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2013年 7月 02日 19:27 JST 銀行間金利をめぐる中国当局の失敗の裏側 記事 原文(英語)By LINGLING WEI, BOB DAVIS 【北京】中国の資金ひっ迫が世界の投資家を揺るがした1カ月間における同国指導部の行動を垣間見ると、中国経済の方向性を転換する取り組みやその意図を市場に伝えることに苦戦する状況が浮き彫りになる。 中国人民銀行は過去2週間にわたり金利の急上昇を招いたキャッシュ不足を引き起こした。これは中央銀行では制御不能とみなした信用成長をめぐって他に手段はないと感じた上での動きであったことをウォール・ストリート・ジャーナルが閲覧した内部文書は示した。 画像を拡大する Xinhua/Zuma Press 中国人民銀行(中央銀行)の周小川・総裁 しかし、中国の中央銀行は、このことを明確にしなかったことでグローバル市場に不安が広がることに不注意にも貢献してしまった。それは、中国の需要減少を受けて一部の外国資本がすでに距離を置き、そして、米連邦準備制度理事会(FRB)が世界のキャッシュフローの方向性を見直している時期と時を同じくして起きた。 その後の混乱では、中国の大手銀行がデフォルト(債務不履行)に陥ったとの観測も浮上した。中国の指導部は、市場の臆測や、この問題についてあまりに攻撃的と当局がみなすメディア報道を原因にあげた。一方、失策の一因は中央銀行やこれを統括する上級高官の要領を得ない対応にあり、内外の市場がその行動をどう解釈するかを予期する上での経験不足が露呈された、と述べる批判派もいる。 「政策面で最も優れた意図をもってしても、中央銀行は透明性や明確な見解に乏しければ市場に混乱を巻き起こすことも可能だ」。コーネル大学の中国専門家、エスワール・プラサド氏はこう話す。 中国は金融政策の変化を示す上で苦戦する唯一の国ではない。市場の期待は、はるかに経験の豊富なFRBに対しても厳しく、バーナンキFRB議長による量的緩和策の縮小の可能性への言及が世界の市場の急落につながった後、当局は1週間にわたり市場を落ち着かせるよう取り組んだ。 しかし、こうした懸念は秘密主義の染みついている政府と政党にとって新しい領域だ。過去2週間の出来事をめぐる背景状況は、信用急増への対策に戸惑う指導部を浮き彫りにした。指導者らはニュースリークで自ら作り上げる支援をした、この問題への反応の一部に最終的には非難の矛先を向けている。 馬凱・副首相は中国4大国有銀行の1行、中国銀行(3988.HK)(601988.SH)にかかる支払い不能の市場観測について調査を命じた、とこの調査に詳しい関係者は述べた。これは、指導部が6月20日に山場を迎えた市場の混乱の発生源をめぐって糸口を求めていることを示す可能性がある。 6月上旬以来、人民銀行は中国の銀行に対し、影の銀行を回避して融資するよう促した。信託会社や質屋、リース会社などこうした非公式な多様な集団による貸し出しは、すでに減速している経済を一段と圧迫している、とエコノミストらは見ている。 これを達成するために、中央銀行は銀行間市場への資金注入を見送り、実質的に銀行の腕をねじり上げることで貸し出し慣行の見直しを余儀なくさせようとした。 画像を拡大する 左:対GDP比で増え続ける中国国内の信用取引(黄色が野村証券、赤色が中国人民銀行の試算による)/右:中国の銀行間取引金利の動向 6月20日には、中国の指導部は信用引き締めが制御不能になることを恐れた。銀行間の借入金利にあたる翌日物金利はこの日に最大30%をつけた。上海では中国銀行が他行への支払いを不履行にしたとのうわさが広まり、午後6時前後には21世紀経済報道のウェブサイトにデフォルト疑惑の記事が報じられたことでその信ぴょう性をめぐる臆測が一段と広がった。同紙によると、中国銀行は午後にデフォルトを起こし、「資金不足のために取引を30分遅らせた」という。 午後8時前後には、中国銀行が否定声明を発表し、デフォルトは発生しておらず、その日のすべての外的支払いを「適時」完了したと述べた。 同行はまた、「うわさをでっち上げ、流布した機関や個人」に対して法的行為を追求する権利を有する、と述べた。 中南海の中国の指導部にとってはこれでも不十分だった。経済畑のベテランで中央銀行を管轄とする馬副首相は、中国の公安当局に調査開始を命じた、と事情に詳しい関係者は明らかにした。「(調査の)焦点はこのうわさがいかにして始まったかにある」と関係者の1人は述べた。今後何らかの行動につながったりするのかどうかは不明だ。 同時に、共産党の中央宣伝部は中国のメディアに対し、その報道に「キャッシュクランチ」「不十分な流動性」などの文言を活用しないよう命じた、と複数の中国メディア幹部は明らかにした。 中国公安省、国務院、中国銀行、21世紀経済報道、宣伝部の広報担当者はいずれもコメント要請に応じなかった。 2009年以来、中国の国内債務の急速な伸びは米国や欧州、日本、韓国でリセッション(景気後退)を引き起こした信用バブルに類似する様相を示している。今年の春には中央銀行や銀行当局が規制強化に乗り出したものの、これは成果に乏しい。1-5月の国内信用の広義の指標である社会融資総量は前年同期比52%増となった。 これまで未公開だった先月19日の人民銀行内部会議の要旨によると、中央銀行は特に、6月月初から10日までの中国の銀行による融資が1兆元(16兆2000億円)と「歴史上見られなかった」額になったことを警戒した。この金額の70%近くは、有望な企業やプロジェクト向けの融資ではなく、銀行の財務諸表に示されない短期債が占めたが、これは銀行にとって規制上の融資制限を免れることを容易にするものだ。 この要旨によると、人民銀行は銀行の行動について、「一部の銀行が景気減速をふまえて政府が刺激策を打ち出すと考え、こうした動きに備えた」ことを意味すると解釈した。中国郵政儲蓄銀行、中信銀行(0998.HK)(601998.SH)、中国民生銀行(1988.HK)(600016.SH)、平安銀行(000001.SZ)など複数の銀行が名指しで批判の対象になった。 各行はコメントを控えたほか、人民銀行の広報部門の高官もコメントを避けた。 会議は人民銀行の貨幣(金融)政策部門を率いる張暁慧氏が主催したもので、銀行は問題に陥るたびに人民銀行を頼るべきでないほか、中央銀行は成長鈍化にかかわらず金融緩和策を講じることはないと同氏は述べた。「緩和も引き締めもない」。 その日遅くには、人民銀行の判断は国務院(内閣)に批准された。会議後に国務院は資金供給を「適切な」水準に維持すると述べた一方、銀行のより多くの現金を「戦略的台頭産業」を含む好ましい借り手への融資に向けるよう促した。国務院のメッセージに含まれた重大な要素の1つは、政府の目標は市場の安定化にある、との文言が盛り込まれなかったことにある。「これは政府が講じていた調整を継続するとの兆し」であり、刺激策の期待に屈するものではなかったと北京大学の有力シンクタンクの幹部、ルー・フェン氏は語った。 銀行にメッセージが伝わらないことを警戒した人民銀行は、一部の銀行を招集する一方で、資金提供を拡大した。中央銀行のメッセージは「ここにもっと資金がある。しかし、賢明に使うように」というものだったと会話について詳しい銀行幹部の1人は述べた。 それまでには人民銀行は、取り組みが制御不能となったことで批判を受ける一方、ひるむことなく信用引き締めを続けるとの懸念を和らげることに動いていた。先週前半の3日間にわたり、中央銀行は中国の金融システム全体の流動性は依然として潤沢で、一部金融機関に資金を注入したほか、必要に応じてこれを続けると述べていた。 それでも、中央銀行の行動は数日に及び、投資家を速やかに落ち着かせるにはいたらなかった。中国株は24日にほぼ4年ぶりの安値をつけ、アジア全般の株式・商品市場の下げに寄与した。 国務院の次の会議が行われた26日には、当局は市場の期待を「安定化」しなくてはならないとの文言が復活した。これらの文言は前週の声明には盛り込まれていなかった。 中央銀行や国務院の動きは中国の銀行間市場の指標借入金利の低下につながり、7日物レポ金利は20日引けの11.62%から1日には5.45%にまで低下した。それでも、6月以前のレンジ3%〜4%を依然として上回っており、アナリストらは、銀行に貸し出し慣行の見直しを促す警告の意味もあって高止まりすると予想した。 「ある面では、金融機関に適切な信用成長を維持するよう指導する」と中国人民銀行の周小川総裁は先週上海で開かれた金融フォーラムで述べた。「一方、われわれは総じて市場の安定性を保つための市場流動性を調整するさまざまな手段を常に検討する」。 中国政府がこの計画に固執するかは中国の経済動向次第になる、とアナリストらは見ている。1-3月期(第1四半期)の中国の国内総生産(GDP)は7.7%成長にとどまり、世界的な金融危機以来では最低の水準に落ち込んだ。中国は15年連続で年間目標を上回る成長を達してきたが、今年は7.5%の目標を逸すると予想するアナリストも複数出ている。 バークレイズは最近、特に弱気になった。「下方シナリオの確率が高まる中」、中国のGDP成長率は今後3年間で3%弱にまで減速する可能性があるが、こうした「ハードランディング」の事態からは経済改革が承認を受けることで「劇的な」反発が見られるだろうと述べた。 http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887323751804578581131522351560.html
http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887323751804578580863990681342.html 2013年 7月 02日 16:20 JST 集中攻撃を浴びる新興国市場 • 記事 原文(英語)By • ALEX FRANGOS IN HONG KONG AND PATRICK MCGROARTY IN JOHANNESBURG トルコからブラジル、中国などに至る新興諸国は、経済の減速に伴い、投資家による資金の引き上げ、商品相場の急落、反政府派による抗議活動といった厳しい事態の数々から打撃を受けている。こういったことはすべて、新興国市場が難しい投資先になり得ることをあらためて示している。 いわゆる新興国市場と呼ばれる国からの資金の流出は、このひと月でそのペースが速まった。米国経済が回復するに連れ、世界的な金融緩和の時代が終わりに近づいているとの見方が一部投資家の間に生じたのがきっかけだった。
Reuters リオデジャネイロの抗議活動 中国では、中央銀行が誘発した信用収縮で同国経済の一段の減速への懸念がさらに強まり、それが他の国ヘも広まった。流動性の危機は1日には和らぐ兆候を示したものの、同国の生産高の統計が軟調だったため、市場心理はさらに暗くなった。 新興諸国の債券投資信託からの資金流出は先週、その前の週の2倍を上回る60億ドル近くに達した。調査会社EPFRのデータによると、この5週連続の資金流出は2009年以降で最大規模だ。ただ、今年の純流入額は100億ドル付近で、まだプラスの領域にある。これは直近の下落以前の資金流入がいかに堅調だったかを示している。 「4月の時点では、新興国の市場は最高だった。ところが2週間前、こういった市場は有害になっていた」と話すのは、アシュモア・インベストメント・マネジメントでリサーチの責任者を務めるジャン・デーン氏だ。新興国市場を専門とする同社は777億ドルの資産を管理している。 新興諸国にとって、これは完全な反転だ。金融危機の際には新興諸国の成長が欧米経済の弱体化の相殺に一部寄与した。この4年間、より有利な利回りを求めて、投資家は新興国市場に資金を注いできたからだ。 主要金融機関の業界団体である国際金融協会(IIF)によると、09−12年に新興国市場へ流入した民間資本は4兆2000億ドルだった。これは東京証券取引所に投資された総額を上回る。 これらの市場からの流出額は08年の金融危機の最中の水準にはまだ達していないものの、市場心理がさらに悪化するのに伴い、資金は流出し続けるとみられている。 新興国市場の資産のまとまった売却は、一部投資家に過去のパニックを思い起こさせることになった。米金利の上昇が諸外国の経済と政治の混乱の引き金になったり、また、それを悪化させたりしたときのことだ。1994年のメキシコの債務危機や97年のアジア通貨危機などがそうだ。アジアの通貨危機は東南アジアから韓国、ロシアに至るまで拡大した。 ただ、現在の状況があらたな世界的パニックに変化するとの見方はほとんどない。現在の新興国市場は少数の例外を除き、経済的なショックに耐える体力が以前よりもあるためだ。新興諸国は外貨準備高を積み上げているほか、97年のアジア通貨危機をあれほど深刻にさせた主因となった外貨建て債務への依存度も以前より低い。 画像を拡大する 債務の水準はここ数年、特にアジアで上昇したものの、銀行は十分に資本を増強している。また、先進諸国と違い、新興諸国の債務負担は比較的軽く、景気低迷を公共投資で補強する体力がある。 ロンドンを拠点とする調査会社キャピタル・エコノミクスによると、新興国の経済は第2四半期に全体として4%前後の成長率となる可能性が高い。09年以降で最も低い水準であるほか、この10年間の7%に近い平均値を下回っている。 HSBCのホンビン・クー氏のようなかつては強気だったエコノミストらは今、中国の今年と来年の成長率は7.4%という低い水準になると予想している。この10年の間には、成長率10%という速いペースを示したこともしばしばあった中国の大きなシフトダウンだ。 中国経済の減速の影響は掘削設備のメーカーや、チリの銅鉱山、インドネシアの炭鉱といった天然資源の供給業者などにも飛び火している。 中国はブラジル最大の貿易相手国であり、鉄鉱と原油相場の下落は西半球第2位の経済大国の成長が貧血気味になる一因となった。ブラジルの株式市場は今年、22%下落し、通貨レアルの相場は10%近く安くなった。 インドでは経済政策が停滞するなか、景気が低迷している。頑固なインフレと膨れあがる財政赤字が成長を妨げてきた。通貨ルピーは6月、対ドルで過去最安値を付けた。 欧州の軟調な成長に苦しむトルコの市場は、米連邦準備制度理事会(FRB)による金融緩和政策の出口についての言及から打撃を受けた。イスタンブールの中心部にある公園を取り壊すという議論の多い計画に端を発した政情不安も一因だ。トルコの株式指数は前四半期に11%下落した。また通貨リラは同じ期間、対ドルで9%下落した。 南アフリカ経済は労働者のストライキや軟調な金相場に苦しんでいる。通貨ランドは今年、対ドルで20%下落し、すでに手に負えなくなっているインフレ問題を悪化させているほか、景気刺激策のために金利を引き下げるという中央銀行の能力を奪っている。 新興諸国市場からの資金の引き上げは最終的に、アフリカで決定的に必要とされているインフラ開発のための信用供与を止めることになりかねない。ザンビア、ルワンダ、タンザニアなどアフリカの一部の国は新興国市場のブームを利用し、一部の先進諸国よりも低い金利で国際市場で資金を調達してきたからだ。
2013年 7月 02日 12:46 JST 輸出産業として蘇った米自動車業界=ドル安や労働コスト低下で By CHRISTINA ROGERS AND NEAL E. BOUDETTE 【メアリーズビル(米オハイオ州)】4年前にはぼろぼろだった米国の自動車産業は、ドル安や労働コストの低下を受けて輸出産業としてよみがえり、専門家は今後長期にわたりこの勢いが続くと予想している。 自動車産業の転換を示す一例として、ホンダは2014年末には北米からの輸出が日本からの輸出を上回る見込みであると明らかにした。米商務省国際貿易局によると、12年の米国の自動車工場からの自動車・小型トラック輸出台数は100万台を越え過去最高に記録するともに、2003年の3倍以上に達した。 米国で生産された車の北米以外への輸出台数 労働コストの低下や、非生産的な工場の閉鎖などの再編により、米国の自動車工場の国際競争力は改善し、メーカーの中には新興市場向け拠点として、米国での生産を考えるところも出てきている。クライスラーは、14年末には北米以外向けの輸出台数を年間最大で50万台と、12年の21万台から倍増以上にする方針である。クライスラーのジープ部門のマンリー最高経営責任者(CEO)は、「国際市場に力点を置くようになった」と同社の変貌ぶりを語る。
もちろん、米国の自動車貿易額は依然として輸入の方が輸出より多く、12年の貿易赤字は1055億ドルで、輸出は510億ドルにとどまっている。それでも、米国の貿易赤字全体に占める自動車の比率は14.5%で、1987年の22%から大きく低下している。 ホンダのメアリービル工場の品質部門の責任者であるジュン・ジャヤラマン氏は、「アコード」の生産ラインで白いセダンのヘッドライトを軽くたたきながら、「これはロシアに輸出される」と話した。 ホンダほど大胆な転換を計画している企業はほとんどない。同社の昨年の北米からの輸出は9万台だったが、工場の拡張やドル安に乗じて、これを年間20万台超に拡大する計画だ。ドルは今年に入って上昇し1ドル=99円台となっているが、それでも2007年の120円に比べれば大幅なドル安となっている。 米国産乗用車の輸出ブームは、クライスラーとゼネラル・モーターズ(GM)が4年前に経営破綻したことの副産物という面もある。採算の合わない工場が閉鎖されたところにドル安が加わって、米国産車の国際競争力が高まった。両社の労働協約が経営破綻を受け見直されたことも、復活に寄与した。両社は、数千人の労働者を時給14ドルで雇用した。これら新規労働者の賃金は、ベテラン労働者の約半分。経営破綻しなかったフォードも、同様の条件で全米自動車労組(UAW)と新協約を締結した。 米自動車研究センターによれば、米国の自動車労働者の平均コスト(賃金・手当)は11年には時間当たり38ドルで、ドイツの60ドルを大きく下回った。日本は37ドルだった。時間当たりコストの2007年比の上昇率は、米国がわずか3ドルにとどまったのに対し、ドイツは14ドル、日本は12ドルだった。これが、日独のメーカーに対し米国工場からの輸出拡大を促す一因となった。 BMWは昨年、サウスカロライナ州工場の生産台数30万1515台のうち約70%を輸出に回した。ダイムラー傘下のメルセデス・ベンツは、アラバマ工場で生産された18万台のうち同じく70%前後を輸出した。トヨタの12年の米国からの世界向け自動車・トラック輸出は12万4000台と、11年の8万6000台から大幅増加した。 http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887323751804578580570348701476.html |