03. 2013年7月04日 01:03:26
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「故事・ことわざ」でじっくり考えてみた日銀「量的・質的金融緩和」 君子・黒田総裁、豹変す? 2013年7月4日(木) 上野 泰也 日銀の「量的・質的金融緩和」が導入されて、ちょうど3カ月が経った。この未曾有の政策について、日本でよく知られている故事・ことわざの中から筆者があてはまりそうだと思うものを選んで重ね合わせ、改めて評価を含めて思考を巡らせてみた。 「長い物には巻かれろ」、「一寸の虫にも五分の魂」 金融政策の「レジームチェンジ」を具体化する意味合いを持った「量的・質的金融緩和」の導入は4月4日の金融政策決定会合で、全員一致で決まった。少数ながら反対票が入る中で賛成多数で決まるのではないか、と見ていた筆者にとっては予想外の票決内容だった。 安倍晋三内閣の支持率が極めて高く、「アベノミクス」に期待を抱く国民が多数派になる中で、白川方明前総裁の時代から在任している審議委員たちが反対票を投じることのないよう、国会議員がけん制めいた発言をする一幕も、会合の前にあった。しかし、結果的には、そうした時代の空気のようなものに抗うことができた審議委員は、1人もいなかった。 もっとも、「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」の基本的見解が議論された4月26日開催の金融政策決定会合では、2年程度での物価目標2%達成は極めて困難だという認識を前提に、佐藤健裕審議委員と木内登英審議委員が独自の議案を提出するなどの動きがあった(反対多数で否決)。 「過ぎたるは及ばざるが如し」
「量的・質的金融緩和」が導入され、長期国債の買い手として日銀はいわば「池の中の鯨」のような存在になった。だが、債券市場は極めて不安定な状態に陥ってしまい、先物のサーキット・ブレーカーが何度も発動された。 資産買い入れ等基金が存在し、日銀による長期国債の買い入れ額が現在よりもはるかに少なく、買い入れ対象も限定されていた白川前総裁時代の方が、債券市場ははるかに安定していたと言うことができる。 「朝令暮改」 「黒田ショック」を主因とする債券市場の機能不全が続く中、長期国債買い入れの運営見直しなど市場安定化につながると考えられる要望を、日銀は市場参加者との意見交換会などで聴取してきた。 「量的・質的金融緩和」導入当日に「当面の長期国債買い入れの運営について」を公表してから2カ月足らずのうちに、日銀は以下のように、長期国債の買い入れ手法について3回も見直しをかけた。 4月11日 「長期国債買い入れのオファー日程について」 4月18日 「当面の長期国債買い入れの運営について」 5月30日 「当面の長期国債買い入れの運営について」 「風が吹けば桶屋が儲かる」、「取らぬ狸の皮算用」 日銀は現在、「アベノミクス」の論理に乗る形で金融政策を運営している。政策委員会内で“ハト派”の代表格と見られている宮尾龍蔵審議委員は、5月28日に日本外国特派員協会で行った講演の中で、「2%の目標を達成する具体的な道筋」として以下の「6つのステップに整理して考えています」とした。 海外経済の持ち直しは、わが国の輸出・生産の回復基調を後押しし、企業収益を高めます。 基調的なリスクオン(リスクに対して前向きな状態)の継続と米国長期金利の緩やかな上昇により、さらには日本銀行の強力な緩和策により、資産価格などを含む金融環境は緩和した状態が強まっていきます。 それらは企業の設備投資や構造変革など前向きな動きを後押しし、潜在成長率の緩やかな上昇をもたらします。 持続的な景気回復期待のもと、家計の消費支出も堅調に推移し、需給ギャップの改善を伴いつつ物価は徐々に上昇します。 この間、人々のインフレ予想も徐々に高まり、こうした下で、2014年度には1%を上回る物価上昇率を実現します。 その後も、1.から5.の好循環メカニズムが維持される下で景気回復は持続し、人々のインフレ予想と中長期的なトレンド・インフレ率(アンカー)は2%へ向けて徐々に高まっていきます。 以上の結果、実際の物価上昇率も上昇を続け、2%の物価安定目標に近づいていくとみられます。 しかし、上記のシナリオは、その中に出てくる内外経済の様々な要素すべてが想定通りの動きをすることで、初めて実現するものだろう。現実の経済は、なかなか思い通りには動いてくれない。 そうしたことの絡みで筆者は、東日本大震災発生後の景気悪化局面で大きな注目を集めたサプライチェーン分断の問題を思い出してしまう。いかに緻密に組み立てられたサプライチェーンであっても、工場の被災や運送手段の不足など何らかの原因で部品がどれか1つ納入されなくなっただけで、完成品の供給ができなくなったのである。 「過ちて改むるに憚ることなかれ」、「君子は豹変す」 黒田東彦氏は日銀総裁就任前、3月11日に参院議院運営委員会で行われた所信聴取の中で、自身の方向性が間違っていると考えられたら持論を捨てて方向転換する勇気があるかと問われた際に、「もとより、そういった覚悟でいる」と言明。「経済の実態、金融の状況が変化すれば、当然、政策も大胆に変化させていくことになる」と述べた。 「リフレ派」の見解に沿った金融政策運営がうまくいかないことが誰の目にも明らかになる場合、黒田総裁が「豹変」することができるかどうかが問われてくる。 「後悔先に立たず」 黒田日銀総裁は4月4日の記者会見で、記者から「とりあえず現在考えられるメニューは今回で全て出し尽くしたという感覚でよいのか」という質問を受けた。その際、「今回、必要な措置は全て採ったと言ってよいと思います。もちろん、経済も金融も生き物ですので、その時々の状況を見て、必要があれば躊躇なく調整していきますが、2年で2%の物価安定目標を達成するために、現時点で必要な措置は全て決定したと考えています」と言い切った。 このため、日銀は追加緩和に当分動けないだろうという見方が市場で定着し、5月下旬から6月前半にかけての株安・円高の急進行に、歯止めがかかりにくくなる一因にもなった。 「備えあれば憂いなし」 黒田日銀総裁は「量的・質的金融緩和」からの「出口」戦略について、「日本の場合は入り口に入ったばかり。物価安定目標の達成はまだかなり遠く、日銀が出口の議論をするのは全く時期尚早だ」(6月11日の記者会見)という立場を堅持している。しかし、先行きは実に危うい。 まず、黒田総裁が公約している2年程度での物価目標2%の達成が成功した場合だ。日銀は長期国債の買い入れを停止することになる。すると、景気・物価の上昇による金利上昇に加え、債券需給を締めあげていた日銀の買い入れがなくなるという需給面のショックも加わり、長期金利は急上昇する可能性が高い。それは景気や金融機関の財務状況に甚大な悪影響を及ぼすことになる。 また、日銀が買い入れた長期国債は大きな含み損失を抱えるわけであり、それを「出口」の一環である日銀のバランスシート縮小プロセスの中で、日銀が市場で売却できるのか、また、日銀が国債売却による膨大な実現損失を計上できるのかについても、難しい問題となる。 もう一方の、2年程度での物価目標2%の達成に失敗した場合はどうか。筆者はこちらの可能性がはるかに高いとみている。 目標の達成時期を延長してさらに長期国債の買い入れを続けるのか、現物株や不動産など信用リスクの大きい資産のさらなる買い入れにまで着手するのか、あるいは「量的・質的金融緩和」をいったん停止するのか。この点について、日銀はその辺りを、全く明らかにしていない。 先行きの金融政策運営のコースを部分的にでもあらかじめ議論して明らかにしておけば、市場参加者が抱く不透明感の解消や不安心理の抑制に、いくらかなりともつながるはずである。 米国では米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長が6月19日、量的緩和の縮小、さらには停止について、今後の具体的なスケジュールを含む踏み込んだ発言を行った。米国株が直後の2日間に急落したのでその評価は割れているが、金融政策の今後について市場が抱いていた不透明感をある程度薄れさせた点については、前向きな評価がされている。 このコラムについて 上野泰也のエコノミック・ソナー 景気の流れが今後、どう変わっていくのか?先行きを占うのはなかなか難しい。だが、予兆はどこかに必ず現れてくるもの。その小さな変化を見逃さず、確かな情報をキャッチし、いかに分析して将来に備えるか?著名エコノミストの上野泰也氏が独自の視点と勘所を披露しながら、経済の行く末を読み解いていく。 日経BP社 http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20130626/250258/?ST=print
【第11回】 2013年7月4日 野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問] 実効税率よりかなり低い法人税等負担率の実態 ?法人課税の重さを計る指標として通常用いられるのは、「実効税率」だ。この指標を用いて、「日本の法人課税の負担は重く、経済活性化のために法人税を減税すべきだ」との主張がなされる。 ?ところで、「実効税率」の分母は、税務上の利益だ。しかし、分母に企業会計上の利益を取ると、負担率はかなり低くなる。 ?前回は、これについてのマクロ的な数字を示した。結論は、実際に支払っている法人税等の負担率で見ると、全産業で19.8%、製造業で24.3%だ(法人税等調整額を加えた負担率で見ると、全産業で24.5%、製造業で29.7%)。これは、実効税率の数字35.64%に比べると、かなり低い。 個別企業の法人税等負担の実態 ?分母に企業会計上の利益を取った場合のマクロ的な負担率は、公表統計からはわからない。そこで、前回は、一定の仮定を置いて推計した。この仮定は妥当なものと思われるが、仮定であることは事実だ。 ?そこで、この推計を補完するものとして、個別企業の実態を決算で見よう。 ?各社の決算短信等によって、法人税等負担の課税前当期純利益に対する負担率をいくつかの企業について見ると、以下のとおりだ(図表1参照)。 (1)日産自動車 ?2009年3月期に税引前当期純利益が赤字になった影響で、10年3月期の負担率が異常に高いが、12年、13年はどの指標で見ても20%台だ。13年3月期の負担率をb/aで見れば、20.4%である。 (2)本田技研工業 ?2013年3月期の負担率をb/aで見れば、25.7%である。しかし、年度によって負担率はかなり変動している。 (3)トヨタ自動車(連結) ?トヨタ自動車は、リーマンショック前は、法人税等合計額の税引き前当期純利益に対する比率は30-34%程度だった。この当時、実効税率は40%を超えていたので、実際にはそれより10%ポイント程度低かったことになる。 ?2013年3月期の法人税等合計額の税引き前当期純利益に対する比率は39.3%と、かなり高い。しかし、09年3月期に巨額の赤字を計上していることから、繰越欠損金の影響で、実際に支払っている法人税は少ないのではないかと考えられる。ただし、連結決算では、「法人税等」と「法人税等調整額」が区別して示されていないので、b/aで見た負担率の数字を確かめることができない。そこで、単独の計数を見ることとする。 (4)トヨタ自動車(単独) ?単独決算で見ると、リーマンショック前には、b/aで見ても、c/aで見ても、負担率は30%程度だった。これは、上記の連結の場合と同様の傾向である。 ?リーマンショック後は、東日本大震災の影響もあり、負担率は大きく変動している。2013年3月期は、b/aで負担率を見ると、わずか8.1%だ。 (5)その他製造業 ?製造業の自動車産業以外の分野の企業の負担率を2013年3月期について、c/aで見ると、日立31.0%、東芝38.4%、三菱重工38.0%となっている。 ?このように、企業によってかなりの差が見られる。ただし、少なくともここであげた企業に関する限り、実効税率としていわれる数字より大幅に高い企業はない。 ?また、現在は負担率が高い企業も、時系列的に見ると、過去の負担は低かった場合が多い。日立も、12年は26.0%だった。 (6)三菱UFJホールディングス ?つぎに、金融機関として、三菱UFJホールディングスを見よう。 ?日本の民間銀行は、バブルの崩壊にともなう不良債権の処理で、巨額の損失を計上した(処理額は、累計で100兆円を超えていたと見られている)。 ?このため、繰越欠損金があり、08年頃まで地方税しか支払っていなかった。11年3月期に三菱UFJホールディングスが10年ぶりに法人税の納税を再開した。 ?表に見るように、b/aとc/aの差が大きい。また、10年以降もb/aで見た負担率は十数%だ。 税務上の所得が減る大きな理由は 受取配当の益金不算入措置 ?前回示した計算で、つぎのことを述べた。会社標本調査における利益計上法人の利益額(A)と、法人企業統計における黒字法人の利益額(B)を比べると、 (1)Aは、対象の差などによってBの約7割になっている。 (2)さらに、企業会計と税務会計の差によって、AはBの約7割になっている。 ?国税庁「会社標本調査」による2011年度の利益計上法人の黒字額は33.9兆円であるが、その3割に当たる約10兆円ほど、税務上の利益は企業会計の利益より縮小しているわけだ。 ?税務上の所得が減る最大の理由は、受取配当の益金不算入措置と繰越欠損金である。 ?まず、受取配当益金不算入措置の実態を見よう。 ?国税庁「会社標本調査」によると、11年度において、利益計上法人の受取配当の総額は3.1兆円であり、そのうち益金不算入額が2.6兆円である。外国子会社からの配当の益金不算入額を加えると、4.3兆円になる(図表2参照)。この額は、上で述べた利益の乖離額の4割程度だ。 法人税が課税されない利益が約2兆円ある ?受取配当の益金不算入額は、二重課税の排除のために必要であるとされている。配当は、法人税が課税された後の利益の中から支払われる。したがって、法人が受け取る配当に課税すると、法人税が二重に課税されてしまうこととなるので、これを排除する必要があるとされるのだ。 ?そのための手段として、日本では、受取配当益金不算入を取ってきた。ヨーロッパでは、「インピュテイション」と呼ばれる方式を取っていた。ただし、ヨーロッパでも、最近では、受取配当益金不算入措置を取る国が増えた。 ?このように、受取配当の益金不算入措置自体は、多くの国にあるわけで、別に日本だけの制度ではない。 ?問題は配当に関する実態である。国税庁の会社標本調査によって、2011年度の配当支払状況を見ると、図表3のとおりである。黒字企業の支払配当が8.9兆円あるが、赤字企業の支払いも4.3兆円あるのだ。 ?赤字企業が配当しているのは奇妙なようにも思えるが、税務上の欠損法人であっても、企業会計上は黒字になっている場合も多いからだと思われる(図表2によれば、欠損法人の受取配当の益金不算入額と外国子会社からの受取配当益金不算入額は5.4兆円ある。他方で、欠損法人の欠損額の合計は16.5兆円である。これらの数字から考えると、仮に配当益金不算入措置がなければ、欠損法人のかなりは黒字になると考えられる)。 ?赤字企業が支払った配当のうちには、個人の所得となるものもあり、すべてが法人の所得になるわけではない。 ?この点を見るために配当の支払いと受取状況を見ると、図表4に示すとおりである。 ?法人の支払配当の合計が12.6兆円で、法人の受取配当は、その54%である6.8兆円だ。したがって、欠損法人が支払う配当のうち、2.0兆円は法人によって受け取られると考えることができる。 ?この額は、支払企業の段階で法人税を免れ、さらに受取法人の段階でも法人税を免れていることになる。 ?受取配当の益金不算入措置が取られる大前提は、「配当は、法人税が課税された後の利益の中から支払われる」ということだが、その大前提が満たされていないのである。 ?これを益金に参入すれば、利益計上法人が受け取る場合は課税利益が拡大するし、欠損法人が受け取る場合は赤字が黒字になる場合もあるだろう。いずれにしても、法人税の課税ベースが2兆円ほど拡大することになるわけだ。 ?現在の課税ベースは、利益計上法人の33.9兆円であるから、6%ほど増大することになる。これは無視しえぬ効果だ。 ?なお、図表2に見るように、大企業の受取配当が多い。 ?これは、大企業が小企業を子会社として支配していることの反映だ。このような系列関係は、日本経済の特徴だ。そして、赤字企業は小規模企業に多い。したがって、この構造を通じて、多額の利益が課税されていない可能性があるのだ。 外国子会社からの受取配当金 ?外国子会社からの受取配当金について、従来は、配当を益金に算入する一方で、外国税額控除を活用して国際的な二重課税を排除していた。 ?つまり、外国子会社が外国で課された法人税のうち、内国法人が受け取った配当に係る部分の金額を、内国法人が負担した法人税とみなして日本の法人税から控除していたわけである。この制度だと、二重課税は排除され、かつ、最終的には、日本の法人税率が適用されることとなる。 ?しかし、この制度のために、日本企業が海外で獲得した利益の国内還流が進まないとの批判があった。日本での課税を避けるために、海外子会社の利益をそのまま現地に留保する傾向があるというのである。 ?このため、2009年4月1日以後に開始する事業年度について、外国子会社から受ける配当につき、その95%を益金に算入しないこととした。 ?これは、従来の日本の国際課税制度が全世界所得に課税するものであったことからの大きな転換だ。 ?これまでだと、どこで生産しようが結局は日本の法人税率が適用されるので、法人税率は企業の海外立地に中立的だった。 ?しかし、この制度だと、最終的にも、海外子会社が存在する国の法人税率が適用されることとなるわけである。したがって、日本と外国との法人税率の差を議論する必要がなくなる。 ?この制度の下では、法人税率の低い国に立地することが有利になる。このため、国際的な法人税率引き下げ競争を引き起こすことになる。また、日本国内で、いくら投資減税を行なっても、影響はない。 ?日本の大企業、とくに製造業の大企業は、生産拠点の海外移転を進めている。その結果、海外生産比率は上昇している。このようなトレンドを考慮すると、日本の法人税率を議論する意味が低下するわけだ。 ?図表1で見たように、日産の法人税等負担率はかなり低い。この大きな原因は、ここにあると言えるだろう。 欠損繰越制度をどう考えるか ?前回にも述べたように、「法人税等」の負担を見るべきか、法人税等調整額を含めた「合計額」で見るべきかは、簡単に答えが出ない問題である。 ?後者は企業会計上の概念である。法人税等調整額の中で大きな比重を占める繰越欠損金について言えば、赤字のときにそれに対応する還付金を受け取れなかったことの見返りである。仮に法人税が、数年間の利益を対象にしてかかっているのだとすれば、それがあるべき負担といえるだろう。しかし、それは、いわば仮想的なものに過ぎない。 ?実際に支払っている法人税はあくまでもb欄に示されているものだから、それを見るべきだとの立場はあるだろう。 ?しかも、個人所得税の場合には、原則として欠損の繰り越しは認められない。したがって、法人形態の事業と個人形態の事業で、税負担上大きな差が発生する。これから考えても、欠損の繰り越しを自明の制度として認めることはできないだろう。 ?以上のように、法人税負担の問題は、かなり複雑である。また、これまで検討したことの他、交際費、寄付金を議論する必要がある。 ?当面の結論としては、つぎの2つが言えよう。 ?第1に、実効税率という指標だけを用いて法人課税の重さを議論するのは大いに問題がある。 ?第2に、実効税率とここで見ている負担率の差をもたらす要因としては、租税特別措置よりは、利益に関する概念の違いが大きい。 ________________________________________ ●野口教授が監修された経済データリンク集です。ぜひご活用ください!● http://diamond.jp/articles/print/38352
「正の循環」が実現してこそデフレ克服 構造改革が金融緩和を補完する〜ベルウェザーシリーズ2013 2013年07月04日(Thu) JBpress エコノミスト・カンファレンス「ベルウェザー・シリーズ 日本〜成長の糧として:アジア金融の挑戦」の事後リポート最終回は、中曽宏・日本銀行副総裁を迎えた『日本銀行との基調対談』をお送りする。聞き手はエコノミスト誌アジア経済エディターのサイモン・コックス氏(5月30日開催)。
市場対話重視、オペの弾力運用スタート コックス カンファレンスに先立って、日銀が2%のインフレターゲットを実現できるかどうか、インターネットでの世論調査を実施しました。「成功する」と答えた人は62%、「2%に到達しない」と答えた人が38%でした。 中曽 今日の議論を通じて「62%」という数字をさらに引き上げたいと思います。15年間に渡って経験してきたデフレに終止符を打つことが、日銀にとっても、日本経済にとっても課題です。そういう認識のもと、日銀では4月に「量的・質的金融緩和」を導入しました。これは、従来の漸進的なアプローチとは異なるものです。 日本銀行副総裁の中曽宏氏(撮影:前田せいめい、以下同) 日本経済は今年半ばには緩やかな回復経路に戻り、生産・所得・支出の好循環が維持されるもとで、基調としては0.5%程度の潜在成長率を上回る成長を続けると予想しています。
こうした成長見通しのもとで、需給ギャップは、2015年度までの見通し期間の後半には、足元のマイナスから、2%程度までプラス幅が拡大するとみています。物価については、2015年度までの見通し期間の後半にかけて、「物価安定の目標」である2%程度に達する可能性が高いと考えています。 その過程で2つの課題があります。まず、債券市場については、マーケット参加者との対話を重視し、市場のダイナミクスを理解することがオペレーション(公開市場操作)成功の鍵となります。 先ほど(5月30日)、長期国債の買い入れオペレーションの運営の見直しを発表しました。買い入れ額は毎月7兆円強程度を基本としつつ、マーケットの状況を見ながら、オペの頻度を弾力的に従来よりも増やして実施できるようにします。この措置によって、過度な金利上昇やボラティリティを抑えることができ、安定した長期金利の形成に繋がると考えています。 2つめの課題は、「量的・質的金融緩和」の有効性を確保するためには、財政面での信認が維持されることが非常に重要だということです。1月に政府と日本銀行が共同声明を出した際に、政府は財政運営に対する信認を確保する観点から、持続可能な財政構造を確立するための取り組みを着実に推進すると明言しました。 政府はこの共同声明に則って今後も着実に取り組んでいくと確信しています。日本経済が持ち直しつつある現在は、課題を乗り越える好機であり、これを活かすことは私どもの重大なミッションであると考えています。 物価安定目標の達成は実体経済の改善を伴うべし コックス 仮にこれから2年間、構造改革が進まなくても、日銀は2%のインフレターゲットを達成できますか? 中曽 15年続いてきたデフレを克服するということ、そして、物価安定目標2%を達成し、景気を回復軌道に戻すことが私どもの使命であると考えています。
しかし、アベノミクスの残り2つの矢も不可欠です。なぜならば、3本の矢が合わさることで正の循環が起これば、景気が上向き、消費者物価指数が上がり、物価安定目標の達成がよりスムーズに進むことになるからです。 我々の言う「物価安定目標の達成」は、企業収益や雇用・賃金の増加を伴いながら実体経済がバランスよく改善することだと考えています。正の循環が実現した時に初めてデフレを克服したと言えると思います。したがって、構造改革は極めて重要です。これによって金融緩和策の効果を補完し、企業も家計も恩恵を受けることができるからです。消費も増えると思います。 コックス 構造改革が需要を抑制するなど、逆の効果をもたらすことはあり得ますか? 中曽 構造改革・成長戦略は、需要を喚起し、景気を刺激します。グローバル化や、国内的には少子高齢化で人口動態が変わるなど、経済を取り巻く環境は変化しています。構造改革によって、こうした状況に対応し、経済、国が変わることができる。3本目の矢である構造改革は、経済にとって刺激策になるものであり、需要を喚起する効果があると考えます。 長期金利は大きく跳ね上がらない コックス 将来を見通せる水晶玉があるとしましょう。「2年後、10年物の金利が2.5%」ということが見えたとします。これは、良いニュースですか? かえって不安を覚えますか? 中曽 私は残念ながらそんな水晶玉は持っていないので、何も見えません。ですから、長期金利を予測することも、コメントすることも控えたいと思います。 一般論ではありますが、長期金利はリスクプレミアムを含むものであり、国債買い入れは、リスクプレミアムを下げる効果を持ちます。この効果は、漸進的にパワフルになると考えられています。そして、長期金利の上昇圧力を相殺するものになります。つまり、私は、大きく長期金利が上がることは予想しておりません。 繰り返し申し上げますが、長期国債買い入れオペの運営の見直しが意図するのは、過剰なボラティリティを抑制し、それによって国債市場の安定性を回復することです。 白川前総裁体制下の教訓があってこそ コックス なぜ、日銀は今回打ち出した対策を10年前、15年前にやらなかったのでしょう? 中曽 リーマン・ショック以降、白川(方明)前総裁体制下の日銀は、厳しい環境の中で金融政策をしなければなりませんでした。それでも、日本の金融セクターをリーマン危機から分離し、日本の金融システムを守り、機能させ続けることができました。この点を過小評価してはいけないと思います。 確かに、デフレ脱却に関して目に見える結果が出なかった、資産の買い上げの量が十分だったか、など問題はありますが、しかし、こうした教訓を学んだことで、黒田(東彦)総裁は「量的・質的金融緩和」に踏み切ったとのだと思います。 コックス 「量的・質的金融緩和」を15年前に導入したら上手くいったでしょうか? 中曽 そのような仮定の質問にはお答えすることはできませんが、日銀は、これまでも、十分な金融政策は取ってきました。そして、今回も良い反応が得られていると思います。 http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/38145
JBpress>日本再生>日本経済の幻想と真実 [日本経済の幻想と真実] 異次元緩和の目指す「2年後に5%のインフレ」 消費税の引き上げと重複するインフレ目標は見直すべきだ 2013年07月04日(Thu) 池田 信夫 FRB(米連邦準備制度理事会)のバーナンキ議長が6月19日に「出口戦略」に言及したことで、アメリカの金利やドルが上がり始め、約1カ月ぶりに1ドル=100円を回復した。出口戦略とは、今までFRBが拡大してきた量的緩和を縮小するということだ。 といってもすぐ資産を売却するわけではなく、今年の秋あたりから徐々に資産買い入れのペースを落とし始めると見られている。それだけのことが世界経済を動かすほど、出口戦略というのは難しい。金融緩和は誰でも歓迎するが、それをやめることは政治家がいやがるからだ。 金融を引き締めた「異次元緩和」 他方、日本銀行の供給するマネタリーベース(現金・日銀当座預金)の6月末残高は、173兆円と過去最高になった。5月末には159兆円だったので、1カ月に14兆円も増えたことになる。 これは日銀の黒田東彦総裁が当初言っていた「毎月5兆円」というペースをはるかに超えるペースで、このままではマネタリーベースは「2年で2倍」どころか、1年で2倍になってしまう。 それによる緩和効果は出ているのだろうか。日銀がこれだけ大量に国債を買っているにもかかわらず、長期金利(10年物国債)は0.9%に乗せた。これは日銀が買う以上に民間が売っていると考えるしかない。 「異次元緩和」は、金利を引き上げて金融引き締めになっているのだ。では黒田氏の目標とする物価はどうなっているだろうか? 消費者物価指数(全国・%)、出所:総務省 黒田氏は「2年で2%の物価上昇」という目標を掲げたが、図のように消費者物価指数(CPI)は5月も−0.3%のデフレだった。生鮮食品を除く「コアCPI」はゼロだが、これは電気代の値上げ(8.8%)があったためで、エネルギー価格を除くCPIでは、やはり−0.4%のデフレである。
このまま原発を止め続けると、化石燃料のドル建て価格がさらに上がり、輸入インフレが起こるだろう。それで誰がうれしいのだろうか? 黒田氏の重視している予想インフレ率も一時は2%近くまで上がったが、その後は1.3%まで下がってしまった。これはインフレのように見えるが、2014年4月には消費税が3%ポイント上がる予定なので、それを含めると「デフレ予想」である。 まだ黒田総裁になってから3カ月だから、そうすぐに成果を求めるのも酷かもしれないが、今のところ異次元緩和の効果は、長期金利を引き上げて住宅ローン金利や長期プライムレートが上がった金融引き締めだけである。 始まった事実上の財政ファイナンス 黒田総裁は「インフレで名目金利が上がるのは当然だ」という一方で「長期金利を抑制する」という矛盾した話をするため、市場は混乱して長期金利は乱高下を繰り返し、一時は1万6000円に迫った日経平均株価も1万2000円台まで暴落した。最近は円安のおかげで1万4000円まで回復してきたが、緩和のメリットは見えない。 起こったことは、不安定になってリスクの高まった国債市場から民間の機関投資家が逃げ出し、その穴を日銀が埋める、事実上の財政ファイナンスである。 日銀が買い続ければ金利上昇は収まるが、簡単に売ることができない。「日銀が国債を売る」という噂が出ただけで相場が暴落するからだ。つまり金利が上昇局面になったとき、市場に影響を与えないで撤退する出口戦略が必要なのだ。 しかし黒田氏は国会で「出口戦略を考えるのは時期尚早だ」と明言した。彼の目標とする270兆円も資産を抱えてから、どういう出口戦略があるのだろうか。 「2年後に5%のインフレ目標」は見直すべきだ 日本の1%以下という長期金利は、デフレによる異常な水準であり、いつまでも続くとは考えられない。世界的に金利が正常化する過程では、邦銀や生保が大きな評価損をこうむる。 日銀の金融システムレポートによれば、メガバンクは国債の残存期間を短縮しているが、地方銀行・第二地銀・信用金庫・信用組合などは貸出先がないので長期の国債を持っており、長期金利が1%ポイント上がると全国金融機関で約9兆円の評価損をこうむる。 長期金利が上がると日銀も大きな評価損を抱えるが、売ることは難しいので、インフレを避ける方法は短期金利の引き上げしかない。しかし15年近く続いてきたゼロ金利をやめて短期金利が上がることに対しては、政治家が日銀に圧力をかけるだろう。 そのまま利上げもできず、民間の売り逃げる国債を今のペースで日銀が買い支えると、200兆円以上の国債を抱えることもありうる。これが5%値下がりしただけで、日銀は債務超過になる。日銀の自己資本は5兆7000億円しかないからだ。 中央銀行が債務超過になるというのは先進国では考えられない事態であり、何が起こるかは分からない。政府が資本注入することはできるが、通貨の信任が失われ、通貨価値がコントロールできなくなるおそれもある。 そこまで破局的な状況にならなくても、2015年4月には消費税率が5%ポイント上がるので、CPIは3%以上あがると予想されている。それと同じ時期に2%のインフレ目標を設定するということは、実質的には5%以上のインフレを目指していることになる。 そもそもインフレ目標というのは「CPIが2%上がるまで金融緩和を続ける」という目安であって、2年という期限を切って達成するものではない。少なくとも消費税率の引き上げと同時にインフレを起こす現在の「質的・量的緩和」のスケジュールは見直すべきだ。 http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/38157
中国経済ハードランディングのリスク ジャンボジェットの墜落を回避できるか? 2013年07月04日(Thu) Financial Times (2013年7月3日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 中国の有人潜水船、水深4027メートル達成 中国経済は長年急成長を続けてきただけに、減速をマネージするのが難しい〔AFPBB News〕 中国の新指導部は、経済運営で最も難しい操作の1つに数えられる任務に取り組んでいる。すなわち、飛行中の経済を減速させることだ。 最近では中国当局が「シャドーバンキング(影の銀行)」の制御に乗り出すなど、数々の困難が以前よりも明らかになっているが、これはもっと大きな問題の一部に過ぎない。 大きな構図とは、減速している経済が墜落するかもしれないリスクだ。実際、市場メカニズムを頼りにしたいという新指導部の意向は、このリスクを一段と大きくする。 ジェローム・レヴィ経済予測センターのデビッド・レヴィ氏は先日発表したリポートの中で、中国の失速速度*1はどれくらいなのか、という重要な疑問を提起した。一般には、中国が向こう10年間で経済成長率を10%から、例えば6%に引き下げるのは容易なことだと考えられている。 列車であれば、減速してもレール上を走り続けるが・・・ ただ、そこには1つの想定が暗黙のうちに織り込まれている。「急拡大している経済は高速で走っている列車のようなものだ。制御レバーを緩めれば減速する。そしてしばらくはそのまま、以前ほどの速度ではないがレールの上を走り続ける」という想定だ。 だが、レヴィ氏は、中国は列車よりもジャンボジェットに似ているという。「ここ数年はいくつかのエンジンの調子が悪く、パイロットは、調子のいい残りのエンジンを酷使したくないと思っている。そのため飛行機の減速を容認しているが、あまりに減速し過ぎると失速速度をも下回り、飛行機自体が墜落してしまうだろう」 中国では2008年以降、純輸出が経済の牽引力ではなくなった。その穴を埋めたのは投資で、2009年は特にその色彩が強かった。そのため国内総生産(GDP)に占める投資支出の割合は、2007年でも42%というかなりの高率だったが、2010年には48%という驚嘆すべき水準に跳ね上がった。 この投資のエンジンを稼働させたジェット燃料は爆発的な信用の拡大で、2009年には貸し出し残高が年率で30%近い伸びを記録した。政策は大成功を収めた。だが、純輸出の急拡大が過去のものとなった今、中国政府当局は、信用を燃料とする投資への依存度を引き下げたいとも考えている。従って中国経済には、民間部門と公的部門の消費というエンジンが残るだけとなっている。 *1=それ以上遅くなると飛び続けられなくなる速度のこと 実際、成長に対する需要の寄与度の四半期データからは、求められている経済成長の減速が、これまでのところは見事なほどスムーズに進んできた様子がうかがえる。しかし、年率6%成長への移行の前には、まだ大きな壁が立ちはだかっている。 年6%成長への移行が難しい理由 第1に、在庫投資は急減するに違いない。在庫投資の水準は経済活動の水準ではなく、経済の成長率に左右されるからだ。考えてみてほしい。景気が低迷している時には、通常、在庫の積み上げはゼロになる。また、ほかの条件がすべて同じであれば、成長率が6%の経済で必要とされる在庫投資は成長率が10%の経済のそれの60%にとどまる。 この調整は即座に在庫投資を急減させるだろう。在庫投資の伸び率は年6%になる前に、いったん大きく低下することになる。また、高度成長を何年も続けてきた後だけに、企業は経済の減速を予想できないかもしれない。その場合、企業は在庫の急増を目の当たりにし、その圧縮を余儀なくされる。そうなれば、GDPの水準は一段と落ち込むことになる。 第2に、固定資本への投資も急減するに違いない。投資は40%減少することになるかもしれない。ほかの条件がすべて同じであれば、中国で固定資本への投資が40%減ればGDPは20%減少するだろう。深刻な(そして予想外の)景気後退が引き起こされることは明らかだ。 投資の決断を下す責任者たちは経済成長率がいずれ10%に戻ると見込み、迅速な調整をしないかもしれない。その場合、経済はしばらくの間下支えされることになるだろうが、過大な生産能力がさらに過大になるという対価を払うことになる。在庫投資の場合と同様に、固定資本への投資はそこからさらに大きく減少するだろう。 第3に、投資減少が引き起こす需要と活動の減退は、企業収益も大きく下振れさせる可能性が高い。利益の減少は企業の支払い能力を損ない、投資を一段と減少させる。最後に、経済成長率の低下、特に極めて大きな信用ブームが先行した成長減速は、バランスシートの状況に思いのほか厳しい影響をもたらす可能性がある。 経済の構造そのものが大きく変わる 中国の民間部門は既に、比較的大きな債務を抱えている。経済が年間10%のペースで成長し続けるのであれば、そうした債務は管理可能だ。それほどダイナミックな経済では、新規プロジェクトのタイミングは問題にならない。 だが、成長ペースが鈍い経済では、不良債権の急増はとてつもない規模になる可能性がある。 世界銀行の最新の「世界経済見通し」は「リバランスに向けた現在の取り組みは、持続不能なほど高い投資比率の漸進的低下を成し遂げることと並び、今後も優先事項であり続ける」と論じた。だが、「投資が不採算であることが分かれば、既存のローンの元利払いに問題が生じる恐れがあり、不良債権の急増を引き起こす可能性もある」としている。 たとえ政府が金融セクターを救済したとしても、貸し出しの責任者は間違いなく以前より慎重になるだろう。当局が最近対応に動いた簿外金融の拡大が、この問題への対処を一層難しくするのは必至と見られる。 上記の事実をもって、中国が中長期的に先進国に追いつくキャッチアップ型成長を続けられないと言っているわけではない。重要なポイントはむしろ、年間6%のペースで成長する経済の構造は必然的に、10%成長する経済のそれとはかなり違ったものになるということだ。 こうした調整が成長率の変化に釣り合ったものになると思ってはならない。反対に、新たに出現する経済は、GDPに占める消費の割合が例えば65%で、投資の割合がたった35%かもしれないのだ。つまり、GDPの伸び率と比べ、消費はかなり早いペースで拡大しなければならず、投資ははるかにゆっくりと拡大する必要がある。 このことは、異なる所得配分を意味する。GDPに対する家計可処分所得の割合が今よりずっと高まり、企業の利益の割合が低下するということだ。また、経済生産の構造の変化も必要で、サービス産業が比較的急速に成長し、製造業が比較的ゆっくり成長する形にならなければならない。 着陸しようとしているジャンボジェットを再設計 中国の新政府は今、事実上、半分のエンジンがうまく機能しない状態で着陸しようとしている時にジャンボジェットを設計し直す任務に取り組んでいる。市場がそれほど大きな変化を円滑にもたらすことは、まずあり得ない。 筆者の見る限り、中国が望み通りの着陸を果たせると考える唯一の理由は、当局が過去に困難な任務をたくさん扱ってきたことだ。だが、今回の任務は非常に難しいものになる。政府は需要を支えるために、新指導部が望んでもいなければ今は予想もしていないこと(例えば、非常に多額の財政赤字を計上するなど)をやらざるを得なくなるかもしれない。だが少なくとも、事前に警告があれば、事前に準備できる。 By Martin Wolf http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/38151
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