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2013/7/12 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
「消費者心理上向き 賃金底入れの兆し」とか「在庫減 好景気の兆し 企業 需要見込み増産へ」などの新聞記事
黒田日銀が、きのう(11日)の金融政策決定会合で、景気の現状判断を「ゆるやかに回復しつつある」に引き上げた。「回復」の表現が復活したのは、大震災前の2011年1月以来、2年半ぶり。
日銀は前回の会合でも景気判断を「持ち直している」に上方修正したばかりで、判断の引き上げは実に7カ月連続だ。
要するに「安倍政権の発足以来、景気はずっと上向いている」ということだが、自民党を参院選で勝たせるための怪しいPRと言うしかない。
日銀OBで大阪商大教授の佐和良作氏は「中央銀行の中立性を自ら毀損する自滅行為だ」と、こう言った。
「何を根拠にしての〈回復〉なのか。あらゆる世論調査でも、7割以上の人が〈景気回復を実感できない〉と答えています。6月の日銀短観でも景気が上向いているのは一握りの大企業だけ。中小企業の景況感は軒並みマイナス圏に張り付いたままです。仮に景気が回復しつつあっても、中立性を重んじれば国政選挙の最中に発表すべきではない。今や黒田日銀は安倍政権と一蓮托生。このタイミングでの景気回復判断は、安倍自民党に対する選挙支援以外の何モノでもありません」
内閣府が10日に発表した6月の「消費動向調査」でも、消費者の意識を示す消費者態度指数は前月比1・4ポイント減の44・3となり、6カ月ぶりに前月を下回った。
同じく内閣府の6月の景気ウオッチャー調査でも、景況感を示す現状判断指数は53・0と前月比2・7ポイント減。3カ月連続の下落である。調査結果からは「売り上げで(円安による)材料の値上げ分を十分吸収できるかは疑問」(中国地方の電気機械器具製造業)など、円安による原材料費の上昇を懸念する声が目立った。
◆選挙を後方支援するメディアの空騒ぎ
一部の大企業を除いて「どこで景気が回復?」が国民の実感なのだが、最近の大マスコミ報道も、景気の良い話題を振りまいている。「実用品少しぜいたく 消費者心理上向き」「賃金底入れの兆し」「在庫減 好景気の兆し」といった調子で、黒田日銀を援護射撃、安倍・自民党を後押ししている。こりゃあ、安倍はゴキゲンだろう。
「〈百貨店で高級品が売れている〉という報道も目につきますが、メディアに〈高級品が売れていますか?〉と聞かれれば、〈その傾向は出ています〉と答えるのが、商売人の心得でしょう。まさか〈売れてません〉とは言わない。そうやってお客の消費意欲を駆り立てた方が、モノは売れますからね。大新聞・TVの報道は景気の実感からはかけ離れています」(経済評論家・広瀬嘉夫氏)
日銀と大メディアがタッグを組んだ景気回復キャンペーンの空騒ぎ。これで誰が一番喜んでいるかといえば、参院選を戦っている安倍なのだ。
◆日銀の金庫内を行き来するだけの緩和マネー
街頭演説で安倍は二言目には、アベノミクスの成果を強調している。庶民に景気回復の実感はないが、何となく「株も上がっているし、そうなんだろうな……」と思ってしまう。
しかし、この株高だって怪しいものだ。アベノミクスの金融緩和で株が上がったのかというと、京大名誉教授の伊東光晴氏(経済学)は「世界」8月号で、「安倍・黒田氏は何もしていない」と書いている。
どういうことかというと、日本の株式市場は、1日に凄まじい回数で売買を繰り返す海外投資ファンドに完全に牛耳られていて、彼らのサジ加減ひとつで、株価は大きく変動してしまう。この海外勢はアベノミクスのはるか前から、日本株に狙いをつけていたという。要するに、野田政権が続いていたって、株は上がったということだ。
実際、海外投資家は昨年9月まで日本株を売り越していたが、昨年10月から一転、買い越しに転じた。野田の唐突な解散宣言は11月14日。したがって、安倍政権の誕生ムードが高まる前から株価上昇の動きは始まっていたのだ。
「確かに昨年の6月ごろには海外の投資ファンドがアジア株、とりわけ割安の日本株に向かうとの予想が出ていました。理由は明快で、昨年前半にはアメリカやヨーロッパの株価がリーマン・ショック以前の水準に戻していたから。欧米株は『もはや買ってもうまみはない』と見切りをつけたのです。つまり、黙っていても海外勢は日本市場に押し寄せてきた。異次元緩和が実施された直後に、海外ファンドは日本株を売り抜けてボロ儲けしたわけです」(広瀬嘉夫氏=前出)
円安も似たようなものだ。伊東氏は、財務省が2011年8月以降に実施した先物市場を通じた複雑な為替介入が円安の要因と書いている。そのうえで、〈政権が民主党であろうと自由民主党であろうと生じた経済を、安倍政権の政策の帰結とする愚かさから、我々は解放されなければならない〉と断じた。
さあ、安倍は何と言うか。安倍は参院選の応援演説で必ず「民主党政権が3年かけてできなかったことを、私たちはこの半年間でやり遂げることができた」と胸を張っている。これぞ、我田引水なのである。
◆安倍自民勝利は経済危機の始まり
その証拠に、黒田日銀がマネーの供給量をジャブジャブに膨らませたところで、そのマネーは設備投資に回り、経済を拡大させているわけではない。
今年4月末の貨幣供給量は昨年同期比26%のプラス。32兆円も増加したが、その大部分は日銀の金庫に眠ったままである。
日銀は各銀行が所有する国債を買い取って、マネーの供給量を増やす。その代金は各銀行が銀行間の決済のため、日銀に開設した無利息の当座預金に払い込まれる。この全銀行分の「当座預金勘定」は、この1年間でトータル約30兆円増加した。貨幣供給量の増加分とほぼ一致している。
つまり、いくら日銀がマネーの供給量を増やしても、日銀の金庫内で移動しただけ。そのマネーが企業に回り、生きたカネになったわけではないのである。これじゃあ、いつまでたっても景気が回復するわけがない。それどころか、異次元緩和のリスクだけがのしかかってくることになる。
多くの専門家が散々指摘してきた通り、金融緩和は景気対策にならないのだ。投資対象がなければ、いくらマネーを増やしてもムダなのである。
「恐ろしいのは、アベクロコンビの間違った金融政策に『待った』をかける勢力が存在しないことです。自民党内で反安倍派が現れる機運は皆無だし、肝心の野党はだらしない。日銀の政策委員も全員一致で異次元緩和を継続です。白川体制からの委員もいるのに、政策が百八十度変わってもお構いなし。日和見主義というか、イエスマンの集まりだから困ったものです。これでは効果は薄く、リスクの高い異常な緩和策が、ひたすら推し進められてしまう。IMFが『アベノミクスは新たなリスク』と名指しで批判したように、国家予算の3倍規模の金融緩和は本来、狂気の沙汰ですよ。それでも安倍自民党が参院選で勝利すれば、行き着くところまで行きかねません」(佐和良作氏=前出)
日銀や大マスコミの怪しい情報をうのみにしていたら、この国の経済はとんでもない方向に突き進んでしまう。安倍自民党を選挙に勝たせれば、いよいよ危機が顕在化することになる。
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