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3Dプリンタは黎明期であり、その社会的存在意義以前に生産技術としての存在意義も手探りの状態にある。
中国のコンサルは、大量生産の対局にある生産の仕組みとして3Dプリンタを考えているようだが、3Dプリンタは、大量生産システムのなかでも活かせるし、生産のローカル化及び個別化という新しい社会的意義性でも活かせるものである。
3Dプリンタ市場を制するものは、3Dプリンタそのものの製造技術というより、新素材と同じで3Dプリンタの活用法を深く広く理解するものであろう。
中国のコンサルは、3Dプリンタの普及が日本にも不利に作用するとし、日本の研究者の中にもそのような見方をする人もいるようだが、日本は、生産設備製造技術・ナノテク・材料工学・製造技術などに優れており、3Dプリンタの存在と普及を自分たちによって有利なものにしていくだろう。
危惧のネタとして書かれている金型技術にしても、3Dプリンタでなくなるのではなく、3Dプリンタの活用によって納期短縮や製造工程におけるポジションの変容が図られることになるという話である。
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3Dプリンタの発展 中日の悩みの種に?
3Dプリンタ業界が近年、全世界で大きな技術革新の波を呼んでいる。3Dプリンタ技術は米国が先駆者であり、成熟した技術と良好な環境を持つ。賽迪顧問(CCIDコンサルティング)の李珂副総裁はこのほど、第6回中国開放フォーラムの「3Dプリンタ技術・製造業発展フォーラム」において、「米国の3D systems社とStratasys社が、世界の60%の市場シェアを占めている。またオーストラリア、南アフリカ、日本も各自の3D産業発展計画を持つ。しかし中国の3Dプリンタは、現在も依然として開拓段階にある」と指摘した。環球時報が伝えた。
◆産業チェーンの分業化の遅れ
全体的に見て、3Dプリンタ業界の産業規模は限られており、産業チェーンの分業が形成されていない。プリンタの原材料から機器、消耗材、設計プランに到るほぼすべてが、同じ3Dプリンタ企業によって解決されている。李副総裁によると、3D systemsのプリンタ・原材料・設計プランの売上高は、ほぼ1:1:1であるという。3Dプリンタ市場が将来的に、伝統的なプリンタ産業と同じく、原材料の利益が機器そのものをD上回るかについては、今後の経過を見守る必要がある。李副総裁は、「3Dがビジネスモデルの変化をもたらし、3D企業は将来的に、消耗材および型のダウンロードにより利益を創出する可能性がある。エンドユーザーは3Dプリンタを無償で手に入れ、ネット上で毎日更新される玩具などの型を、いつでもダウンロード・プリントアウトできるようになるかもしれない」と予想した。
米調査会社Wohlers Associatesは、3Dプリンタの世界市場規模は、2021年に2012年の5倍となる108億ドルに達すると予想した。2012年の3Dプリンタ市場規模は、前年比29%増となった。特に航空・自動車・医療を中心とする企業の導入意欲が高く、これらの企業では3Dプリンタの市場規模の成長率が過去3年の平均(27%)を上回っている。
◆一般消費者市場の拡大
CCIDコンサルティングは2013年に発表した「中国3Dプリンタ発展の現状およびすう勢の戦略研究」の中で、「3D systemsとStratasysは世界最大の3Dプリンタ企業だ」と指摘した。3D systemsのCEOであるAbe Reichental氏は、「当社の主要業務はプリンタの販売、印刷原料、印刷サービスの提供だ。当社には二つの将来性がある。一つ目は実体製造業であり、実際に当社のプリンタの半数は製造メーカー向けに販売されている。二つ目は消費者で、3Dプリンタの価格低下に伴い(同社のプリンタの価格は1−3万ドル)、小中学校と家庭が3Dプリンタの潜在的な購入者となっている」と指摘した。同社のCMO(最高マーケティング責任者)のCathy Lewis氏は、「3Dプリンタ技術発展の最初の20年間で、50万−100万人が3Dプリンタ技術を直接使用した。今後の10年間で、1億人から数十億人が直接使用できるようになればと思う」と述べた。Stratasysの会長のScott Crump氏は、「当社はMaker Bot社の買収後、単価5000ドル以下の3Dプリンタを発売し、一般消費者市場を開拓する」と述べた。
◆3Dプリンタの発展、中日の悩みの種に
米国が昨年3Dプリンタを11種類の重要技術の一つとし、NAMII (National Additive Manufacturing Innovation Institute:全米積層造形イノベーション機構) を設立すると、世界が3Dプリンタの概念をこぞって伝えるようになった。昨年下半期から現在まで、中国の企業界および政府は、3Dプリンタに対する注目度を高め、投資を拡大している。しかしながら多くの専門家は、中国のこの措置は盲目的な追随であると指摘した。「誰もが3Dプリンタを持つ」という楽観的な市場予想は、確かに中国企業にチャンスをもたらすが、中国企業が同業界で直面している課題も無視できない。3Dプリンタ業界は現在「大企業と大企業の提携」という統合段階にあり、StratasysとイスラエルのObjet社の合併もその良い一例だ。同業界での発展が遅れた国にとっては、市場進出のハードルが引き上げられている。
3Dプリントソフト、3Dプリント出力の開発を専門的に手がけるベルギーのMaterialise社のウィム副会長は、「すでに3Dプリンタを開発し、サービスを提供している中国企業があるが、材料とソフトの開発を専門的に手がけている企業はほとんどない。欧米は材料・ソフト開発面で多くのコア技術を把握しており、中国企業は高品質の製品の製造に専念するべきだ。これは最高級の設備の他に、材料科学技術、ソフト開発、優れたデザインが必要とされ、その一つでも欠けてはならない」と指摘した。
中国は世界最大の製造センターであり、大規模製造による低コストを強みとしている。李副総裁は、「3Dプリンタが市場で普及すれば、中国の製造業にとって深刻な脅威となる」と語った。日本にも同様の懸念が存在する。日本の某大学の教授は、「3Dプリンタについて、日本はどの国よりも困っている。日本は金型の製造・生産などで、先進的な技術と経験を積み重ねているからだ。これは日本がかつて世界の製造業を制覇した時の重要な基盤であり、メイド・イン・ジャパンが世界中で高い評価を獲得している重要な要素だ。しかし3Dプリンタにより、日本が数十年に渡り蓄積した金型製造技術の優勢が失われていく可能性がある」と説明した。
3Dプリンタはさらに、多くの業界の知的財産権を損ねる恐れがある。例えば工業デザイン企業が新製品を開発した場合、3Dプリンタ企業は同製品の型を作りオンライン上で公開することが可能だ。李副総裁は、「3D業界の発展後、知的財産権の侵害、特に外観デザインなどのトラブルが急増するだろう。将来的に、政府・業界の規範化と管理が必要になる」と述べた。(編集YF)
「人民網日本語版」2013年7月2日
http://j.people.com.cn/94476/8306600.html
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