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2013/7/11 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
株価は乱高下を繰り返し儲けているのは外国人ファンドだけ、日本人個人投資家は損をし景気も全く回復する気配もない
序盤から自民党の圧勝ムードが漂う参院選。安倍首相が応援演説で必ず言うセリフがある。
「この夏、64社のボーナスは7%も増えます」
「私たちの政策で、GDP成長率はマイナスからプラスになりました」
「民主党政権が3年かけてできなかったことを、私たちはこの半年間でやり遂げることができた」
アベノミクスの「成果」を自画自賛しているのだが、経済の専門家は冷ややかな目で見ている。
「憲法改正やTPP、原発政策などを選挙の争点にしたくないから、経済政策の成果を前面に出すしかないのでしょうが、ボーナスが増えたのは一部の大企業だけ。金融緩和でおカネをバラまいても、一般国民のところまでは回って来ていない。アベノミクスの3本の矢のうち、最も重要な成長戦略の中身もヒドかったし、実体経済が良くなる材料は見当たりません」(経済ジャーナリスト・荻原博子氏)
それなのに、日銀は10日からの金融政策決定会合で、国内の景気判断を引き上げる見通しだ。前回の会合で、景気判断を「持ち直している」に上方修正したばかりだが、今回の会合で、もう一段引き上げるのだ。
「国内需要は極めて順調で、政策効果が出ている」と言うのだが、「どこが?」と言いたくなる。庶民にはまったく実感がないからだ。黒田総裁は就任以来、中央銀行の魂を捨てて、安倍の“ポチ”になっているが、それにしたって、あまりに露骨な“選挙応援”だ。
◆安倍政権で給料はますます下がる
内閣府が8日に発表した6月の景気ウオッチャー調査では、景況感を示す現状判断指数は前月より2・7ポイント低い53・0だった。3カ月連続の下落である。街角の「実感」はこうなのだ。円安による輸入インフレや株価の乱高下などが景況感を悪化させたわけで、賃金が上がる前に不安だけがどんどん膨らんでいるのだから、当たり前の反応だ。5月の毎月勤労統計調査を見ても、所定内給与は12カ月連続で減少している。
「つまり、たとえ、企業は儲かっても、給料を上げないのです。それどころか、安倍政権は大企業が固定費削減のために求めている限定社員の導入や解雇の規制緩和法案を進めようと議論している。サラリーマンの給料は今後、ますます下がると思った方がいい。大部分の人は今より貧しくなり、ほんのわずかな一握りの人だけが役員報酬や株式配当で大金を得る。参院選後は3年間、選挙はないでしょうから、その間に格差はどんどん広がっていくでしょう。アベノミクスで株価が上がったといっても、結局、乱高下を繰り返すだけのギャンブル相場。儲けているのは、乱高下のたびに儲かる海外投資家や一部のお金持ちだけで、フツーの庶民にはまったく関係ありません」(荻原博子氏=前出)
株が上がろうが下がろうが、相場が動きさえすれば儲かるのが、大資本の海外ファンドだ。後から追っかけてババを掴まされている個人投資家はいい面の皮である。
◆バブルに浮かれているのは政権と大マスコミだけ
もっとも、いまの内閣支持率を見ていると、多くの人が「株が上がってるんだからいいじゃないか」「少なくとも民主党政権よりはマシだろ」と、こんなふうに感じているのだろう。で、今度の参院選も与党が余裕の戦いなのだが、その裏では、アベノミクスの危険性を指摘する本が山のように出版され、売れているという事実もある。
「虚構のアベノミクス――株価は上がったが、給料は上がらない」(野口悠紀雄)、「『アベノミクス』の真相」(浜矩子)、「金融緩和の罠」(萱野稔人・編集)、「TPP――黒い条約」(中野剛志ほか)などだ。緊急出版されたものも多く、多くの専門家が異次元緩和とTPP参加という亡国経済政策に強い危機感を抱いている証拠だ。
中でも、ベストセラーとなった「リフレはヤバい」の著者で慶大大学院准教授の小幡績氏が最新刊「ハイブリッド・バブル」の前文で明かした心情は切実だ。黒田日銀が異次元緩和を決定した4月4日、小幡氏は学会で、安倍ブレーンの浜田宏一エール大名誉教授とリフレ政策について議論していた。その最中に、日銀の発表内容を知った瞬間の心境をこう書いている。
〈もはや、リフレ派と戦っている場合ではなかった。……頭の中は国債のことでいっぱいになり、パネルディスカッションの最中も、聴衆はおろか浜田氏も目に入らず、演壇の上で頭をかきむしりながら、国債市場の今後のことを考えていた。いよいよ、バブルは崩壊する。……あのときの演壇から見た景色と感覚を一生忘れないだろう。洪水が押し寄せているのに気づかないまま、人びとが雨を降らせるにはどうしたらいいか議論しているような光景を。……早く、書き終えなくては。間に合わない〉
これがまともな専門家の“感覚”なのである。それほど、アベノミクスはヤバイのだ。
◆IMFも「アベノミクスはヤバイ」と指南
実際、異次元緩和の発表と同時に金利は急上昇(国債は下落)。日銀の買い占めで債券市場はガタガタになってしまった。国家予算の3倍規模の金融緩和なんて例がない。普通の知識があれば、「おかしい」と思う。そういう人が本を買う。
これは本当に異様で異常な光景だ。政権と大マスコミはバブルに浮かれているが、庶民が懐疑的なのである。しかし、組織票が幅を利かす参院選では、マトモな彼らが過半数を占めるまでにはいかないから、選挙では負けてしまう。投票率は下がり、ますます、組織票の与党が有利になる。
これが日本の現状なのだが、その結果、自公が圧勝したら、この国はどうなるか。アベノミクスに信任を与えたことになって量的緩和はエスカレート、ますますバブルが膨らんでいく。
IMFのブランシャール調査局長は9日、「アベノミクス」は世界経済の「新たなリスクだ」と初めて明言した。「中国の金融システム不安や成長の鈍化」に次ぐリスクだとハッキリ指摘したのである。
経済アナリストの菊池英博氏もこう言う。
「IMFの警告は当然で、アベノミクスの失敗はもう明らかなんですよ。世界から見たら、2年間で日銀の当座を47兆円から175兆円に増やす異次元緩和なんて狂気の沙汰です。このまま安倍政権が続けば、日本経済はとんでもないリスクを抱えてしまう。人工的な資産バブルの行き着く先は、バブル崩壊と国債の暴落です。ひとたび日本売りが始まれば、止める手立てはありません。日本株も大暴落、トリプル安が加速度的に進み、企業の倒産や個人のローン破産が続出する。円安による影響も深刻です。不況下でスタグフレーションに襲われたら、庶民生活はお手上げです」
こんどの参院選は、この国の未来にとって大きな岐路になる。今の世論調査のままでは、待っているのは暗黒だ。
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