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尖閣諸島問題で日本を非難している間にも、中国政府は密かに日本株を買い進めていた〔PHOTO〕gettyimages
最新データをスクープ入手 中国政府が「買っていた」日本株「売っていた」日本株 驚きの有名企業30社
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/36358
2013年07月09日(火) 週刊現代 :現代ビジネス
中国政府の日本株買いが止まらない。上位10名の大株主に名を連ねる日本企業だけで174社を数え、保有時価総額4兆円超! もはやハゲタカファンドより恐ろしいドラゴンファンドの真相に迫った。
■狙われたら最後
「今年3月末現在の中国政府系ファンドの保有銘柄は、日本の上場企業の大株主(上位10名)だけで、174社に上ります。昨年9月末に較べて、全体では6社減少しましたが、保有する株式の時価総額は38%も増えて、4兆2447億円にも上るのです」
こう明かすのは、中国政府の投資動向を長年ウォッチしているちばぎん証券顧問の安藤富士男氏だ。
中国政府系ファンドとは、'07年9月に、当時の温家宝首相の肝入りで設立された国策投資会社の中国投資有限責任公司(CIC)のことである。CICは'11年末の時点で、4821億6700万ドル(約47兆円)もの国家資産を運用している。単純計算すれば、全運用額の9%を日本株に投資していることになる。
CICは昨年6月時点で405名の職員を擁している。そのうち博士号取得者が334名を数える。長くCEOを務めていた楼継偉は、この3月、習近平主席によって新財政部長(財政相)に抜擢された。
そのCICが、「SSBT OD05…」と「SSBC OMINIBUS OM04…」の名義を用いて日本株を取り引きしているのだ。どちらも所在地は、豪州シドニーの同一住所であり、様々な経緯からCICの出資が明らかになっている。
本誌は安藤氏の協力を得て、昨年9月時のCICから180社への投資状況と、今年3月時の174社への投資状況を、詳細に比較した。
まず、業種別でみると、銀行・証券・保険など、広義の金融が18%でトップである。半年前と比較して1ポイントのアップだ。
2位は、3ポイントアップの16%を占める自動車・自動車部品。3位は1ポイントアップの14%を占める電機・精密機械である。この3業種で、全体の株式保有額の、ほぼ半数を占めている。
以下、医薬品、建設・不動産、情報・通信、機械、総合商社、運輸と続く。
また、今回特徴的な傾向は、CICが、半年間で多数の企業の保有株数を減らしていることだ。そして174社中、保有株数を増やしたのは、22社に過ぎない。その他は5社が保有株数に変化がなく、残り147社分が保有株数を減らしたか、大株主から姿を消して、保有株数を確認できなくなっている。
この間、日経平均株価は39・8%も上昇しているので、CICは、日本株の売買によって、売却益を得ていることが想像できるのである。前出の安藤氏は、次のように指摘する。
「昨年の3月期までは、ほぼすべての業種のトップ企業に目をつけ、それらの株を積極的に買っていました。その後、日本の株価がさらに低迷していったため、業種ごとに銘柄の選別を始めたのです。それが今年3月期は、アベノミクスによって半年で日経平均が約4割も高騰したことを受けて、それなりに益出しを行ったわけです」
つまり、短期で激しく売り買いして利益を追求する欧米のハゲタカファンドとは違って、選別した銘柄を長期間保有しているのだ。
■中国の狙いはひとつ
CICは、すでに日本経済の中心部に浸透している。例えば、日本の3大メガバンクへの投資状況を見ると、三菱東京UFJ銀行(保有する株式時価総額558億円)とみずほ銀行(同199億円)が3位、三井住友銀行(同3775億円)が4位となっている。電機も同様で、日立(同677億円)とNEC(同196億円)が3位、ソニー(同374億円)が5位、パナソニック(同398億円)、東芝(同428億円)、富士通(同165億円)が6位である。
CICは、これだけ日本株を買い漁っていながら、いまのところ経営には一切口を挟んでいない。それどころか、この6月に一斉に開かれた株主総会にすら出席していない。
「沈黙する大株主」であるCICの狙いは一体何なのか。さらに詳しく見ていくと、彼らの目論見が見えてくる。CICが「狙っている日本株」と「見捨てた日本株」の傾向が、より顕著になっているのだ。
まず、半年間で保有株数を増やした22社のうち、増加率が高かった15社を並べたのが、下の表である。
中国に狙われた15社
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半年間で保有株数を4割以上も増やした第1位の新日鐵住金と第2位の日揮は、それぞれ中国の産業の高度化とエネルギー資源獲得にとって、極めて有用なノウハウや技術を持っている。周知のように中国は現在、大気汚染問題に悩まされているが、日揮は大気汚染防止の高度な技術も持っている。
3位の中外製薬は、鳥インフルエンザの特効薬「タミフル」を製造している。4位のキーエンスの持つ機器の技術は、いまの中国に最も欠ける部分だ。5位の野村不動産のマンション管理のノウハウも、全土でマンションブームに沸く中国で、必須と言える。
6位のウシオ電機は、世界最先端の光技術に加えて、安倍首相の縁戚企業ということも大きいだろう。7位の川崎重工は、中国全土に「和諧号」(中国版新幹線)の敷設を急ピッチで進めている中国にとって、最重要企業の一つである。
8位のNECは、すでに中国最大のパソコンメーカー「レノボ」がパソコン部門を一昨年に事実上買収済みである。ちなみにレノボは、中国の有力民営企業という触れ込みだが、その出身母体も筆頭株主も中国国務院(中央官庁)の傘下機関の中国科学院であり、中国政府系企業と言える。そのような企業が日本最大のパソコンメーカーの一部を買収し、しかも第3位の大株主として君臨しているのである。
以下、詳細は表中に記したが、いずれも中国が「喉から手が出るほど欲しい技術」を有している日本企業である。
その他、前回まで大株主に名を連ねていなかったため、増加率の上位15社には出せなかったが、富士重工株の大量保有も、注目に値する。今回いきなり全体の1・71%の株式を保有する第5位の大株主として登場したのだ。
富士重工は、自動車メーカーと見られがちだが、実は航空宇宙カンパニーとして、世界で大きな評価を受けている。日本版スペースシャトルである『HOPE』の完全自動着陸実験に成功しているからだ。中国はこの6月26日に、美人宇宙飛行士を乗せた「神舟10号」が、15日間の宇宙飛行を経て帰還したばかりで、全国民がその成功に沸いている。2020年頃には宇宙ステーションを建設予定で、それには富士重工の先端技術が大変貴重なのである。
■用済みになったら切り捨てる
中国に見捨てられた15社
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CICがこの半年で保有株数を減らした日本株を見ていこう。それはつまり、「中国が見捨てた企業」と言える。
こちらの企業には、3つの傾向がある。
第一に、中国がすでにそれらの企業が保有する技術やノウハウを習得しているということである。
たとえば、1位のヒラノテクシードの技術は、高精度の薄膜塗工だが、この技術を中国はすでに取得済みである。2位のショーワのパワステ技術も同様だ。
5位の双日は、航空機分野に強みを持つ。だが、いまや年間8300万人も海外旅行に出る中国では、中国国際航空、東方航空、南方航空の3大航空会社が台頭しており、日本の助けは必要としていない。
6位のエスペックの環境試験装置も同様である。
第二の傾向は、中国国内で過剰生産や過剰供給が起こっている分野である。
3位の三菱マテリアルは、セメントや銅など、まさに中国が生産過剰に陥っている業界の代表格だ。4位の日本製紙も同様で、急速に印刷物の電子化が進む中国では、製紙業は生産過剰の状態が続いている。14位の大林組のノウハウも同様だ。
第三の傾向は、その日本企業の事情により、株式を保有するメリットが薄れたと判断したケースである。
7位のヤフーは、中国は6億人という世界最大のインターネット大国なので、大変重要な分野だが、グーグルと比較すると企業価値は落ちていると判断したのだろう。'10年には、ヤフージャパンのオーナーである孫正義ソフトバンク社長と中国最大のネットショップ「アリババ」の馬雲総裁が日中提携を結んだが、馬総裁は今春、ビジネス界から引退してしまった。
10位のオリエンタルランドは、東京ディズニーリゾートを運営しているが、日本の少子化傾向や、'15年に上海ディズニーランドの開園を控えていることから、売りに出たのだろう。
9位の大成建設、11位の東急電鉄、12位の日本マクドナルド、13位の住友鋼管などは、まさに企業内部の経営方針が変わるなどして、それが中国政府に嫌われたということだろう。
また、表には記載していないが、上位10社までの大株主から姿を消し、保有株数が確認できなくなった日本の上場企業が、計14社ある。具体的には、大東建託、アコーディア・ゴルフ、セリア、ITホールディングス、昭和電工、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、ポーラ・オルビスホールディングス、東洋製罐、横河電機、浜松ホトニクス、T&Dホールディングスなどである。
これら「完全に見捨てられた日本企業」も、前述の3つのタイプのいずれかである。
たとえば、大東建託は、賃貸住宅事業が主力だが、中国が今後目指すのは、日本の有力不動産物件の取得であって、賃貸による借り入れではない。また、セリアは100円ショップで業界2位の会社だが、輸出製品の高付加価値化を目指す中国政府の政策とは逆行するので、株式を長期保有する価値はないとみなしたものと推定される。
同様に、クレジットカードの管理システムを提供しているITホールディングスは、中国はすでにVISAを凌駕する規模の銀聯カードの管理システムを構築しているため、不要と判断したのだろう。
さて、こうした中国政府系ファンドによる日本株の買収攻勢に対して、買われる日本企業としての対処法も重要になってくる。
中国政府系ファンドは、いまのところハゲタカファンドと違って、「モノを言う」ことはない。だが、いずれドラゴンファンドとなって「モノを言い出す」ことも、当然ながら考えられる。こうした事態に備えた中国対策も、日本企業に求められているのである。
「週刊現代」2013年7月13日号より
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