の約半分を日本・韓国が占めるという寡占状態が続いています。
3. 不完全な市場では交渉力が必要。日本は歴史に倣いロシア産ガスを重視すべき。日本は島国ということもあり、現時点では100%LNGでガスを輸入しています。そして大半を占める長期契約については、LNGの価格は需給に関係なく、日本の輸入する原油価格にリンクして決定されます(日本が世界の4割のLNGを輸入するLNG輸入大国であるにもかかわらず、です)。不完全な市場では交渉力が価格を決定しますが、日本には交渉カード(例えば安いパイプラインガスの導入など)が無いことが一番の問題と考えられます。従って、仮にシェールガス増産により世界のガス需給が緩和しても、その恩恵を受けられない可能性があります。かかる状況下、日本がとれる現実的選択肢として、ロシア産LNGの安定的輸入拡大が考えられます。

図表3は日本の主要LNG輸入先5ヶ国の単価を貿易統計から算出したものです。この中で最も安いのはロシア産LNGです。ロシア産LNGが安い理由は様々ですが、やはり地理的な近さが大きな理由であると考えられます。従って当面はこの安いロシア産LNGの比率を一定レベルまで上げていくことが日本のLNG価格、ひいては発電コスト引き下げに寄与するはずです。そして将来的にはロシアからのパイプラインガス導入も視野に入れるべきでしょう。実際、日本と同じ島国でありながらパイプラインガスを導入している英国は、カタールから日本の約半値でLNGを購入しています(購入量は日本より少ないにもかかわらず)。また更に踏み込むなら、CO2排出を抑制すべくロシアからケーブルを引いて直接電力を輸入するというアイデアもあります。日本の海外自主開発石油第1号は1926年の北樺太石油会社による旧ソ連・サハリンのオハでした(第56回「日の丸原油」第1号はアラビア石油ではない(http://lounge.monex.co.jp/advance/marubeni/2013/03/05.html)をご参照ください)。日本が経済合理性を追求すれば、その主要エネルギー源は自ずと近場のロシアとなります。歴史は繰り返すのです。
コラム執筆:シニア・アナリスト 榎本 裕洋/丸紅株式会社 丸紅経済研究所
http://lounge.monex.co.jp/advance/marubeni/2013/07/16.html

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