03. 2013年7月09日 11:27:55
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夏休みでボーナス消える浪費家計、子どもが変えた 家計再生コンサルタント 横山光昭 2013/7/1 7:00日本経済新聞 電子版 夏のボーナス支給が始まりました。夏休みの帰省やレジャーに、バーゲンセールにと出費も多くなり、家計のやりくりが問われる時期です。昨年の夏に相談に来られた、新潟県在住の専業主婦Yさん(38)もそうでした。月々の収入だとなかなか貯蓄ができないためボーナスでためようとしているのですが、「30万円ほど残るはずのお金が、いつも夏休みできれいになくなってしまって……」といいます。 Yさん一家は会社員のご主人(39)と小学5年の長男、同3年の長女がいる4人家族。子どもたちは遊びたい盛りですから、夏休みになると「どこか連れていって!」とせがみます。そこでテーマパークや旅行に行くと、ご主人も「こういうときぐらいいいだろう」とキャラクターグッズやお菓子、ジュースをつい買い与えてしまい、旅費以外にもお金がかかってしまうそうです。こうした積み重ねで、夏休みが終わるとボーナスから貯蓄に回すお金が残らなかったという話をすると、ご主人は驚くばかり。ほしいものをねだり、買ってもらっている子どもたちに対しても「お金の価値が分かっているのかな」と気がかりなようでした。 いまでも200万円の蓄えはあるものの、「せめてボーナスから15万円くらいは貯金したいし、子どもにもお金を大切に使うことを知ってほしい」。こう話すYさんに、私は「夏のレジャーに使う予算を決めてしまい、その範囲内で子供たちに計画を立てさせるようにしたらどうですか」と提案しました。計画づくりにはご主人も加わってもらいますが、Yさんはあくまで予算を準備し、成り行きを見守ることに徹してもらうのです。ただし当日お金が足りなくなって身動きが取れなくなると困りますから、予備費はこっそり持って行ってもらいます。 「本当に私は何もしなくていいのでしょうか?」とやや不安を抱きながらYさんが決めた夏のレジャー予算は15万円。これで収まれば、ボーナスから15万円貯金に回せることになります。さっそく夏休み前に子どもたちに提案したところ、自分たちで自由に計画が立てられるとあって大喜びでした。そんな張り切りぶりにご主人も乗せられ、電車の時刻表の調べ方などを子どもたちに教えながら一緒にプランを練り始めました。 子どもたちの希望は、首都圏のテーマパークで2日間思う存分遊ぶこと。いくらかかるのか調べてみると、いままで利用してきたJRでの往復とホテル1泊では1人あたり4万〜5万円かかることが分かりました。「これでは足りない!」と子どもたちは驚き、お父さんに車を運転してもらおうか、ほかに交通手段は何があるか……と子どもたちなりに考え、調べ抜いたのです。たどり着いた結論は深夜バスでした。これだとホテル代とテーマパークの2日分パスポートを入れても4人で10万5000円に抑えられます。食事代や、テーマパーク内での買い物などは残る4万5000円で収める必要があります。 準備万端で、いよいよ出発。子どもたちは初めて乗る深夜バスにドキドキです。「お父さんとお母さんはバスで寝られるかな。『疲れた』といわないかな」と自分たちのこと以上に心配もしてくれました。交通費を抑えるためにお父さんに車で連れて行ってもらう案を見送ったのも「運転で疲れてお父さんが一緒に遊べないとつまらないから」というのが理由だったようです。 テーマパークでの昼食や休憩もどこで何を食べたいのかきちんと計画されていて、子どもたちが売り場に並んで買ってきてくれました。ポップコーンもケースを一つだけ買い、足りなくなったらお代わりを入れてもらう方法で無駄遣いを抑えるアイデアも計画通りです。さらに「お父さんとお母さんも好きなもの買っていいよ」と、1000円ずつのお小遣いも予算から捻出したそうです。 こうして綿密に組んだ計画のかいあって、テーマパークを満喫する1泊旅行は予算内できちんと納まり、Yさんが財布に忍ばせた予備費の出番はありませんでした。初めて子どもたち主導で考えさせた旅行の評判は上々で、「うまく工夫すればいままでよりお金もかからなくて済むし、すごく楽しい!」と喜んでいたようです。さらに今回いろいろ調べた経験を通じ、「15万円って大人が1カ月暮らせるぐらいのお金なのに、テーマパークに2日行くだけでそれ以上に使っていたんだね」といった発見もありました。 ご主人も夏のレジャーにお金の面からもしっかり向き合ったことで、家族で出かける出費がばかにならないこと、子どもたちの言いなりで何でも買っていたらボーナスが残るはずもないことを身をもって理解しました。「こういうレジャーの楽しみ方は子どもとよく話をする機会になるし、生き生きした顔を見られていいものだね」と満足げでした。 Yさんは希望通り、ボーナスから15万円を貯蓄に回すことができました。この旅行がきっかけになったのか、子どもたちはそれから身の回りのモノの値段やコストに興味を持つようになったそうです。「これは高いから買うのをやめよう」「これはいつもより安いし、絶対使うものだから買おうよ」とお金の使い方にYさん顔負けの注意を払い、自然と生活全般の支出が抑えられるようになりました。
かつて2000円ほどしか残らなかった月々の家計では、食費や通信費、日用品、水道光熱費の節約で新たに1万2000円の貯蓄原資を確保。このおかげで、これまでボーナスで補っていた支出も減り、ボーナスでためるお金は予定より2万円多い17万円になりました。 レジャーを計画させることが子どもの金銭教育にもつながり、お金の使い方を学ばせる絶好の機会になったとYさんは大喜びで報告してくれました。今年もまもなく夏休みを迎えますが、Yさんは今回のレジャー予算を13万円に抑え、プランづくりのハードルを一段上げたそうです。それでも子どもたちはどこにどうやって行こうかと喜々として計画を練っています。 こうした金銭教育は楽しみながらできるため、子どもは親が期待した以上のことを学び取る機会になり得ます。時にはYさんのようにご主人のお金に対する意識も変えられる場合もあるのです。レジャーは行って楽しむだけが醍醐味ではありません。特に夏と冬のボーナス時期は、お金の有効な使い方を家族でじっくり考えて取り組める限られたチャンスでもあります。まだレジャーの計画が具体化していないご家庭では、お子さんも交えて「もうかる家計」も意識したプランづくりにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。 横山光昭(よこやま・みつあき) 家計再生コンサルタント、ファイナンシャルプランナー。お金の使い方そのものを改善する、独自の家計再生プログラムで、これまで6000人以上の赤字家計を再生。著書にシリーズ累計45万部『年収200万円からの貯金生活宣言』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)や『お金が貯まる人の思考法 年収の半分を3年で貯める「16.7の法則」』(講談社)などがある。
月1万の支出増? 共働き家計に忍び寄る増税 第27回 ファイナンシャルプランナー・花輪陽子 2013/7/4 7:00日本経済新聞 電子版 消費税率は現在の5%から、2014年4月に8%へ、15年10月には10%へ引き上げられる予定です。消費税が5%上がって10%になると、共働き夫婦にとって月1万円(年12万円)程度の支出増が想定されます。なぜ月1万円も支出が増えるのか一緒に検証していきましょう。
国内で物やサービスを消費する際に、ほとんどのケースで消費税はかかります。しかし、政策的な配慮や消費という概念になじまないという理由から消費税がかからない支出もあります。例えば、家賃や住宅ローン、健康保険の対象となる医療費や保険料、子どもの学校の授業料などです。
家計支出のうち、一部の項目には消費税がかかりませんが、その他の多くには消費税がかかります。例えば、交通費(電車代、ガソリン代)、通信費、水道・光熱費、食費、生活用品、子どもの学習塾、娯楽費などです。これらの「消費税がかかる支出」が5%上昇すると仮定すると、多くの家庭では月1万円程度の支出増になります。「夫婦のみの家計」、「夫婦と子ども2人(小学生)の家計」のケースで見ていきましょう。都心部の共働き夫婦の世帯を想定し、例に挙げましたので、標準的な世帯より支出は多くなっています。 「夫婦のみの家計」の場合、教育費負担はありませんが、お互いの支出や外食や旅行代がかさみがちです。このケースでは、「家賃」「保険料・医療費」「貯金・資産運用」などを除く支出が消費増税の影響を受けるために、その他の支出が5%上がると仮定すると、月1万3000円程度の負担増が予想されます。
対策としては「通信費」「水道・光熱費」など、固定費割合の高い支出の見直しをするのはもちろん、「食費」「生活用品」「娯楽費」などからムダを省くために簡単な家計簿をつけることをおすすめします。 「夫婦と子ども2人(小学生)の家計」の場合、子供の学習塾・習い事などの支出がかさみます。また、家族全員で外食をしたり、旅行をしたりすると、高額になることもしばしばあるでしょう。家族の人数が多いと大型の自動車を保有しているご家庭も多いものです。 このケースでは消費税が5%上がると「住宅ローン」「保険料・医療費」「学校教育費」「貯金・資産運用」以外の支出が影響を受けるため、月1万7000円程度の負担増が予想されます。
対策としては自動車維持費や保険料の見直しが考えられます。ガソリン代や修理費にも消費税はかかりますから、省エネ性能の高い車種を選んだり、子どもの教育費がかさむ時期は一時的に自動車を手放す期間を作ったりするのも手です。天井知らずになりがちな子どもの学校外費用に関しても、市区町村のスポーツ施設や図書館を利用するなどして工夫したいものです。 このように、消費増税は各家庭で程度の差はあれ、家計に大きな影響を与えます。来年4月に消費税が上がって「生活が苦しい」ということのないように、今から家計をスリム化させておきましょう。 花輪陽子(はなわ・ようこ) ファイナンシャル・プランナー。1978年、三重県生まれ。青山学院大国際政治経済学部卒、外資系投資銀行に入行。OL時代は借金200万円の“貯まらん女”だった。新婚早々に「夫婦同時失業」というどん底を経験し現職に至る。著書に『夫婦で年収600万円をめざす!二人で時代を生き抜くお金管理術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、共著書に『大増税時代を生き抜く共働きラクラク家計術』(朝日新書)、『夫婦で貯める1億円! 世帯年収600万円からできる資産づくり45のルール』(ダイヤモンド社)、『貯金ゼロ 借金200万円!ダメダメOLが資産1500万円を作るまで』(小学館)など。日経ウーマンオンラインなど連載多数。オフィシャルサイトURLはhttp://yokohanawa.com/
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