05. 2013年7月15日 19:53:40
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2013年07月14日 10:20 本 日本はなぜアジアのリーダーになれないのか 党首討論を聞いて印象的なのは、与野党とも非常にローカルな話ばかりしていることだ。与党は「大胆な金融緩和」で日本経済が成長すると信じ、野党は「インフレで貧しい人の生活が苦しくなる」と批判する。昔からおなじみの「成長か分配か」という論争だが、最大の問題はその成長を制約する要因が国内にはないということだ。本書は近代世界システムが、次の図のようなコンドラチェフ循環に従ってヘゲモニーの中心を移しながら拡大してきた過程を多くの史料からあとづけ、ブローデルやウォーラーステインの理論を整理したものとしてネグリ=ハートも高く評価している。 上の図のMCは生産拡大の時期、CM'はそれが金融化してグローバルに拡大する時期だ。つまり最初は植民地支配や商業で利鞘を得ていた「長い16世紀」の資本主義が、金融資本主義になった末に利潤率(金利)が低下し、次の製造業で利潤を得る産業資本主義に覇権を奪われる・・・という循環で資本主義のヘゲモニーが移動してきたという話だ。 長い16世紀の中心だったジェノヴァでは、1619年に10年物国債の金利が1.125%という史上最低記録をつけ、それは2000年代の日本まで破られなかった。つまりデフレと低金利は、コンドラチェフ循環の終わるB局面の最後の兆候なのだ。古典的な商人資本主義だったジェノヴァはこの隘路を抜け出すことができなかったが、オランダは東インド会社でアジアから略奪することによって新たな資本蓄積を行なった。 それが行き詰まったとき、イギリスはアメリカ大陸から略奪することでオランダよりはるかに大きな富を築き、アジアまで含む「大英帝国」を建設した。しかしアメリカが独立すると新大陸から搾取できなくなり、アメリカ自身が世界の支配者になる「長い20世紀」が続いてきた。 そしてアメリカの世界支配も限界に来て金融化し、低下する金利を「金融工学」でごまかしているが、いずれ限界は来る。それに次いで登場した「21世紀システム」の中心はアジアであり、そのリーダーは日本だ・・・というのが1994年に書かれた本書のビジョンである。さすがにこれはネグリ=ハートにも批判され、『北京のアダム・スミス』ではそのリーダーを中国に変更した。 しかしこの変更は、日本にとって重大だ。かつてごく自然に「日本の世紀」が来ると思われた歴史的なチャンスを、なぜわれわれは逃してしまったのだろうか。その一つの原因は、軍事力を奪われたため、アメリカ主導の「長い20世紀」圏を脱却する独自の地政学的秩序を構築できなかったことだろう。 もう一つの原因は、製造業がアジア戦略で失敗し、投資機会がアジアに奪われたことだろう。その証拠がジェノヴァ以来の世界史的な低金利だが、人々は国内に閉じこもって「反グローバリズム」を叫び、「日銀がエルピーダをつぶした」などと金融政策に責任を転嫁している。アベノミクスは、そういう視野の狭い「ガラパゴス政治」の典型だ。 アリギもいうように21世紀がアジアの世紀になることは確実なのに、なぜ日本はそのリーダーになれなかったのか。もうチャンスはないのか――8月24〜5日のアゴラ合宿では、この問題を考えてみたい(くわしくはのちほどご案内します)。 Yoshihiro Kiyonaga • Top Commenter 情緒的な尊敬でリーダーになれるわけでもない。旧社会党が現行憲法を称揚し「いつが世界が見習う」みたいな姿勢だったが、ドイツですら見習う気はさらさらない。ODAで感謝はされるが、国連での地位を高めるほどには感謝されてない。 介入主義でアジアを管理する意図がなければ結局はアジアのリーダーになれない。 アジア経済危機も、中台緊張も、中印緊張も、東南アジア内部の軋轢も、南沙諸島も、すべて面倒をみてやり、カネも軍事も出してやるというのなら話は別だが。そもそもアジア自体がバラバラでいることを好み、IMFの介入自体は嫌ったが、その後アジア版IMFも頓挫しかかっている。ブータンの位置にみられるように中国とインドという相容れぬ大国もある。インド以東にはイスラムも浸透しており、日本人が夢想する儒教的東洋という世界ではない。 また欧米のように普遍性や標準化を求めて労力を費やす思考は、そもそも日本のものではない。日本国内の技術ノウハウですら社内に秘匿され共有されない。ユニークなガラパゴスとして生きるのが自然ではないか。戦後キャッチアップ体制で内需を保護し、外には自由に輸出するという体制が狡猾にうまくいっただけで、キャッチアップ後の戦略がなかった。しかし日本が先行してもガラパゴスになる。 • Yesterday at 3:14am Tsutsui Hajime • 一橋大学 まだまだ時に利あらずも、土壇場で白人の世界制覇を阻止し、アジアの植民地を 開放した日本の快挙が、 複雑な西欧、中韓の思いを超克して、 人類皆兄弟への一里塚として、評価される日の来る事を、 期待したい。 昨日のテレビ、世界不思議発見、スリランカ編ではないが、長い間、白人の植民地下で 屈辱を味わった人々の声が大きくなることを期待したい。 日本人が言うのは TPO ではない。 • Saturday at 7:05pm Tsutsui Hajime • 一橋大学 先ずは次から次へと問題を提起する姿勢を賞賛したい。頑張って。 その主張もだんだん説得力あるものへと変質しているのは有り難い。 いつか先生の本を購入して応援したい。まだまだなるも。 • Saturday at 6:51pm Ogura Simon 【日本はなぜアジアのリーダーになれないのか】を適切公正に論じるのなら、視野の真ん中に【日本はなぜアジアのリーダーに“なれる”のか】を据えるべきでしょうね。日本が地理的に偶々アジア地域にあるから「アジアのリーダーに“なれる”」という道理はない。三十年以上前の「Japan As No.1」のご託宣を鵜呑みにしたか?しなかったか?と言い換えても好いが。. • 2 hours ago http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51864454.html 2013年07月13日 15:13 法/政治 夢見る与野党 参院選は与党が圧勝して、民主以外は1桁になるという。衆議院に続いてここまで野党が弱体化すると、審議拒否や国対などの伝統的な抵抗手段もきかなくなり、55年体制以上の自民独裁体制になりそうだ。野党もますます野党化し、共産党が躍進するなど現実逃避の傾向が強まっている。 田原総一朗氏によると、野党のアベノミクス批判は「現実を避け、夢を見たい」症候群で、その共通点は「反グローバリズム」だという。そういう気分をあからさまに表明しているのが、内田樹氏の「脱グローバリズム宣言」である。 国民国家解体の動きはもうだいぶ前から始まっていました。医療・教育・行政・司法に対する「改革」の動きがそれです。[・・・]この20年ほどの「構造改革・規制緩和」の流れというのは、こういう国民国家が「弱者」のために担保してきた諸制度を「無駄づかい」で非効率的だと誹るものでした。できるだけ民営化して、それで金が儲かるシステムに設計し直せという要求がなされました。その要求に応えられない制度は「市場のニーズ」がないのであるから、淘汰されるべきだ、と。 医療や教育は国内の制度改革であって「国民国家」を解体するものではなく、「グローバリズム」とも無関係だ。「無駄づかい」は淘汰されるどころか、ますます肥大化し、公的年金の積み立て不足は800兆円にものぼるのだが、内田氏のような団塊世代にはそんなことはどうでもいいのだろう。自分たちの既得権をおかすものには「グローバリズム」というレッテルを貼って「国民国家を解体する無政府主義」と罵倒すればいいのだ。 これはマーケティングとしては正解だ。この記事には1684もの「いいね!」がつき、彼の本もよく売れているらしい。彼は、田原氏もいうように「夢を売っている」のだ。自分たちは決して責任を負わないという前提で、コストを考えないで「弱者」の味方を演じる万年野党は、かつては40年ぐらいビジネスとして成り立った。 しかしアベノミクスが「グローバリズム」だという批判は、二重に間違っている。安倍政権そのものがグローバル化を「デフレ脱却」という非問題にすりかえているからだ。日本の物価が低い最大の原因は賃下げであり、その原因は新興国との国際競争の激化だ。これは世界的に起こっている歴史的な現実であり、それを批判しても拒否しても、逆転させることはできない。 日本が競争に生き残るには、法人税を軽減し、雇用規制を緩和して人材の流動化をはかるなどの改革が必要であり、破綻している財政を再建するには負担増は避けられない。しかし安倍政権は、そういうコスト負担については一切語らず、日銀が輪転機をぐるぐる回してお札を印刷すれば、インフレによってすべての問題は解決するという夢を売っている。 いいかえれば、与野党ともに「夢見る万年野党」になっているのだ。しかし55年体制の社会党には高度成長という無駄づかいの財源があったが、今の日本には1000兆円を超える借金しかない。それを支えているのは「日本人はまじめだから、そのうち何とかするだろう」という信頼感だけだが、それが崩れたとき夢は覚める。どのみち助からないのなら、なるべく長く国民に夢を見せるのも政治家の仕事かもしれないが… http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51864385.html 2013年07月12日 09:36 エネルギー 石炭の恐怖 エネルギー供給と環境汚染のトレードオフを考えるとき、最大のリスク要因は原子力ではなく石炭である。オバマ政権は火力発電所にCO2排出基準を設け、全米の発電量の半分を占める石炭火力を削減する方針を明らかにした。
他方、ナショナル・ジオグラフィックは中国の大規模な「人体実験」の結果を紹介している。1950から80年まで、中国政府は華北の住民に暖房用石炭を無償で提供していた。MITのグリーンストーン教授などがこの暖房利用者の健康調査を行なったところ、浮遊粒子状物質の大気中濃度は他の地域より55%高く、住民の平均寿命は5.52歳短かったという。 この暖房が行なわれた地域の総人口は約5億人なので、25億年以上の寿命が石炭によって失われたわけだ。 北京や上海でも上の写真のように街はいつも曇っており、私は3日もいると頭痛がする。炭鉱事故も含めて、おそらく年間数万人が石炭で死んでいると推定される。中国政府もこの問題を深刻に受け止め、今後200基以上の原発を導入して古い石炭火力発電所を閉鎖する方針だ。 地球温暖化にとっても石炭は最大の脅威であり、オバマ政権は石炭に課税する政策を世界に提案する方針だという。これは「シェール革命」でエネルギーを自給できるようになったためだろうが、中国政府はこうした規制に反対している。日本にとっても、総合的な健康リスクを考えると、脱原発ではなく「脱石炭」を目標にしたほうがいいのではないか。 http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51864270.html 2013年07月11日 10:14 アベノミクスは世界経済のリスク要因 IMFの世界経済見通しの改訂版が発表され、チーフエコノミストのブランシャールは「世界経済の3つの新しいリスク」に言及している。第1は中国の成長鈍化、第2が日本のアベノミクス、第3がアメリカのFRBの出口戦略だ。このうちアベノミクスについては、財政との関連で懸念を示している。原文をそのまま引用しておこう: The second is Japan's Abenomics, namely the "three arrows" of fiscal stimulus, aggressive monetary easing, and structural reformsUnless the second arrow is soon complemented by a credible medium run fiscal plan, and the third arrow reflects substantial structural reforms, the risk is that investors become worried about debt sustainability, and ask for a higher interest rate. This would make it difficult for Japan to maintain debt sustainability麻生財務相はいまだに「来年、消費税を上げるかどうかは景気次第だ」といっているが、こんな選挙向けのリップサービスが平気でできるのも、長期金利がまだ0.9%程度にとどまっているからだろう。しかしブランシャールも警告するように、日本の政府債務は現在の税率では維持不可能であり、アベノミクスの「第1の矢」が日銀に国債を買わせて問題を先送りするものだとすると、長期金利の上昇が起こるおそれが強い。 長期金利(10年物国債)出所:Bloomberg ところが奇妙なことに、長期金利はここ2ヶ月近く、0.9%近辺に貼りついている。その動きを見ると、0.9%を超えそうになると買いが入り、しばらくするとまた上がって0.9%に近づく、というジグザグを繰り返している。これは民間が売り逃げる国債を日銀が買い支えている疑いが強い。事実、6月のマネタリーベースは14兆円も増えた。 このように財政の悪化にともなう金利上昇を中銀のマネタイゼーションで抑え込む政策を金融抑圧と呼ぶ。かつての規制金利の時代にはよくあったが、金利が自由化され、金融市場が国際化してからは不可能だとみられていた。しかし今、日銀がやっているのは――どこまで意図しているかは別として――国債の買い支えによる金融抑圧である。 黒田総裁は国会で「インフレ期待と長期金利の抑制で実質金利がマイナスになる」と答弁したが、マイナス金利の債券を買うトレーダーなんて世界のどこにもいない。こういう矛盾した政策で金利を無理に抑え込むと、起こるのは資本逃避である。ブランシャールもいうように、日本の長期金利が上方圧力を強めている原因は財政リスクの増大であり、投資家が海外に逃避していることがドル高の要因になっている。 これは間接的な円安誘導であり、黒田総裁は意図的にやっている節もあるが、投資家が国債から離れると流動性がなくなって国債市場はますます不安定になり、リスクは日銀に集中する。「黒田バズーカ」は選挙向けの花火としては十分役に立ったが、選挙が終わったら軌道修正は避けられないだろう。 http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51864183.html 2013年07月10日 08:36 経済 ハードランディングのシナリオ きのうの言論アリーナでも論じたことだが、今回の参院選でどの党も避けているのが、財政や社会保障が維持可能なのかという問題だ。それどころか「増税すると景気が悪くなって税収が減る」などと増税の先送りを求める政治家も多い。そういう勉強不足の政治家には、きのう東京財団が発表したシミュレーションを読んでほしい。といっても51ページもあって専門的なので、超簡単に紹介しておこう。 http://www.tkfd.or.jp/files/doc/2013-01.pdf 財政危機時の政府の対応プラン 国・地方の長期債務残高(経団連)
上の図は経団連のシミュレーションだが、消費税を10%にしても財政赤字は発散し、2050年には政府債務がGDPの6倍になる。それを今の規模に維持するだけでも、毎年GDP比で1%の財政収支改善が必要だ。これは消費税率に換算すると25%まで引き上げることに相当する。これは小黒一正氏もいうように、財政学者の大方のコンセンサスだろう。成長率の上昇だけでこれほど税収を上げようとすると、実質4%以上の60年代のような高度成長が必要だ。 しかし与野党とも10%以上の消費税率には言及せず、安倍首相は日銀がお金を配れば何とかなるという幻想を振りまいているので、上の図の破綻シナリオをたどるおそれが強い。そうすると2025年ごろには国債の残高が家計金融資産を上回るので、それまでに何かが起こるだろう。具体的なトリガーとしてありそうなのは、金利上昇である。 ところが日銀の黒田総裁は2%のインフレ目標を設定したため、彼の就任以来、長期金利は上昇し、0.9%前後に貼りついている。これは日銀が大量に国債を購入して金利上昇を抑えているものと思われるが、民間の機関投資家が国債のリスクを恐れて逃げると、日銀にもコントロールがきかなくなるおそれがある。この場合は、政府が危機管理に乗り出す必要があるが、これは大幅な歳出削減などの政治的に困難なものとなろう。それに失敗すると、国債が暴落してハイパーインフレが起こる最悪の事態になる。 もちろんそれは今すぐ起こるわけでもないし、必ず起こるとも限らないテールリスクである。しかしそれを無視する「安全神話」がいかに危険かを、われわれは原発事故で学んだはずだ。この問題を是正する一つの方法は、意図的にボラティリティを高めてテールリスクを可視化することだ。この意味で現在の日銀の常軌を逸した金融政策は、金利上昇を早めて危機意識を高める可能性がある。黒田総裁がそういう「警世の金融政策」を意図しているなら、彼の功績は歴史に残るだろう。 http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51864081.html |