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福助のおことわり。
5月のものであり、少し前のものですがよく纏まった有意義なものなので投稿しました。
http://ww5.tiki.ne.jp/~people-hs/data/5785-4.html
『人民の星』 5785号4面 2013年5月11日付
売国破滅の道を糾弾する知識人 アベノミクス批判の論調から
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知識人のなかでアベノミクス批判の論調が高まっている。論議の広がりのなかで、アベノミクスは日本経済の危機を深め破滅の道にむかわせるものだという指摘とともに、アベノミクスはアメリカ直輸入の異常な政策であり、アメリカだけを利する売国の政策であることが指摘されている。特徴的な論点をとりあげてみたい。
米国だけが利益うける政策
たとえば民間の経営戦略研究組織のシニアアナリストである益田悦佐氏は、アベノミクスについて日本経済を完全にアメリカ型にしようとしている、と分析し批判している(『デフレ救国論 本当は恐ろしいアベノミクスの正体』徳間書店)。
そこで増田氏は、「インフレ政策や自国通貨を安くする政策を打って実際に恩恵を受けるのは、じつは世界各国のなかで唯一アメリカだけ」と指摘している。世界最大の借金国であるアメリカは「なんとかごまかしてその場をしのいでいくしかないから、躍起になってインフレ政策をうちつづけるわけ」だとえがいている。
そのうえで増田氏は、「日本は世界最大の貸し手国家であるにもかかわらず、借り手国家に得なインフレ政策を採るべきだと主張しているこの国の政治家たち」の異常さを指摘している。また、「アメリカから教示されたとおりに経済を考えればいいと思い込み、なんでもかんでもアメリカに追随したがる日本の経済学者」の異常さを批判している。つまり、安倍政府やアベノミクス支持の経済学者は、日本の優位性を放棄して、しゃにむにアメリカに奉仕する売国的な政策をとっているということである。
論法自体も米国から直輸入
増田氏は、中央銀行がコントロールできるのは発行するお金の量だけであって、発行したお金がどのように流通していくかをコントロールすることはできない、ということを明確にしている。ところがアベノミクスの金融理論では「それはできる」といいはり、「みんなが必ずそうなると信じ込めばできるのだという」論をはっているが、それは「“集団妄想”を掻き立てることができればうまくいくのだという論法」だとあばいている。そしてこのあやしげな論法がじつは、かれらが「信奉してやまないアメリカからの輸入品」であり、「ノーベル賞経済学者のポール・クルーグマン博士という人物」の論法だと、あばいている。
増田氏は「(アメリカという国は)強欲このうえない資本家が成果をむしり取っていくので、労働の取り分が激減しています。……勤労者報酬のGDPに占めるシェアが一九六〇年代の五四%以来、続落している」「こうしたアメリカのような状況へみちびこうとしている人たちとは、いったいどういう頭の構造をしているのか、ほんとうに国民のことを考えているのか」とアベノミクスの売国性を批判している。
増田氏は、竹中平蔵らアベノミクス論者をデマゴーグと断じて、かれらはインフレ政策をうてば製造業の雇用が回復するなどと大ウソをついているとして、「インフレ政策のお膝元であるアメリカでは、いま製造業の就業者数が猛烈な勢いで減っている」実際をしめしている。
国債の日銀引受けの危険性
早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問の野口悠紀夫氏も、アベノミクスの量的緩和策は、国民の財産を没収し、日本の資産をアメリカに「流出」させると指摘し、FRBがおこなっている大規模な金融緩和の効果を分析し、金融機関は回復したが雇用は改善していないこと、大企業の利益は伸びたが賃金所得は伸びていないことをしめしている(『金融緩和で日本は破綻する』ダイヤモンド社)。
野口氏は、安倍政府が実現の保証がないインフレ目標二%をあえてかかげるのは、量的緩和策の真の目的が「日銀による財政赤字のファイナンス(国債の貨幣化)」であり、それをいつまでもつづけるためである、と強調している。というのは、日銀による国債の直接引受をみとめることによって、「政府は、税制改革なしに、そして市場の制約なしに、いくらでも財源を調達できる……国民から見れば法律によらずに財産を没収される手段」だからである、と指摘している。
そして野口氏は、「歴史上、財政赤字が一定限度を超えると、国は例外なくインフレ策をとって、国債残高の実質価値を低下させ……その負担は、国民が負った」と歴史をふりかえって、国債の中央銀行引受禁止は、「こうした歴史の苦い教訓の上に立つ重要な規定なのだ」と指摘し、アベノミクスが国債の日銀引受に道をひらく戦時経済への道であることを示唆(しさ)している。
米国債へ乗換え促進を狙う
また、インフレがおこると「多くの国民はそれからのがれることはできない。しかし、高額資産保有者はできる」ことを問題にしている。つまり銀行や証券会社、生保、運用基金などが、その資産を円建てから外貨建てに移すこと、このプロセスがいっきょにすすむ「資本逃避」がおこる、とえがいている。なお、増田氏もインフレになれば国債の投げ売りがはじまると分析している。
野口氏はここで、「国内のインフレを反映した円安は円の実質価値をさげることにはならないので、輸出は増えない。したがって、円安とインフレの悪循環だけが生じて、日本経済が急速に破壊される恐れがある」と指摘している。
野口氏は、アベノミクスが、国民にインフレをおしつけて徹底的な収奪をすすめること、それは戦争経済とむすびついていること、そして、高額資産保有者は資本逃避することを指摘している。
高額資産保有者とは大銀行であり、証券会社であり、保険会社であり、年金機関である。それが資本逃避するということは、多くの場合は日本国債を売ってアメリカ国債にのりかえることであろう。アベノミクスは、それをねらっているということだ。
過剰生産問題は解決しない
ところで、パリにある米州研究所のエコノミストであるロベール・ボワイエ氏は、「ユーロ危機、アベノミクス、日本の将来」についてインタビューをうけ、つぎのように日本経済の現状とアベノミクスについて分析している(季刊雑誌『環』五三号)。
「クルーグマンは、安倍政権のインフレ・ターゲットを中核とする金融緩和政策を、強く支持しているようです。しかし……現在の日本経済の問題は、たんに人々の期待に働きかけ、インフレーションを煽ればそれでなんとかなるというものではない……過剰生産能力の問題が解決されないかぎり変わらないでしょう」と。国際的にも、日本のアベノミクスの問題点はみぬかれている。
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