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「アベノミクス」による円安効果について、筆者は懐疑的な姿勢を持ち続けている。その理由の一つは、日本から海外への資本フローが日本の経常黒字を相殺できる規模に達しておらず、結果として潜在的な円買い圧力が高止まりしているからである。
財務省が8日発表した6月の対外及び対内証券売買契約等の状況(指定報告機関ベース)によると、いわゆる日本人投資家による対外債券(中長期債)投資は約3兆円の処分超と2005年1月の統計開始以来、過去最高の売り越しとなった。日本人投資家による対外債権の売り越しは、ドル円が90円台に上昇した今年2月から5カ月連続となっており、今年上期の売り越し額は10.6兆円に達している。
一方、外国人投資家による対内株式投資は昨年10月から買い越しが続いている。6月は7648億円の買い越しと4カ月ぶりに買い越し額が1兆円を割り込んだものの、今年上期の買い越し額は8.8兆円に達した。
証券投資に加え直接投資、貸付なども含めた資本収支をみても、5月はネットで9000億円が海外から日本に流入。海外への直接投資や貸付は日本から流出超となっているものの、証券投資による日本への流入分を相殺できていない。今年上期で見ても資本収支は1.2兆円の黒字(資本流入超)である。
日本は11年3月の東日本大震災以降、貿易収支が赤字基調で推移しているが、経常収支は依然として黒字を維持。今後は輸出の持ち直しを背景に貿易赤字が縮小する一方で、所得収支は円安効果もあって高水準での推移が見込まれることから、日本の経常黒字は緩やかながら拡大を続けると予想される。
マクロ経済学では、外貨準備が変化しない限り、経常収支と資本収支の合計はゼロ。つまり経常黒字国である日本の場合、資本収支は赤字基調であるはずだ。しかし現実には日本の資本収支は経常黒字を相殺すべく赤字(資本流出超)であるどころか黒字(資本流入超)。今後、経常黒字がさらに拡大するようだと、日本への資本流入が拡大し、円買い圧力は強まることになる。
<ドル円上昇期待の根拠薄弱> 続く...
http://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/idJPTYE96805Y20130709
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