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株価を示す証券会社のボード前を通り過ぎる個人投資家=6月25日、中国浙江省杭州市(共同)
【経済裏読み】「上海株暴落」を放置する中国人民銀は「確信犯」か「制御不能」か…
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20130703/frn1307031531004-n1.htm
2013.07.03 夕刊フジ
中国の上海市場で6月下旬に株価が暴落し、世界の投資家の肝を冷やした。中国で拡大している不透明な「理財商品」が行き詰まる懸念がその背景ともされるが、一方で暴落の引き金となった金融機関間の金利上昇に対して中国人民銀行は腰をあげず、一時放置したままだった。「中国政府が金融業界矯正への強硬な姿勢をアピールした」との見方もあり、今後の投資には注意が必要だ。
■社会資金と称する投機資金
中国人民銀行が発表する統計指標に「社会資金調達額」という指標がある。銀行、ノンバンク、保険会社など金融全般の会社から、貸出や株式・債券発行など、あらゆる形での資金供給量が含まれる。1〜5月の調達額累計は9兆1千億人民元(約149兆円)に達し、前年同期比は約52%増に及ぶ。
ところが、銀行による人民元の新規資金供給量に目を向けると、1〜5月の新規貸出は4兆2100億人民元で、対前年同期比では7%増程度。社会資金調達額と比べ、伸び率は小さい。
また、証券市場を通じた資金調達額は3600億人民元程度。保険会社を通じた貸出も、銀行と比べて非常に小さいという。
足元の中国景気は減速気味のため、固定資産への資金流入は少ないとみられる。これらの要素を除くと、社会資金調達額を膨らませているのは「理財商品」という結論に行き着く。ノンバンクを通じた貸出のほか、信託会社や銀行が一般投資家から資金を集める雑多なファンド(債券、株式、信託など)などを指す。
中国当局は理財商品の残高が合計8兆2千億人民元に達していることを明らかにした。中国が社会資金と称している指標の相当部分は、財テクに回っていたことになる。
■中央銀行も問題視
大和総研のシニアアナリスト、齋藤尚登氏は、中国が2008年に発動した4兆人民元の景気対策と、その後の急激な管理が、金融システムのゆがみの発端と指摘する。この景気対策で、地方政府が公共事業のためのファンドをつくり、銀行の資金が流入したが、急拡大する債務を抑えるため、中国は2011年以降、ファンドの債務を厳格に管理するよう指導。このため「資金の行き先がなくなり、今度は理財商品の急増を招いた」という。
商品の内容もピンキリでまっとうな投資先の商品もあれば、貸出リスクが高い中小企業や収益性が見込めない不動産への投資などが混在し、「実態はよく分からない」と、ある証券トレーダー。齋藤氏は「推測だが、商品の3〜4割が高リスク商品ではないか」とみている。
理財商品急増は昨秋ごろから問題視されており、中国人民銀行は今年3月、商業銀行の理財商品管理を強化する通知を発布。理財商品の拡大にブレーキをかけようとしていた。
■腰を上げなかった中国
株価の暴落の引き金は6月上旬、上海の金融機関の間で資金を貸し借りする市場(インターバンク)での供給資金の不足による短期金利急上昇だ。
ちょうど理財商品の償還満期を月末に控え、金融機関の業績悪化懸念が強まっていたというタイミングも悪かった。体力のない金融機関の破綻、株式市場の先行き不安へと連想が拡大。上海総合株価指数の急落につながった。
ここで疑問がある。金利上昇が問題なら、中国人民銀行がオペレーションを実施して資金を供給すれば、金利の低下を促すことは簡単だった。
なぜ、実施しなかったのか。齋藤氏は「商業銀行が理財商品に関係することに対し、中国人民銀行と政府が不快感を示したのではないか」と推測する。つまり、「理財商品にかかわれば、もっと大変な目を見る」という警告だ。
ただ、株式市場の急落にまで連鎖したことは想定外で、「銀行総裁が急に資金供給をアピールしたのは、市場を落ち着かせるためではないか」と指摘している。
今後問題となりそうなのは、今回の騒動で垣間見えた中国のもろさだ。中国の銀行には、貸し倒れのリスクが高く、将来表面化するかもしれない「不良債権」が相当存在していることが明白になったからだ。中国投資を考える投資家は、注意しておく必要があるだろう。
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