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中日経済共同体は東アジア共同体の先決条件
日本の鳩山由紀夫元首相は6月29日の第3回世界シンクタンクサミットで「余生を東アジア共同体実現の事業に捧げる」と発言して人々を驚かせた。中国経済週刊が伝えた。
中国と日本という世界第2、世界第3の経済大国を擁する東アジアの統合過程は、EUと比べると依然足元がおぼつかないようだ。
中日韓はアジア経済の柱であると同時に、世界的にも重要な経済体だ。2012年に中日韓のGDPは合計15兆ドルに達し、アジアの70%、世界の5分の1を占めた。中日韓は世界の貿易大国でもあり、2012年に中日韓の輸出総額は3兆4000億ドルに達し、世界貿易の19%を占めた。
地域の一体化と経済のグローバル化は現在の世界の発展における2大潮流であり、APECからG20まで、協議による合意と共同行動が各国が危機に対処し、溝を解消するための主要選択肢となっている。特に2008年の世界金融危機以降、中日韓はすでに自分たちが経済貿易関係によって緊密に結びついており、より効果的な意思疎通の方法を持つ必要があり、頻繁な経済変動を前に自国のことのみを考えるのは困難であるとの認識を深めている。
喜ばしいことに、ASEANプラス3首脳会議、中日韓首脳会議などの意思疎通の枠組みの推進に伴い、中日韓自由貿易協定(FTA)の初交渉が今年3月に行なわれた。第2回交渉も7月31日から8月2日まで上海で行なわれる。東アジア共同体という経済共同体を確立する構想は、一歩一歩現実になりつつある。
日本総合研究所の湯元健治副理事長は単独インタビューに応じた際、真の東アジア共同体は中日韓、ASEAN10カ国、インド、ニュージーランド、オーストラリアなどを含むべきであり、その建設にはこうした国々の共同努力が欠かせないと率直に語った。「この共同体の建設の鍵は依然中日両国にある。ひとたび中日両国が相互信頼の経済共同体を確立することができれば、東アジア共同体もすぐに確立できる」。
東アジア共同体構想には長い歴史がある。アジア通貨危機に対処するため、1997年にまずASEANが中日韓首脳との対話メカニズムを始動した。そして2002年のASEANプラス3(中日韓)首脳会議で、各国は東アジア共同体構想を初めて打ち出した。この構想ではEUモデルにならい、まず東アジア地域に自由貿易圏を築き、さらにアジア通貨単位を創設して、経済統合を徐々に実現する。
この構想は鳩山氏が日本の首相だった2009年に、一度は大変もてはやされた。今回のシンクタンクサミットでも鳩山氏は「ASEAN、中国、日本、韓国などの国や地域が東アジア共同体の中核を構成する。私の構想する東アジア共同体は閉鎖的な共同体ではなく、開かれた、柔軟な枠組みで、東アジア各国が参加できる」と重ねて表明した。
だが安倍政権発足後、日本はTPP(環太平洋パートナーシップ協定)交渉の推進に拍車をかけることをより望んでいるようだ。また、アベノミクスによる大胆な量的緩和は、日本は災いを他国に押し付ける対外経済政策を選択したのではないかとの懸念を多くの貿易パートナーに抱かせている。
これについて湯元氏は「実はアベノミクスの第3の政策、つまり成長政策は、中国や韓国などアジア各国との自由貿易圏、東アジア地域内の経済協力を推進するものでもある。こうした戦略は日本だけでなく、アジア各国にも利益をもたらすからだ。そしてこのような発展目標を達成するには、東アジア共同体の確立が必須だ」と指摘する。
ASEANはすでに自由貿易圏をほぼ確立した。2015年にはASEAN共同体も成立する見通しだ。ASEANという模範を得れば、中日韓は東アジア共同体構想をさらに推し進めることができるかもしれない。
湯元氏は「東アジア共同体は一歩一歩完成する必要がある。TPPとは全く異なる枠組みだからだ。TPPは各国が協議を経て合意しさえすれば調印し、加入できる。だが東アジア共同体は自由貿易圏、各国の関税同盟、さらには統一通貨など複数のステップが完了した後、ようやく確立が可能になる。日本はまず自らの決意と姿勢を表明しなければならない。中国も日本との意思疎通を一段と強化する必要がある。このような共同体の確立にとっては、中日間の良好な意思疎通が非常に重要だ。両国政府はこうした経済共同体の確立に向けて努力することが間違いなくできると私は考える」と強調する。
■湯元氏「中日間の政冷経熱現象は変えなければならない」
記者:東アジア共同体の確立にはおよそどれほどの時間が必要と見ているか。
湯元氏:理論的にはこうした経済共同体の確立は実現可能だが、政治的にはまだ多くの障害に直面しうる。やはり長い時間をかけて、ようやく確立が可能になる。この過程において最大の試練は、中日関係がいくらか進展しなければならないことだ。まず中日が経済共同体を確立しなければ、東アジア共同体は確立できないからだ。
最近中日はずっと「政冷経熱」の状態にある。こうした状況は変えなければならない。日本の国家発展の最良の道は中国と良好な関係、良好な意思疎通を維持することだ。良好な関係を共に築いて初めて、両国は良く発展することができる。
日本は炭素排出、エネルギー、インフラ整備など中国の多くのプロジェクトに参加できる。こうした分野で日本企業は優れた技術と製品を持つ。こうした投資分野で両国企業は良い協力ができると私は信じている。
記者:最近アベノミクスによって日本の景気は回復している。一方、アベノミクスは東アジア諸国に通貨戦争などマイナスの作用を及ぼすとの指摘もある。アベノミクスをどう見るか。
湯元氏:アベノミクスは主に大胆な金融政策、機動的な財政政策、成長戦略の3大政策からなり、これは3本の矢とも呼ばれる。このうち最も注目されるのは大胆な金融政策、QQE、すなわち量的・質的金融緩和だ。この緩和政策は投資家心理を大幅に改善し、日本の株式市場を再度急上昇させた。
量的緩和は円安をもたらしたが、私はこれが通貨安を競い合う通貨戦争をもたらすことはないと考える。円安は2大効果をもたらす。1つはprice effectで、日本の輸出を増加させ、日本経済の成長を促す。もう1つはborrowing effectだ。中国、韓国など日本の産業と構成するサプライチェーン上の国々は円安によって利益がある。日本からプラントを輸入する際に支払う価格が低くなるからだ。
したがって、私はみなさんはアベノミクスを大きく誤解していると思う。実は急速すぎる円安は日本経済にとってかえってマイナスだ。私の計算では、円安が25%進むと、日本の輸入総額は5兆円増加する。日本は国債残高、貿易赤字ともに大きいため、ひとたび円安になれば、債務の返済と貿易赤字の補填により多くの円を支払うことが必要となる。この支出は確かに大きい。
だが私はアベノミクスで最も重要なのは第3の矢、つまり成長戦略だと考える。日本経済の直面する試練は過去数十年間直面してきたデフレだけではなく、高齢化や労働力の減少といった問題もある。アベノミクスは日本経済の直面するこうした問題に向き合い、解決しなければならない。このため成長戦略が非常に重要となってくる。そしてこの成長戦略は日本と中国、韓国などアジア諸国との自由貿易圏、東アジア地域内の経済協力も後押しするだろう。
記者:このところの中国経済の減速をどう見るか。
湯元氏:これまで多くの人は中国の経済成長は8%以上を維持するはずだと考えていた。だがこうした成長速度は調整の時期を迎えた。現在中国は非常に厳しい試練に直面している。まず中所得国の罠を回避しなければならない。これには年金、医療システムなど国内体制・制度の改革が不可欠だ。
過去10年間、民営企業の発展は中国経済の成長を大変後押しした。したがって、続いて国有企業改革を行なうと同時に、引き続き民営企業の発展を支援すべきだ。(編集NA)
「人民網日本語版」2013年7月12日
http://j.people.com.cn/94476/8323042.html
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