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http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20130713/frn1307131007000-n1.htm
2013.07.13 夕刊フジ
【緯度経度】北京・山本勲
中国経済が大きな曲がり角を迎えている。輸出と公共事業、不動産投資を軸とした高度成長が行き詰まる一方、過剰投資による政府債務の急増や、「影の銀行(シャドーバンキング)」の猖獗(しょうけつ)によって国家の金融リスクが急上昇し始めたからだ。日本のバブル崩壊を体験した身には、あの頃の苦い記憶がいまの中国と重なってみえる。
最近、北京郊外の旧友や研究者の住まいを訪ねる機会が重なった。彼らの住むマンション街は市中心部から車で一時間余りの地下鉄沿線にあったが、そのさらに先に広がる高級住宅地区を幾つかのぞいてみた。地下鉄も通らず、車なしでは到底住めない所にあった。
「金持ちの別荘地」(地元民)とのことだが、人影もなくまるでゴーストタウン(中国語で「鬼城」)のようだ。「私腹を肥やした役人らの投資物件」との声も聞かれた。
首都圏だけに買い手には困らないようだが、地方都市では近年、文字通りの「鬼城」が続出している。その典型が内蒙古自治区のオルドス市で、100万人都市を目指して10年前に建設が始まったが、実際に住んでいる人は3万人という惨状だ。
日本でも1980年代半ばからの不動産バブルで都市の住宅価格が急騰し、地方ではリゾート・マンションブームも起きた。「山手線内側の地価総額で米国全土が買える」との試算が出たほどで、国じゅうが不動産フィーバーに理性を失っていたものだ。
当時の日本は、米国に大幅な円切り上げと内需拡大を強要された末の90年代にバブルが崩壊。製造業の海外シフトによる産業空洞化やデベロッパー、金融機関の倒産ラッシュの傷痕はいまも癒えていない。
一方、中国は90年代初めから本格化した改革・開放政策で日本や香港・台湾の資金やノウハウを導入。道路、鉄道などの産業基盤整備や安価な労働力を生かした輸出をバネに、世界第2の経済大国となった。
しかしここへきて労働人口が減り始め、労賃や人民元高が重なり輸出競争力が弱ってきた。先月の輸出は前年同月比3%減り、多国籍企業の東南アジア諸国などへの工場移転も活発化している。
20年間の2桁成長を背景に、北京や上海など大都市の不動産はニューヨークや東京なみに高騰したが、最近は取引面積が減り始めるなど陰りがみられる。
鉄鋼などの重化学工業は過剰生産が常態化。地方政府は成長維持のため採算の怪しい公共事業を続けているが、数年がかりの長期プロジェクトに「影の銀行」を通じた高利の短期資金を多用しているから、危ないこと限りない。
米ゴールドマン・サックスが最大手国有銀行、中国工商銀行の全持ち株を売却するなど、欧米金融機関の“中国離れ”も目につき始めた。
米国がリーマン・ショック以来の量的金融緩和策の出口を探る中、中国に流入していた投機資金が海外に還流する動きも見られる。欧米ヘッジファンドが香港の株式市場などを通じて中国株の空売りを仕掛ける動きも活発化しつつある。
仮に中国からの資金流出が本格化して、膨れあがった不動産バブルが崩壊する事態が起きれば、日本のバブル崩壊を上回る衝撃と混乱を内外にもたらす恐れもある。国際社会は中国発の世界金融危機への備えを検討すべき時かもしれない。
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