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3Dテレビ放送、早くも退潮 欧米メディア続々打ち切り
2013/7/14 0:30
【ニューヨーク=小川義也】欧米のメディア大手が、立体映像を家庭のテレビで楽しめる「3D(3次元)放送」を相次いで打ち切っている。3D対応のテレビが期待したほど普及せず、割高な制作費に見合う視聴者が集まっていないためだ。3D放送は次世代のテレビとして2010年ごろに鳴り物入りで登場したが、日本を含め世界的な退潮が鮮明になってきた。
米ウォルト・ディズニー傘下のスポーツ放送局「ESPN」は、CATVなどで有料配信する3D番組専門チャンネル「ESPN 3D」を13年末に廃止する。10年6月のサッカーのワールドカップ(W杯)南アフリカ大会から放送を開始。3年間で380番組を制作したが「(米国の)家庭における3Dテレビの普及率が低い」(広報)ため、打ち切りを決めた。
米調査会社IHSによると、米国の3Dテレビの世帯普及率は12年に8.5%。ESPNの3D専門チャンネル加入者数は未公表だが、30万人に届かなかったとみられる。
3D放送は専用の撮影機材が必要なのに加え、通常の番組に比べ1.5〜2倍の制作費がかかる。視聴者が増えない状況では採算が合わないと判断したもようだ。
英国放送協会(BBC)も、11年に始めた3D番組の制作を年内で打ち切る。2年間は試験事業と位置付け、昨夏のロンドン五輪を含む複数の番組を3Dで放送。「視聴者の需要がない」(責任者のキム・シリングロウ氏)との結論に達した。
BBCによると、英国で3Dテレビを所有するのは推定150万世帯。専用メガネをかける煩わしさもあり、3Dテレビを所有していても実際に3D方式で番組を見る人は少なかったようだ。昨年のクリスマスに放送した特別番組を3D方式で視聴したのは、所有世帯のわずか5%。最大級のテレビイベントだったロンドン五輪の開会式でも50%にとどまった。
シリングロウ氏は、3Dテレビが予想より普及しなかった理由の一つとして、いわゆる「ながら視聴」の難しさを挙げる。専用メガネの不要な3Dテレビが普及すれば制作を再開する可能性もあるが、「当面は様子を見る」方針だ。
米国では、衛星放送大手ディレクTVがパナソニックと組んで10年に立ち上げた3D専門チャンネル「n3D」の24時間放送を昨年終了した。日本でも衛星放送大手のスカパーJSATが今年3月末、3D専門チャンネル「スカチャン3D」の放送を打ち切った。
米調査会社のNPDディスプレイサーチは、13年の3Dテレビの世界需要を前年比16%増の4792万台と予測。「3D」を好む中国市場がけん引し、17年には9074万台まで増えると見込む。ただ、同社の鳥居寿一アナリストは「ESPNとBBCの放送打ち切りは、3Dテレビの需要を中長期的に押し下げる方向に働く」とみる。
メディア各社は今後、フルハイビジョンの約4倍の解像度を持つ「4Kテレビ」向けの番組制作に注力する構え。4K映像は画面の奥行きを自然に表現できるとされ、「専用メガネが必要だった3Dより普及を期待できる」(米テレビ大手幹部)との声が多い。
今なお映画館で上映する3D映画の需要は底堅い。だが、テレビ放送に関しては「3Dへの情熱は失われてしまった」(米ホライゾン・メディアのブラッド・アドゲイト氏)との見方が大勢だ。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM1300I_T10C13A7FF8000/?dg=1
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