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2013年7月25日 週刊文春特大号
6月の日銀短観で景況感が大幅に改善するなど、日本経済は順調にデフレ脱却への道を歩んでいる。にもかかわらず、巷では7月危機説が囁かれている。ただ、私はそんなことにはならないと考えている。
日本経済が7月に失速する根拠とされたのが、米国の量的金融緩和縮小と中国のバブル崩壊だ。
米連邦準備制度理事会のバーナンキ議長は、6月19日の会見で、毎月850億ドルの証券を購入している量的緩和策を縮小する方針を明らかにした。米国経済が順調に回復する中で、年内に証券購入ペースを縮小し始め、来年半ばには購入を終了させるという出口戦略を明らかにしたのだ。
世界中に大量の資金を供給してきたアメリカの量的金融緩和が終われば、世界中で株価が大暴落し、世界経済が混乱に陥るという見方もあった。しかし、結局株価が暴落することはなかった。米国の量的金融緩和縮小は、景気回復に伴う金融政策の正常化だと理解されたのだ。危機の一つは去ったとみてよい。また、日本の量的金融緩和は今後2年間継続されるから、ドルに比べ円の供給が相対的に増え円安をもたらすので、日本の景気にとってはむしろプラスになるとみてよい。
一方、中国のシャドーバンキングのほうはどうか。シャドーバンキングとは、銀行融資以外でノンバンクや信託が作り出す資金の流れだ。中国では、国営の大企業以外は銀行融資をなかなか受けられない。だから地方政府が大規模開発をする場合には、ノンバンクなどを通じて高金利の資金を調達する。資金の出し手は個人だが、低利の資金を銀行から借りられる大企業も、銀行から融資を受けた資金をこうした高金利に回していると言われている。そうした資金が地方の不動産投資に流れ、地価の高騰を招いているというのだ。
日本でもバブル経済の時代に企業が「財テク」と呼ばれる資金運用で本業を上回る利益を獲得するという事態が起き、それがバブルを拡大した。だが、日銀の金融の引き締めなどによるバブル潰しで、日本経済は奈落の底に沈んでいったのだ。
同じことが中国で起きるのではないかと懸念された。特に中国の銀行間金融市場で、金融当局が資金供給を絞ったため、6月20日の短期金利が11.6%まで急上昇したことが不安を高めた。中国政府がバブルつぶしに動いたと理解され、日本のバブル崩壊が思い起こされたからだ。
しかし、日本のバブル崩壊が深刻になったのは、日銀の金融政策が失敗したからだ。'89年5月以降、日銀はバブル封じのため1年あまりで3.5%も公定歩合を引き上げた。また'90年3月の不動産関連融資総量規制の導入によってバブルは崩壊した。不況が訪れる中、日銀も'91年7月には公定歩合を引き下げ金融緩和に転じたとされている。しかし、日銀はその後も'92年10月まで資金供給の伸びをマイナスにするという強烈な引き締めを続けており、これがバブル崩壊の影響を深刻化させたのだ。
今回、中国政府は銀行間金利の急騰を放置せず、すぐに資金供給を増やしたため、金利はすぐにピーク時の半分以下に下がった。中国政府は10年以上前から日本のバブル崩壊を徹底研究している。だから、日本の悲劇は繰り返さない。当然7月危機も来ないのだ。
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