02. 2013年7月04日 21:10:37
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焦点:ポルトガルの政治危機、ユーロ圏周辺国の構造問題を露呈 2013年 07月 4日 14:33 JST [ロンドン 3日 ロイター] - ポルトガルが政治危機に陥ったのは、国際支援機関から緊縮策を求められたことが直接的な原因かもしれないが、同国政府は経済構造の改善に努めなければ高い代償を払うことになるだろう。コエリョ首相率いるポルトガルの連立政権は、連立離脱を議論する民衆党(PP)に命運が握られている。同党が離脱すれば、与党は過半数を割り込むためだ。 一般的なポルトガル人のように、民衆党は、国際支援機関からの780億ユーロ(1020億ドル)の支援プログラムに伴う一段の歳出削減に反発している。 仏Natixisのチーフエコノミスト、Patrick Artus氏は、ポルトガルの経済だけでなく、税基盤が縮小し続けていることを懸念。「これはユーロ圏の最も大きな問題の1つだ。周辺国において、マクロ経済の基盤が縮小していて、どうやって過去の債務を返済するのだろうか」と疑問を呈する。ギリシャで既に見られているような景気後退のスパイラルだ。 同氏は、ポルトガルが欧州から債務の返済を先送りしてもらっているにもかかわらず、公的債務の対国内総生産(GDP)比率の安定化には程遠いと指摘。「通常の支払能力の定義に当てはめるならば、ポルトガルは明確に行き詰っている」と述べた。 ポルトガルには経済成長が不可欠だが、経済協力開発機構 (OECD) によると、同国の潜在成長率は年0.5%に満たない。 1999年のユーロ導入後も同国の経済パフォーマンスはさえなかった。生産性は盛り上がらず、競争力が悪化する中、1999年から2008年の実質GDP伸び率は平均で1.3%にとどまり、1人当たりのGDP伸び率は2001年から11年まで横ばいだった。 Artus氏は、ポルトガルのスタグネーションの由来を経済構造に求めている。同国は1999年のユーロ導入以来、東欧や中国とローエンドの業界で競合し、製造業界の生産能力は15%超落ち込んだ。 ポルトガル人は3人に2人が15歳か16歳で学業を終え、労働者のスキルはあまり高くなく、労働生産性の伸びのトレンドは平均で年1%ほどとなっている。 硬直的なモノ・サービス市場なため、ポルトガルでは賃金の下落にもかかわらず、物価は高止まりしたままだ。 OECDは最近の報告書で「生産性や競争力復活のための包括的な構造改革は、経済のリバランスや持続的な経済成長の回復に極めて重要だ」と指摘している。 <長期的なリスク> 楽観主義者はポルトガルの輸出が好調だと指摘する。だが、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)で欧州ソブリン格付け部門ディレクターを務めるアイリーン・ジャン氏は、海外から多額の直接投資をひきつけることに失敗しており、先行きの大きな改善は見込みにくい、と指摘する。 同氏は「支援プログラムにおいて最初の2年間に導入された構造改革が実行され、再び経済の潜在力を引き上げるために直接投資を呼び込み、経済の柔軟性を高めることがポルトガルの希望だ」と述べた。 スペインに住むエコノミスト、エドワード・ヒュー氏は、ポルトガルの隣国スペインについて、危機的な状況は幾分和らいだものの、回復したと言うには時期尚早だと指摘する。 ポルトガルのケースは、ギリシャと大して変わらず、両国ともに発端から債務の再編が必要だったと指摘する。 それどころか、ポルトガルは過度に急速な財政再建を選択。必要以上の不況を招いたほか、海外への移民が相次ぎ、長期的なリスクが生じている。 ギリシャの場合、国際通貨基金(IMF)は過度に楽観的な経済見通しをしていたと認めたが、同氏は、ポルトガルに関しても同じような事態になるのではと予想している。 <第2の支援も> シティグループによると、ポルトガルでは緊縮策への政治的な支援が危うくなり、2014年中盤で現在の支援プログラムから順調に脱するとの見通しが後退。第2の支援パッケージが必要になる可能性が高まった。 シティはノートの中で、「また、ギリシャやキプロスの例をたどり、最終的に何らかの形で政府債務再編が必要となる可能性も高まっている」と指摘する。 ポルトガルの政治混乱は、イタリアと似ている。イタリアでは、モンティ前首相は、レッタ首相率いる連立政権への支持を撤回する可能性もあると警告した。 経済状況も、ユーロ導入から問題を抱えているという点で似たり寄ったりだ。イタリアは、OECD加盟34カ国の中で、2000─11年に1人当たりのGDPが唯一下落した。 ポルトガルと同じく、イタリアは金融危機以降、GDPが約10%縮小。Artus氏によると、これが債務の対GDP比率を安定させる能力を損ねるとみられる。 同氏は「通常の景気後退では、GDPは縮小してから潜在的なGDP水準に戻る。今回の危機では、潜在GDPがGDPの水準に縮小しており、潜在GDPの縮小はずっと続く。経済が縮小すれば、過去の巨額の債務に対応することが困難だ。イタリアとポルトガルはそうした面で非常に似ている」と指摘する。 ( Alan Wheatley記者, Global Economics Correspondent;翻訳 川上健一;編集 吉瀬邦彦)
焦点:ポルトガルとギリシャ情勢でユーロ圏危機再燃も 2013年 07月 4日 12:54 JST [ブリュッセル 3日 ロイター] - ポルトガルの政局不安は、ここ一年間近く落ち着きを見せていたユーロ圏危機が、再燃するかもしれないとの懸念を裏付けた。 ギリシャからキプロス、スロベニア、スペイン、イタリアときて、今度はポルトガル。わずか2日で財務相と外相が辞任し、欧州中央銀行(ECB)がとどめていた市場の静けさを崩すきっかけとなった。 ポルトガルのコエリョ首相は2日遅くの国民向け演説で、外相の辞任を認めておらず、政権運営を維持する構えを示した。 現時点では、最終的には政権が崩壊するとのシナリオの可能性が高まってきている。そうなれば、ポルトガルでは2011年に欧州連合(EU)・国際通貨基金(IMF)と合意した支援の条件を満たせるかどうかに注目がすぐ集まることになるだろう。 ポルトガルはこれまで、経済を立て直すために適切な全ての措置を実施し、支援を受けた国として模範であり続けた。この評価が今では維持しづらくなってきている。こうした危機が表面化する前の先月でさえ、IMFはポルトガルの債務の状況が「極めてぜい弱」と指摘していた。 ギリシャが際どい状況に直面した直後に、ポルトガルの政局不安が続き、ユーロ圏は全面的な危機の状態に戻る一歩手前といったところかもしれない。 欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が昨夏、ユーロを守るために必要なあらゆる措置を講じると発言した後で落ち着きを取り戻した金融市場に、EUの当局者は支えられていた。 欧州委員会のバローゾ委員長は危機の最悪期は過ぎたと発言、レーン副委員長(経済・通貨問題担当)はかつてユーロ圏が崩壊すると予想していた「悲観論者」の主張を一蹴していた。 EUの外交官は、常に表面化しない問題がくすぶっているとし、危機の終結にはほど遠いとの見方を示した。緊急性は薄れたかもしれないが、水面下には混乱を巻き起こしかねない状況があるとの認識で一致しているとした。 2日に行われたユーロ圏17カ国の財務省関係者の会合に参加した1人の関係筋は、ユーロ圏に関する楽観は裏付けられるものがなく、みかけよりも状況は悪いとの認識で一致したことを明らかにした。 JPモルガンのアナリスト、アレックス・ホワイト氏は、ポルトガルの状況が特に懸念されていたと指摘。顧客向けのリサーチノートの中で、ポルタス外相の辞任発表により、短期的な懸念がかなり強まり、現時点でリスクが高まったようだと書いている。 <眠りから覚める危機> より経済規模の大きいスペインやイタリアにもまた重大なリスクがある。また、スロベニアの銀行セクターの問題、キプロスでの改革の遅れ、アイルランドのスキャンダルのどれもが信頼感を損なうものとなっている。 イタリアのメディオバンカは顧客向けリサーチノートの中で先月後半、借り入れコストが低水準を維持し、景気がある程度軌道に乗らない限り、同国は結局、6カ月以内にEUに支援を要請せざるを得なくなると警告していた。 4月に就任したばかりのイタリアのレッタ首相は、連立政権内に不安要因を抱える。モンティ前首相が経済改革が遅れていることを理由に、支持撤回も辞さない構えを示している。 またスペインはこれまで、国の財政に対する支援を受けずに乗り切ってきたが、銀行セクターの立て直しには長い道のりが残されている。これはアイルランドも同様だ。 IMFは先月、両国の取り組みを評価した一方でリスクも指摘していた。 1人のユーロ圏高官は「ギリシャ以外にも懸念材料が多くあり、その他の問題については、ただ単に夏が過ぎるまで先延ばしにしたいだけだ」と述べた。 支援を受けた国の中で最も評価が高いアイルランドは、年内に支援プログラムから抜け出すことになる見込み。だが、評価が実際の状況より先行しているという問題もある。 EUの関連機関は8月に休暇期間に入るが、危機再燃の可能性がくすぶる中で、不安な夏を回避することはできないかもしれない。 (Luke Baker記者;翻訳 青山敦子;編集 佐々木美和)
英中銀:資産購入枠を3750億ポンドで維持−金利も据え置き
7月4日(ブルームバーグ):イングランド銀行(英中央銀行)は4日の金融政策委員会(MPC)で、資産買い取りプログラムの規模を3750億ポンドで維持することを決めた。英金融政策の決定は、1日に就任したカーニー新総裁の下では初めて。 ブルームバーグ・ニュースがエコノミストを対象に実施した調査 でも資産購入枠の維持が見込まれていた。MPCは政策金利 であるレポ金利を過去最低の0.5%に据え置いた。別のエコノミスト調査で予想された通りだった。 原題:BOE Maintains Stimulus as Carney Assesses U.K. RecoveryStrength(抜粋) 記事に関する記者への問い合わせ先:ロンドン Scott Hamilton shamilton8@bloomberg.net;ロンドン Jennifer Ryan jryan13@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先:Craig Stirling cstirling1@bloomberg.net 更新日時: 2013/07/04 20:05 JST
米債券投信から約6兆円が流出、刺激策終了の影響を示唆か
7月4日(ブルームバーグ):米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長が前例のない資産購入の終了に向けた道筋を示唆して市場を混乱に陥れて以来、投資家が米債券ファンドから引き揚げた資金は約600億ドル(約6兆円)に上っている。 こうした資金流出は、FRBが月間850億ドルの債券・住宅ローン担保証券(MBS)購入を縮小する際に運用担当者に降りかかる事態の前触れだ。米投資信託協会(ICI)が電子メールで3日配布した資料によると、債券投信は6月26日終了週に281億ドルの純流出となった。 一般投資家は2009年初め以降、不安定な株式市場から安全とみなされている債券ファンドに資金約1兆ドルをシフトしてきたが、金利上昇の観測を背景にこの1カ月はそうしたパターンが反転している。コンサルティング会社ケーシー・カーク・アンド・アソシエーツは5月、投資家が伝統的な債券戦略から1兆ドルを引き揚げているとして、債券に依存している運用担当者は厳しい先行きに直面する可能性があると警告した。 米ロードアイランド州の投信コンサルタント、ジェフリー・ボブロフ氏は電話インタビューで、「金利上昇で、投資家は過去5−7年の大半にわたって続いていた債券への資金の流れが一方通行ではないという現実に気が付いた」と語った。 先週はICIが週間統計を開始した07年1月以降で最大の資金流出となった。課税対象の債券投信から204億ドル、地方債投信からは76億8000万ドルがそれぞれ流出した。暫定集計によると、過去4週間の流出額は債券投信の運用資金3兆5000億ドルの約1.7%に相当する。 原題:U.S. Bond Funds Losing $60 Billion Foreshadow Impact ofFed Exit(抜粋) 記事に関する記者への問い合わせ先:ニューヨーク Margaret Collins mcollins45@bloomberg.net;ボストン Charles Stein cstein4@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先:Christian Baumgaertel cbaumgaertel@bloomberg.net 更新日時: 2013/07/04 13:56 JST
焦点:取り締まり強化で激減の中国債券取引、貧弱な市場の実情露呈 2013年 07月 4日 16:33 JST [上海 3日 ロイター] - 中国の債券市場では、1日の取引高が4月に過去最高を記録して以来激減している。不正取引の取り締まりが進む中、過去数年の流動性が見せかけの取引によって膨張されていた実情が明らかになってきた。
当局は4月以降、利益の不正取得をめぐり少なくとも4人の債券トレーダーとファンドマネジャーを逮捕している。 債券取引をめぐっては、利益の不正取得やレバレッジ拡大のため常態化していた取引慣行を取り締まる新規則も導入された。 当局の調査は、投資家が第3者から借り入れた資金で別の投資家の代わりに債券を購入する取引に焦点を絞っていた。こうした取引は、違法ではないが悪用されやすい。買い手と売り手が事実上同じポートフォリオに属している場合、偽取引とみなされる。双方の口座が同一の個人によって管理されているケースもある。 ある中国の大手証券のアセットマネジャーは、規制当局が大なたをふるった結果、こうした取引の多くが壊滅状態になったと指摘した。 取引高の激減は、3月に債券市場へのアクセスが認められた海外投資家を遠ざける恐れがあるほか、相場下落で国内企業が起債を見合わせる事態を招いている。 上海のある欧州系銀行の債券トレーダーは、取引高の激減の理由について尋ねられると「新たに導入された規制が主因だ」と指摘した。 また、最近導入された「影の銀行(シャドーバンキング)」対策の新規則では、同一機関が管理する異なった口座間での債券取引が禁止された。 一部の銀行は、「理財商品」(ウェルス・マネジメント商品)の償還支払いのためにこうした取引を行っていた。投資会社も取引高ランキングを意識して偽取引を行っていた疑いがもたれている。 先月短期金利の急騰を招いた流動性不足も債券取引の激減に拍車をかけたが、以前からこうした傾向は進んでいた。 決済機関のデータによると、1─5月の銀行間債券取引の1日あたりの出来高は平均で2820億元で、4月17日には過去最高の4330億元に膨らんだ。 しかしその後6月13日には360億元まで激減。2011年5月に同機関がトムソンロイターにデータ提供を開始して以来の最低水準となった。 市場関係者は、取引量は徐々に回復する見込みだが、数カ月前の高水準に近づくことはないとみている。 <海外投資家にも影響> 銀行間債券市場を監督する中国人民銀行は3月、適格外国機関投資家(QFII)による債券取引を認める方針を明らかにした。 ただ流動性の不足は売却機会を制限し、海外投資家が市場参入に二の足を踏む要因となりかねない。 中国指導部は最近、資本規制を撤廃し、海外投資を促す計画の詳細の策定を要請した。 アナリストは、増加した海外との資金の流れの吸収には、奥深く流動性に富んだ債券市場が欠かせないと指摘する。 今年1─5月の社債発行は前年同期比で51%増加したが、6月になると勢いは止まっている。6月20日以降市場の動揺を理由に起債を延期した企業は12社以上にのぼり、今年後半あるいは来年の第1・四半期に再開する意向を示している。 (Gabriel Wildau記者;翻訳 中田千代子 ;編集 佐々木美和)
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