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アップル「脱サムスン依存」加速 脱却は困難
台湾地区のメディアが2日伝えたところによると、米国のアップル社と同地区の台湾積体電路製造株式有限公司はこのほど、中央演算処理装置(CPU)チップの相手先ブランド製造(OEM)合意に調印した。米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」が紹介した同公司の上級管理職の話によると、アップルは6月に同公司との間で一部チップのOEM合意に調印し、製品供給合意は2014年から執行されるという。「国際金融報」が伝えた。
この合意の対象となった部品はこれまで主に韓国のサムスン電子が提供してきたものだ。情報技術(IT)産業のシニアアナリスト唐欣氏は、「アップルと同公司との協力は、アップルの部品調達におけるサムスンへの依存度を引き下げることが狙いであり、『脱サムスン依存』の動きであることは明らかだ」と指摘する。
アップルの脱サムスン依存のうわさについて、アップル、サムスン、台湾積体はいずれも現時点ではコメントを出していない。
▽協力に溝
業界関係者以外にはあまり知られていないことだが、アップルとサムスンは特許をめぐって戦い、スマートフォン(多機能携帯電話)の販売台数で競争を続け、「口げんか」(裁判の意)を繰り広げながら、実は産業チェーンの中では長年にわたるパートナー関係にある。過去数年間、アップルは部品を自社で研究開発し、サムスンが製造代行するというモデルを数多く採用してきた。液晶ディスプレー、電池、メモリ、CPUチップなどの部品だ。
あるデータによると、アップルは10年に世界最大のチップの買い手となってから、これまでに200億ドルを超える資金をチップの調達に費やしてきたと推定される。一方、サムスンは迅速に部品を供給できる能力を備えていることから、アップルに代わってスマートフォン「iPhone」(アイフォーン)やタブレットPC「iPad」(アイパッド)用のA4プロセッサおよびA5Xプロセッサを製造するチャンスを獲得した。
だがスマートフォン分野でアップルが急速な発展を遂げると、アップルの態度が変化した。米国の調査会社ストラテジー・アナリティクスがこのほど発表した今年度第1四半期(4-6月)の報告書によると、アップルのスマートフォン販売台数はサムスンのわずか半分だったという。
ある消息筋が2日に述べたところによると、これまで主にサムスンが提供してきたAシリーズのプロセッサチップは、これからは台湾積体が製造することになる見込みだ。あるメディアの報道によれば、アップルのiPhone5用メモリのサプライヤーリスト第一弾にはサムスンの名前がない。またアップルはこれまでサムスンから提供を受けていたフラッシュメモリ、モバイル系メモリ、ドラムメモリなどのメモリチップのサプライヤーを、韓国のSKハイニックス、日本のエルピーダメモリや東芝などに変更し、液晶ディスプレー(LCD)のサプライヤーを韓国のLGディスプレイや日本のジャパンディスプレイに変更した。電池でもサムスンへの注文はない。
こうした動きを受けてサムスンが身動きできなくなる可能性がある。たとえば、A4プロセッサとA5Xプロセッサの製造代行で有名なサムスンの米国テキサス州のオースティン工場は、システム・オン・チップによる製造能力の向上を目指して製造装置を改良するため、昨年8月に40億ドルを投入したばかりだ。これに先立つ投資を合わせると、サムスンは同工場に130億ドルをつぎ込んでいる。業界内ではサムスンの投資について、「アップルとのOEM合意があるので、サムスンには十分な自信があるからだ」との見方が出ていた。
▽分散にはリスクも
実際、アップルの脱サムスン依存の動きの影響を受けて、サムスンの部品部門の今年第1四半期(1-3月)の業績は低下した。財務報告によると、同期の半導体部門の収入は8兆5800億韓国ウォン(約7567億円)で、前年同期比11%減少した。アップルと台湾積体との協力が深まれば、サムスンには引き続き大きなマイナス影響を与えることが予想される。
だがアップルのサムスンに対する「仕打ち」にはリスクがないわけではない。唐氏の説明によると、サムスンの部品販売はこれまでずっと順調で、顧客にはアップルだけでなく、たくさんの携帯電話端末メーカーもいる。協力を縮小してサムスンに圧力をかけようとしても実際にはそれほどうまくいかないという。
業界内を見渡すと、より大きなリスクは「あちこちに網を張る方式の分散型注文」にこそあるといえる。この方式は間違いではないが、アップルの出荷量は大きく、普通のメーカーがアップルのペースに迅速に追いつくのは並大抵のことではない。そこでサプライヤーの部品供給のどこかで問題が起きれば、アップルの製品販売に致命的なダメージを与えることにつながる。
また品質というのも隠れた懸念事項だ。過去の失敗例から考えると、アップルが11年に第3代iPadを設計した際には、日本のシャープに高解像度の液晶パネルの製造を依頼したが、12年3月に第3代iPadを売り出した時に採用した液晶パネルはほとんどサムスン製だった。シャープは新技術に基づいて液晶パネルを大量生産し、後で問題になった。またある消息筋によると、アップルと台湾積体との契約が延長された場合、アップルの要求するペースや効率でチップが製造されることは容易ではないという。
そこで唐氏は次のような大胆な予測をうち出す。短期的にはアップルがサムスン依存からの完全脱却をはかることは難しい。サムスンは少なくともCPU、メモリ、ディスプレーなど一連の重要部品で明らかに優位に立っているからだ。(編集KS)
「人民網日本語版」2013年7月3日
http://j.people.com.cn/94476/8309404.html
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