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新生シャープ、中国企業へ「IGZO切り売り戦略」 優位性保てるのは2年
http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20130715/ecn1307151904000-n1.htm
2013.07.15 夕刊フジ
【経済裏読み】
シャープが、虎の子の高精細、省電力の液晶「IGZO(イグゾー)」で初の技術供与に踏み切る。相手は大株主の韓国・サムスン電子でも、堺市の液晶パネル工場を共同運営する台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業でもなく、中国の国有企業、中国電子信息産業集団(CEC)。決め手は、CECグループに亀山第1工場(三重県亀山市)の生産設備を売却した4年前からのつきあいにあるといい、「知的財産権への理解と正当な対価」(関係者)。知的財産権の保護意識が乏しいと評判の中国企業が、シャープの最も信頼できる提携先だった。
■鴻海とは違う
シャープはCECと合弁で南京市に液晶パネル工場を建設し、2015年6月の稼働を目指す。来春に資本金175億元(約2800億円)で設立する合弁会社が運営し、大型テレビ向けだけでなく、IGZO技術を駆使したノートパソコンやタブレット、スマートフォン(高機能携帯電話)用の中小型パネルを生産する。
シャープは新工場の立ち上げを指導するとともに、CECの技術者の育成を担う。その対価としてCECから支払われる技術料の一部(約220億円)を回して合弁会社に8%出資し、出資比率に応じた量の液晶パネルを引き取る契約だ。インフラなども含めた総投資額は5000億円を超えるが、シャープ側の持ち出しはゼロ。関係者は「投資をせずに自社仕様のパネルを手に入れることができる」とメリットを説明する。
シャープは09年にCECグループで液晶パネルを生産するCECパンダに亀山第1工場の旧世代のテレビ用液晶パネルの生産設備を売却している。中国企業は知的財産権の保護意識が乏しいともいわれるが、関係者は「4年のつきあいで技術や知的財産権への理解があり、正当な対価が支払われる信頼関係ができたことが大きい。鴻海などもIGZO技術をほしがったが、そこが違う」と打ち明ける。
■いつの間にかロンリーワン経営
かつてシャープは、部材調達から部品製造、組み立てまでを自社で一貫して手がける「垂直統合式」と呼ぶ自前主義を勝利の方程式としてきた。虎の子の最新技術については、自社製品の優位性のためだけに使用し、「ブラックボックス」として門外不出にする姿勢を徹底した。そうした利己主義について、当時の町田勝彦社長(現特別顧問)は「オンリーワン経営」と名付け自賛した。
技術を囲い込む垂直統合モデルでグローバル競争に挑むためには、大規模工場に設備投資する必要に迫られた。亀山工場に続き約4000億円を投じて液晶パネル工場を堺市に建設したが、このとき、既に薄型テレビの価格下落による消耗戦に突入。技術的に汎用(はんよう)化が進み、安い人件費を使って安価な製品を量産できる中国、韓国、台湾勢が台頭していた。
さらに、独自の生産拠点を持たずに、設計や製造を外注することでコストを抑えるアップルなどの「水平分業式」の企業が世界で存在感を高めた。同時にアップルから生産を委託される鴻海のような電子機器受託製造サービス(EMS)が成長し、シャープの優位性は失われた。
こうした世界的な潮流のなか、独自の技術が徐々に流出していく一方、最先端を走っていた技術もやがてはライバル企業から追いつかれ、シャープの自前主義は埋没していった。ある専門家は「独自、自前を徹底したオンリーワン経営にこだわるあまり、いつの間にかロンリーワン経営になっていた」と分析する。
■「まねされる商品を」
高橋興三社長は液晶事業への巨額投資の結果、経営危機を招いた過去のシャープと決別を宣言した。ただ新生シャープも中核事業に液晶を位置づけることに変わりはなく、「液晶ビジネス自体が赤字というより巨額投資が巨額赤字につながった。もう全部自前で投資する必要はない」と強調する。
その第1弾として自身の社長就任直後の6月27日に発表したのがCECとの提携だ。他社に積極的に技術を売り、その対価を使ってさらに進んだ技術を開発するスパイラル(渦巻き)づくりを目指す。
シャープは現在、創業精神などの原点回帰を進めているが、創業者の早川徳次氏の口癖に「他社がまねするような商品をつくれ」がある。IGZO技術も他社が技術開発を急いでおり、「優位性を保てるのは2年程度」(証券アナリスト)といわれる。「高く売れる間に資金化し、しかも技術を製品として世に送り出したい」(関係者)。IGZOに続く他社がほしがる商品や技術を今後、いくつ開発できるかが再建の鍵を握っている。(松岡達郎)
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