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2013年07月10日 WEDGE 岡崎研究所
6月9日付米New York Times紙で、ノーベル経済学賞受賞者のJoseph E. Stiglitz米コロンビア大学教授が、日本経済は、停滞の同義語のように扱われて来たが、アベノミクス以前からしっかりした経済だった、と日本経済見直し論を述べています。
すなわち、日本経済は長く日本病と呼ばれていたが、今や日本が世界をリードしている。若干の株式の変動などは無関係である。アベノミクスは正しい方向に向かって大きく一歩を踏み出している。
なぜ日本で事態が好転したかを知るためには、アベノミクスだけでなく、日本的停滞と言う一方的な見方を見直す必要がある。
日本の成長は、2000年から2011年まで、0.78%の成長であり、米国の1.8%より確かに低いし、1989年以前とは比べものにならない。しかし、アベノミクスを待たなくても、労働力の増加率との比較では日本の成長率は、独、英、豪より高い。
貧富の差を表すジニ係数では、日本の方がアメリカより良い。それには政策的要素がかかわっている。日本は、0.33で、アメリカの0.38より良いが、税や所得移転を差し引くと、0.488と0.499であまり変わらない。
日本はたしかに高齢化の問題を抱えている。日本の老人の貧困率は、アメリカと共に、OECDの平均より高い。他方、子供たちの貧困率は、アメリカの23.1%に対して14.9%である。
そして日本は長寿国でもあり、また、大学進学率は世界第二位でアメリカを遥かに引き離している。失業率も、日本は不況にもかかわらず低く抑えて来た。
「三つの矢」で、安倍政権は、アメリカがとっくにやっていなければならないことをやっている。
日本の構造改革の中には、女性、高齢者、移民の雇用増大が含まれようが、これはアメリカの方が進んでいる分野であり、特に女性の雇用は日本が改善すべき分野である。
二本目の矢である財政改善については、日本政府の借金は大きいが、借金が低成長の原因でなく、低成長が借金の原因であることを認識すべきである。
三番目の金融政策については、デフレの克服のためと理解しているが、そもそも、金融政策の効果は限定的である。為替の切り下げ競争となることに対しては、国際的調整が必要であろう。
さて、アメリカはアベノミクスのようなことが出来るだろうか。要はそのような総合的政策を打ち出せるかどうかであるが、アメリカでは政争が足を引っ張っている。要は、高成長と平等さを達成することにある。
過去の日本を失敗として見る人は、経済の成功というものを狭い視野で見ている。所得の平等化、長寿、失業率の低さ、優れた児童教育保健、そして労働力の量と比較しての生産性の高さなどは、米国より進んでいる。もしアベノミクスの成功が期待の半ばでしかないとしても、日本は多々米国に教えるところがある、と述べています。
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経済学の大御所による、目先の現象に捉われない、長期的総合的な観点からの、日本についての、積極的評価です。
アベノミクスについては、個々の政策というよりも、アメリカのように政争にとらわれず、総合的な政策を打ち出したことを評価する一方、過去の停滞の時期においても日本は優れた実績を残していると言って、全体として、日本経済を再評価しています。
確かに、20年余りの停滞の中にあっても、日本は世界に誇れる安定した豊かな社会を維持して来ました。それははからずも東日本大震災で世界の注目を引くことになりましたが、世界でも稀な、平等で、信頼関係の高い社会であることを示しました。
アベノミクスに世界が瞠目するにつれて、過去に日本が達成した成熟社会が見直されていると言って良いでしょう。
岡崎研究所
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