02. 2013年7月02日 19:45:31
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FRBに新たな難題、予想より速い失業率低下で市場は困惑も 7月2日(ブルームバーグ):世界の大手銀行5行のエコノミストによると、米国の失業率は10−12月(第4四半期)に7%程度に低下する見通しで、米連邦準備制度理事会(FRB)の債券購入プログラムをめぐって、投資家の困惑をさらに招くことになりそうだ。 バーナンキFRB議長は先月、失業率 が「7%近くになる可能性が高いであろう」来年半ばごろに資産購入を停止する可能性を示した。これに対し、三菱東京UFJ銀行と英バークレイズ、米シティグループ、ドイツ銀行、スイスのUBSの5行は全て、バーナンキ議長の見通しよりも半年早い今年10−12月に失業率が同レベルもしくはそれをやや上回る水準になると予測している。 元ニューヨーク連銀のアナリストで現在はUBSセキュリティーズの米国担当副チーフエコノミストを務めるドルー・マタス氏は「FRBによるコミュニケーションにさらなる問題を突き付けることは間違いない」と指摘した。 過去6週間に債券相場は下落し、市場のボラティリティ(変動性)は上昇している。ドイツ銀行の米国担当チーフエコノミスト、ジョゼフ・ラボーニャ氏は、予想よりも速いペースで失業率が低下すればFRBは早期の資産購入終了を迫られると述べ、債券相場が今後1年で一段と下落するとの見方を示した。 ラボーニャ氏によると、7%への失業率低下によって想定され得る一つのシナリオは、10年物米国債利回りが年内に2.75%に上昇。来年1月までにFRBが購入を終えた後、6月までに同利回りは3.25%に高まる展開だという。ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによると、同利回り はニューヨーク時間1日午後4時51分(日本時間2日午前5時51分)時点で2.48%。 利回り曲線 ラボーニャ氏は長期にわたり短期金利をゼロ近くに維持するFRBの方針によって2年債利回りが抑制されるため、「利回り曲線はスティープ化する」と予想する。 UBSのマタス氏は、失業率の低下を受けて投資家の間でFRBの意向をめぐる困惑が生じ、債券市場のボラティリティは年内にさらに高まる可能性が高いと指摘。ただ、FRBによる早期の資産購入終了はないとみており、低インフレの持続など他の指標に注目し、2014年半ばまでのプログラム延長を当局が正当化すると考えている。 米国債のボラティリティの指標とされるバンク・オブ・アメリカ(BOA)メリルリンチのMOVE指数によれば、米国債のボラティリティは6月27日に97.13と、前日の103.46から低下。6月24日には110.98と、11年11月以来の高水準に達していた。今年の平均は62.55。 画期的な出来事 ウェルズ・キャピタル・マネジメントのチーフ投資ストラテジストを務めるジェームズ・ポールセン氏は、量的緩和の終了を心配すべきでないと言う。同氏は「これは怖いというよりも画期的な出来事のはずだ。株式投資家の立場から言うと、FRBの緩和終了はゴールであり、経済の改善を反映する素晴らしい出来事だ」との見方を示す。 ブルームバーグ・ニュースのエコノミスト調査によると、今月5日に発表される6月の米失業率は7.5% と、前月の7.6%から低下し、非農業部門雇用者数は前月比16万5000人増加すると見込まれている。 ブルームバーグが6月7−12日に実施した別の調査では、今年10−12月期の失業率予想レンジは6.5−7.8%。エコノミスト72人の予想中央値は7.3%だった。 原題:How Fed Avoids Deterring Bondholders With 7% Jobless IsMystery(抜粋) 記事に関する記者への問い合わせ先:Atlanta Steve Matthews smatthews@bloomberg.net;ワシントン Rich Miller rmiller28@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先:Chris Wellisz cwellisz@bloomberg.net 更新日時: 2013/07/02 13:46 JST
ユーロが下落、ユーロ圏生産者物価指数が低下 記事をメールで送信 記事を印刷する 共有/ブックマーク ShareGoogleチェックTwitterシェア 7月2日(ブルームバーグ):ユーロ圏生産者物価指数(PPI)発表後の外国為替市場でユーロは下落。5月の同指数は前年比横ばいの事前予想に反して低下。前月比も予想以上に低下した。 ロンドン時間午前10時4分現在、ユーロは対ドルで0.3%安の1ユーロ=1.3028ドル。対円は1ユーロ=129円98銭と0.2%下落した。 原題:Euro Extends Drop Against Dollar As Producer PricesDecline(抜粋) 記事に関する記者への問い合わせ先:エディンバラ Lukanyo Mnyanda lmnyanda@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先:Keith Jenkins kjenkins3@bloomberg.net 更新日時: 2013/07/02 18:29 JST
日銀が「緩やかに回復」に上方修正を検討、2年半ぶり−来週会合 (1)
7月2日(ブルームバーグ):日本銀行は10、11の両日開く金融政策決定会合で、景気判断を前月の「持ち直している」からもう一段引き上げ、「緩やかに回復」という表現を使うことを検討する。判断を上方修正すれば7カ月連続で、「回復」という表現が復活するのは2011年1月以来2年半ぶりとなる。関係者への取材で明らかになった。 日銀が1日発表した企業短期経済観測調査(短観、6月調査)は、円安進行に伴う輸出採算の好転や、生産の持ち直しなどを背景に、大企業・製造業の業況判断指数(DI)がプラス4と3月の前回調査から12ポイント改善し、1年9カ月ぶりにプラスとなった。 関係者によると、今回の短観で日銀が注目していたのは、マインドの改善が設備投資など実体経済に波及していくのかどうか。13年度の大企業・全産業の設備投資計画が前年度比5.5%増と、前回調査(同2.0%減)から上方修正されたことなどを受けて、日銀は実体経済の改善が着実に進みつつあるとの認識を深めている。 日銀が2年半ぶりの「回復」判断に踏み切れば、7月21日に控える参院選を前に、安倍政権にとっても追い風となる。JPモルガン証券の足立正道シニアエコノミストは「最近の経済指標が日本経済の堅調さを示していることを考えると、日銀が景気判断を一歩前進させることに全く違和感がない」と指摘。黒田東彦総裁は「自らの政策に自信を深めているはずだ」と語った。 展望リポートの中間評価も 日銀が前回、「回復」という表現を使ったのは、08年のリーマンショックからの回復局面にあった10年5月で、前月の「持ち直しを続けている」から「緩やかに回復しつつある」に判断を引き上げた。しかし、その後、海外経済の減速などを受けて、翌11年1月に「緩やかに回復しつつあるものの、改善の動きに一服感がみられる」としたのを最後に、「回復」という表現は使われていなかった。 10、11日の決定会合では、4月末に公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」の中間評価も行う。同リポートでは「日本経済は、本年央ころには緩やかな回復経路に復していくとみられる」としており、見通し通りに経済が推移しているかどうかを精査する。 記事に関する記者への問い合わせ先:東京 日高正裕 mhidaka@bloomberg.net;東京 藤岡 徹 tfujioka1@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先:Paul Panckhurst ppanckhurst@bloomberg.net;大久保義人 yokubo1@bloomberg.net 更新日時: 2013/07/02 17:27 JST
日銀の6月短国買い入れは前月比半減、市場とのすれ違いも 2013年 07月 2日 16:16 JST [東京 2日 ロイター] - 6月に日銀が買い入れた国庫短期証券の総額が5兆円と4月の8.5兆円、5月の9.5兆円から急減した。
4月に開始した「異次元緩和」で短国は買い入れ目標額が定められておらず、買い入れ額が毎月変動するのは自然というのが日銀の立場。短国は資金供給量(マネタリーベース)を増やす中での調整弁と位置付けている。ただ、市場の中には毎月一定額の買い入れを期待する向きもあり、肩透かしとの受け止めもある。 日銀による短国買い入れオペ(公開市場操作)は4月が6回、5月は6回実施されたのに対し、6月は4回にとどまった。 一部の市場参加者は日銀が開催した説明会で、短国の買い入れを減らさないとの感触を得たという。 しかし、市場参加者の一部が予想したような資金供給はなく、6月21日には3カ月物の金利が一時的に0.125%まで上昇する場面もあった。このため金融機関の間では、日銀の姿勢を見極めたいとの声が出ていた。 一方、日銀は4月4日に公表した異次元緩和で、長期国債や上場投資信託(ETF)などと異なり、短国の買い入れ予定残高を表示していない。あくまで資金余剰期や不足期にも着実にマネタリーベースを増やしていくための調整弁と位置づけている。 マネタリーベースを13年末に200兆円、14年末に270兆円との目標に向けて増やしていくうえで、6月は年金支払いや国債償還などで資金余剰期にあたるため、短国の買い入れを4─5月よりも減らすのが適切と判断したもようだ。 日銀が2日公表した営業毎旬によると、6月30日時点で日銀保有の短国残高は37兆6677億円。ここから日銀乗り換えによる保有分などを差し引いた金融緩和目的の残高は約20兆円程度となり、白川方明前総裁の下で進めていた基金による短国の6月末残高目標(19.5兆円)とほぼ一致する。 東短リサーチ・研究員の寺田寿明氏は「日銀側が基金時代と比べて買い入れを減らすことはないと説明したことが、一部には毎月の買い入れ額が減らないと受け取られた可能性がある」とみる。その上で「7月は資金不足期にあたるため、日銀の短国買い入れも増えるのではないか」と予想している。 (ロイターニュース 竹本 能文;編集;田巻 一彦)
焦点:動き出すGPIF改革、巨大年金基金に「アベノミクス」の風圧 2013年 07月 2日 19:06 JST
トップニュース インド中銀、投機的なルピー持ち高に異例の制限=関係筋 オバマ米大統領、エジプトのモルシ大統領にデモへの対応促す トムソン・ロイター、トレードウェブの外為オプション事業買収で合意 アングル:韓流ファッションがアジアで躍進、ドラマ人気も追い風 [東京 2日 ロイター] - 世界最大の機関投資家、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)に「アベノミクス」の風圧が強まりつつある。日本国債など国内債券に偏っている安全・低リスク運用を転換、年金運用の収益を上げるとともに、株式や不動産関連などにも投資の分散を進めたいというのが政府の思惑だ。 しかし、変化とは縁遠い巨大な官僚組織が新たな環境に対応しにくいのは、GPIFも例外ではない。再浮上した同法人の改革論議が、安倍政権の期待する成果を生むかどうかはまだ不透明だ。 「(GPIFは)まさにまな板の上の鯉のような状態」。GPIFの清水時彦・調査室長は先週、都内で開催されたヘッジファンドセミナーでこう語った。今回、安倍政権が仕掛けようとしている同法人の改革が、部内の職員ではなく外部の有識者による会議で議論されるためだ。 同法人が運用する資産総額は、韓国の経済規模に匹敵する110兆円に及ぶ。その運用戦略の「脱JGB」化を促し、どのように株式や外貨建て資産にシフトするか。それだけでなく、資産運用の専門家を持つプロフェッショナルな組織づくりをめざし、同法人の陣容や報酬体系も論議される見通しだ。 7月1日に初会合を開いた有識者会議の座長、東京大学大学院教授・東大公共政策大学院院長の伊藤隆敏氏はロイターのインタビューで、同法人の運用方針とガバナンスは一体的に議論するのが適切との見方を示した。同会議はGPIFだけでなく公務員共済などおよそ200兆円に上る公的資産の運用のあり方を全般的に論議し、今年の第3四半期までに改革案の取りまとめを行う予定だ。 <乏しい専門家、運用の大半は外部委託> 有識者会議での議論の焦点となるGPIFは、厚生年金と国民年金の積立金を一元的に管理・運用しており、政府の年金財政にとって大きな役割を持つ。それだけに、年金財政の悪化が続く中で、同法人改革は過去にも様々な政策論議の的になってきた。 もともとGPIFは、財務省の所管のもと、公的年金の積立金の運用を、特殊法人・年金福祉事業団が財投機関債に預託して行っていたが、2001年の特殊法人改革によって、同事業団が廃止になり、自主運用が求められるようになった。その後、厚生労働省の管轄下に入り、今の体制になったのは2006年。そして、2008年と2009─10年には、政府内には2つの有識者会議と検討会が設けられ、この巨大ファンドを小型化して分割運用し、ファンド間の競争を促すことで運用成績の改善や安定収益を上げるなどの意見が示された。 2010年には、経済協力開発機構(OECD)がGPIFに関するレポートを発表、同法人のあり方に改めて関心が集まった。OECDレポートは、GPIFを「知名度のない低コストで表面的には低リスクな組織」と明記。所管官庁である厚労省から完全に独立し、高度な専門性を持つチームを持って組織の活性化を求めるなど、抜本的な改革の必要性を提言した。 だが、いずれの提言や改革プランもGPIFへの不満や批判を払しょくするに足る成果にはつながっていない。 膨大な運用資金を持ちながら、独立した監視機能もなければ、独自のファンドマネージャーを採用する権限もない。こうした同法人の現状には、与党・自民党などからも不満の声が絶えずある。公的・準公的年金の改革を訴え続けている日本銀行OBの塩崎恭久・衆議院議員は、GPIFの運用が「今はほとんど外出しで『おまかせ』の状態。これはだめだ」と手厳しい。 実際に、GPIFは公的組織として予算を抑制せざるを得ないため、有能なファンドマネージャーの採用や金融機関並みの報酬体系の導入ができず、運用の大半を外部委託でまかなっている。外部委託先には三井住友信託銀行、ブラックロック、三菱UFJ信託銀行が上位に入っており、この3社が同法人から預かる資産は4380億ドル(約43兆円)に達する。GPIFは給与体形なども公務員と同様の水準で、最高額の報酬を受け取っている人物は三谷隆博理事長で、2013年3月期の報酬の総額は1714万円だった。 現在GPIFの常勤職員と役員は計75人。海外の年金基金では、たとえばカナダの公的年金運用機関であるCPPIBは、GPIFの約6分の1の資産規模を運用するのに、その7倍の人材を起用している。運用アロケーションのほとんどを株式に投じているほか、インハウスで独自の運用担当者を抱えることも功を奏し、CPPIBの過去10年間の運用成績はGPIFを上回っている。 今後の議論では、「GPIFの法人形態やガバナンスが重要なテーマになるだろう。最終的に資産運用の専門家ではない厚生労働大臣が実質トップとして運用の責任者になっている状態はおかしい」と塩崎氏は指摘する。 <安倍政権の数少ない選択肢のひとつ> GPIFの改革論議が高まっている背景には、いまのままでは国民の年金資産に影響が出かねない、という政府の強い危機感がある。 GPIFは、日本の名目賃金上昇率に1.1%プラスしたリターンを目標としている。日本の平均賃金は過去9年間、年1%ずつ下がり続けてきたが、GPIFはこの間、運用資産の約3分の2を国債に投資しながら、平均リターンは年2.4%という低さにとどまっている。 安倍政権は、日本経済の再生に向け、慢性的なデフレ脱却へ「2年程度で2%程度の物価上昇率を達成する」とともに、今後10年間で名目GDPの3%程度の成長や一人当たり国民総所得の150万円増加などの目標を打ち出した。だが、これに伴って、GPIFにもさらに高い運用目標を求められることになり、それが達成できなくなれば、最終的に納税者にとって年金資産コスト高という結果が生まれる危険性がある。 日本の労働人口の老齢化と定年退職者が増加するなかで、GPIFが十分な運用益を上げることができなければ、年金を支える諸経費の増加、あるいは受給可能な年金額の減額という形で国民にそのツケが戻ってくる。ある統計によると、2030年までに国民の20%は75才以上の高齢者となり、65才以上の人口は国民の3分の1を占めるという。 日銀OBである三谷隆博・GPIF理事長は、組織改革の推進に前向きの姿勢を示す。すでに、今年6月、GPIFは基本ポートフォリオの日本国債への投資配分を67%から60%に減らす一方、株式の比率を11%から12%に引き上げると発表している。今回の変更によって、相場の変動がしたとしても、ポートフォリオの比率を維持するために無理な株式の売りや債券の買いをする必要性が大きく減る見通しだ。 同時に、三谷氏は、2001年の特殊法人改革の下で、GPIFは国から年金資金の自主運用を求められ、以来それを着実に実行してきた、と主張する。今後、GPIFが運用資産をリスク性の高いPE投資などオルタナティブ投資を手掛ける必要があるのなら、「体制整備のこともちゃんと考えてほしい」というのが同氏の注文だ。「われわれは独立行政法人として人員を増やせない。それなりのスキルを持っている人に来てもらい、それなりのリスク管理をしながらやらなくては行かない」。現にいまは「そういう人材はいま全くいない」という。 「安倍政権にとって(GPIF改革は)残された数限りない選択肢だ」。シティグループ証券の外国為替本部長兼金利商品トレーディング本部長のイータイ・タックマン氏は、同法人に政治の圧力が高まっている現状をこう説明する。GPIFによる運用戦略の転換は、今後の年金財政に影響するだけでなく、日銀の異次元緩和などがもたらした日本経済へのカンフル効果を維持するうえで重要な役割をもつ、という見方だ。今回の改革論議は、一義的には公的年金の運用体制の改善をめざしているが、その着地点次第で、金融市場に大きな影響を及ぼす可能性もある。 (ロイターニュース 程近文 編集:北松克朗、ケビン・クロリキー; 取材協力:江本恵美、平田紀之、ネイサン・レイン) 関連ニュース インタビュー:安倍政権は前政権より運用「積極派」=GPIF理事長 2013年6月26日 12年度運用実績は11.2兆円の黒字、自主運用後で最大=GPIF 2013年7月2日 GPIFの資産運用見直し検討会議、初会合は7月1日に 2013年6月27日 焦点:公的年金見直しは現状追認、今秋見据え「のりしろ」確保か 2013年6月10日
公的年金の12年度運用益は11.2兆円、円安・株高で最高に 2013年 07月 2日 17:47 JST [東京 2日 ロイター] - 公的年金を運用している年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は2日、2012年度の運用実績が11兆2222億円の黒字だったと発表した。 安倍晋三政権が2%の物価目標を掲げ、3月にかけて円安・株高に振れたことが寄与した。財投債も含めた全体の運用利回りはプラス10.23%と、金額、利回りのいずれも積立金の自主運用を始めた01年度以降で最高となった。 最も成績の良かった資産は外国株式で運用利回りが28.91%、次いで国内株式の23.40%だった。アベノミクスへの先行期待から金融・資本市場が円安、株高に振れたためだ。 外国債券は18.30%、国内債券は3.68%と、すべての資産で利益を確保。この結果、12年度末の運用資産額は120兆4653億円(前年度は113兆6112億円)に増えた。 12年度末の年金積立金全体の構成割合は、国内債券が前年度の62.64%から59.60%に低下した。一方、国内株式は12.37%から14.05%に、外国債券は8.65%から9.44%に、外国株式は11.34%から11.91%にそれぞれ上昇した。国内債券は国が定めた下限59%をギリギリで死守した。 同日午後、記者会見したGPIFの大久保要理事は「(国内債券の構成割合が)1月末と2月末にかい離許容幅を超えた」と話した。GPIFによると、12年度のリバランス状況は国内債券が5兆9192億円のプラス、外国株式は1兆9223億円のマイナスになっており、年度末にかけて比率是正に動いたとみられる。 (山口貴也、程近文)
インタビュー:安倍政権は前政権より運用「積極派」=GPIF理事長 2013年 06月 26日 18:22 JST [東京 26日 ロイター] - 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の三谷隆博理事長は26日、ロイターとの単独インタビューで、金融・資本市場の動向について、なお日本株上昇や円安進行の余地はあると指摘、国債市場に関しては「日銀の国債購入が進めば、今よりは安定するのではないか」と述べた。 GPIFの運用姿勢については、安倍晋三政権が前政権よりもリスク資産選好を求める「積極派」である、との認識を示した。 三谷氏は、2014年度(第2期)までの運用割合を計画途中で変更したことについて「いまの中期計画では市場に大きな変動があったときには見直しすべきかどうか検討することになっており、基本ポートフォリオそのものは『暫定的』なものだった」と説明。昨年10月に会計検査院から「定期的に検証すべき」と指摘され、厚生労働省からも同様の要請を受けたため、「4月から運用委員会で(見直しの)議論をした」と話した。 基本ポートフォリオについて、運用委員から、来年初めに予定されている年金財政再検証の結果との関連を考えるべきだとの声が出たことも明らかにした。しかし、同氏は、「それを待つと(見直しが)かなり先になるため、新しい財政検証が出される前に決着をつけたかった。運用委員会での議論は、想定よりはやく決着した」と述べた。 運用比率見直しの基準は昨年12月末までの相場動向だったが、それ以降、金融・資本市場が荒っぽい動きを見せたことに関連し、同氏は「一時的にボラティリティ(変動率)が高まっているだけなら(構成比率は)変更しない」と明言した。 三谷氏は、日本株の動向について「日本経済がこれからある程度よくなっていくことを考えれば、1万3000円前後で止まるようなものではない。もう少し上昇してもまったくおかしくはない」との見解を示した。為替相場については米金利が徐々に上昇している環境を考えれば、もう少し円安基調が続く可能性があると指摘した。 乱高下を繰り返す国債市場に関しては「日銀の国債購入が進めば、今よりは安定するのではないか」と予想した。 政府が、公的・準公的マネーの運用見直しで有識者会議を設置することに関しては「どういう結論になるかわからないが、静観するしかない」とした。そのうえで「常にわれわれの運用に対しては安全派と積極派がいて、今の政府は多少、積極派だ」と述べ、GPIFの運用について安倍政権は前民主党政権よりも収益性を重視した運用を期待している可能性を指摘した。 運用収益を上げるのにインフラやプライベートエクイティへの分散投資を導入すべきとの声には、「分散投資そのものに違和感はないが、その場合は体制整備も欠かせない」と強調。「独立行政法人では人員を増やせず、給料も『公務員並み』ではスキルを持った人材を確保できない」と続けた。 新たな計画では、国内債券を従来の67%から60%に減らす一方、国内株式を11%から12%に、外国債券を8%から11%に、外国株式を9%から12%に、それぞれの割合を高めた。 株などリスク資産の割合をさらに高める必要があるかどうかについては「安全性を損なわない範囲で運用益が大きければそれに越したことはない」とする一方、「リスクをどんどんとっていいとは思わない。リスクプロファイルを大きく揺るがすようなことはやるべきではない」と語った。 政府が掲げる物価安定目標2%の達成については「個人的には厳しい目標だと思う」との見解を示した。石油価格急騰などの特殊要因を除けば、バブル以降に2%まで物価が上昇した例がないためだ。 三谷氏は、今回の見直しでは、前提となる物価上昇率を1%に据え置いた、としたうえで「向こう4、5年はキャッシュアウト(積立金取り崩し)の状況が続くだろう」との見通しを示した。ただ、足元では「(年金給付への備えとしての取り崩し分)4.7兆円に納付金0.5兆円の計5.1兆円が必要だが、償還分などを差し引くと、さほどキャッシュアウトで神経を使う局面ではない」と語った。 政府が5年ぶりに物価連動国債を発行することに関しては「どんなマーケットになるのか、個人的には関心をもっている」とする一方、「(今年度末までの発行が)6000億円とボリュームが少ない。アクティブ(運用)は投資一任でやっており、投資一任先がどう考えるかにもよるが、現時点では何とも言えない」と述べるにとどめた。 (山口貴也、程近文)
インド中銀、投機的なルピー持ち高に異例の制限=関係筋 2013年 07月 2日 19:26 JST [ムンバイ 2日 ロイター] - インド準備銀行(中央銀行、RBI)はルピーが先月最安値まで下落したのを受けて、民間銀行のトレーディング部門に直接電話をし、ルピーの先物およびフォワード取引における持ち高を減らすよう異例の要請をしていたことが、関係筋の話で分かった。
ルピーは先月、米連邦準備理事会(FRB)が年内に金融刺激策を縮小すると明言したことを受けて他の新興アジア通貨と同様に大量の売りを浴びた。 RBIは定期的に市場の持ち高などを監視しているが、関係筋によると、電話の頻度や明示的に投機的な持ち高を減らすように要請することは異例なことだ。外貨準備のドル残高が輸入7カ月分相当しかないため、市場にドル売り介入することにあまり積極的ではないとみられている。 関係筋は、匿名を条件に、RBIからの電話は前月の2週目あたりから頻繁になったと明かした。一人の関係筋によると一日に10回電話が来ることもあった。 市場関係者によると、RBIからの要請で銀行は為替先物・フォワード取引における持ち高合計に値するネット・オープン・ポジション(NOP)を減らした。 インドの為替先物・フォワード市場の規模は80─90億ドルともいわれているが、RBIは介入することで流動性を収縮させ、値動きの振幅を大きくするリスクを冒しているばかりでなく、為替取引自体がノンデリバラブル・フォワード(NDF)取引を通じてシンガポールなどのオフショア市場にさらに移行する可能性がある。 6月の下旬には、RBIは外国銀行に対して、オンショア市場でのフォワード取引は、海外の顧客に代わって行うヘッジ関連取引のみに制限するように指示した。 HSBCによると、ルピーのオフショアNDF取引の1日当たり平均出来高は40─45億ドルとなり、オンショア市場のフォワード取引の30億ドルを上回る。
ドル100円に迫る、豪ドル/ドル急落も押し上げ要因 2013年 07月 2日 16:04 JST [東京 2日 ロイター] - 午後3時のドル/円は、ニューヨーク午後5時時点に比べてドル高/円安の99円後半。日経平均.N225の堅調推移で新規のドル買い/円売りが強まり、6月5日以来の100円台に迫った。
豪中銀が理事会後の声明で「豪ドルが一段と下落する可能性もある」と指摘し、豪ドル/ドルが急落したこともドル高の一因となった。 ドル/円は午後1時半ころまでは99.50円台で停滞色を強めていた。短期筋の間では100円ちょうどにあるオプションが意識され、上値追いの機運は高まらなかった。短期筋のポジションがすでにロングにだいぶ傾いているとの指摘も聞かれた。 しかし、午後1時30分にオーストラリア準備銀行(RBA、理事会)の結果が公表されると、豪ドル/ドルが急落。ドル/円も騰勢を強めはじめた。 RBAは、政策金利のオフィシャルキャッシュレートを2.75%に据え置くことを決めた。市場予想通りで、発表直後の豪ドルの反応は鈍かったが、RBAが声明で「一段の緩和余地がある可能性」、「豪ドルは依然高水準にある」などと指摘したことで下げが強まった。 市場関係者は、豪中銀が声明で「豪ドルが一段と下落する可能性もある」と言及したことに注目。豪ドルはこのところ持ち直していたが、巻き戻しが急速に強まった。豪ドル/ドルは0.92ドルを割り込み、午後3時すぎに0.9154ドルまで下落した。 ドル/円は午後3時すぎに99.87円まで上昇。6月5日以来の100円回復に迫った。豪ドル/ドルの下落がドル/円上昇の一因となったが、日経平均の堅調推移をみて、6月の各リスク資産の調整局面で手元に戻した投資資金を新たにドルに振り向ける向きがあったようだ。 大手邦銀の関係者は「6月末の調整局面で手元にキャッシュが戻ってきた。運用担当者は投資対象資産の選別をすることになるが、ドルや日経平均.N225は買いやすいとみられている」と話す。ドル/円の100円回復が迫っているが、「特段注目されているレベルではない」(同)として100円回復は時間の問題との認識を示した。 市場予想を上回った米ISM製造業景気指数、中国の短期金融市場の落ち着き、ボラティリティの低下で「ドル/円を売る理由はない」(別の大手邦銀)との指摘も出ていた。この関係者は、週末の米雇用統計で良い数字が出たら9月にQEの縮小が始まるのではないか、参院選で自民党が勝てば長期政権になるので腰を据えた施策が出てくるのではないかとの見方が市場参加者をドル買いに向かわせているとした。 (ロイターニュース 和田崇彦) 豪ドル売り、豪中銀は据え置きも一段の緩和余地の可能性示唆 2013/07/02 (火) 14:44 2日の東京市場では、豪中銀理事会を受けて豪ドルが売られた。結果は政策金利を2.75%に据え置きと市場の大方の予想通り。ただ、反応が大きかったのが声明の内容。前回の理事会後に豪ドル売りが進んできただけに、今回も一段の豪ドル安を示唆するのかが注目されていた。声明では、豪ドルが一段と下落する可能性もある、豪ドルは依然高水準にある、との論調が改めて確認されている。さらに、インフレ次第では一段の追加緩和の余地がある、ともしている。豪ドルは発表直後にやや買われたが、次第に売り優勢となる展開。豪ドル円は92円近辺から91.30近辺へ、豪ドル/ドルは0.92台前半から0.9160近辺へと下押しされている。豪ドルは午前の取引で前日からの上げが一服していたが、豪中銀理事会を契機に再び売りが強まっている。 ドル円は99円台後半で振幅。午前はポジション調整やオプション関連の注文などが観測されて上値が重かった。一時99.50近辺へと下押しされる場面があった。ただ、日経平均が100円超の上昇となるなど堅調な動きに、円買いも限定的。午後に豪中銀の発表があってからは再び買われ、一時99.83レベルと東京タイムの高値をつけている。上海株が上げに転じたこともこの動きを後押し。朝方に、日銀が発表した6月マネタリーベースは173.1兆円(月末残高)で、異次元緩和で過去最高を更新したが、円相場は反応薄だった。 クロス円も振幅。ユーロ円は午前に130.20台から129.90まで下落も、午後には130.40近辺まで上昇。ポンド円も151円台での往来相場だった。ユーロドルは1.30台後半から一時1.3050割れ、、ポンドドルは1.52台前半から1.52割れへとやや水準を下げた。全般的には、豪ドル以外の主要通貨の値動きは限定的だった。 [シドニー 2日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)は2日、政策金利のオフィシャルキャッシュレートを2.75%に据え置くことを決定した。 ただ、一段の緩和余地がある可能性に言及した。市場関係者の見方は以下の通り。 ●緩和的なバイアス維持、今後は指標次第=NAB <ナショナル・オーストラリア銀行(NAB)のシニアエコノミスト、DAVID DE GARIS氏> 緩和的なバイアスを維持した。見通しに大きな変化はないようだ。鉱山投資のブームの段階がもう過ぎたかもしれないと感じていることへの示唆はある。金利を変更しておらず、急いでいないようだ。ここからは全て指標次第。 依然として一段の(利下げ)変更の可能性があるものの、今は明らかにその段階ではない。年末の前だとは思うが、その後かもしれない。ただ指標の動向を見極めるだけだ。 ●今後の決定では豪ドルが主要なファクターに=セントジョージ銀行 <セントジョージ銀行のエコノミスト、JANU CHAN氏> 豪中銀は明らかに緩和バイアスを残しており、私は豪ドルをめぐるコメントにかなり関心を寄せた。 私はそれが豪中銀の今後の決定における主要なファクターになると考えている。豪中銀が豪ドルの一段安を望んでいることを示すものだと考えている。 ただ、豪ドルが唯一のファクターではなく、豪中銀は内需や外部環境も考慮すると思う。そのため、豪中銀が再度の緩和に乗り出さないとみられる真に明確な豪ドルの水準はない。 ●8月の利下げを予想=RBCキャピタル <RBCキャピタル・マーケッツのストラテジスト、マイケル・ターナー氏> 中銀は利下げするかもしれないと予想していたが、政策会合が近づくにつれ、その可能性は低いとの見方に変わっていった。引き続き利下げを予想しているが、その場合は8月になるだろう。 米ドルに対して90セントを超える豪ドル相場は高水準とみられており、中銀は豪ドルは依然高水準と指摘した。豪ドルが対米ドルで85セントになれば、中銀は為替相場が交易条件と一致する水準に豪ドル相場が下げたと認識し始めるだろう。 豪中銀、政策金利を2.75%に据え置き:識者はこうみる 2013年6月4日 豪中銀、政策金利を2.75%に据え置き 2013年7月2日 豪ドルさらに下落の可能性、経済のリバランスに寄与=豪中銀議事録 2013年6月18日 利下げは成長促進とインフレ目標達成に向け適切=豪中銀議事録 2013年5月21日
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